【Q＆A】破産手続開始の申し立てをしたら、職場に知られてしまう？知られたら、会社を辞めることになる？

Q24、破産手続開始の申し立てをしたら、職場に知られてしまいますか？もし知られたら、会社を辞めることになりますか。

A24、会社、上司、同僚などから借金をしている場合には、知られてしまいます。

破産手続きをすると、プライバシーなどの観点から「周りにバレたくない」と思うものです。ただ、破産手続開始が決まると「官報」にその事実が記載されてしまいます。官報に記載されれば、建前上は世間一般に事実が知らされるということになります。

しかし、官報の記事を一般の人が隈なく確認していることは、ほとんどありません。つまり官報に記載されたからといって、職場や友人などに破産したことを知られるという可能性は、ほぼないと考えていいでしょう。

職場に知られてしまうケースとしては、債権者が職場に取り立てに来たり、債務者の給料を差し押さえたりした場合が考えられます。そのような場合、職場の人たちが借金や破産の事実を知ってしまうでしょう。

ただし、破産法では破産手続開始決定が下れば、それ以降は破産手続きの中で債権回収を行うことが念頭に置かれています。ですから、債権者が勝手に差押、強制執行などを行うことは許されていません。また、債権者が債務者に直接取り立てをすることも禁止されています。

職場に破産が知られてしまう可能性が高いケースですが、会社、職場の上司・同僚などにお金を借りている場合です。破産手続開始の申し立てを行うと、債権者に対して通知されます。そして債権者は「異議申し立て」を行うことが可能です。

裁判所から債権者への通知は回避できませんので、債権者が会社関係の人の場合は必ず知られることとなります。

会社を辞める必要があるのか？

「破産手続を開始したら、会社を辞めなければならない」という規定は、法律上設けられていません。一般の会社員というのは、労働力を会社に提供することができれば、雇用契約の上の義務を果たすことが可能だからです。

ただ、会社によって就業規定の中で「破産したら解雇」という事由を設けている場合があります。しかし、一般的に考えて破産したことと労働力を提供することには何も関係がないので、「破産したら解雇」という規定は無効となります。

もし、就業規定に記載されているから解雇すると言われたら、それは「不当解雇」に当たります。
自分から会社を辞めて退職金などを受け取った場合、そのお金は、破産手続きの中で債権者への返済に充てる「原資（破産財団）」に含まれます。

もし会社の取締役が破産をした場合には、会社との関係は「受任者」ということになりますが、破産により受任者の地位が終了しますので，取締役という地位を失うことになります。

しかし、破産をしても、その後絶対に取締役になれないということはありません。解任後に行われる株主総会で、あらためて取締役に選任されれば，再度，就任することが可能です。

会社や職場の人にお金を借りているのでなければ、破産手続きを開始しても職場に知られることはありません。また、会社を辞める必要もないので、これまで通りに仕事を続けていくことができます。

破産に関してや借金の不安などがある場合には、早めに弁護士や司法書士に相談をしましょう。