【Q＆A】夫が破産した場合、妻の財産や家族の財産はどうなりますか。

Q28、夫が破産した場合、妻の財産や家族の財産はどうなりますか。

A28、妻の固有財産に関しては「破産の効力」は及びません。

夫と妻の財産というのは、民法では「夫婦別産制」が採用されています。
簡潔にまとめると下記になります。

上記の内容から、結婚する前から妻が所有していた財産というのは、妻の固有の財産になるので「破産の効力」が及ぶことはありません。

しかし、結婚をしてから妻の名義になった「貯蓄」というのは、難しい問題があるといえます。
もし妻の名義の貯蓄・有価証券があったとしても、実情を覗いてみれば、夫が得た収入を税金対策などの理由で「妻の名義」にしているというケースがあるからです。
こういった場合には、実体を重視しますので、妻の名義であっても夫の財産として扱われることになり、「破産の効力」の影響を受けます。

ただし、妻が専業主婦だとしても「育児・家事」などで財産形成に貢献をしていると考えられます。ですから、その分を「妻の固有の財産」として扱う必要があります。
専業主婦の妻名義の貯蓄に関しては、妻がどのくらいの貢献をしているのかを見て、破産財団に組み込まれる割合が決定されます。

また、妻が夫の「連帯保証人」になっていない限りは、夫の借金を返済する義務はありません。もし、夫が妻の実印・印鑑証明を無断で使い、妻のことを勝手に連帯保証人にしていた場合は、契約が法律的に無効になります。

家族の財産への破産の影響

破産した人の財産と家族の財産というのは、基本的に無関係です。
通常は、生活必需品を除いた財産が「換価処分」の対象になるのですが、値がついてしまっても、破産した人以外の家族・親族などの身内の名前で買い戻しをして、それを借りるという形で使うことが可能です。

ただ、財産を失うのが嫌だからという理由で、親族や知人に「財産名義」を移して財産を隠してから破産手続き開始決定を受けた場合、「詐欺破産罪」という罪になりますので、注意してください。

破産した人と周りの人の支払い義務のまとめ

・破産者本人：
原則としては支払い義務がありますが、債務が時効にかかっているのであれば支払い義務はありません。

・連帯保証人：
原則としては支払い義務がありますが、債務が時効にかかっているのであれば支払い義務はありません。

・配偶者：
原則として支払い義務はありません。ただ、保証・相続を行うと支払い義務があります（相続放棄は別です）。

・子ども：
原則として支払い義務はありません。ただ、保証・相続を行うと支払い義務があります（相続放棄は別です）。また、未成年者が親の同意を得ずに借金をした場合には、取り消すことが可能です。

・親、兄弟姉妹：
原則として支払い義務はありません。ただ、保証・相続を行うと支払い義務があります（相続放棄は別です）。