法テラスで債務整理を行う流れは?かかる費用やデメリットも解説
法テラスで借金問題の相談を受け付けていることはご存知でしょうか。
法テラスを利用すると弁護士費用がかなり抑えられるため、無職などでお金がない時に検討することになるでしょう。
しかし、実際に法テラスで債務整理をした場合、どの程度の費用がかかるのか、どんな流れで手続きが進むのかが分からないとお悩みの方が多いです。
今回は、法テラスで債務整理を行う時の手続きの流れや費用をまとめて解説します。
法テラスで債務整理を行う場合に考えられるデメリットについても解説します。
法テラスとは?
法テラスとは、平成18年に国が設立した法的トラブル解決のための総合案内所です。
正式名称を「日本司法支援センター」といい、主に5つの業務を行っています。
・情報提供業務
・民事法律扶助業務
・犯罪被害者支援業務
・国選弁護等関連業務
・司法過疎対策業務
上記以外にも、国や地方自治体などから委託されて業務を行うこともあります。
5つの業務の中で債務整理に関わるのは、民事法律扶助業務です。
民事法律扶助業務では、お金に余裕がない人を対象とした弁護士費用の立て替えや無料法律相談を行っています。
法テラスを利用するには、次の要件を満たす必要があります。
・日本国籍である
・外国人で日本に住所がある、在留資格がある
・収入や資産が一定額以下である
・勝訴の見込みがある
・民事法律扶助の趣旨に適する
収入や資産の基準額はお住まいの地域により異なるため、法テラスのホームページで確認してください。
法テラスで債務整理を行う流れ
実際に法テラスで債務整理を行う流れを追っていきましょう。
1.電話やメール、相談窓口で情報提供を受ける
具体的な相談内容を伝えると、問題に関する法制度や適切な相談窓口を紹介してもらえます。
2.無料法律相談の予約を行う
民事法律扶助制度を利用したい旨を伝えると、要件の確認が口頭で行われます。
要件を満たせば、無料法律相談の予約ができます。
法テラス法律相談Web予約サービスを利用すれば、オンラインからでも予約が可能です。
3.法テラスの事務所で無料法律相談を受ける
予約した日時に法テラスの事務所に出向き、弁護士や司法書士などの無料法律相談を受けます。
1回の相談時間は30分、問題1件につき3回まで相談することができます。
4.書類提出後、審査を受ける
民事法律扶助制度を利用するには、無料法律相談から1ヵ月以内に援助申込書や法律相談票などの必要書類を提出する必要があります。
審査には2週間程度の期間を要し、審査に通れば弁護士や司法書士を紹介してもらえます。
5.委任契約を締結する
法テラスと弁護士(もしくは司法書士)と委任契約を締結します。
6.債務整理の手続きを行う
弁護士や司法書士の支援のもと、依頼者にとって最適な債務整理の手続きを行います。
7.立替金の償還を行う
法テラスに立て替えてもらった費用を返済していきます。
これを「立替金の償還」といい、月々5,000円ずつ(もしくは1万円ずつ)の分割払いで3年以内に完済する必要があります。
法テラスで債務整理を行う場合の費用
法テラスを利用して債務整理を行う場合、どれくらい費用がかかるのか気になる方は多いと思います。
ここでは、法テラスで債務整理をする場合と一般的な法律事務所を利用する場合との費用相場を比較していきましょう。
任意整理の場合
任意整理とは、債権者と直接交渉を行うことで将来利息をカットしてもらい、借金総額を減額する手続きのことです。
法律事務所に任意整理を依頼した場合、着手金5万円+成功報酬(減額報酬)10%=1社につき5万円~の費用がかかります。
例えば、200万円の借金を100万円に減額できたケースでは、100万円×10%=10万円の成功報酬がプラスされ、【合計15万円】の費用がかかります。
法テラスで任意整理をした場合、着手金3万3,000円+実費1万円=【1社につき4万3,000円】の費用がかかります。
過払い金がある場合は、これに報酬金が加算されます。
あくまでも一例ですが、法テラスを利用する場合は、10万7,000円の費用が安くなります。
個人再生の場合
個人再生とは、裁判所に申し立てを行うことで借金を大幅に減額してもらい、残った借金を3~5年で返済していく手続きのことです。
法律事務所に個人再生を依頼した場合、1~10社のケースで【約50万円】の費用がかかります。
法テラスで個人再生をした場合、1~10社のケースで着手金16万5,000円+実費3万5,000円=【合計20万円】の費用がかかります。
過払い金がある場合は、これに報酬金が加算されます。
法テラスを利用する場合としない場合とでは、約30万円の差額が発生します。
自己破産の場合
自己破産とは、裁判所に申し立てを行うことで借金を全額免除してもらう手続きのことです。
法律事務所に自己破産を依頼した場合、1~10社のケースで【約30万円】の費用がかかります。
管財事件の場合は破産管財人に支払う予納金が20万円~必要なため、約50万円が相場です。
法テラスで自己破産をした場合、1~10社のケースで着手金13万2,000円+実費2万3,000円=【合計15万5,000円】の費用がかかります。
過払い金がある場合は、これに報酬金が加算されます。
法テラスを利用する場合は、14万5,000円の費用が安くなります。
生活保護受給者は弁護士費用が免除される?
生活保護受給者の場合、法テラスを利用したとしても弁護士費用の支払いが難しいケースがあります。
債務整理後も生活保護を受給している場合、立替費用の返済を免除申請することで返済が免れることが可能です。
ただし、債務整理後に生活保護を受給していない場合は免除ではなく返済猶予となります。
また、償還免除申請に通れば、生活保護受給者でない人でも弁護士費用を免除してもらうことが可能です。
法テラスで債務整理を行うデメリット
法テラスで債務整理を行うと、一般的な法律事務所に依頼するよりも費用を安く抑えられます。
その反面、要件を満たす必要があり、そのための審査にも時間がかかるというデメリットがあります。
債務整理をしたいと思ってから実際に始まるまでにタイムラグが生じるため、すでに債権者から督促を受けている人は注意が必要です。
法テラスでは依頼者が弁護士や司法書士を選ぶことはできないため、弁護士との相性が合わないといったトラブルも想定できます。
しかも、担当弁護士を解任するには、法テラスの許可が必要ですので、必ずしも認められるとは限りません。
自分で専門家を選びたい場合は、法律事務所に直接依頼する、あるいは法テラスに対応した専門家を通じて民事法律扶助制度を受けるか、いずれかの方法をおすすめします。
まとめ
今回は、法テラスで債務整理を行う流れや費用、デメリットについて解説しました。
債務整理をしたいけれど金銭的に余裕がない人や、生活保護を受給している人が借金問題を解決したい時に利用できるのが法テラスです。
一般的な法律事務所に依頼するよりも費用は安くなりますが、利用する際の要件が厳しい、債務整理に時間がかかる、弁護士を選べないといったデメリットがあるのも事実です。
債務整理は担当する専門家が結果を大きく左右するものです。
債務整理を法律事務所に依頼する場合でも、分割払いの相談ができることがあるため、債務整理を検討されている方は、法律事務所に相談することも視野に入れてみましょう。
借金問題担当弁護士
村上 和也
プロフィール
同志社大学卒。平成20年より事務所開設し、守口市・門真市を中心に大阪で借金問題に関する相談多数。自己破産(法人・個人)・民事再生・任意整理・通常清算・過払い金返還請求・消滅時効の援用など。
弁護士からのメッセージ
借金問題を放置することは、総弁済額が増えたり、裁判対応が必要になるなど、デメリットがでてきます。状況はお一人お一人違います。あなたに合った方法で債務整理をお手伝いします。
ささいなことでも結構ですので,お早めにお問い合わせください。