債務整理と任意整理の違いとは？任意整理のメリット・デメリットは？

債務整理と任意整理の違いとは？

債務整理と任意整理の違いは厳密にはなく、一般的にはほとんど同じ意味で使われています。
そもそも、債務整理とは、借金を減らすことで返済の負担を軽くし、生活を立て直すための手続きの総称です。

債務整理には4つの手続きがあり、それぞれ「任意整理」「個人再生」「特定調停」「個人再生」と呼ばれています。
つまり、任意整理は債務整理の手続きの一つです。

債務整理は手続きの種類によって、減額の金額や裁判所を通す・通さないなどの違いがあります。

4つの債務整理にはどんな特徴がある？

4つの債務整理にはそれぞれ異なる特徴があります。

任意整理

裁判所を通さず、債務者（借金している人）と債権者（金融機関等）が直接話し合いをすることで、返済条件を改める手続きです。
借金の返済総額の減額や3～5年の分割返済で和解交渉するのが一般的です。

個人再生

裁判所を通し、借金総額を5分の1から10分の1程度まで減額できる手続きです。
債務の総額が5000万円以下であること、安定した収入があることなどの条件を満たす必要があります。

特定調停

裁判所が債務者と債権者の話し合いを仲介することで、借金の返済条件を改める手続きです。大半の場合、3～4年で完済できるように計画が立てられます。

自己破産

裁判所に申し立てを行い、認定してもらうことで借金返済を帳消しにする手続きです。
多重債務などで支払いが難しい場合に行われ、一定の価値のある財産は処分されます。

任意整理のメリットとは？どんな人に向いている？

実際に任意整理を行うと、将来利息がカットされるため、借金の返済が楽になります。

それ以外のメリットとして、まず、債権者からの督促がストップすることが挙げられます。
任意整理を依頼した弁護士が債権者に「受任通知」を送付しますが、これを受け取ると、債権者は債務者に取り立てを行うことができません。

そして、任意整理では、対象とする債権者を選択することができるため、保証人に迷惑をかけずに借金問題が解決できます。裁判所を通さない手続きですので、他の債務整理と異なり、官報に掲載されることもありません。

以下のいずれかに該当する人は、任意整理が向いているでしょう。

・家や車などの財産を残したい人
・保証人に迷惑をかけたくない人
・債務整理をしたことを家族や職場に知られたくない人
・債務整理に手間や時間をかけたくない人

任意整理のデメリットとは？

メリットの多い任意整理ですが、デメリットがあることも知っておきましょう。

任意整理のデメリットは、借金の元金が減額できる「個人再生」や「自己破産」とは違い、元金を減らすことができないことです。
過払い金（賃金業者に支払い過ぎた利息）がある場合は、元金が減額されるケースもあります。

また、信用機関に事故情報が登録される、いわゆる「ブラックリスト」に載るため、登録されている期間はクレジットカードやローンの審査に通らない可能性が高いです。

任意整理の場合、事故情報が消えるのは完済から5年後です。
（特定調停の場合は5年、個人再生や自己破産の場合は5～10年です。）

任意整理の後にカードを利用したい場合は、審査のないデビットカードを検討しましょう。
任意整理を行った本人以外であれば、家族でもローンを組むことは可能です。どうしても住宅ローンや自動車ローンを利用したい場合は家族に相談しましょう。

任意整理できないケースはある？

無職の人でも任意整理は可能ですが、一定の条件を満たしている必要があります。

最初の条件として、将来的に安定した収入が得られる見込みがあることが挙げられます。
和解交渉では、今後3～5年間で返済できるかどうかが判断基準となります。毎月の収入額が不安定だったり、就職の予定がなかったりすると、返済計画に無理があるとみなされ、任意整理できないケースがあります。

次に、「返済の意思があること」です。
例えば、1度も返済がされていない場合、返済の意思がないとみなされ、交渉に失敗するリスクが高くなります。

ローンを組んでいる場合も注意が必要です。
不動産や車のローンなど担保付きの借金を任意整理すると、債権者は返済に充てるために担保を没収することができます。ですから、住宅ローンの場合は任意整理に応じてもらえず、自動車ローンの場合は自動車が売却されてしまいます。
こういった理由から、担保付きの借金は任意整理の対象から外すのが一般的です。

まとめ

債務整理と任意整理との違いはご理解いただけましたか。
任意整理は債務整理の手続きの一つです。債務整理には他にも「個人再生」「特定調停」「自己破産」といった選択肢があります。

任意整理では、債務者と債権者の交渉により、新たな返済計画が立てられることになります。
交渉に失敗すると希望通りの金額にならないことがあり、個人ではかなり難しいのが現状です。

借金の返済でお困りの方は、弁護士にご相談ください。