弁護士コラム

研修参加「民泊新法」施行で激変する民泊市場

2018年09月19日|弁護士コラム

~違法から合法へ,「民泊」の現状と問題点~

平成30年9月12日(水曜日),午後6時から,大阪弁護士会館にて開催されました研修に参加しました。

研修のテーマは,「「民泊新法」施行で激変する民泊市場」です。「民泊新法」というのは,弊所HPの8月7日付弁護士コラムでも紹介した,住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)のことです。同研修では,不動産業者の立場から民泊に関わっている講師の方より,「民泊」の現状と問題点について講義して頂きました。

1 「民泊」の現状

政府による観光立国政策もあり,訪日外国人数は28,690,932人(2017年)となっております。2018年では,上半期で1500万人を突破しており,過去最高の数字となっております。訪日外国人増加の傾向は,まだまだ続くと考えられております。

2 「民泊」の問題点

この増加する訪日外国人の受け皿となることが期待されているのが民泊です。

そして,「民泊新法」が施行されて以降,利用者増加に伴い,民泊事業を行う業者も増えてきており,その分トラブルも発生しております。

適法な民泊の場合,①事業実施前に「近隣住民へ事業概要等について事前に説明すること」,②事業実施後に「苦情対応等を行う者の氏名および連絡先の標識を宿泊施設の出入り口に掲示すること」が責務とされています。

違法な民泊の疑いがある施設については,②の標識の有無を確認下さい。

民泊に関する相談事例としては,宿泊料金のほかに清掃料金を請求された,事前にキャンセルしたが全額のキャンセル料を請求された,当日に宿主と連絡が取れず宿泊できなかったが宿泊料を請求されている等のトラブルがありました。

 

民泊仲介業者によって,宿泊料金と付帯料金の表示がまちまちであるのが現状であったり,料金や利用条件等について,利用者に十分な説明されているとは言えないケースもあったりするようです。

民泊に関するトラブル,ご相談があれば,ご連絡頂ければと思います。

 

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自然災害(台風・地震など)による被害と損害賠償

2018年09月11日|弁護士コラム

猛威を奮った台風21号の影響で,守口市・門真市にも多くの被害が発生したため,以下のような法律相談をいただきました。
◆飛んできた瓦で建物の窓ガラスが割れてしまった
◆飛んできた看板やトタンで隣地駐車場の車が破損してしまった
◆倒れた木が原因で隣地駐車場の車が破損ししまった
これらの場合に,損害賠償責任が発生するのか,という御相談内容です。

 

民法717条-工作物責任

ここで,押さえておかなければならない民法の条文があります。民法717条の「土地の工作物等の占有者及び所有者の責任」です。

1項には「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」と規定されています。

「土地の工作物」とは,土地上に人工的に設置された物であり,建物が代表的で,電柱や塀も含まれます。建物に付着している瓦・張板・樋なども,土地の工作物の一部として含まれます。

 

建物の一部の破損により損害が生じた場合

台風で飛んできた瓦で建物の窓ガラスが割れた場合,被害を受けたと主張する被害者は,加害者に対して,この条文を根拠に,不法行為に基づく損害賠償請求をすることになります。

この条文によれば,瓦の設置(または保存)に問題(瑕疵)がないケースでは,被害者は瓦の占有者(所有者にも)に対し,損害賠償請求できないことになります。

他方,前から瓦がぐらぐらして落ちそうで,近隣住民から苦情が出ていたようなケースでは,瓦の設置(または保存)に問題(瑕疵)があるため,被害者は瓦の占有者(または所有者)に対し,損害賠償請求できることになります。

 

前者のケースすなわち,建物の窓ガラスを割られた被害者が加害者に対して損害賠償請求できないケースでは,被害者が可哀想なようにも思えますが,損害の発生が予想できないような甚大な自然災害においては,瑕疵がない者に賠償義務を負わせるのは酷である,というのが民法の考えのようです。確かに,このような自然災害においては,瓦の設置者自身も被害を受けており,屋根の修繕費用等を負担する必要がありますので,そのうえに更に,あちこちに飛んだ瓦が原因で発生した損害の賠償責任を負わせるのは,酷なようにも思えます。

 

なお,後者のケースすなわち,建物の窓ガラスを割られた被害者が加害者に対して損害賠償請求できるケースでも,被害者に過失が認められるような場合(例えば,窓ガラスにはシャッターが付いているのに,シャッターを降ろし忘れていたような場合)には,過失相殺の適用により,損害賠償額が減額されてしまうことになります。

 

倒木により損害が生じた場合

倒れた木が隣地駐車場の車を損壊させたような場合は,木は「土地の工作物」ではありませんので,1項ではなく,2項が適用されます・

2項は「前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する」と規定していますので,基本構造は1項の場合と同じです。

そこで,木の栽植(又は支持)に問題(瑕疵)がないケースでは,被害者は木の占有者(所有者にも)に対し,損害賠償請求できないことになります。

他方,前から木が傾いて危険な状態で,近隣住民から苦情が出ていたようなケースでは,木の栽植(又は支持)に問題(瑕疵)があるため,被害者は木の占有者(または所有者)に対し,損害賠償請求できることになります。

 

加害者の損害保険を利用できるか

なお,加害者の損害保険との関係では,加害者が法的責任を負うケースでは,損害保険が適用され,保険金は支払われますが,他方,加害者が法的責任を負わない場面では,損害保険が適用されず,保険金は支払われません。

被害者の立場からすれば,加害者の損害保険に頼りたくなるのですが,加害者が法的責任を負わない場合には保険金は出ませんので,このことを踏まえて対処する必要があると思われます。

 

 

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増える高齢者の消費者被害

2018年08月16日|弁護士コラム

 現在、高齢社会の進展に伴い、高齢者単身世帯の増加などを背景として、高齢者を狙った悪質な消費者被害が増加の一途をたどってきました。

 高齢者の消費者被害の類型としては、次の2つの点に大きく分かれると言われています。
①高齢者が被害に遭いやすい「特殊詐欺」
②認知症患者の被害が多い「訪問販売」

 

 ①の具体例としては、オレオレ詐欺・還付金詐欺・架空請求詐欺などであり、②の具体例としては販売購入型の被害,不必要なリフォームの勧誘などが挙げられます。

 また、高齢者の消費者被害の手口の大きな特徴は、全体に比べて電話勧誘や訪問販売の割合が高く、さらに認知症高齢者については、訪問販売による被害が全体の4割を占めるという顕著な傾向があります。

 更に、政府広報によれば、2020年に開催される東京オリンピックを利用した「オリンピック詐欺」という詐欺についても注意喚起がなされています。

 

 こうした高齢者の消費者被害を防止する対策としては、やはりご家族の方が、こまめに様子を確認することが重要となってきます。また、ご自身による防止策としては、家族の約束事,合言葉を紙に書いて電話のそばに貼っておくことや、電話は留守電などの設定をするなどの対策をしておくことが大切でしょう。

 振り込め詐欺の被害に遭われてしまった場合には、振り込め詐欺救済法による被害救済をすることも可能です。同法により、オレオレ詐欺・架空請求詐欺・還付金詐欺等の被害にあわれた方は、同法の定める手続を経て、失権した振込口座の残高を上限として、被害回復分配金の支払を受ける方法により、被害回復を受けることができます(もっとも、犯人が預金口座等からお金を引き出してしまうと救済は受けられません)。

詳しくは金融庁HPhttps://www.fsa.go.jp/policy/kyuusai/furikome/index.html)をご覧ください。

 万が一、上記のような消費者被害に遭ったかもしれないという方は、一度弁護士に相談に行かれてはいかがでしょうか。

 

参照:政府広報オンライン「高齢者詐欺・トラブル予防はみんなが主役!」

   https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/korei_syohisya2016/new_teguchi/

 

 

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宿泊の新しいカタチ「民泊」

2018年08月7日|弁護士コラム

「民泊」については,法律上明確な定義はありませんが,一般的には「住宅を活用して,旅行者等に対して宿泊サービスを提供すること」をいいます。

ここ数年で急増する訪日外国人観光客数があり,一方で少子高齢化社会を背景に増加した空き家を有効に活用することで宿泊需給をマッチングさせることから,「民泊」が注目されています。もっとも,感染症蔓延のおそれ等の公衆衛生の観点や,地域住民とのトラブルが発生するような,まちづくりに関わるルールが求められる必要が生じておりました。

これらの事情を背景に,平成29年6月9日に住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)が成立し,平成30年6月15日より施行されております。

同法は,①住宅宿泊事業者に係る制度,②住宅宿泊事業管理業者に係る制度,③住宅宿泊仲介業者に係る制度を創設しました。

「住宅宿泊事業」というのは,旅館業法上の許可を受けずに,宿泊料を受けとって住宅に人を宿泊させる事業で,宿泊させる日数が1年のうち180日を超えないものとなっております。住宅宿泊事業者,同管理業者,同仲介業者について,それぞれ義務を定めて,「民泊」が安心安全で近隣トラブルを生じさせないものになるようにしています。

同法の施行後は,「民泊」を行う場合には,①簡易宿所(旅館業法上の許可),②特区民泊(国家戦略特法上の認定),③住宅宿泊事業(住宅宿泊事業法上の届出)のいずれかの制度から選択することになります。

これらの制度に基づかない「民泊」は,違法な「民泊」となりますので,賃貸借契約やマンション管理規約に基づいて,違法な「民泊」事業の停止や近隣トラブルにより受けた損害の賠償を求めることができます。

適法な「民泊」を行いたい方や,違法な「民泊」により迷惑を被っている方は,弁護士に相談にいかれてはいかがでしょうか。

参照:minpaku(民泊ポータルサイト)http://www.milt.go.jp/kankocho/minpaku/

 

 

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相続分野における配偶者の優遇措置(法改正予定)

2018年07月30日|弁護士コラム

相続の分野における配偶者優遇・自筆証書遺言の要件緩和等を盛り込んだ改正民法が,平成30年7月6日に,参議院本会議で可決されました。

相続に関するルールは,昭和55年以来,約40年間変わることがありませんでしたので,社会のニーズに合致しておらず,今回の法改正の流れになりました。

本コラムでは,いくつかある改正点のうちの配偶者優遇措置について,御紹介します。

 

1.配偶者優遇措置の内容

高齢化社会を迎えた現在,一方の配偶者が死亡した際,他方配偶者もかなり高齢になっていることが多いため,その他方配偶者が残りの人生で,住む場所に困らないようにする必要性が高いといえます。そこで,以下のような新設規定が盛り込まれることになりました。

 

(1)配偶者居住権の新設

夫婦の一方の配偶者が死亡した場合,遺された配偶者が,それまで居住していた自宅不動産に住み続けることができるようにするために,配偶者居住権が新設されます。

例えば,法定相続人が配偶者妻と子1人,遺産が自宅不動産(3000万円相当)と預金4000万円という事例で説明していきます。

まず,法定相続分は妻も子も2分の1ずつです。従来であれば,妻の法定相続割合は(3000万円+4000万円)☓1/2=3500万円ですから,自宅不動産(3000万円相当)を相続すれば,預金からは500万円しか相続できませんでした。しかし,改正後は,自宅不動産(3000万円相当)を,居住権(1500万円)と所有権(1500万円)とし,妻が居住権を選んで相続すれば,継続居住できるうえに,預金からも相続割合3500万円―居住権1500万円=2000万円を相続できるようになります。

 

(2)夫婦で住んでいた家を遺産分割の対象から除外

新設規定では,20年以上法律婚*にあった夫婦において,同居していた自宅不動産が配偶者に遺贈(または生前贈与)された場合,その家を遺産分割の対象から除外できることになります。(*婚姻届を提出した結婚。≠事実婚)

従来は,自宅不動産を妻に遺贈(または生前贈与)しても,遺言の付言事項などで,遺産に含めない(遺産への持戻しを免除する)と明示しておかないと,遺産の先渡しと評価され,遺贈(または生前贈与)の意味が損なわれる事態となることがありました。

しかし,改正後は,遺産に含めない(遺産への持戻しを免除する)と明示しておかなくても,遺産分割の対象から除外でき,配偶者の相続取得分が増加し,保護されることになります。

 

2.その他

 その他の改正点としては,①自筆遺言証書の要件緩和・法務局で保管する制度の新設,②遺産分割前に被相続人の預金引出しを可能にする制度の新設,③被相続人の介護などをした一定の親族が,相続人に一定の金員を請求できる制度の新設です。

 また順次,御紹介していきたいと思います。

 

 

 

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