代位返済とはどのようなもの？どう対応すべき？

代位返済とは何？通知が届くと借金はどうなるの？

通常、借金をしている人（債務者）は、お金を借りている消費者金融などに毎月決まった金額の返済を行っていく必要がありますよね。

しかし、返済を滞納した状態が数か月続くと、契約時に指定された保証会社があなたの代わりに一括返済してくれます。
これが代位弁済です。
代位弁済が行われても、「借金がゼロになった！」と喜んでいてはいけません。

代位弁済で返済してもらう権利(求償権)も移る

保証会社が借金を肩代わりしてくれたからといって、債務者に返済の義務がなくなるわけではありません。

保証会社はお金を貸す側のリスクを最小限にするため、保証人の代わりとして存在するだけです。
銀行カードローンであれば、銀行の系列の金融機関が保証会社になることが多いです。

消費者金融に代わって、保証会社が代位弁済を行った場合どうなるでしょうか。

債務者は、保証会社から返済を請求されることになります。
それは代位弁済が行われたことにより、お金を返してもらう権利も消費者金融から保証会社に移行するからです。
この権利は「求償権(きゅうしょうけん)」と呼ばれます。

代位弁済が実行されると同時に、保証会社は債務者に通知書を送り、代わりに返済した借金を一括請求するのが一般的です。

届いた代位弁済通知を放置しておくと、多くの場合は督促状が送付されたり、裁判所を通した請求が来たりするでしょう。
さらに無視し続けると、給与や財産を差し押さえられてしまう恐れがあるため、早急に対応しなければなりません。

代位弁済では分割で支払う権利がなくなる！

本来、消費者金融から借り入れを行う時は分割で返済をする契約になっています。
そのため、定められた返済期限までは完済する必要がありません。
このことを「期限の利益」といいます。

しかしその一方で「返済を滞納した場合は分割で返済をする権利を失い、一括で返済を行う」という契約も交わしているはずです。

代位弁済が実行されるということは、債務者が契約違反するということ。
保証会社から一括返済を要求されてしまうのは、分割で返済をする権利がなくなる＝「期限の利益の喪失」が起こるからです。

代位弁済で時効の期間はどうなる？起こりうるリスクとは？

借金の返済には時効があります。
法律では「権利を行使することができることから10年間行使しない時(銀行や賃金業者からの借金は5年間)」が消滅時効と定められています。
そのため、最終返済から5年あるいは10年が経過すると、時効が成立します。

しかし、代位弁済が行われると、借金消滅時効のはじまり(起算点)が変わります。
債権者への最終返済ではなく、代弁返済が行われた時から新たに時効期間がスタートします。

また、代位弁済では２つの大きなリスクが生じる可能性があります。
まず１つは、ブラックリストに載るということ。
代位弁済が行われるということは、何度か延滞をし、期限の利益の喪失が起きていることがほとんどですので、信用情報に事故記録が登録されると考えておきましょう。

これにより、クレジットカードが利用停止となり、新たに作成することやサービスを利用することができなくなります。
家賃や光熱費、携帯電話料金などをクレジットカード払いにしている場合、支払いができなくなるため注意が必要です。

２つ目は、遅延損害金が発生すること。
借金返済を滞納すると、利息として遅延損害金が加算されます。
その場合、日数が経過すればするほど金額が大きくなってしまいます。
遅延損害金は年率で日割り計算されますが、通常の利息よりも高く設定されていることが多く、15～20％が目安となります。

代位弁済通知が届いても返済できない場合の対処法は？

「代位弁済通知を受け取った、でも一括返済できない…」というような時、ご自身で対処するのは非常に難しいです。
できれば、法律に詳しい弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
借金問題を解決する方法として債務整理が挙げられますが、その中でも「任意整理」は裁判所を通さずに、債権者と分割の返済や減額の交渉を行っていきます。
弁護士が債務者と保証会社を仲介することで、借金を分割払いに戻してもらうことが可能なケースは少なくありません。

債務者の経済状況を把握し、それに適した家計指導を行うことで、整合性のとれた返済計画が立ち、保証会社が交渉に応じてくれる可能性が非常に高くなるのです。

しかし経済状況によっては、分割でも返済ができないことがあるでしょう。
その場合、借金を大幅に減額してもらう「個人再生」、借金をゼロにしてもらう「自己破産」などの手続きが提案してもらえます。

また、弁護士に正式に依頼を行うと、弁護士から債権者である消費者金融に「介入通知」というものが送られます。
これにより、債権者からあなたへの取り立て行為や督促が停止します。

まとめ

カードローンや住宅ローンで借り入れを行うと、返済計画を立てていても何らかの事情で返済不能になってしまうこともあります。
そんな時、代位弁済通知が届いたら焦ってしまうことでしょう。
「知らなかった」では済まされないため、放置することは絶対に止めてください。

とはいえ、文中でもご説明した通り、借金の返済に関しての交渉は、信用を失ってしまった状態で個人が行っても成立させることが難しいものです。
まずは弁護士に相談することが望ましいです。