【Q＆A】破産をしたら賃借アパートから追い出されますか?

Q29、破産をしたら賃借アパートから追い出されますか。もし連帯保証人が破産をしたら、どのようなことになりますか。

A29、破産をしたからといって、それを理由に追い出されることはありません。

賃貸借契約における「借主」が破産をした場合、貸主は賃料を確保できなくなる可能性があります。ですから、貸主側としては契約を解除して新しい借主を見つけるほうが、得策だと考えます。

しかし、破産をしてしまった借主の今後の更生について考えると、解約は酷なものがあります。そういった背景から、破産者に対して復活の機会を与えることも可能になっています。
具体的には、平成17年に「破産法」や「民法」が改正され、借主が破産したことだけを理由にして、貸主が賃貸借契約を解除することはできなくなりました。

一般的に賃貸借契約書にて「破産を解除事由とする」という特約をつけることがあります。ただし、特約は絶対に有効とは言い切れません。
こういった特約は、破産者に対する復活の機会を与える法律に対して反するものになります。また、賃借人の解除権を制限している「借地借家法」の趣旨にも反しているので、無効と考えることができます。

ただし、1つだけ注意があります。もし借主が賃料の支払いを滞ってしまった場合には、原則の通り賃貸借契約を解除されてしまいます。しかし、1回や2回ほどの支払い滞納であれば、解除をすることはできません。

貸主との間にある信頼関係を壊す程度として、3回（3か月以上）の支払い滞納があった場合には、解除をすることができるようになります。

また、借主が破産をした場合には「賃料を支払ってもらえないかも」という不安を、貸主は感じてしまいます。それでも、賃料をしっかり支払っているのであれば、契約を解除することはできません。破産手続き開始後の「賃料債権」に関して、破産手続きを経ずに弁済を受けることができるからです。

連帯保証人が破産をした場合はどうなるか？

一方、連帯保証人が破産をした場合にはどうなるのかというと、賃貸人は建物賃借契約を解除できるという決まりがありません。ですから、連帯保証人の破産を「解除事由」として特約にしていることがあります。

借主が連帯保証人を立てる義務に対する特約は有効になります。しかし、借主が破産をしたからといって解約をするのは容易には認められません。ですから、連帯保証人が破産をしたからといって解約するというのは、さらに認められないことになります。

ただし、連帯保証人が借主の代わりにたびたび支払いをしている状況で「連帯保証人が破産した」「賃料滞納などの事情がある」といったことが起きると、信頼関係が壊されているといえますので、解約が認められるケースもあります。