住宅ローンを払えない状態になったらとるべき対策
近年、新型コロナウイルス感染症の影響により「ローンを契約した時よりも収入が減った」「仕事を失った」という方が増えています。
このような事情に伴い「住宅ローンが払えなくなった」と悩む方もいらっしゃいます。
また、病気や離婚、子どもの学費の関係から住宅ローンが払えなくなるケースも少なくありません。
住宅ローンを滞納してしまうと、家を失ってしまうのではないかと不安に思うことでしょう。
そうなる前に、できることを実行してください。
この記事では、住宅ローンを払えない状態になったらとるべき対策をまとめていきます。
住宅ローンが病気や失業で払えない…!滞納したら家を売ることになる?
疾病や失業などによって収入がなくなり、住宅ローンが払えない場合、滞納するとどうなってしまうのでしょうか。
一般的には滞納期間が長くなればなるほど、家が競売にかけられてしまう可能性が高くなります。
1カ月程度の滞納ではすぐに家を失う心配はありません。
2~3カ月滞納を続けると、金融機関から督促状や催告書が届いたり電話連絡があったりします。
さらに5~6カ月滞納すると、最終督促が届き、期限の利益の喪失となります。
保証会社が金融機関に立て替えて返済する代位弁済が行われるため、残りの住宅ローンを一括返済するよう求められます。
また、ブラックリストに載るため、クレジットカードの新規作成ができなくなります。
そして8~9カ月程度滞納すると、保証会社が裁判所に家の競売を申し立て、「差押さえ通知書」「競売開始決定通知書」が順に届きます。
その後、インターネット上に家の住所や画像などの情報が公開され、売却先が決まると、強制退去となってしまいます。
住宅ローンを払えない状態になったらとるべき対策
住宅ローンの返済が遅れた時は、速やかに返すことが望ましいですが、金銭的な問題から払えないケースもあるでしょう。
ここでは、住宅ローンを払えない状態になった時の対策法を、順を追ってご説明します。
1.保険が適用されるか確認する
病気やケガ、失業などで住宅ローンを支払えなくなっても、保険が適用される可能性があります。
まずは契約内容を確認しましょう。
・団体信用生命保険(団信)
被保険者に万一のことが発生した場合、代わりに保険会社がローン残高を銀行に返済する保険です。
金融機関では原則として住宅ローンを組む際に団信へ加入することが義務付けられているため、死亡・高度障害あるいは就業不能状態として保険金が適用されることがあります。
三大疾病保障特約付き・八大疾病保障付きの保険であれば、がんや急性心筋梗塞、脳卒中などの病気で支払えなくなった場合にも保険が適用されます。
・その他民間の保険
団信に加入していなくても、減収の際に返済が免除となる保険に加入している場合があります。
(例:収入保障保険、就業不能保険、住宅ローン返済支援保険)
・貯蓄機能のある保険
貯蓄型の保険に加入している場合、一定の範囲内で保険会社からお金を借りることができます(契約者貸付制度)。
社会状況により金利が0%の特別措置を設けている会社もあります。
2.国の融資制度や支払い猶予を利用する
新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減ってしまった方は、厚生労働省による「生活福祉資金の特例貸与」が受けられる可能性があります。
この制度により、一定の条件を満たしていれば、無利子・保証人不要で融資が受けられます。
一時的に生活費が必要な方向けの「緊急小口資金」と生活再建までの生活費が必要な方向けの「総合支援資金」の2種類があります。
各都道府県の社会福祉協議会が申し込み窓口となっているため、公式サイトでご確認ください。
※厚生労働省生活支援特設ホームページ
https://corona-support.mhlw.go.jp/index.html
また、各種保険料や税金、公共料金の支払い猶予措置を受けられる可能性があるため、各自治体のホームページなどで確認しましょう。
3.住宅ローンを借り換える
住宅ローンを借り換えることで返済額を減らすことが可能な場合があります。
ただし、返済額が減るには条件がいくつかあるので注意が必要です。
・住宅ローンの契約時が現在よりも1%以上金利が高いこと
・返済期間が10年以上残っていること
・残高が1,000万円以上残っていること
・借り換えるための費用が用意できること
・2カ月以上滞納していないこと
借入金額や金利差が大きければ大きいほどメリットになるといえるでしょう。
金融機関が行っているローン相談会などに出向き、詳しい話を聞くことをおすすめします。
4.銀行にリスケジュールを相談する
延滞から5カ月以内であれば、住宅ローンの返済を先延ばしにしてもらえる可能性があります(リスケジュールといいます)。
ローンの金額を減らせるわけではないですが、返済のスケジュールが長くなれば、生活を立て直すまでの負担が軽くなるでしょう。
「返済期間を長くして月々の返済額を減らす」
「ボーナス時加算(年2回のボーナス時に加算されて返済する)を中止し、月々均等にする」
「子どもの学費が減るまでの数年間返済額を減らす」
などの事例が挙げられます。
滞納してから銀行からの連絡を無視することは避けるべきですから、早めに相談してください。
住宅ローンが定年後に払えなくなる!?任意売却を検討しよう
ここでは、住宅ローンを支払えない状態になった時に検討すべき「任意売却」についてご説明します。
住宅ローンが払えなくなる前に家を売る?
子どもの養育費の負担が大きかったり、退職金の大幅削減の影響を受けたりして、定年後に十分な貯蓄ができていない家庭が増加傾向にあります。
高齢になるにつれて病気になるリスクも高くなりますから、医療費が必要になるケースも少なくありません。
昨今では高齢者の老後破産が社会問題になっていますが、そうなれば住宅ローンが支払えない状況に陥ることは必至です。
強制退去で住むところがなくなるという最悪のシナリオも考えなければなりません。
そこで、家を売るという選択肢も出てきます。
競売にかけられるとデメリットだらけ
長期滞納により、最終的に家を競売にかけられた場合に生じるデメリットは多いです。
・通常の売却よりも安値で売られてしまい、多額の債務だけが残る。
・住むところがなくなる。
・知り合いに競売の事実を知られてしまう恐れがある。
・引越し費用に充てることはできない。
競売は精神的ダメージも大きいため、多くの場合は自己破産をすることになります。
競売よりもメリットが大きい任意売却とは?
通常、住宅を売却するにはローンを全額返済する必要があります。
また、家を売っても住宅ローンの残額より高く売れなければ返済不能となります。
そこで検討すべきなのが任意売却です。
任意売却とは、住宅ローンが払えなくなった時に、金融機関と協議し、裁判所を通さずに家を売ることです。
競売と比較した場合、大きなメリットが得られます。
・競売よりも高く売れる。
・引越し費用が最大30万円出る場合がある。
・抵当権(住宅を担保にする権利)を抹消できる場合がある。
なお、任意売却は競売の開札期日の前日までに手続きを完了しなければなりません。
55歳以上はリバースモーゲージも視野に入れる
シニア向けのローンで、55歳以上等の年齢制限が設けられているリバースモーゲージと呼ばれるものがあります。
住宅を担保にお金を借り、利息のみを返済していき、死亡後に自宅を売って元本を返済するというシステムです。
借入可能額は担保である家の価値額で決まります。
ただし、契約には相続人全員の承諾が必要となる場合もあります。
まとめ
住宅ローンが払えなくなった時は、銀行からの郵便物を放置したり借金をしたりせず、今回ご説明した解決策を実行してください。
そのまま放置していると、差し押さえなどで家に住めなくなってしまう可能性もあります。
最善の方法が分からずに悩んでいる方は、早めに弁護士に相談しましょう。
借金問題担当弁護士
村上 和也
プロフィール
同志社大学卒。平成20年より事務所開設し、守口市・門真市を中心に大阪で借金問題に関する相談多数。自己破産(法人・個人)・民事再生・任意整理・通常清算・過払い金返還請求・消滅時効の援用など。
弁護士からのメッセージ
借金問題を放置することは、総弁済額が増えたり、裁判対応が必要になるなど、デメリットがでてきます。状況はお一人お一人違います。あなたに合った方法で債務整理をお手伝いします。
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