【Q＆A】住宅ローンを支払えず自宅が差し押さえに。競売にかけられるとすぐ出て行かなければならない？

Q8、住宅ローンを支払うことができなくなり自宅が差し押さえに。競売にかけられるのですが、すぐに家を出ていかなければならないのでしょうか？

A8、家を失うことは事実ですが、落札者が決定するまでは家に住むことが可能です。

家の差し押さえは、不動産の売却・贈与といった処分をできないようにするための行為です。

住宅ローンの支払いができなくなり滞納すると、「抵当権」が実行されて自宅は競売にかけられることになります。

その後、裁判所が競売開始決定を出すと、対象の不動産が差し押さえられてしまいます。

そして債務者が不動産を他の人に売ることなどが不可能になります。

自宅が差し押さえられ競売にかけられると、落札された時点で家を失うことが決定します。ただ、差し押さえられただけであれば、すぐさま家を出ていかなくても大丈夫です。

競売とは、裁判所を通して行うものなので慎重に厳格に行います。ですから、競売の対象になった不動産の調査をするのに、かなり時間がかかりますし、登記手続きや申し立てなどの費用も必要です。

このような背景から、競売にかけられた不動産が落札されるまでの間、債務者であっても家に住み続けることができます。そして、こうした手続きや作業が長くなればなるほど、家に長く住み続けられます。

このような状態になっている状況では住宅ローンの支払いもできていないと思いますので，ある意味，ただで居住し続けることができます。そして，これまで住宅ローンに支払っていたお金を使って、今後の生活を立て直すことも可能です。

基本的に競売の手続きは落札までに1年程度かかるので、この時間でこれからの生活資金を貯めて、地盤を整えていくことができます。

では、どうしてこんなにも競売から落札まで時間がかかるのか、説明しましょう。

競売から落札までの流れ

裁判所が不動産をめぐり「どのような債権があるのか」「どのような価値があるのか」などの情報を集めていきます。その後、登記されているその他の抵当権者などに「期間内の債権の届け出」を催告します。

それから執行官に「現況調査命令」を発令して、不動産の占有状態などの調査を行います。その後、評価人に「評価命令」を発令して、不動産の評価額を鑑定します。

これらの情報をもとにして、裁判所が不動産の「売却基準価額」と「売却期日」を決めます。すると、ようやく不動産の情報を誰でも閲覧できるようになります。

次に入札が行われ、1番高い金額をつけた人が落札者となり「買受人」となります。
買受人が支払いを行うと、不動産の所有権移転と登記が行われます。そして債権者に配当が行われます。

このような流れで競売が進んでいきます。文章にすると簡単に思えますが、1つ1つの作業にとても時間がかかりますので、最終的に1年以上は必要となります。

もっと長く家に住み続けられるケースもある

スムーズに競売が行われ落札された場合には、1年程度で家を失うことになり、住み続けることは不可能になります。

ただ、買い手が見つからない場合には、その間ずっと家に住み続けることができます。