減額交渉で家賃を減額することは可能？

家賃の減額交渉で家賃を下げることは可能？

家賃を下げてもらうために行う減額交渉は、借主とオーナーが話し合って双方の合意が得られれば成立します。
減額交渉は民法および借地借家法という2つの法律でルールが定められており、減額の請求ができないケースもあることを理解しておきましょう。

賃料の負担を減らす賃料減額と支払猶予の選択肢

自宅やテナント、オフィスなど賃料の負担を軽減するには、家賃そのものを下げる賃料減額のほかに、家賃の支払いを猶予してもらう支払猶予という方法もあります。
支払猶予の申し出が通れば、銀行やカード会社からの借金返済と同じように、家賃の支払を一定期間待ってもらうことができます。

ただし、賃貸物件のオーナーは必ずしもお金に余裕があるわけではなく、家賃収入を生活費やローンの支払に充てている方もいるため、家賃の全額の支払を猶予してもらうのは難しいケースもあります。
家賃の半額を翌月に支払う、などの条件で交渉することも考えましょう。

家賃の減額に関する２つの法律

家賃の減額交渉に関しての法律は、民法611条1項および借地借家法32条1項(土地に関しては11条)に定められています。
令和2年3月31日以前の契約については旧民法が、それ以降の契約については新民法が適用されます。

借主に非がなく建物が使用できなくなった場合に賃料減額の要件が揃うというのが民法の規定です。

例えば休業要請を受けてオーナーが施設を閉鎖・営業時間を短縮するなどの決定をして借主が営業の制限を受けた場合などは、家賃の減額が認められる可能性が高いでしょう。

借地借家法によれば、建物や土地に対する税金の増減や価格の変動、経済事情の変動を要件に借主もしくはオーナーが家賃の増減を請求することができるとされています。
「契約の条件にかかわらず」とあるため、契約書で縛りがあっても減額交渉は可能です。

しかしながら、賃貸借契約の中でも定期建物賃貸借の場合、借地借家法の要件を排除する特約が結ばれていることがあるため注意が必要です。

家賃の減額交渉を行う方法とは？

法律では、減額に関しての具体的な数値などが規定されていません。
そのため、家賃の減額交渉を行ったからといって必ずしも減額が認められるとは限らず、いくら減額されるかも明確にはなっていません。

減額交渉を行う方法として、はじめに借主とオーナーで話し合いを行い、スムーズに進まない場合に裁判所が介入して結論を出すというのが一般的です。

家賃を下げることは、一見するとオーナー側にメリットがないように思えます。
実際には、家賃が払えなくなって退去となったあとに、すぐに新しい借主が現れるとは限らないため、減額交渉に応じた方がオーナー側にとってもメリットがある場合もあるでしょう。

減額交渉において大切なポイントは、自分のメリットばかりを考えないことです。
双方の主張がぶつかると協議も難航しやすく、最悪交渉が決裂してしまう可能性もあります。
そうならないためにも、支払期限のギリギリになってから「家賃が払えない」と言うのではなく、家賃の支払が厳しいと判断したときに交渉を始めるのが望ましいでしょう。

切り出すタイミングが見つからないのであれば、2年に1度の更新時期を見計らい家賃の減額交渉を行うのも一つの方法です。

家賃の減額交渉を弁護士に依頼すれば借金の減額交渉もできる

家賃の減額や支払猶予を続けると、敷金から家賃を充当していくことになるでしょう。
オーナー側のデメリットも目立つため、中には断固として交渉に応じない方もいます。
自分たちだけで交渉を行うのが難しい場合、交渉期間が長期に及ぶことも考えられます。

さらに、裁判を行うには民事調停という手続きも必要になり、時間や手間もかかりますし、法律の知識がなければ難しいといえるでしょう。
家賃の減額交渉を弁護士に依頼すれば、代理人として交渉を行ってもらえるため、交渉成立を有利に進めることが可能です。

まとめ

減額交渉で家賃を減額することは可能ですが、借主が直接オーナーに交渉したところで相手にされない場合もあります。
裁判所を通すとなると複雑な手続きなどが必要となりますから、自分一人で解決しようと思わないことが大切ですよ。

近年、新型コロナウイルス感染症の影響で経済的に苦しい状況になり、家賃を支払うために借金をし、のちに返済を続けていくことが難しくなるケースもみられます。
弁護士に相談することで、借金の減額交渉も任せられますので、家賃や借金の返済で困ったら法律事務所を頼ることをおすすめします。