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弁護士コラム

債務整理の対象になるものは?返済の注意について解説

2022年06月7日|借金問題, 弁護士コラム, 新着情報

【目次】

・個人的な借金は債務整理の対象になる?
・滞納してしまった税金や年金を債務整理できる?
・慰謝料や養育費の債務整理について
・携帯電話料金は債務整理の対象?
・一度も返済していない貸金業者の借金を債務整理できる?
・弁護士に債務整理を依頼したらどうなる?
・まとめ

「少しだけ…」と思っていた借金がだんだんと増え,返済に困ったり,生活に影響が出てしまったりする方は,少なくありません。借金の負担を法的に軽減するには,債務整理という手段がありますが,債務整理の対象となる借金がある一方で,対象外となるものもあります。
今回は,債務整理の対象となる借金や滞納金について解説します。
また,債務整理を弁護士に依頼した場合,どのようなメリットがあるのかも紹介しますので,ぜひ参考にしてください。

個人への借金は債務整理の対象になる?

「知人・友人など個人に対する借金は債務整理の対象にできるのか」という疑問は,多くの方が持たれていて,よく質問される事項です。
個人的な借金は,もちろん債務整理の対象になります。
破産の場合は,当然に含めなければなりません。
「知人から借りている借金だけは破産に入れたくない」とおっしゃる方が時々おられますが,基本的には「それはできません」とお答えしています。

滞納してしまった税金や年金を債務整理できる?

税金や年金,健康保険料など,国に治める義務があるものは,債務整理の対象になりません。
厳密には,破産手続の場合,その人が支払不能状態かどうかの判断要素にはなるので,税金や健康保険料の未納分がある場合は債権者一覧表に掲載します。
しかし,それらの債権は,破産法上「非免責債権(破産をしても免責されない債権)」とされています。そのため,破産をしたからといって支払義務がなくなることはありません。

離婚の慰謝料や養育費の債務整理について

破産の場合,慰謝料と養育費とで分けて考える必要があります。離婚時の慰謝料については,原則として破産の免責の対象になります。したがって,破産手続を通して支払義務が消滅することになります。

養育費の場合は,生活に直結するものですので,非免責債権として規定されており,支払義務がなくなることはありません。とはいえ,破産するような当事者ですから,受け取る側からすれば,その後継続的に養育費をもらうことは,現実には難しいだろうと思います。

事故や怪我に対する慰謝料について

慰謝料とひと口に言っても,様々な理由による慰謝料があります。
例えば,悪意による不法行為(相手に暴力をふるい怪我をさせた,悪意で事故を起こしたなど)から生じた慰謝料債権であれば,非免責債権の扱いになりますので,慰謝料の支払義務がなくなることはありません。

携帯電話料金は債務整理の対象?

携帯電話料金を滞納した場合,債務整理の対象になります。
携帯電話料金を債務整理する方は多くいらっしゃいます。ただし,携帯電話料金を破産に含めた場合,しばらくは自分の名義で携帯電話の契約ができなくなる可能性が高いです。それは,破産した情報が信用情報で共有される(ブラックリストに載る)ためです。少なくとも,機種代を分割払いにした契約はできないと思ってもらってよいのではないかと思います。

一度も返済していない借金を債務整理できる?

貸金業者に一度も返済していなかった場合でも,債務整理は一応できます。
ただし,破産の場合であれば,「一度も返済していない」という事実が重くのしかかる可能性があります。「借入れ当時すでに支払いできない状況であったにもかかわらず,返す意思もなくお金を借りたのではないか」ということで,免責不許可事由である「詐術」(破産法第252条第1項第5号)が疑われる可能性があります。そのため,裁判所のチェックは必然的に厳しくなります。
債権者が作成する「債権調査票」には,債権者の意見を記入する項目があるため,その意見欄に「最初から返済の意思がなかったのでは?」「債務者にだまされた」などと書かれてしまうと,債務整理の手続きに支障が生じることがあります。
また,任意整理の場合であれば「一度も返済していない」という事実は,業者側から見れば「一度も利息を受け取っていない」という事実にほかなりません。
元金だけの支払いで了承を得るのは難しくなります。経過利息(和解日までの利息)を要求されるのは当然のこと,将来にわたって多少の利息を要求する業者もあろうかと思います。

弁護士に債務整理を依頼したらどうなる?

債務整理について弁護士に相談し,債務整理をスタートしたら,どうなるのでしょうか。メリットや注意点を解説します。

貸金業者からの取立てがストップする

弁護士に債務整理を依頼すると,貸金業者からの取立てが止まります。それは,「弁護士や司法書士が介入したら取立てを停止すること」が,貸金業法で決められているからです。
ただし,債権者が貸金業者でない場合は業法の規制を受けません。取立て自体が禁止されているわけではないので,引き続き取立てをする債権者もいるかもしれません。

返済が一旦ストップする

弁護士に委任していただいた時点で,委任対象の債権者については,一旦全ての返済をストップしていただくことになります。
任意整理の場合は,その時点での元金や利息をベースにして,弁護士が代理して分割和解の契約を結ぶことになります。その分割和解の内容にしたがって返済がスタートします。
破産や個人再生の場合は,一般的に弁護士に委任をした時が支払不能時と判断されるので,それ以降の返済が禁止されます。それ以降に返済をした場合,内容によっては返済を受けた債権者が返還しなければならなくなります。

債権者による自動引落しに注意

債務整理を弁護士に依頼した後は,返済ストップしていただくことになります。しかし,クレジットカードの引落しなど,銀行口座から自動で引き落とされる設定がされている債権があると,依頼後に引き落とされてしまう可能性があるので,要注意です。
すでに引き落とされてしまったあとでは,どうすることもできない場合が多いです。債権者には,返済を受ける権利があります。「破産をすると知った上でわざわざ取立てに行った」というような悪質さがないかぎり,返還義務を負いません。自動引落しをされたという程度では,法的に返還を求めることは困難だと思われます。ただし,債権者に対して状況をあれこれ説明して,返還をお願いすることはあります。
対策としては,自動引き落としに設定されている口座の預金を,事前に全て引き出しておくことが有効です。

まとめ

今回解説したとおり,債務整理の対象になる債務もあれば,対象にならない債務もあります。どのような債務整理が自分に合っているのか,判断が難しい場合も多いので,まずは弁護士に相談されることをおすすめします。
相談時には,どこからいくら借りているのか(借入先・借入金額)を,教えていただければ大丈夫です。
依頼いただいた時点で,貸金業者からの取立ては止まり,返済も一旦ストップできるので,早めにご相談ください。

弁護士村上和也のプロフィール
所属:大阪弁護士会
重点取扱分野:自己破産(法人・個人)・民事再生・任意整理・通常清算・過払い金返還請求・消滅時効の援用

弁護士からのメッセージ
借金問題を放置しますと,以下のようなデメリットがあります。
・利息や遅延損害金が膨らんで総弁済額が増えてしまう
・提訴されてしまい裁判対応が必要となる
・提訴されて判決まで取られてしまうと,有利な和解をしづらくなる
 このような事態にならないよう,お早めに御相談ください。
弁護士に御依頼いただくことで,以下のようなメリットがあります。
・期限の利益を喪失し,一括請求されていたとしても,分割払いが可能となります
・将来利息をカットした有利な分割払いが実現することがあります。
・個人再生手続を採ることで,自宅を残しながら,住宅ローン以外の借金額を圧縮することができます
・自己破産手続を採ることで,借金支払いをする必要がなくなります(但し,税金等公的な債務を除く)
・利息制限法の低い利息に計算し直すことで過払い金が発生し,支払ったお金が戻ってくることがあります
・最終返済時から5年以上経過していた場合,消滅時効を援用することで,借金を法律上消滅させることができます

自己破産(法人・個人)・民事再生・任意整理等を御希望の方、まずは守口門真総合法律事務所までお問い合わせ相談ください。初回は無料で御相談可能です。

守口門真総合法律事務所(京阪守口市駅西出口すぐ)
TEL:06-6997-7171
任意整理・自己破産(個人)・個人再生に関する詳細はこちら(当事務所HP)

民事再生や自己破産をするとどのような影響がある?

2022年04月11日|借金問題, 弁護士コラム, 新着情報

【目次】

・民事再生(個人再生)や自己破産をすると誰かに知られる?戸籍に残る?

・官報とはどのようなもの?

・自己破産をすると信用情報に載る?そもそも信用情報とは?

・民事再生(個人再生)や自己破産による家族・親族への影響とは?

・自分で破産手続を進めることはできる?

・旧姓での借金は苗字が変わってからでも債務整理できる?

・住宅を維持したまま自己破産する方法はある?

・自己破産をしたら保険に入れなくなる?

・まとめ


「民事再生や自己破産を検討したいけれど,どのような影響があるのか不安」という方は多いと思います。借金問題をクリアにし,生活再建をするためにも,民事再生や自己破産によってどのような影響があるのか,知っておきましょう。
今回は,民事再生や自己破産によってどのような影響があるのか,よく質問される内容を踏まえて解説します。

民事再生(個人再生)や自己破産をすると誰かに知られる?戸籍に残る?

民事再生や破産手続を利用しても,誰かに知られてしまうことは基本的にありません。
また,戸籍に記載されることもありません。
ただし,政府が刊行する官報には記載されるので,銀行など,官報を時折確認する金融機関に知られてしまう可能性はあります。
家族・親戚・友人・知人含め,その他大勢の「官報を見ない人達」については,知られる可能性は無いに等しいと思います。
しかし,手続のために,同居家族の通帳や給与明細のコピーなどの資料の提出を求められることがあり,その場合は家族に知られる可能性があります。

官報とはどのようなもの?

官報は,政府が発行する新聞です。
法律や政令の公布に利用されたり,会社の各種公告に利用されたりします。
その他,裁判手続上の公告にも利用され,破産や民事再生の関係では,破産手続の開始決定・免責決定,個人再生(民事再生)手続の開始決定・書面決議決定・再生計画認可決定の各決定が官報に掲載されます。

官報を見ている人は多くないので,そのルートから自己破産を知られる可能性がほぼ無いことは分かるかと思います。
銀行など金融機関によっては定期的に官報をチェックしていると聞いたことがありますが,それすらも,どこまで確認しているかは不明です。
それに,破産や民事再生では,借入先の金融機関はすべて債権者に挙げないといけませんので,金融機関に知られたところで,元から把握している事実のはずですから,特に問題にはなりません。

自己破産をすると信用情報に載る?そもそも信用情報とは?

信用情報とは,銀行・クレジット会社・消費者金融など,誰かにお金を貸したり立替払いをしたりする業者間において,個々人の信用情報を相互に確認できるようにした情報ネットワークです。
借入金額,借入先,借り換えの情報などが記載されています。
延滞情報・破産などの法的手続状況は,事故情報として記録されます。

民事再生(個人再生)や自己破産による家族・親族への影響とは?

民事再生や自己破産による家族・親族への影響ですが,基本的にはありません。
ただし,家族・親族が連帯保証人になっている場合は,これまで表面化していなかった保証債務が,主債務者本人が破産することにより現実化するので,保証人が金融機関から請求を受けることになります。

一方,生活面では,細かいところで家族に何らかの影響が出る可能性があります。
例えば,家計の中心である者が破産や個人再生をする場合,住宅ローンが組めないので,一家の住居は,持ち家か賃貸かの選択の余地なく,賃貸の暮らしになります。また,新しくクレジットカードを作ることができないので,どうしてもカード決済を要する場合は,誰か家族のクレジットカードで支払ってもらうことになります。
携帯電話の契約に関しても,機種本体を分割払いで払うことができないので,自分名義での契約が難しくなってしまいます。

自分で破産手続を進めることはできる?

「自分で手続をすれば,弁護士や司法書士といった専門家に費用を払わなくて良い」と思われるかもしれませんが,破産手続は非常に面倒です。
慣れていない方が自力で裁判所に申立を行うには,手続や書式が煩雑すぎるので,難しいでしょう。
通常の民事裁判の場合,弁護士に頼まずに自分で裁判所をするという話は時々聞きますが,自分で書類を作って破産申立をしたという話は聞いたことがありません。
弁護士に依頼する場合,一般的に,30万円~40万円ほど費用がかかりますが,それだけ手続が煩雑で大変という理由があります。

旧姓での借金は苗字が変わってからでも債務整理できる?

苗字が変わる前の借金も,もちろん債務整理ができます。
旧姓の時の借金に加え,現在の苗字でも借金をしている場合,同じ人物の借金なので,当然まとめて1回で債務整理をすることができます。
ただ,旧姓で相当の借金がある一方で,現在の姓でもある程度の借入があると「新たな借金をするために,わざと戸籍上の苗字を変えたのでは?」と,詐取的な借入を疑われる場合があります。
ブラックリストは氏名が記載されますが,苗字が違うと別人と判断されやすいことが理由です。

住宅を維持したまま自己破産する方法はある?

残念ながら,住宅を維持したまま自己破産をするのは難しいでしょう。
大阪の場合は,20万円以上の財産があると,原則として換価のうえ配当することになっていますので,不動産は手放すことになります。
債務整理の中でも,任意整理を行う場合は,住宅を維持することができます。
任意整理の場合は,基本的に月々の支払いができさえすればOKです。
個人再生(※)では,「住宅資金特別条項付」という特別な方法があり,住宅を維持したまま,住宅ローンはそのままで手続ができます。
(※)個人再生は,減額された借金を3年程かけて返済し,残りの借金については支払義務を免除してもらうもの。

自己破産をしたら保険に入れなくなる?

自己破産と保険の加入については基本的には無関係です。
少なくとも掛け捨ての保険であれば,どの手続でも支障なく契約を維持できるでしょう。
注意したいのは,自己破産を希望する時に,以前から積立型の保険に加入している場合です。自己破産と個人再生の場合,積立型の保険は財産扱いになるので,解約時の返戻金が存在する場合は,解約を求められることがあります。
積立型保険の返戻金については,加入者本人もどれくらいの金額が積み立てられているか把握していないことも多く,自己破産がスムーズに進められない原因になることもありますので,注意が必要です。

まとめ

今回は,民事再生や自己破産による影響について解説しました。
「借金の負担を軽くし,やり直したい」と考えている人は,一刻も早く手続を進めたいと思われるかもしれませんが,生活への影響はゼロではありませんので,その点は注意しておきましょう。
破産手続は,法律のプロである私たちでも難しいと思うくらい,手続が煩雑で大変です。
「借金の負担を軽くしたいけれど,住宅を手放したくない」などの希望がある方もいらっしゃると思います。借金の負担をできる限り軽くし,希望される生活を続けられるよう,ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士村上和也のプロフィール
所属:大阪弁護士会
重点取扱分野:自己破産(法人・個人)・民事再生・任意整理・通常清算・過払い金返還請求・消滅時効の援用

弁護士からのメッセージ
借金問題を放置しますと,以下のようなデメリットがあります。
・利息や遅延損害金が膨らんで総弁済額が増えてしまう
・提訴されてしまい裁判対応が必要となる
・提訴されて判決まで取られてしまうと,有利な和解をしづらくなる
このような事態にならないよう,お早めに御相談ください。

弁護士に御依頼いただくことで,以下のようなメリットがあります。
・期限の利益を喪失し,一括請求されていたとしても,分割払いが可能となります。
・将来利息をカットした有利な分割払いが実現することがあります。
・個人再生手続を採ることで,自宅を残しながら,住宅ローン以外の借金額を圧縮することができます
・自己破産手続を採ることで,借金支払いをする必要がなくなります(但し,税金等公的な債務を除く)
・利息制限法の低い利息に計算し直すことで過払い金が発生し,支払ったお金が戻ってくることがあります
・最終返済時から5年以上経過していた場合,消滅時効を援用することで,借金を法律上消滅させることができます
自己破産(法人・個人)・民事再生・任意整理等を御希望の方、まずは守口門真総合法律事務所までお問い合わせ相談ください。
初回は無料で御相談可能です。

守口門真総合法律事務所(京阪守口市駅西出口すぐ)
TEL:06-6997-7171
任意整理・自己破産(個人)・個人再生に関する詳細はこちら(当事務所HP)

相続財産に当たるものは?相続方法や相続放棄のポイントも含めて解説

2022年02月25日|弁護士コラム, 新着情報, 相続

【目次】

  • ・どんなものが相続財産になる?
  • ・相続税の課税対象になるものは?
  • ・相続税の計算は自分でもできる?
  • ・相続税が高すぎてマイナスになるということはある?
  • ・借金などのマイナスの財産も相続しなくてはいけない理由
  • ・相続にはどのような方法がある?
  • ・相続放棄をしたことを他の相続人にも伝えるべき?
  • ・相続放棄をする場合いつまでに決断が必要? タイムリミットは?
  • ・まとめ

「相続」と聞くと、難しそうな印象を持つ方も多いのではないでしょうか。
しかし、親や配偶者などが亡くなった時に、相続は避けては通れない問題です。
今回は、どのようなものが相続財産となるのか、相続にはどのような方法があるのか、相続放棄をする場合のポイントなど、弁護士としての経験を踏まえながら、基本的なポイントをまとめました。
ぜひ参考にしてください。

どんなものが相続財産になる?

民法第896条本文に「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と規定されているとおり、「権利」のみならず「義務」も相続します。
前者は、不動産・預金・現金・有価証券等。
後者は、借入金・住宅ローン・損害賠償義務等です。
保証人としての地位も相続するため、保証債務も含みます。
但し、従業員としての労務提供義務・映画を撮影する債務・カメラマンが撮影する債務等は、その人自身が履行しないと意味が無い債務ということで、相続されることはありません。この点につき民法は、「被相続人の一身に専属した財産」は相続されない、と規定しています。

相続税の課税対象になるものは?

プラスの財産(積極財産)からマイナスの財産(消極的財産)を差し引いて、遺産総額を決めます。
葬儀費用も遺産総額から差し引くことが可能です。
そのうえで、遺産総額から基礎控除額を差し引いたものが、課税対象になります。
なお、基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」です。

相続税の計算は自分でもできる?

遺産に不動産がない場合は、自分で相続税の計算ができる可能性もあります。
他方、不動産がある場合は特例の適用により税額が下がりますが、特例は難解です。
自分で計算をすることは難しいので、税理士に依頼されるほうが良いと思います。
また、基礎控除後もなお課税対象となる資産があるような場合も、税理士に依頼されるほうが良いでしょう。
計算方法は、遺産総額から基礎控除額を差し引いて、いったん法定相続分を相続したと仮定して相続税率を適用し「相続税の総額」を算出。
そのうえで、各相続人に配分し、税額控除等を加味して、各相続人の納付税額を算出することになります。

相続税が高すぎてマイナスになるということはある?

遺産よりも相続税が上回ることはありませんので、マイナスになることはありません。
しかしながら、例えば「遺産不動産が1憶円の価値があるが、遺産預金は300万円しかない」というようなケースでは、マイナスではないけれども、納税する預金が足りないという事態は生じえます。
そのような場合は、遺産不動産を売却して売却金を納税するか、不動産そのものを納める(物納する)ことになります。
物納に関しては要件が複雑ですので、税理士の関与が不可欠です。

借金などのマイナスの財産も相続しなくてはいけない理由

プラスの財産を相続する場合は、マイナスの財産も含めて「一切の権利義務」(民法第896条)を相続することになります。
よって「資産は相続するが、負債は相続しない」と言うことはできません。
また「この資産は相続するが、この資産は相続しない」と言うようなこともできません。

相続にはそどのような方法がある?

相続には「単純承認」「限定承認」「相続放棄」という3つの方法があります。
それぞれの特徴や方法について、解説しましょう。

単純承認

単純承認は、被相続人の資産(積極財産)・債務(消極財産)の全てを相続すること。
積極財産が消極財産を上回る場合に最適な方法です。
以下の3つの場合は、意思表示しなくても、単純承認したものとみなされる(法定単純承認)ので、注意が必要です。
①相続財産の処分、②熟慮期間内に相続放棄等をしない、③相続放棄等をした後に、相続財産を隠匿・消費したりした場合です。

限定承認

限定承認は、相続人が相続によって得た財産の限度で、被相続人の債務の負担を受け継ぐ方法。
「被相続人の債務がどの程度あるか不明であり、債務が相続財産を超過する可能性もある」という場合に最適です。
熟慮期間内に、家庭裁判所に、財産目録を提出して申立てをすることで可能な方法ですが、相続人全員で申立てをする必要がある点には要注意です。

相続放棄

相続放棄は、一切の遺産を相続しない方法。
資産(積極財産)よりも債務(消極財産)のほうが多い場合に最適です。
方法としては、家庭裁判所に対して申立てをすること(財産目録の添付は不要)。
注意点としては、「熟慮期間内の申立てが必要であること」「相続財産の一部のみの放棄はできないこと」が挙げられます。

相続放棄をしたことを他の相続人にも伝えるべき?

第1次相続人が相続放棄をすると、相続の権利は第2次相続人へと移行します。
さらに第2次相続人が相続放棄をすると、第3次相続人へと相続権は移っていきます。
そのため「債務が多いので誰も相続をしない」という場合、第1次相続人が相続放棄した後に、第2次相続人が相続放棄し、その次に第3次相続人が相続放棄をする流れとなります。
例えば、夫が死亡した場合、第1次相続人である妻及び子が相続放棄し、続いて第2次相続人である夫の親が生存している場合はその親が相続放棄をする。
そして、次に第3次相続人である夫の兄弟姉妹が相続放棄をします。

相続放棄を次順位の相続人に伝えるかどうかですが、事案によっては、第1次相続人が相続放棄したことを、第2次相続人に伝えないケースもあります。
伝えないことで、熟慮期間がスタートしませんので、理論上、第2次相続人はいつまででも相続放棄ができることになります。
伝えるか伝えないかはケースバイケースですが、当職の経験則上「将来、次順位の相続人に迷惑をかけたくない、きちんとしておきたい」というケースでは、伝えます。
また、債権回収に勤勉な債権者がいる場合は、第2次相続人に請求していくこともありますので、あらかじめ伝えて、第2次相続人に相続放棄を促すケースもあります。

相続放棄をする場合いつまでに決断が必要? タイムリミットは?

タイムリミットは、「熟慮期間」と言い、相続の発生を知ってから3か月以内です。
もっとも、債権債務が複雑であり、同期間内で相続放棄すべきかどうかを判断できない場合は、期間伸長の申立てが可能で、その場合は3か月間延長してもらえます。
この申立ては、比較的、簡単に認められます。
その3か月内に、信用情報機関に調査をかけたり、郵便物をチェックしたりして、債務の有無を調査して、相続放棄すべきかどうかの判断材料とします。

まとめ

今回は、相続財産となるもの、相続の種類と方法、相続放棄について解説しました。
相続に関して、弁護士に依頼すべきかどうか悩まれる方も多いと思いますが、限定承認は難解な手続ですので、弁護士に依頼されることをお勧めします。
また、相続放棄については、御自身でもできなくはないですが、除籍や戸籍を収集したり、申立書を作成したり、印紙額を調べて購入したり等、かなりの手間が発生します。
また、誤って法定単純承認をしてしまったりすると取り返しがつきません。そのため、相続放棄をする場合も弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。

弁護士村上和也のプロフィール

所属:大阪弁護士会
重点取扱分野:遺言・相続(遺産分割・遺留分・遺言執行)・事業承継・成年後見
講演歴:①「相続・遺言・遺留分・金銭管理・成年後見」(地域包括支援センター家族介護教室での講演)
    ②「今日から始める相続対策」(終活セミナーでの講演)
    ③「金銭管理・成年後見・個人情報保護」(認知症サポーター養成講座での講演)
    ④「成年後見と財産管理における弁護士のかかわり方,法定後見,任意 後見,見守り契約,死後事務委任契約等」
    (介護福祉支援員に対する講演)
    ⑤「意思決定支援」(三市合同社会福祉士連絡会での講演)

弁護士からのメッセージ
・早い段階で御相談いただくほうが良い解決につながることが多いですから,ささいなことでも結構ですので,お早めにお問い合わせください。
・相続問題は,遺産分割調停・遺留分減殺請求訴訟等,様々な紛争を扱う,紛争処理のプロである弁護士に御相談ください。
・税理士・司法書士とも連携し,ワンストップサービスを御提供していますので,相続税申告・準確定申告・相続登記についても,御心配は無用です。
・遺言作成や遺産分割協議を数多く手掛けてきており,危急時遺言の作成実績もある数少ない法律事務所です。

遺言・相続・成年後見のことでお悩みの場合,まずは守口門真総合法律事務所までお問い合わせ相談ください。初回は無料で御相談可能です。
守口門真総合法律事務所(京阪守口市駅西出口すぐ)
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任意整理は誰でもできる?注意点は?

2021年12月27日|借金問題, 弁護士コラム, 新着情報

【目次】


・任意整理とは
・任意整理は誰でもできるもの?
・和解に応じてもらえない場合もある?
・クレジットカードの利用について
・まとめ

任意整理とは

「任意整理」は基本的に,借りたお金の元金のみを分割して支払う手続きです。
銀行や消費者金融でお金を借りた場合,通常,元金と利息を合わせた額を返済することになります。しかし,任意整理をすると,利息を支払う必要がなく,支払った金額はそのまま元金から差し引かれます。
普通に返済していると,返済した額の3分の1程度しか元金が減らない場合もありますが,任意整理をすれば利息の支払いが不要になるので,トータルの支払いは半額以下になることも珍しくありません。
元金自体は減額されませんが,将来にわたって支払うことになっていた利息がなくなり,だいぶ返済が楽になります。

利息や損害金は一切つかない?

ただ,和解日までの利息(「経過利息」といいます)や,損害金は計上される場合も多いので,注意が必要です。
以前は,経過利息をカットしてもらえることが多かったですが,最近は難しくなってきました。

一部の業者だけを整理することは可能

任意整理のメリットとしては,一部の借金についてそのまま返済を続けることが可能という点が挙げられます。
例えば「車を引き揚げられては困るので,車のローンだけは通常どおり払う」「保証人に迷惑を掛けたくないので,保証人がついている借入れだけは通常どおり払う」ということができます。
「借金に悩んでいるけれど,親族・知人に知られたくない」「身近な人の信用を失いたくない」という場合にも向いています。
利息制限法の上限以内の金利で借り入れている場合,任意整理をするべきか迷われるかもしれませんが,将来の利息をカットできるメリットは大きいと思います。
法定の金利内とはいえ,年利15~18%の設定が多く,普通に高金利です。
返済に苦しんでいる場合は,任意整理を検討されることをおすすめします。

任意整理は誰でもできるもの?

現在定職についていない方が「任意整理をしたい」と思われた場合,一般的には「できません」という回答になるかと思います。
返済にあたっては,収入の安定(継続的に返済することができる家計状況か)がポイントになるためです。
もっとも,借入額が小さく,月々の返済も1~2万円程度の方であれば,アルバイト・パートでも差し支えないと思います。
パートタイマーで働く主婦の方で「カードキャッシングの借金をしてしまった」という場合,債務整理をしてパートの収入で返済するパターンもあります。
学生の債務整理も不可能ではないですが,そもそも借入れをする人が少ないです。
低額の借金であれば,アルバイトなどの収入で債務整理を検討できるでしょう。

和解に応じてもらえない場合もある?

消費者金融の会社でも,和解に応じてくれる業者がほとんどです。
ただし,任意整理の交渉をしても和解に応じてもらえない場合はあります。
法的な手続きとはいえ強制力はないので,和解がまとまるかは先方次第のところがあるのです。
最初から和解自体に応じてもらえない場合もあれば,単に条件面で折り合いがつかない場合ももちろんあります。
また,すでに債権者から裁判を起こされ判決を取られている場合や,給与の差押えを受けている場合は,先方のペースで交渉がなされることが多いです。

クレジットカードの利用について

債務整理をすることで心配なのは「クレジットカードを使い続けられるか」という点でしょう。
任意整理の手続きに含める場合,残念ながら利用できなくなります。
本人のカードだけではなく,本人のカードに付帯して作られた「家族カード」も同様に利用ができなくなるので,気を付けてください。
※家族が個人的に作ったクレジットカードは,債務者のクレジットカードとは関係ないので,今までどおり使用できます。
一方,債務整理をしなかったクレジットカードは,通常どおり使える可能性が高いでしょう。
しかし,カード更新の時期などにカード会社が改めて信用情報をチェックすることがあれば,更新を拒否される場合があるかもしれません。
クレジットカードの利用については,カード会社の基準による部分が大きいので,「債務整理手続に含めなければ大丈夫」とも言い切れないのが実情です。
しかし,キャッシュレスが進んだ現代社会においては,カード決済を使えないと不便であることも多いです。その場合,家族が持つクレジットカードで「家族カード」を作ってもらうか,プリペイド式のカードを作成するか,などを検討することになります。

まとめ

任意整理は,借金自体を減らすわけではありませんが,「整理後は利息を支払う必要がなくなる」という大きなメリットがあります。トータルで支払う額を減らすことができるので,早めに行うことが大切です。
中には「契約書をなくしたので,債務整理ができないのでは?」という方もいらっしゃいますが,契約書がなくても大丈夫です。
弁護士が受任すると,弁護士から各業者に通知を送り,債権調査からスタートしますので,契約書は特に必要ありません。
どこから借りているかが分かれば,手続きを進められます。
また「おまとめローンか任意整理かで悩んでいる」という場合もあるかもしれません。
その場合,我々の感覚からすれば,当然任意整理をおすすめします。
おまとめローンは問題の先送りにすぎないからです。
ただし,事業者の場合は,おまとめローンによって経営を立て直す目的がある場合もありますので,メリット・デメリットを考慮して決めていただくと良いと思います。

迷われる場合は,弁護士にご相談ください。

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弁護士村上和也のプロフィール

所属:大阪弁護士会
重点取扱分野:自己破産(法人・個人)・民事再生・任意整理・通常清算・過払い金返還請求・消滅時効の援用

弁護士からのメッセージ
借金問題を放置しますと,以下のようなデメリットがあります。
・利息や遅延損害金が膨らんで総弁済額が増えてしまう
・提訴されてしまい裁判対応が必要となる
・提訴されて判決まで取られてしまうと,有利な和解をしづらくなる
 このような事態にならないよう,お早めに御相談ください。

弁護士に御依頼いただくことで,以下のようなメリットがあります。
・期限の利益を喪失し,一括請求されていたとしても,分割払いが可能となります
・将来利息をカットした有利な分割払いが実現することがあります。
・個人再生手続を採ることで,自宅を残しながら,住宅ローン以外の借金額を圧縮することができます
・自己破産手続を採ることで,借金支払いをする必要がなくなります(但し,税金等公的な債務を除く)
・利息制限法の低い利息に計算し直すことで過払い金が発生し,支払ったお金が戻ってくることがあります
・最終返済時から5年以上経過していた場合,消滅時効を援用することで,借金を法律上消滅させることができます
自己破産(法人・個人)・民事再生・任意整理等を御希望の方、まずは守口門真総合法律事務所までお問い合わせ相談ください。初回は無料で御相談可能です。

守口門真総合法律事務所(京阪守口市駅西出口すぐ)
TEL:06-6997-7171
任意整理・自己破産(個人)・個人再生に関する詳細はこちら(当事務所HP)

相続について知っておきたい基礎知識 法定相続人と相続割合

2021年11月29日|弁護士コラム, 新着情報, 相続

守口門真総合法律事務所の弁護士村上和也です。
相続が必要になったときに、誰にどのような割合で遺産が相続されるのか、気になられる方は多いのではないでしょうか。
そこで本日は、相続のルールについて解説をさせていただきます。

法定相続人とは?

被相続人(亡くなった方)と一定の親族関係にあった方を、法定相続人といいます。法定相続人に該当するのは、配偶者・子(またはその代襲者・再代襲者=孫やひ孫)・直系尊属・兄弟姉妹等が該当します。「直系尊属」という単語は最近使うことが少なくなったかもしれませんが、両親や祖父母のことをいいます。

法定相続人優先順位

法定相続人の優先順位は ①子(またはその代襲者・再代襲者=孫やひ孫)・②直系尊属(※)・③兄弟姉妹です。
配偶者は常に相続人になります。

(※) ②直系尊属については、親等の近い人から相続人になります。具体的には、父親と祖父がともにいる場合は、父親です。

●法定相続人となるはずの子どもが他界している場合
子どもがすでに他界している場合、孫が代襲相続人として、相続人になります。
孫も他界していて、ひ孫がいる場合、ひ孫が再代襲相続人として相続人になります。

●もともと子どもがいない場合
第2順位として直系尊属である親が相続人になります。親が死亡しており、祖父母は健在の場合は、祖父母が相続人になります。

●被相続人(亡くなった人)が未婚の場合
第2順位として直系尊属である親が相続人になります。
親が死亡しており祖父母は健在の場合は、祖父母が相続人になります。兄弟がおらず、両親、祖父母、曾祖父母も他界している(法定相続人がいない)人で、遺産がある場合は、最終的に国庫に帰属する(国のものになる)ことになります。

遺産の割合について

遺言があればそれに従います。
遺言がない場合は民法900条の規定に従って、割合が決まります。
①子及び配偶者=各1/2
②配偶者及び直系尊属=2/3と1/3
③配偶者及び兄弟姉妹=3/4と1/4
④子、直系尊属、兄弟姉妹が数人いるときは、頭割り。
※但し、半血の兄弟姉妹(異父兄弟・異母兄弟)は、全血(被相続人とその配偶者の子ども)の1/2。

②と③のケースでは「配偶者が全部相続する」と誤解されている方がたまにいますが、このように、直系尊属や兄弟姉妹も相続人となります。
③のケースにおいては、例えば、配偶者妻と被相続人の姉(嫁と小姑)のような場合、被相続人の生前から不仲な事例もあり、争族となることもあります。

内縁の妻との間の子どもの相続分
いわゆる婚外子は、非嫡出子として、昔は嫡出子の1/2でした。
嫡出子の相続割合を多くすることの理由(立法趣旨)の1つとして「法律婚の尊重」が挙げられます。
しかし、平成25年の最高裁判決は「個人の尊重という観点から、法律婚という制度の下で父母が婚姻関係にないという子にとって自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由として子に不利益を及ぼすことが許されないこと」より、憲法14条に反すると判示しました。
その後、民法改正により、非嫡出子と嫡出子の区別は無くなりました(相続分は同じ)。

未成年者が相続人になった場合は?
未成年者は行為能力がないため、遺産分割協議を有効に成立させることができません。ここで、一般的には、未成年者については親が法定代理人として代理します。
もっとも、遺産分割協議の場面においては、一方の取り分が増えると他方の取り分が必然的に減る(「遺産」というパイは決まっているため)という利益相反状況にあります。そのため、親は代理人になれません。
「利益が相反するかどうか」については、実質的ではなく形式的に判断されるからです。
そこで、家庭裁判所に、特別代理人の選任を申立て、その特別代理人が未成年者を代理して、遺産分割協議に参加することになります。
「特別代理人の選任申立ての進め方が分からない」「手続きが煩わしい」といった場合は、弁護士のサポートを受けることで、スムーズに進められます。

まとめ

遺言書がない場合は法定相続人間で遺産分割協議をしますが,遺産分割協議を実施する際には,民法に定められた相続割合を参考にしながら,遺産分割協議を進めていくことになります。
「相続の割合を指定したい」「法定相続人以外の人に、遺産を遺贈したい」といった希望がある場合、遺言書を作成することで叶えることができます。
昨今、相続人同士での争いが起きないように、生前に遺言書の作成を検討される方も増えています。
「遺言書の作成を考えたい」という場合は、相続の経験・知識が豊富な弁護士にご相談ください。

弁護士村上和也のプロフィール
所属:大阪弁護士会
重点取扱分野:遺言・相続(遺産分割・遺留分・遺言執行)・成年後見
講演歴:①「今日から始める相続対策」(終活セミナーでの講演)
    ②「相続・遺言・遺留分・金銭管理・成年後見」
     (地域包括支援センター家族介護教室での講演)
    ③「金銭管理・成年後見・個人情報保護」(認知症サポーター養成講座での講演)

弁護士からの一言
・早い段階で御相談いただくほうが良い解決につながることが多いですから、ささいなことでも結構ですので、お早めにお問い合わせください。
・相続問題は、遺産分割調停・遺留分減殺請求訴訟等、様々な紛争を扱う、紛争処理のプロである弁護士に御相談ください。

遺言・相続・成年後見のことでお悩みの場合、まずは守口門真総合法律事務所までお問い合わせ相談ください。初回は無料で御相談可能です。
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