【Q＆A】金融業者に「過払い金の返還請求」を行ったが対応してもらえません。どうしたらいいですか

Q16、金融業者に自ら「過払い金の返還請求」を行ったのですが、対応してもらえませんでした。どうしたらいいでしょうか。

A16、応じてもらえない場合は最終的に「訴訟」を提起することになります。

金融業者の中には「個人が過払い金の返還請求をしてきても、応じない」という業者も存在します。しかしながら、過払い金を返還してもらいたい場合や、特に過払い金を減額せずに全額回収したい場合は、金融業者に対して「訴訟」の提起をする必要があります。

過払い金の返還請求を求める訴訟は「不当利得返還請求訴訟」と呼ばれています。この訴訟は、過払い金が発生している金融業者を「被告」として提起することになります。請求額には、金融業者が過払い金の返還を行うまでの「利息」も一緒に併せて請求します。

まず、「訴状」を作り裁判所に受理してもらうと「第1回口頭弁論期日」が決められます。それから被告が「答弁書」を提出して「口頭弁論」を行い、「判決」が下されるというのが裁判の流れになります。この際、「答弁書」に和解の金額が提示されることもあります。

それから、裁判官から和解を勧めてくるケースもあります。被告が提示してきた和解金額が低い場合には、応じる必要はありません。また、裁判官が和解を勧めてきた場合には、和解金額を上げるように被告に対して「勧告」してもらうこともできますし、裁判を続行すると希望するのが得策です。

訴訟を起こす時に、自分だけで行うのはとても不安に感じる人もいるでしょう。そんな時には、弁護士・認定司法書士に相談をするという方法もあります。また、金融業者の中には任意の過払い金返還に対して「弁護士または認定司法書士を代理人にしなければ、請求に応じない」としているところもあります。そういった面から考えても、弁護士などの専門家に依頼をするのがおすすめです。

そのほか「個人で金融業者に過払い金の返還請求をしたところ、かなり低い金額の返還にしか応じてもらえなかった」という場合も、弁護士などの専門家に相談をする必要があります。業者がこのような悪質な対応をしていることが、情報として分かっている場合には、いきなり訴訟を提起するということも可能です。

過払い金の返還請求訴訟には、請求金額により裁判所が異なるというケースがあります。たとえば、過払い金の元金が140万円以下であれば、「簡易裁判所」で裁判を行います。一方、過払い金の元金が140万円を超えた場合には「地方裁判所」で裁判を行います。

それから、地域に関して裁判所の管轄にも気を付ける必要があります。たとえば「不当利得返還請求訴訟」を行う場合、被告（金融業者）の本社がある場所を管轄している裁判所、自身が取引をしていた支店（営業所）のある場所を管轄している裁判所、自身が住んでいる場所を管轄している裁判所のどこかで提起をすることになります。

それらの条件を踏まえて考えると、訴状を提出しやすい場所、口頭弁論期日に出席しやすい場所などを考えると、自身が住んでいる場所を管轄している裁判所に訴訟を提起するのが最善と言えます。