【Q＆A】マンションの保証人は、一般的な保証契約と違うところはありますか？

Q9、友人がマンションを借りることになり「保証人になって」とお願いされました。この保証人は一般的な保証契約と違うところはありますか？

A9、この場合「家賃・管理費・遅延損害金・原状回復費用」などの賃貸借契約において発生するさまざまな債務を保証することになります。

一般的に、賃貸借契約の期間中に、家を借りている人が失業したり病気になったりして家賃を支払えなくなった時、貸主にお金が入ってこなくなるのを防ぐために、保証人を用意しなければなりません。

賃貸借契約の際に用意する保証とは「連帯保証」がほとんどです。一般的な保証では、検索の抗弁、催告の抗弁などを主張して支払いに関して拒否をすることができますが、今回のケースの保証人というのは「賃貸借契約における保証人」であり，連帯保証ですから、拒否をすることができません。

マンションを借りた友人の保証人になるということは、家賃や管理費を友人が滞納した場合だけではなく、遅延損害金やマンションを退去する時の原状回復費用も保証人が支払うことになります。

また、更新料の支払い、友人が亡くなってしまった・行方不明になってしまった場合に部屋に残っているものを撤去する費用なども、保証人が支払うことになります。こうなると、かなり高額な金額を請求される可能性もあります。

ですから、今回のように友人から「賃貸借契約の保証人になってほしい」とお願いをされた場合には、もしかすると債務が高額になってしまい、保証期間も長引いてしまう可能性があるということを理解して、引き受けるかどうかを判断しましょう。

現在のところ、賃借人の債務を保証することになると、下記等の費用を保証しなければなりません。

・家賃と管理費
・遅延損害金
・更新料
・原状回復費用
・部屋に残ったものの撤去費用など

これらの債務を保証することを「根保証」といいます。

根保証というのは、保証人の思っていた金額とは反して、高額な支払い請求をされるという問題が多く見受けられる保証です。そして、個人が保証人になる場合には保護する必要があるということになり、２０２０年４月１日から施行される改正民法においては，次のような新しいルールが設けられています。

『個人が保証人となるすべての根保証に対して、債務の最高額（極度額）を定めない場合は無効』

つまり極度額を提示することで、保証人になるかどうか金額を見て決めることができるようになります。ちなみに極度額は、書面や電子メールにて定めなければならないという決まりがあります。

極度額が決められていれば、保証人になったとしても責任を負うのは極度額の範囲内になりますので、思ってもいなかった高額な金額を請求されることはなくなります。そして、極度額が決められていなかった場合には、保証契約に対して「無効だ」と主張をすることができ、保証債務を免れることも可能です。

保証人になる時に、極度額が決められていれば保証人にとってはメリットとなります。 しかし、極度額が提示されているので、個人的に保証人になることを嫌がってしまう人が増える傾向にあります。

こうなると、賃貸借契約を結ぶことができなくなるのでは？と不安に思ってしまう人もいるでしょう。しかし、個人が保証人にならなくても「保証会社」が保証をするという方法もありますので、安心してください。

これまでは、極度額が定められていなかったので、借りた人の債務に対して保証人が「契約無効」などを主張することができませんでした。そして、思っていたよりも高額な請求を受けることが多かったのも事実です。

しかし民法改正により、保証人にも選択肢が増え、さらに極度額があるので最悪な結末を迎えることは少なくなる可能性もあります。それでもやはり心配な人も多いでしょう。

もしも保証人になっており、予想以上の債務額が請求されるかもしれないと思ったら、まずは専門家に相談をしてください。1人で悩んでいると、事態が悪化してしまう可能性があります。