自己破産の流れや手続きについて解説

自己破産の流れについて

自己破産は「同時廃止」「少額管財」の2種類が用意されており、自己破産申請者の借金や資産等の状況に応じてどちらかに分類され、手続きを進めます。

同時廃止の流れ

自己破産の申請者に50万円を超える現預金や20万円以上の価値がある資産が無く、かつ免責について破産管財人による調査の必要性がない場合、同時廃止になります。

同時廃止の場合、破産手続開始決定と同時に破産手続を終了することができます。
免責手続きのみの簡素なものなので、申立から手続き終了まで、3カ月から4カ月程度で終えることができます。

それでは、具体的に同時廃止の流れを見ていきましょう。

受任

自己破産の依頼を受けた法律事務所は、依頼者の債権者（貸金業者など）に対し受任通知を発送します。
これにより、債権者は取立が行えなくなり、返済もストップします。

法定金利への引き直し計算

一般的に債権者は貸金業者であることが多いので、自己破産申立て後、金融機関から開示された取引履歴から法定金利（15～20％）の引き直し計算を行います。
これにより、債務の正確な額が決まります。

また、過払い金が発生していることが判明した場合は，返還請求を行います。
ちなみに貸金業者から取引履歴が開示されるまでは、業者によってスピードが異なります。早い業者であれば1カ月程度ですが、遅い業者の場合3カ月以上かかるケースもあります。

書類の準備

法定金利の引き直しを行い、正確な債務額が決まると、申し立ての書類の準備に入ります。こちらに関しては法律事務所・弁護士がしっかりとサポートをしますので、依頼者は弁護士の指示の従って必要な書類を用意していきます。

申立と即日面接

同時廃止の場合、裁判所で受付を行うと、その場で裁判官と面接となります。
この時に面接に出席するのは弁護士のみです。依頼者が出頭して面接を行う必要はありません。
※この即日面接は東京での運用であり，大阪ではは実施されません。

破産手続開始決定と免責許可決定

即日面接の当日に、破産手続開始決定・同時廃止決定が裁判所から出され、免責審尋期日が決まります。
免責審尋では、弁護士と裁判所まで足を運ぶ必要があります。

ここでは弁護士に付き添われ、裁判所にて裁判官と面接を行います。何も問題がなければおよそ1週間程度で依頼した法律事務所に免責許可決定が送付されます。
そして、免責許可決定から1カ月が経過すると、免責許可が法的に確定します。

少額管財の流れ

少額管財は、自己破産をする際に、「50万円を超える現預金、あるいは20万円以上の価値があるとされる資産がある場合」「免責許可事由がある場合」が該当します。

その場合は、裁判所から選任された破産管財人（通常は弁護士が担当）が、財産・免責不許可事由の有無などを調査します。

少額管財となると、手続き終了までに半年ほどかかるため、同時廃止と比較すると時間がかかります。

それでは、少額管財の流れを見ていきましょう。

受任から、申立・面接

受任から申立による即日面接までは基本的に同時廃止と同じ流れです。
受任・法定金利への引き直し計算・書類の準備・申し立てと即日面接（※）という流れになります。
※この即日面接は東京での運用であり，大阪ではは実施されません。

破産管財人との面接

担当弁護士が裁判所まで足を運び、その後破産手続きの開始が決定されます。

破産手続開始決定

即日面接の翌週に裁判所から「破産手続開始決定」が出されます。
この時に破産管財人も決定します。

破産管財人との面接

少額管財の場合、即日面接の後、1週間から2週間程度経過した時に管財人面接が行われます。
ちなみにこちらは担当弁護士も同伴しますので、1人で管財人と面接するわけではありません。

管財人面接では「なぜ借金ができてしまったのか（時期・内容・理由など）」や、収支状況、財産の有無、免責の問題点に関しての審問が行われます。

ここで虚偽の解答は厳禁です。どのような事由であれ、正直に告げるよう心掛けましょう。もし虚偽の返答を行ってしまった場合、自己破産が認められなくなるケースもあるので気を付けましょう。
特に問題がなければ30分程度で終わります。

債権者集会の実施

裁判所への申し立てから3～4カ月ほどすると、裁判所にて債権者集会が行われます。
こちらは裁判官と破産管財人、さらには依頼者、そして債権者が集合し、破産管財人が財産・収支の報告・免責について意見申述を行います。

ここで債権者が異議を唱えない限り、集会は5分程度で終わります。
もっとも，債権者が出頭するケースは，ほとんどありません。

免責許可決定と確定

免責許可から約1週間後に、裁判所から免責許可決定が依頼した法律事務所に送られます。
そして、免責許可決定から1カ月が経過することで、免責許可が確定となります。

自己破産の手続きで注意すること

以上、自己破産の流れについて解説してきました。
しかし、所々で気を付けなければならない点がいくつかあります。その点もまた、覚えておきましょう。

虚偽の答弁は自分を不利にする

同時廃止にせよ少額管財にせよ、弁護士とはもちろんのこと、裁判官や債権者から審問を受けることがありますが、この際、虚偽の答弁は控えましょう。

羞恥心、あるいは自尊心から、ついつい虚偽の答弁をしてしまう依頼人もいるのですが、虚偽はすぐに露呈します。そして、心証を悪くさせてしまうだけではなく、自己破産そのものが認められなくなるケースもあります。

どのような事情であれ、弁護士や裁判官には事実を正しく伝えることが大切です。

用意すべきものは正確に

自己破産の申立では必要な書類等があります。
こちらは法律事務所の弁護士の指示に従って用意すればよいだけなのですが、用意するよう言われた書類は正確に用意しましょう。
「これくらい無くてもなんとかなる」「1枚足りないくらい大丈夫」と思うかもしれませんが、自己破産は裁判所で厳正な手続きが行われます。

例えば記入漏れがある場合においても正しく認められません。ちょっとしたミスのおかげで免責許可が遅いものになる可能性もありますので、正しく用意・記入するよう心掛けましょう。