債務整理は無職でもできる？求職中や収入がない時の借金解決方法とは

債務整理は無職でもできる？可能な手続きの種類は？

債務整理は無職でもできる可能性があります。ただし、
無職の人が選べる手続きの種類は「任意整理」と「自己破産」の2つに限られます。
このほか、債務整理には「個人再生」の手続きがありますが、会社員や契約社員、アルバイト、自営業など毎月の収入があること、減額された借金を原則3年以内で返済できること、という条件があるため、無職の人は選択できません。

無職の人が選べる2つの債務整理の特徴を比較してみます。

任意整理

債権者（賃金業者）と和解交渉を行い、将来利息のカットや借金の返済期間を3～5年に延長する手続きです。
金利の高い賃金業者からの借金や返済期間が残り短い借金がある場合、毎月の返済額を大幅に減らすことができる、余裕をもって返済できるといったメリットがあります。

また、任意整理の対象となる賃金業者を選択できるため、保証人・連帯保証人のいる借金を除外することができます。

自己破産

裁判所に申し立てを行い、借金をゼロにしてもらう手続きです。
将来利息を含め、すべての借金の返済義務がなくなる点が大きなメリットとなります。
ただし、保証人・連帯保証人がいる場合、借金をした人（債務者）の代わりに返済義務を負うことになります。

無職の人が任意整理できる条件とは？

無職の人も債務整理は可能ですが、任意整理の場合は条件があります。
手続き後に借金の元本を返済していく必要があるため、今後収入の見込みがなければ、賃金業者と交渉しても失敗するリスクが高いです。
賃金業者が交渉に応じなければ任意整理できないため、自己破産の手続きを検討することになるでしょう。

次の3つのケースのいずれかに該当していれば、無職でも任意整理することが可能です。

就職により収入の見込みがある

現在は無職でも、今後就職の予定があり、安定した収入の見込みがある場合は任意整理できる可能性があります。
借金の金額にもよりますが、将来利息をカットした上で、元本を3～5年で返済できるようであれば、正社員でなくアルバイトやパートでも手続きが可能です。

被扶養者で家族に返済が頼める

専業主婦や学生などの被扶養者は、ご自分が無職であっても、配偶者や親に返済能力があれば任意整理できます。
この場合、ご家族の協力が必須ですので、借金があることを打ち明けなければなりません。

年金を受給している

無職の方の中には、老齢年金や障害年金を受給されている人もいます。
年金生活をしていても、返済に充てられるのであれば任意整理は可能です。

無職の人が自己破産できる条件とは？

無職で今後収入の見込みがない場合、任意整理を選択することはできません。
任意整理できないとなれば、選択できるのは自己破産のみとなります。

しかしながら、無職の人が自己破産するには次の条件を満たしている必要があります。

支払不能の状態である

自己破産における支払不能は、破産法2条11項で「債権者が支払能力を欠くために、弁済期の到来した債務を一般的かつ継続的に弁済することができないと判断される客観的状態」と定義されています。
借金の総額を問わず、換価できる資産がなく、収入がない状態が継続して続くと判断されれば支払不能となります。

免責不許可事由がない

支払不能な状態であっても「免責不許可事由」に該当する場合は、自己破産できません。
免責不許可事由とは、借金の支払い免除が認められない理由のことです。

例えば、以下のようなケースが該当します。

手続きの費用が支払える

自己破産をするには、裁判所費用や弁護士費用がかかります。
裁判所の手続きには「同時廃止」と「管財事件」の2種類があり、どちらの手続きをとるかでも費用相場が大きく異なります。

債務者に財産がなく、手続き費用の支払い能力がないとみなされると、同時廃止になります。この場合、裁判所に支払う金額は2～3万円程度、弁護士費用は30万円程度です。

免責不許可事由に該当する場合や債務者に一定の財産がある場合は、管財事件になります。
管財事件では破産管財人が選任されるため、報酬等の予納金が必要です。
裁判所に支払う金額は22～23万円程度、弁護士費用は40～50万円程度かかります。
但し，法テラスの審査が通れば，弁護士費用の扶助を受けることができます。

まとめ

債務整理は無職でもできますが、「任意整理」と「自己破産」の2つの手続きに限られます。
さらに、手続きを行うには、それぞれ条件を満たしていなければならず、本当に債務整理できるか不安に思われる人もいらっしゃることでしょう。

債務整理はご自分で行うことも可能ですが、債権者との交渉や裁判所への申し立て、提出書類の作成をすべて一人で進めることになります。
法律の知識がなければ、現実的には困難となるため、借金問題にお悩みの方は弁護士にご相談ください。