債務整理をすると自動車ローンが組めなくなる？車を残す方法はある？

債務整理を自動車ローン返済中に行うと車は没収される？

「車が生活に必要なので、債務整理後も乗り続けたい」という方は多いことでしょう。
しかし、自動車ローンの返済中に債務整理を行うと、基本的に車は没収されてしまいます。
なぜ車が没収されてしまうかというと、ローンの支払いをすべて終えるまでは、車はご自身のものではなくローン会社のものとみなされるからです。

通常、車のローン契約時に「所有権留保」という担保が付けられます。
これは、ローンの支払いが残っている場合、つまり購入価格の全額が支払われるまで、車の所有権はローン会社にあるということです。
ですから、債務整理を行う、あるいは返済を遅延すると、「返済能力がない」とみなされ、ローン会社に権利を行使され、車を没収されてしまいます。

一般的な自動車ローンだけでなく、所有権移転ファイナンスリース契約やバイクのローンでも同じことがいえます。

債務整理をしても車が没収されない自動車ローンとは？

自動車ローンの返済中に債務整理を行っても、ローンの種類によっては車が没収されない場合があります。
自動車ローンには「銀行系」「信販会社系」「ディーラー信販会社系」の３つがありますが、このうち銀行系のマイカーローンを組んでいる場合は、金利が低く、所有権留保がついていない可能性が高いです。

銀行系のマイカーローンなら車を残せる？

銀行系のローンとは、民間銀行や信用金庫、JAバンクなどのマイカーローンを指します。
車の購入価格を分割して支払うという点は他のローンと同じですが、ローンの組み方に違いがあります。

銀行系のマイカーローンは、車の購入のために現金を借り入れ、そのお金を返済していく方法を取ります。そのため、「所有権留保」がつかず、車が担保になりません。
車の所有権は利用者にあるため、債務整理の種類によっては車を手元に残すことができます。

信販会社系のローンは車を残せない？

信販会社系のローンとは、オリコやジャックス、アプラス、SMBCファイナンスサービスなどの金融業者のことです。
ディーラー信販会社系のローンとは、トヨタファイナンスや日産フィナンシャルサービス、ダイハツクレジットなどの自動車メーカーと提携しているローンのことです。

信販会社系のローンでは、利用者の代わりに信販会社が車の販売店に購入費用を一括で支払い、お金を立て替えてもらった利用者が信販会社に毎月返済していくという方法を取ります。

銀行系マイカーローンと異なり、販売会社から車を購入したのは信販会社となり、「所有権留保」がつきます。

債務整理後に車を残す方法とは？

債務整理をした後も車を残すにはいくつかの方法が有効です。
自動車ローンの返済中か完済しているかによって最適な方法が異なります。

ローン返済中の場合

自動車ローンを返済中の場合は、任意整理でマイカーローンを対象から外せば車を残すことができます。
債務整理後はこれまで同様、ローンを支払い続ければ車を没収されることはありません。

ローン返済中であっても、契約時に「別除権協定」が締結されている場合は、個人再生でも車を残すことができます。
別除権協定とは、所有権担保が付いている車でも、車の購入代金を返済する代わりに車を引き上げないという協定です。

ただし、所有権担保の設定がなければ、債務整理の種類を問わず車を残せる可能性が高くなります。

ローンを完済している場合

ローンを完済している場合は、任意整理か個人再生を選ぶことで車を残すことができます。
個人再生では、車の価値が高いと、再生の返済額が上がる可能性があるため注意が必要です。

なお、自己破産では、裁判所により「生活に最低限必要である」「経済的価値がない」と判断された場合に限り、車が引き上げられる可能性が低くなります。