【Q＆A】自分の会社が破産手続きをすることに。債務を保証している私はどう対応すべき？

Q26、自分で経営している会社が破産手続きをすることになったら、会社の債務を保証している私自身はどう対応すべきですか。

A26、個人保証をしている経営者でも「債務整理」をすべきです。

中小企業・小規模事業者は、銀行などの金融機関から融資を受ける時に、経営者個人が会社の債務を保証すること（個人保証）が求められます。

これには、実際に借り入れをした会社と同じ債務を負う「連帯保証」や、取引関係から生じる債務を保証する「根保証」などがあり、通常の保証と比較をしても厳しい内容になっています。

債務者である「会社」がもし破綻してしまったら、保証人は「個人の資力では支払いできない高額の保証債務」を負うことになります。これだけ大きな負担を抱えた個人は、「自己破産」や「自殺」に追い込まれてしまうこともあり、保証被害は深刻な社会問題でした。

そのため、改正民法により「個人保証は原則禁止」になり、「保証人の自発的な意思が認められる場合に限り例外的に認める」などの措置が講じられています。

詳しく説明すると、事業のために借り入れを保証（連帯保証を含む）または、根保証をする場合には、保証契約を締結する日の前1か月以内に、保証人個人の意思を「公正証書」で確認をする必要があるということです。

もし公正証書を作成せず保証契約が締結された時は、保証契約そのものを「無効」にし、保証人を保護することが可能です。ただ、改正民法で個人保証の保護として念頭に置かれているのは、会社と無関係である「第三者」が保証人になるケースです。

ですから、債務者である会社の経営陣に含まれる個人（取締役・執行役・理事・共同事業者など）が保証人になる場合、改正民法の規定は適用されません。そして、これまで通り「公正証書の作成は不要」となります。

今回のケースのように、経営者本人が保証人となっている場合は、公正証書を作成していないということで、「保証契約の無効」を求めることはできません。 そのため、会社が破産したら、保証人である経営者本人に会社の債務を支払う義務が課せられます。

ただし、会社と経営者個人の財産というのは混在していることが多く、会社が破産した場合には、経営者個人の生活もすでに破綻している可能性が高いです。ですから、会社と共に経営者個人も自己破産の申し立てをする必要があります。

会社と経営者個人の自己破産は、必ず同時に申し立てをしなければいけないというルールはありません。ただ、会社と経営者個人が同じタイミングで手続きをすることで、同時進行することができます。

すると、裁判所に支払う予納金などの費用も1回分だけで済みますので、経済的にも精神的にも負担が軽くなります。