【Q＆A】保証契約を結んでから長期間が経っているのですが、やめることはできますか？

Q10、保証契約を結んでから長期間が経っているのですが、何も連絡がないので保証人をやめたいと思っています。やめることはできますか？

A10、「主たる債務の消滅」を主張すれば、保証債務を消滅させられる可能性があります。

保証人をやめるにあたって、「根保証」なのか「通常の保証」なのかによって方法が異なります。

継続的な取引で発生している複数の債務、賃借契約の保証などを根保証と呼びます。根保証では、「個人貸金等根保証（借金の保証など）」を除き、保証額に限度や期間を定めないで「包括根保証契約」を結ぶことが可能です。

包括根保証契約を結んでから、相当な期間とされる3年が経てば、債権者の承諾もなく保証契約を「一方的に解約できる可能性」があります。

個人貸金等根保証の場合には、極度額（最高額）を決めずに包括根保証をすることはできないので、保証契約書に極度額を定めなければなりません。もし定められていなければ、契約締結日から3年が経った日に、元本が確定することになります。

ただし、元本確定期日が定められているのであれば、原則はその日が確定日となります。そうなると、契約締結日から3年後に発生した債務者の債務に関して、保証人が弁済責任を負う必要はなくなります。

２０２０年４月１日から施行された改正民法によれば、個人の根保証契約では個人貸金等根保証に当てはまらなくても極度額を定めていない包括根保証が、すべて無効になります。つまり、保証契約書に極度額が定められていない場合には、保証契約を無効にすると主張ができるのです。

今回のケースの場合、「根保証契約」であり、無効・解約ができるような事情に当てはまるのであれば、債務者に無効にしたいという旨を記入した「内容証明郵便」を送りましょう。

マンション賃貸借契約で「包括根保証契約」をしている場合

長い期間マンションを借りている人が、賃料を滞納しているのに解約の意思表示を行わない場合には、保証人が保証契約を解約できたという例もあります。ただ、一般的には長い期間の経過を理由にして、保証契約が解約できるという判例はありません。

しかし、保証債務などに消滅時効が完成している場合には、時効を援用することができますので、保証債務は消滅します。こうなれば、「保証人をやめる」ということが可能になります。

これまでの債権に関する消滅時効に関しては、民法改正により少し変更があります。まず「商事消滅時効（商法の定めるもの）」と「短期消滅時効（民法が定めるもの）」の2つが廃止となりました。

そして、原則として権利を行使できることを知った時点から5年、また権利を行使できる時点から10年という期間を消滅時効の期間として統一することになっています。消滅時効は主たる債務者が「最後の支払い」を行った日からカウントが始まります。

しかし、時効期間が経過するまでの間に主たる債務者が支払いをした場合には、保証債務の事項は「中断（更新）」されてしまいます。つまり、消滅時効の援用をするには主たる債務者の取引履歴などを集めて、時効期間がちゃんと経過しているのかどうかを確認する必要があります。

しっかりと確認ができた上で、消滅時効を援用するという旨を内容証明郵便で、債務者に送りましょう。