【Q＆A】自己破産の申し立てにより、ギャンブルや浪費による借金の支払義務はなくなる？

Q23、自己破産の申し立てによって、ギャンブルや浪費による借金の支払義務はなくなりますか？

A23、破産の申し立てだけでは、支払義務がなくなることはありません。

「破産手続」について少々誤った認識がある方も多いようです。まず、破産の手続きについて正しい情報をお伝えします。

破産手続きとは、裁判所による「破産手続開始決定」で開始されるものです。債務者の申し立てを受けて、裁判所が破産手続開始決定するのです。
決定後、債務者の支払不能状態が認められることになり、プラスの財産とマイナスの負債のすべてを整理します。

ただ、破産手続開始決定が出ても借金がすべてなくなるわけではありません。あくまでも、破産手続開始決定は「債務者の返済能力がないことを、裁判所が認めているだけ」という状況です。「破産手続のスタートラインに立っただけ」ということを覚えておきましょう。

また、「同時廃止」を行うのであれば、破産手続を進めることができないので、借金はすべて残ります。
「借金から解放されたい」という場合は、破産手続に続き「免責手続き」を行わなければなりません。この手続きで免責が認められると、借金がゼロになるということになります。

裁判所が「免責の決定」を下せば、債務者は以後借金を支払う必要はありません。免責の申し立ては、破産手続開始の申し立てと同時に行います。

つまり、借金の支払い義務をなくしたい場合、破産手続開始決定に始まる「破産手続」「免責手続」の両方を行う必要があるのです。

ギャンブルや浪費などの借金は免責となる？

破産法では「ギャンブルや浪費で、財産を著しく減少させたり、過大な負債を抱えたりした」という場合、「免責不許可」にあたると規定されています。つまり、ギャンブルや浪費による借金は免責にならないということです。

ただ、規定を厳格に守ると、経済的に立ち直る機会を断たれてしまう人が多数出てくることになります。

そこで、ギャンブルや浪費の借金を免責不許可にするかどうかは、裁判所の裁量に委ねられており，実際には，このような行為は「免責不許可事由に該当している」と裁判所が認めた上で、破産者が経済的にやり直すことを考慮して、免責を認めるケースも一定程度あります。

免責不許可になる主な事由

最後に、主な免責不許可事由についてまとめましたのでご覧ください。

破産申し立てだけでは、借金が消滅することはありません。破産手続きと免責手続きをすることで、ようやく借金から解放されます。ただ、免責不許可事由に当てはまると判断されると、免責が認められません。

もっとも、免責不許可事由に当てはまっていても、裁判官の裁量で免責を決定するのでケースバイケースということが多いです。分からないことや当てはまることがあれば、弁護士に相談をしましょう。