【Q＆A】自己破産の申立てをした場合、自家用自動車は差し押さえの対象になりますか？

Q30、自己破産の申立てをした場合、自家用自動車は差し押さえの対象になりますか？車は使えなくなるのでしょうか。

A30、自動車のローンの支払いが終わっているか、いないかで異なります。

基本的には自動車も財産として扱われるので、原則，換価対象となります。
ただし、自動車の場合は少しだけ普通の財産と異なる扱いを受けます。では、具体的に自動車の処遇について紹介します。

自動車ローンが残っている場合

自動車ローンが残っている場合には、自動車を手放すことになる可能性が高いと思っていいでしょう。

基本的に自動車をローンで購入すると、ローン契約に「所有権留保の特約」というものがついています。ですから、自動車の所有権がローン会社に留保されてしまうのです。
つまり、自己破産の手続きを行った時点で、ローン会社が特約に則って自動車を引き上げます。ここで、ローンの残り金額をすべて支払えば手放さなくて済みます。

ただし、ローン会社だけなど特定の債権者にのみ支払いをすることは「偏波弁済」ということになり、免責がおりないという可能性がありますので気を付けてください。
また、自動車の所有権がローン会社に留保されているかを知るには、車検証をチェックしてください。車検証の「使用者」の欄に自身の名前が記載されていて、「所有者」の欄にローン会社の名前が記載されている場合には、所有権がローン会社に留保されています。

自動車ローンの支払いが終わっている場合

次は、自動車ローンの支払いがすでに終わっている場合に、破産の申立てを行ったときのケースです。
支払いが終わっている自動車は、査定額がいくらになるかによって、手放さなくて済む可能性もあります。一般的に20万円という査定額を目安にしており、20万円以下だった場合には換価対象になりませんので、自己破産の申立てをしても自動車を手放さなくて済みます。

自動車というのは減価償却が割と早いものなので、普通車であれば「初度登録」から数えて7年、軽自動車・商用車は5年が経過すると、「無価値」と判断されます。そして、無価値となった自動車は、査定すらも不要となります。

自動車の査定額が20万円を超えた場合

では、自動車の査定をして20万円を超えた場合にはどうなるのでしょうか。
この場合「足に疾患があり不自由で、自動車を使わなければ生活に支障をきたす」「車が無くなると仕事に支障がある」といった理由があれば、「自由財産拡張の申立て」をすることが可能です。

自由財産拡張の申立てでは、「破産法」にて定められている「自由財産（本来的自由財産）」以外の財産について、裁判所の決定により自由に債務者が管理処分できると認められているものです。
つまり、自由財産の拡張が認められた時点で、自動車を手元に置いておくことができるのです。

どうしても自動車を没収されたくないと思って、自己破産の申立てをする前に名義を家族など他の人に変更すると、悪質な財産隠ぺい行為とみなされます。そして、そのことが明らかになれば、「免責不許可事由」に当てはまるので、自己破産ができなくなってしまいますので、十分に注意しましょう。