1.エンディングノートとは
近年、人生の終わりをより良いものとするために事前に準備する活動、を意味する「終活」という言葉が注目されるようになりました。
その流れでエンディングノートへの関心も高まり、書こうと思われる方々が増えてきたようです。
エンディングノートとは、平たく言うと、もしもの場合に備えて、忘れては困る事柄やご自身の希望、家族への伝言などを書き留めておく冊子のことです。
現在は様々なタイプのエンディングノートが市販されていますが、概ね次のような項目を記載するように構成されています。
- ○自分自身のプロフィール
- ○財産の内容
- ○親戚・知人の連絡先リスト
- ○延命治療・介護についての希望
- ○死後の葬儀・お墓に対する希望
- ○自己の相続に際しての考え
- ○家族・知人へのメッセージ
どの項目も、その時々の場面で欠かせない情報ですので、亡くなられた時、入院された時、その他備忘のためなど、もしもの時に備えておくと、ご自身含めご家族にとっても役に立つノートとなります。
相続とのつながりでは、財産の特定、ご自身の相続に対する考え、死後の葬儀・お墓に対する希望などの記載を通して、「争続」を回避しやすくなるメリットがあります。
そのため、近年、その手軽さと相まって、遺言書とは別にエンディングノートの有用性が注目されています。
2.遺言書とエンディングノートの違い
遺言書とは、自己の財産の帰属等、死後の法律関係を定めるために、その最終意思を書き記した書面を言います。
法律に規定があり、所定の方式(民967条以下)に従うかぎりにおいて、法的効果を生じさせます。遺言書に記載された内容は、遺言者の死亡の時からその効力が生じます(同985条)。
一方、エンディングノートは、あくまで「もしもの時に役立つノート」です。
そこに明確な死後の財産関係を記したからといって、相続人がエンディングノートに記載された内容に法的に拘束されることはありません。
しかし、エンディングノートは、法的な効力を生じさせない反面、形式やまた書く内容にとらわれることなく、ご自身の思いを自由に書くことができます。
相続との関連で言うならば、単に財産の分け方などに限定されることなく、亡くなられた後もご自身の思いをそのまま伝えるものが、エンディングノートといえるでしょう。
3.遺言書の補助としてのエンディングノートの活用
もっとも、被相続人の死後、その財産の帰属を明確にし、不要な相続トラブルを回避するという点では、やはり遺言書の方が実効性において優れています。
そのため、エンディングノートとは別に、財産関係に限って遺言書を作成し、併せて活用するのも一つの方法です。
専門家に遺言書作成をご依頼いただく際も、ご依頼者様の思いが詰まったエンディングノートがあれば、手続をスムーズに進められるものですから、日頃から意識して活用することをお勧めします。
守口門真総合法律事務所でも常時ご用意しておすので、ご活用を検討される場合は、ぜひご相談ください。
相続担当弁護士
村上 和也
プロフィール
同志社大学卒。平成20年より事務所開設し、守口市・門真市を中心に大阪で相続に関する相談多数。遺言・遺産分割・遺留分・遺言執行・事業承継・成年後見など。
弁護士からのメッセージ
遺言作成や遺産分割協議を数多く手掛けてきており,危急時遺言の作成実績もある数少ない法律事務所です。
ささいなことでも結構ですので,お早めにお問い合わせください。