【Q＆A】個人民事再生は、通常の民事再生よりも債権者の関わりは少ないですか？

Q17、個人民事再生は、通常の民事再生よりも債権者の関わりは少ないですか？

A17、債権者が積極的に同意をすることは不要なので、債権者の関わりは少ないと言えます。

民事再生とは、債務者（会社の経営陣）が財産管理や業務執行を継続させながら「会社の再建」を図るための手続きのこと。債権の支払いの引き伸ばしをすることや、一部の支払いをカットするなどの提案をして、債権者に認めてもらうのが目的です。

民事再生には2つの種類があります。

【通常民事再生】
負債を抱えながら再建を目指していく「法人」を対象とした手続きです。

【個人民事再生（個人再生）】
負債額が少ない個人事業主、給料で生活している会社員などの債務者が対象となっている民事再生です。
通常民事再生より、手続き面に関して簡素化されていますので、短い時間で手続きを終わらせることができます。

個人民事再生は、通常民事再生とは異なり「債権者が積極的に同意することは不要」なので、債権者が関わる必要性が少なくなり、債務者が主導となり手続きを進めていくことができるという特徴があります。

ただ、個人民事再生であっても種類によっては「債権者の同意」を得る必要がありますが、その同意も「多くの反対がないこと」という消極的な同意だけで事足ります。

個人民事再生は、下記の3つの手続き・特則を特徴としています。

このうち、「１、小規模個人再生」と「2、給与所得者等再生」は、住宅ローンなどを除いた無担保の借金が5000万円までという条件で、手続きをすることが可能です。もし5000万円を超えている場合や、将来的に継続的・反復的な収入が見込めない場合には、再生の手続きをすることはできません。

また「1、小規模個人再生」では、再生計画案に対して反対をする債権者が多数いないという条件が必要ですが、「2、給与所得者等再生」では債権者の同意は不要です。

「3、住宅資金貸付債権に関する特則」では、住宅ローンがある債務者が返済に困るようになった場合に、住宅ローンをこれまで通りに返済するか、返済計画をし直すかなどの対応をし、ローンの支払いが継続できれば、住宅を失うことなく再生ができるという内容です。

民事再生手続きを申し立てているのであれば、「3、住宅資金貸付債権に関する特則」を利用することができます。再生計画を行いながら、住宅ローンの返済方法に関して計画をし直して、再生手続きのための認可要件が満たせれば、その後は変更した内容でローンを返済していけば問題ありません。

個人民事再生であれば、通常民事再生と比較して債権者の積極的な同意は必要ないので、関わりは少ないと判断してよいでしょう。ご自身がどのような再生を望んでいるのかにより、個人民事再生の手続きも異なりますので、不安なことや分からないことがあれば、弁護士や司法書士に相談をしましょう。