債務整理は借金の時効に注意を

借金の時効はいつから？起算日を計算しておきましょう

債務整理をするかどうか迷っている時、まずは借金の時効消滅までに「あとどれくらいかかるか」を知っておくべきです。
そのためには「いつから計算するか」という起算点を明確にしておかなければなりません。

起算点は「権利を行使することができる時＝返済義務が生じた時(支払い期日など)」です。
契約で発生した債権の場合、消滅時効は改正民法のとおり5年間です。
例えば、2020年5月31日が返済期日であった場合、時効成立日は2025年5月31日です。

ただし、債権者が権利行使できることを知らない場合には、消滅時効は返済義務が生じた時から10年間になります。例えば、消費者金融への過払い金返還請求などが挙げられます。

借金の時効は中断(リセット)されることがある

「債務整理をしなくても時効を待てばいいのではないか」と思うかもしれませんが、時効は一定の事由に該当する場合には、ストップしてしまうことがあります。

民法改正前、債権の消滅時効を起こさせないための制度は「時効の中断」と定められていました。改正後は「時効の完成猶予と更新」という名称に変更されています。
言葉は違えども、どちらにも時効をリセットするという意味合いがあります。

時効の完成猶予・更新の事由は主に以下の３つです。

時効の更新というのは、事由が終了した場合、新たに時効期間が進行することをいいます。
時効が更新されれば、原則的に更新前と同じ時効期間が発生することになります。

上記の理由から、個人間であればまだしも、賃金業者を相手にした場合は、借金の時効を迎えることは思った以上に難しいと考えておいたほうがよいでしょう。

債務整理せずに借金の時効を成立させるには時効援用通知書の送付が必要

債務整理をせずに、近く訪れる借金の時効成立日を待つという方もいることでしょう。
注意すべきなのが、ただ時効待ちをするだけでは借金の支払い義務は消滅しないということです。

借金の時効成立には時効援用が必須！

借りたお金を返済しないまま5年が経過したとしても、借金の返済義務は消滅しません。
借金の時効を成立させるためには、債権者に対して「時効になっているので支払いません」という意思表示＝時効の援用を行う必要があります。

時効の援用を行う具体的な方法は、「時効援用通知書を配達証明付きの内容証明郵便で送付する」というものになります。
普通郵便で送った場合、配達した事実も時効援用の事実も証明することができません。両方を証明するために、必ず配達証明付きの内容証明郵便で送りましょう。

時効援用通知書の書き方のポイントと例

時効援用通知書の書き方の一例を紹介いたします。

時効援用通知書に必ず記載しなければならない事項は5つあります。

・債権の内容を特定する事項
・時効が完成している旨
・時効を援用すること
・差出人(援用者)の氏名や連絡先などの情報
・通知書を送った日付

債務整理や時効援用は信用情報に掲載される？

債務整理においては、任意整理以外では法律上の手続きが必要となります。
そのため、信用情報に掲載され、5～7年は新規借り入れができなくなってしまいます。

時効援用を行えば、はたして信用情報に登録された事故情報を消すことができるのでしょうか。
信用情報の取り扱いは信用情報機関によって異なるため、確実に消えるといえないのが現状です。すぐに抹消される場合もあれば、5年間程度情報が残る場合もあります。

時効は簡単に成立されられませんから、時効待ちをするよりも債務整理を行ったほうが良いケースもあることを覚えておきましょう。