債務整理は弁護士と司法書士のどちらに依頼するのが良い？

弁護士と司法書士の違いについて

弁護士とは、司法試験に合格し、国家資格である弁護士の資格を修得した人です。
膨大な法律の知識を使い、民事・刑事事件（訴訟）や和解交渉など、法律に関するあらゆる業務を行うことができます。
全国の弁護士数は4万4929人（2022年12月29日時点）です。

一方、司法書士とは、国家資格である司法書士試験に合格した人です。
不動産登記や法人登記の手続き、裁判所・検察庁・法務局に提出する書類の作成が主な業務となります。
全国の司法書士数は2万3007人（2022年12月29日時点）です。

どちらも法律の専門家ですが、弁護士の資格を受験するには、法科大学院修了もしくは法科大学院予備試験合格という厳しい条件があります。
一方。司法書士の試験には特別な資格は必要ありません。

債務整理は弁護士にも司法書士にも依頼できる？

債務整理は弁護士にも司法書士にも依頼できますが、司法書士に認められているのは、債権額（借金）が140万円以下の任意整理および過払い金返還請求のみです。
裁判所を通す個人再生や自己破産の申立代理人になることはできません。

借金が少額で任意整理を検討しているのであれば、司法書士に依頼することができます。
ただし、任意整理を依頼できるのは認定司法書士に限ります。

認定司法書士とは？

もともと、司法書士は債務整理の書類作成代行業務を行ってきました。
2003年の法律改正を機に、法務省の認定を受けた認定司法書士（簡裁訴訟代理等関係業務認定司法書士）に限り、任意整理において代理人になることが可能になったのです。

認定司法書士になるには、司法書士試験に合格した後、所定の研修を修了、簡裁訴訟代理能力認定考査に合格する必要があります。
全国の司法書士のうち、認定司法書士の割合は78％です。（日本司法書士連合会調べ　2022年4月1日時点）

司法書士に任意整理を依頼できないケースとは？

債務整理において、弁護士と司法書士では依頼できる範囲に大きな違いがあります。
認定司法書士であれば、任意整理を依頼することが可能ですが、次のようなケースでは任意整理を依頼することができません。

借金が140万円を超える

司法書士は、司法書士法3条により、140万円を超える民事事件の相談や和解交渉、代理業務などを行うことができないと定められています。

ただし、140万円という基準は借金の総額ではなく、賃金業者1社あたりの金額ですので、例えば「総額180万円をA社から130万円、B社から50万円、別々に借り入れている」ケースでは、司法書士に任意整理を依頼することができます。

1社につき140万円以上の借金があるにも関わらず業務を行った場合、弁護士法違反となり、刑事処罰を受けることになります。

過払い金が140万円を超える

借金の金額同様、司法書士は過払い金が140万円を超える事案を扱うことができません。
過払い金返還請求書を送ることも、和解交渉を行うこともできないのです。
もし、過払い金返還請求を司法書士に依頼して、実際に戻ってくる過払い金が140万円以上であることが判明した場合、委任契約を解約し、弁護士に依頼し直すことになるでしょう。

任意整理で相手に控訴された

任意整理もしくは過払い金返還請求で相手方の賃金業者から控訴された場合、司法書士に代理を依頼することになります。

しかし、司法書士がもつ訴訟代理権は、最初の裁判である簡易裁判所までです。
簡易裁判所で決着がつかなかった場合、地方裁判所や高等裁判所に移行することになりますが、司法書士には訴訟代理権がありません。
司法書士が対応できなくなった事案は、結局のところ弁護士に依頼し直すことになります。