【Q＆A】金融業者から口座に勝手にお金が振り込まれ、そのお金の返済要求があった。どう対処したらよいか

Q15、金融業者から私の口座に勝手にお金が振り込まれ、そのお金の返済要求がありました。どのように対処したらよいでしょうか。

A15、返済する義務はありませんが、不安であれば専門家に相談をするのをおすすめします。

今回のケースのように、口座に勝手に振込みをしてきてその後に多くの利子をつけて返済を迫ってくる方法のことを「押し貸し（押しつけ融資）」と呼びます。

基本的に、押し貸しをするのは「ヤミ金業者」と呼ばれる金融業者であり、法外な利子をとってきます。

たとえ1社でも、過去にヤミ金業者からお金を借りたことがある場合、口座の情報がヤミ金業者に伝わっています。そして、ヤミ金業者のグループ全体に口座の情報が流れていき、勝手に口座に振り込まれるという事態が発生します。

また、近年では「名簿業者」から簡単に個人情報を入手できるようになり、ヤミ金業者はこういった名簿から口座番号を入手して、ヤミ金業者を利用したことがない一般人にも「押し貸し」をしてくるケースがあります。

中には「これから口座に〇〇万円を振り込みます」という電話をかけてくる業者もいます。もし、このような電話がかかってきたら、すぐに銀行口座を解約したり、番号が知られている携帯電話を解約したりすることにより、被害を防ぐことも可能です。

押し貸しと金銭消費貸借

金銭消費貸借は、お金を借りた人が「貸した人にその金額を返すことを約束する」ことが、成立の条件です。ですから、勝手に振込みをされてしまい、お金を借りるという意思がない場合には、金銭消費貸借契約は成立しないということになります。このように不当な融資を行うことは、法律上で「不法原因給付」となります。

不法原因給付とは、麻薬の売買などの「違法取引」を行っており、自分から売買代金を支払った人は、その代金の返還請求ができないというものです。なので、不当に融資をしてきた金融業者が「振り込んだお金を返せ」と言ってきても、金融業者には返還請求権が認められないとされることが多いと考えられます。

そのため、勝手に口座に振り込まれてしまった現金は、こちらがお願いをしたものではないので、返さなくていいことがあります。

ただ、そのまま振り込まれた現金を持っているのも不安ですし、お金を借りているような気持ちになるので、勝手に借りたことになっているお金に関しては、そっくりそのまま返せば問題ありません。利子をプラスする必要もありません。

この時、消費者センターや弁護士などに相談をして、どうやってお金を返せばいいのかを確認すると、より安心です。押し貸しは「犯罪行為」の可能性が高いので、まずは弁護士など専門家に相談をするのが得策です。