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弁護士コラム

債務整理にはどんな方法がある?何を基準に方法を決めるべき?

2021年10月28日|借金問題, 弁護士コラム, 新着情報

守口門真総合法律事務所の弁護士村上和也です。

「債務整理にはどのような方法がありますか?」「どのように債務整理の方法を選択すればいいですか?」等につき、ご相談を受けることが多々あります。
そこで本日は、債務整理の方法や決め方について解説をさせていただきます。

【目次】
債務整理の方法は主に3種類
どの債務整理を選ぶべき?
債務整理のメリットとデメリット
手続きを自分で行うことは可能?
債務整理の依頼は弁護士と司法書士のどちらにすべき?
まとめ

債務整理の方法は主に3種類

債務整理によく利用されている手続きとしては、「破産」「民事再生(個人再生)」「任意整理」の3種類です。
民事再生と個人再生は同じ手続きのことで、会社ではなく個人の民事再生手続のことを特に「個人再生」と呼んだりします。

破産

簡単に言うと、借金をゼロにする債務整理の方法です。
基本的には持っている財産をお金にして債権者に支払う必要がありますので、手元に多額の財産を残すことはできません。
ただ,すべての財産を失ってしまうわけではなく,破産法では、現金・預貯金等は99万円まで「自由財産」とされているので、トータルで99万円までの財産は残すことができます。

民事再生(個人再生)

借金をゼロにするのではなく、圧縮する(減らす)債務整理です。
債務の総額によって圧縮率が異なりますが,基本的には,1/5に圧縮した額を、3年間で分割払いして返済することが多いです。
500万円の借金の場合、100万円を3年間で分割払いとなります。
住宅ローンを支払い中であれば、民事再生をしても「住宅資金特別条項」を利用することでマイホームに住み続けることが可能なので、家を手放すことなく債務整理ができます。

任意整理

債務の元金のみを分割で返済する債務整理です。近年は,和解時までの利息が付加されることもあります。
将来の利息分の支払いがなくなるため、返済額をまるごと元金の返済に充てられます。
通常,借金の返済をする場合,返済額のほとんどが新たに発生した利息に充当され,元金がなかなか減らないことが多いので,任意整理をすることで総返済額が半分以下になる場合もあります。

どの債務整理を選ぶべき?

判断基準となる主な要素は、債務の総額・財産の内容・家計収支(毎月の返済可能額)、ご本人の意思や家族構成などです。
例えば、「債務が多額で、財産もあまりなく、子どもがいる」という状況であれば、破産を選んで、今後の収入は家族の生活に充てるという選択肢が出てきます。
また「住宅ローン支払い中で、マイホームを手放したくない」という場合、家計収支を見て無理なく返済が可能であれば、民事再生(個人再生)が可能でしょう。
本人に「借金を払っていきたい」という意思があり、家計収支的に問題がなければ、任意整理も可能です。
状況や財産はそれぞれ異なりますので、相談時に伺い、最適と思われる手続きを提案します。

債務整理のメリットとデメリット

債務整理のメリットは、返済がなくなる、もしくは格段に楽になるという点です。
債務があることは精神的にも辛いものですが、手続きをすることで返済を一旦ストップできますし、返済額も確実に減らせます。
そのため、気持ちも楽になり、前を向くことができます。

デメリットは、どの債務整理を行っても信用情報機関(ブラックリスト)に載ることですが、それ以外のデメリットはないようなものです。
ブラックリストに載るペナルティとしては、クレジットカードが作れない、借金ができない、保証人になれないといった点が挙げられます。

手続きを自分で行うことは可能?

債務整理の手続きを個人で行うことは不可能ではありません。
しかし、破産・個人再生は裁判手続なので定型書式が決まっていて、弁護士でも悩むポイントがあるほど難しいです。
任意整理は交渉ごとなので自分でできなくもないですが、不利な和解に持ち込まれる可能性が高いので、プロに任せる方が安心です。
どの手続きも自分でするのは難しいと思いますので、弁護士を頼ってください。

債務整理の依頼は弁護士と司法書士のどちらにすべき?

弁護士と司法書士の一番大きな違いは、依頼者の代理ができるかどうかです。
司法書士の場合、破産や個人再生は「本人申立」のサポートという位置づけになりますので、裁判所から呼び出された場合など、自分で動かなければなりません。
弁護士の場合はすべてを代理できますので、依頼者の負担も軽くなります。
また、任意整理は借入額が140万円以下なら司法書士も代理できますが、その額を超える場合は弁護士に依頼する必要が出てきます。
司法書士事務所から弁護士事務所へ依頼となると、さらに費用がかかる可能性もありますので要注意です。

債務整理で弁護士に相談する時は何を用意すべき?

よくお伝えするのは「借入額と借入先が分かるもの」です。
その他では、通帳・源泉徴収票(事業者であれば確定申告書)・給与明細があると、より掘り下げて手続きの検討をすることができます。
債務整理を考える場合、財産の内容、家計収支を把握することが大切ですので、ご用意いただきたいですね。

まとめ

債務整理の方法は一つではありません。
債務をゼロにする方法もあれば、返済額を減らす方法もあります。
返済額、財産や家計収支、ご家庭の状況によって、どの方法が良いかは異なりますので、「債務整理をしたいけれど、どうしたらいいのか分からない」という場合は、ぜひご相談ください。

弁護士村上和也のプロフィール

所属:大阪弁護士会
重点取扱分野:自己破産(法人・個人)・民事再生・任意整理・通常清算・過払い金返還請求・消滅時効の援用

弁護士からのメッセージ
・借金問題を放置しますと,以下のようなデメリットがあります。
 利息や遅延損害金が膨らんで総弁済額が増えてしまう
 提訴されてしまい裁判対応が必要となる
 提訴されて判決まで取られてしまうと,有利な和解をしづらくなる
 このような事態にならないよう,お早めに御相談ください。

・弁護士に御依頼いただくことで,以下のようなメリットがあります。
期限の利益を喪失し,一括請求されていたとしても,分割払いが可能となります  将来利息をカットした有利な分割払いが実現することがあります。
個人再生手続を採ることで,自宅を残しながら,住宅ローン以外の借金額を圧縮することができます
自己破産手続を採ることで,借金支払いをする必要がなくなります(但し,税金等公的な債務を除く)
利息制限法の低い利息に計算し直すことで過払い金が発生し,支払ったお金が戻ってくることがあります
最終返済時から5年以上経過していた場合,消滅時効を援用することで,借金を法律上消滅させることができます

自己破産(法人・個人)・民事再生・任意整理等を御希望の方、まずは守口門真総合法律事務所までお問い合わせ相談ください。初回は無料で御相談可能です。
守口門真総合法律事務所(京阪守口市駅西出口すぐ)
TEL:06-6997-7171
任意整理・自己破産(個人)・個人再生に関する詳細はこちら(当事務所HP)
自己破産(法人)・民事再生・清算に関する詳細はこちら(当事務所HP)

遺言書は必要?弁護士にサポートしてもらうメリットは?

2021年10月11日|弁護士コラム, 新着情報, 相続

守口門真総合法律事務所の弁護士村上和也です。
遺言書は必要ですか?,弁護士にサポートしてもらうメリットは何ですか?,等につき,よく御相談を受けますので,本日はこの点の解説をさせていただきます。

「遺言書」という言葉や存在を知っていても、実際に遺言書を作成している方は少ないのではないでしょうか。「遺言書を作るのは大変そう」「子どもがいないから不要なのでは?」と思うかもしれません。
しかし、遺言書を作成しておくことで得られるメリットがあります。
遺言書の必要性や費用について理解した上で、作成を検討していただければ幸いです。


【目次】
遺言書はなぜ必要?
遺言書作成のタイミングについて
遺言書は自分で簡単に作ることができる?
遺言書を作成した後はどうしたらいい?
遺言書の作成を弁護士にサポートしてもらうメリットについて
まとめ



遺言書はなぜ必要?

 遺言書がないと、残された家族が遺産を巡って揉めてしまう可能性があります。
 親が健在の時には、親からの援助や支援(学費やその他費用など)について、兄弟姉妹間で不満を持っていても、表面化することは少ないと思います。
しかし、親が亡くなると、今までため込んでいた不満が爆発し、相続争いになることがあります。
 例えば「兄は留学費用を出してもらったけど、私は留学していない」「妹は新居購入の費用を出してもらったけど、私は何もしてもらっていない」など、過去のことが火種になったりします。
 血のつながっている兄弟姉妹でも争いになりやすいですから、血がつながっていない兄弟姉妹の場合はさらに争いが起こりやすい傾向にあります。父親が再婚していて、先妻・後妻それぞれに子どもがいる場合などは、相続トラブルに発展しやすいです。

兄弟姉妹の人数が多いとトラブルになりやすい?
 兄弟姉妹の人数が多い人が亡くなった場合も、相続が大変になります。
とくに、兄弟姉妹の中に子どもがいない人がおり,その人が亡くなった場合は、相続人に該当する人が多くなるので要注意です。
 なぜなら、子どもがいない人の場合は,兄弟姉妹も相続人になるためです。
兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、その子ども(亡くなった人の甥姪)が相続することになります。代襲相続人といいます。
 そのため、たくさんの兄弟姉妹がいる場合は相続人(甥姪)も多くなり、相続の手続きが大変になってしまうのです。
 相続は親族間で争いが起こりやすいので、遺言書があると、遺産分割をスムーズに進められ、無駄な争いを防ぐことができます。

遺言書作成のタイミングについて

 遺言書の作成は早い方がいいです。
 自分が何歳まで生きられるかは、誰にも分かりません。
 不慮の事故・病気などで突然亡くなってしまう可能性もありますので、「遺言書について相談しようかな…」と思った時がベストタイミングです。
 当事務所では60代~70代の方からのご相談が多いですが、50代や80代の方もいらっしゃいますし、50代でも決して早すぎることはありません。遺言書は気が変わったら作り直すことも可能ですので、ご安心ください。

遺言書作成時と相続時で資産状況が変わることについて
 みなさん心配されるのは「早く作成しすぎると、遺言書作成時と相続時で資産が変わってしまう(資産が減ってしまっている可能性がある)のでは?」という点です。確かに、老後に銀行口座のお金を生活資金などで使うと、口座の預金残高は減っていきます。
 しかし、遺言書では「預金の割合を指定する」という方法もあります。
 3人兄弟であれば、「長男:次男:三男=2:1:1」の割合で分けるという内容も可能なのです。また、金額ではなく「相続する口座を指定する」という方法もあります。この場合であれば、口座の金額が変動しても問題ありません。
 遺言書作成時と相続時の資産状況の変化については、そこまで心配する必要はありません。

遺言書は自分で簡単に作ることができる?

 遺言書には、自分で書く「自筆証書遺言」、公証人と作成する「公正証書遺言」があります。自筆で作成する場合は「自筆証書遺言」となり、遺言書のルールを守り、日付・捺印なども忘れずに作成することができれば問題ありません。以前は財産部分の作成が難しかったのですが、法改正によって、目録はパソコンのソフト「Word」での作成も認められるようになりました。

 また、通帳のコピーも認められるようになり、遺言書作成のハードルが下がっています。ただし、遺言書のルールが守れていないと無効になるので、個人で作成する場合はしっかり確認をしましょう。不安な場合は、弁護士のサポートを受けることも可能です。
 当日に遺言書を作成できるケースもあります。

公正証書遺言にはどんなメリットがある?
公正証書遺言は、偽造の心配がありません。そのため、遺言書を巡っての争いが起きないというメリットがあります。また、検認も不要となります。
 このようなメリットから、当事務所で遺言書を作成される方の7~8割の方が公正証書遺言を選んでいます。ただし、作成には印鑑証明や戸籍謄本などの書類を用意する必要があり、公証人とのスケジュール調整もあります。
 作成には、最低でも2,3週間、長い場合は1,2カ月程度かかるでしょう。
 弁護士がサポートをする場合、原案作成、公証人との内容すり合わせ、スケジュール調整を代行します。完成までにはそれなりに時間がかかりますので、早めにご相談ください。

遺言書を作成した後はどうしたらいい?

 自筆証書遺言の場合は、完成した遺言書を封筒に入れしっかり封をし、保管します。そして家族などに遺言書の存在を伝え、その時がきたら実行してもらいましょう。
 公正証書遺言の場合、原本は公証役場で保管してくれます。
 公証人から正本・謄本を受け取ることになります。家族にも公正証書遺言があることを伝え,正本・謄本のうちどちらか1つの保管を委ね、他1つを自分で保管しておきましょう。

確実に遺言書を残すには?
 遺言書の存在は、自分だけが知っていても意味がありません。
必ず実行可能な人、家族や信頼できる人に知らせて、適宜,託しておきましょう。
 自筆証書遺言の場合、原本しかありませんので、無くさないように気を付けてください。自筆証書遺言は公正証書遺言よりも手軽に作成できますが、偽造・変造される不安が残ります。遺言書は手を加えられると、無効になってしまいます。
 また、誰かに捨てられたり無くされたりしてしまったら、遺言書は無意味になってしまいます。確実に遺言書を残したい場合は、公証役場で原本を預かってもらえる「公正証書遺言」を選択しましょう。

遺言書の作成を弁護士にサポートしてもらうメリットについて

 弁護士がサポートをすることで、確実に有効な遺言書が作成できます。
 また、家族構成などを考慮し、争いがおきにくい遺言書にすることも可能です。手間のかかる資料収集のサポートなども行いますので、スピーディーに作成することができるのもメリットですね。

遺言書作成の費用はどれくらい?
 当事務所で遺言書を作成する場合、下記が費用の目安となります。
・自筆証書遺言:3~5万円程度
・公正証書遺言:20万円程度
※別途,公証人への手数料(数万円~10万円程度)がかかります。
 遺言書の内容の変更(遺言書の作り直し)は、初回費用の半額程度で対応しています。

まとめ

 遺言書は、残された家族・親族が相続争いを起こさないためにも必要です。
 作成に早すぎることはありませんので、気になったタイミングでご相談ください。ご自身で作成していただくことも可能ですが、遺言書にはルールもあります。確実に有効となる遺言書を作成するためにも、法律のプロである弁護士のサポートを受けられることをおすすめします。
 弁護士に依頼する場合、費用はかかりますが、もし遺言を作成しないまま亡くなって遺族が遺産争いをすることになれば,100万以上の弁護士費用が発生することが多々あります。
 争いが起きないように遺言書を作成しておくことで、残された家族のためにもなりますので,是非,早急に遺言書の作成を御検討いただければと思います。

弁護士村上和也のプロフィール
所属:大阪弁護士会
重点取扱分野:遺言・相続(遺産分割・遺留分・遺言執行)・成年後見
講演歴:①「今日から始める相続対策」(終活セミナーでの講演)
    ②「相続・遺言・遺留分・金銭管理・成年後見」
     (地域包括支援センター家族介護教室での講演)
    ③「金銭管理・成年後見・個人情報保護」(認知症サポーター養成講座での講演)
<弁護士からの一言>
・早い段階で御相談いただくほうが良い解決につながることが多いですから,ささいなことでも結構ですので,お早めにお問い合わせください。
・相続問題は,遺産分割調停・遺留分減殺請求訴訟等,様々な紛争を扱う,紛争処理のプロである弁護士に御相談ください。

遺言・相続・成年後見のことでお悩みの場合,まずは守口門真総合法律事務所までお問い合わせ相談ください。初回は無料で御相談可能です。
守口門真総合法律事務所(京阪守口市駅西出口すぐ)
TEL:06-6997-7171
守口市・門真市の遺言・相続や成年後見(財産管理)に関する詳細はこちら(当事務所HP)

所有者不明土地問題②民法・不登法改正

2021年08月27日|不動産, 弁護士コラム

 今回は、2021年4月に成立した民法・不動産登記法等の改正法について、解説します(参考:法務省HPより「民法等の一部を改正する法律」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」の概要)。

1.改正の背景

 改正の背景には、所有者不明土地問題があります(過去の弁護士コラム「所有者不明土地問題」)。
 近時、相続登記がされないこと等により、①不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地、又は、②所有者が判明しても、その所在が不明で連絡が付かない土地、いわゆる『所有者不明土地』が多数発生しています(総面積は九州本土よりも大きいといわれます。)。

2.法改正の概要

 今回の改正は、①所有者不明土地の発生予防と②所有者不明土地の利用の円滑化の両面から、民法や不動産登記法などを見直すものです。

(1)民法の改正
①共有制度の見直し
 不明共有者がいる場合には,利用に関する共有者間の意思決定や持分の集約が困難となっていました。

 そこで,共有物の利用の円滑化を図る仕組みとして,裁判所の関与の下で,不明共有者等に対して公告等をした上で,残りの共有者の同意で,共有物の変更行為や管理行為を可能にする制度が創設されました。

 また,裁判所の関与の下で,不明共有者の持分の価格に相当する金銭の供託によって,不明共有者の共有持分を取得して不動産の共有関係を解消する仕組みが創設されました。

②相続制度の見直し
 相続開始から10年を経過したときは,個別案件ごとに異なる具体的相続分による分割(寄与分や特別受益)の利益を消滅させ,画一的な法定相続分で簡明に遺産分割を行う仕組みが創設されました。長期間放置された後の遺産分割では具体的相続分に関する証拠等が散逸し,共有状態の解消が困難であったからです。

 法定相続分と異なる遺産分割を行うためには,相続開始から10年以内に行わなければならないこととなります。なお,施行日前の相続発生については,相続開始の時から10年を経過する時または改正法の施行の時から5年を経過する時のいずれか遅い時までの期間制限となります。

③財産管理制度の見直し
 所有者不明土地・建物の管理に特化した新たな財産管理制度が創設されました。裁判所が選任した管理人は、裁判所の許可を得れば、所有者不明土地・建物を売却することができます。これにより、所有者不明土地・建物の管理が効率化・合理化することになります。

 また、所有者不明土地・建物のみならず、管理不全土地・建物(例:ゴミ屋敷、廃墟)について、所有者が適切に管理せずこれを放置していることで他人の権利を侵害するおそれがある場合に、裁判所が管理人を選任することができる制度も創設されました。

④相隣関係規定の見直し
 電気、ガスなどのライフラインを自己の土地に引き込むための設備を他人の土地に設置する権利を明確化し、隣地所有者不明状態にも対応できる仕組みが整備されました。

(2)不動産登記法の改正
 不動産登記法の改正では、所有者不明土地をこれ以上発生させないために、相続登記・住所変更登記の申請義務化と手続の簡素化・合理化が導入されました。

 問題の背景として、不動産の登記名義人と実際の所有者とが異なることがよくありました。そうすると、①登記名義人の相続人が分からないため、所有者の探索に時間と費用が掛かり用地買収等が妨げられることや、②登記名義人が死亡しているかどうかだけでも分かれば、事業用地を円滑に選定することができるとの指摘があることなどから、相続や住所変更などの情報を登記に反映すること、すなわち、登記を最新の状態にアップデートが問題解決のために重要になります。

そこで、今回の不動産登記法の改正では、以下が導入されました。
  ①相続登記・住所変更登記の申請義務化
  ②相続登記・住所変更登記の手続の簡素化・合理化

①相続登記・住所変更登記の申請義務化
 不動産を取得した相続人に、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付けました。正当な理由のない申請漏れには10万円以下の過料が科されます。どういった場合に正当な理由なしと判断されるかは、法務省が近い将来通達を出す予定です。

 また、改正法では、不動産を所有する人について住所や氏名の変更があった場合、住所等の変更日から2年以内にその変更登記の申請をすることを義務付けることになりました。この場合も、正当な理由のない申請漏れには5万円以下の過料が科されることになります。

②相続登記・住所変更登記の手続の簡素化・合理化
ア 相続人申告登記(仮称)の新設
 改正法では、相続登記の義務化と併せて、相続人が登記名義人の法定相続人である旨を申し出ることで、相続登記の申請義務を果たしたことにするという規定が設けられました。この相続人申告登記は、相続人一人ひとりが単独で申告することができ、添付書面も簡略化されているため、相続登記の申請義務を簡易に履行することが可能になります。

イ 死亡情報等の公示
 登記官が他の公的機関(住基ネットなど)から死亡等の情報を取得し、職権で登記に表示する仕組みが設けられました。これにより、登記で登記名義人の死亡の有無の確認が可能になります。

3 まとめ

 所有者不明土地問題を背景にされた法改正ですが、一般の相続にも影響する形での法改正となっています。これまでは期間制限のなかった遺産分割など相続関係について、期間制限が設けられたことをはじめ新たな制度も設けられておりますので、長期間相続を放置していた方はご相談ください。

以上

不動産・賃貸のご相談やお問合せはぜひお任せください。(当事務所HP)
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民法改正 ~売買・贈与に関する規定の見直し~

2021年07月22日|不動産, 借金問題, 弁護士コラム, 相続

1 売買・贈与に関する規定の見直し

 平成29年5月26日,民法の一部を改正する法律が成立し(同年6月2日公布),一部の規定を除き,令和2年(2020年)4月1日から施行されています。

 民法改正によって,売買・贈与に関する規定も一部変更となりましたので,以下,変更された主な規定をご説明致します。

 なお,瑕疵担保責任の規定については,従前,「民法改正~瑕疵担保責任から契約不適合責任へ~」の中で解説しておりますので,今回の説明からは省略させて頂きます。 

2 危険負担の債権者主義が廃止

 危険負担とは,債務者に責任のない事由によって,目的物が滅失・損傷し,債務者の目的物給付義務が消滅した場合に,債権者も反対債務である代金支払義務を免れるか,すなわち,債権者と債務者のいずれが危険を負担するのかという問題です。

 改正前民法534条は,特定物の危険負担について債権者主義を定めており,このような場合に「債権者が危険を負担する」,すなわち債権者は反対債務である代金支払義務を免れない,との結論が取られていました。
 もっとも,債権者からすれば,未だ目的物の引き渡しを受けていないにもかかわらず,代金支払義務を負担することになるため,結論の妥当性に疑問の声も挙がっていました。

 改正民法では,危険負担における債権者主義(債権者が危険を負担する)が廃止され,当事者双方の責めに帰することができない事由によって,目的物が滅失・損傷した場合,債権者は反対給付(代金支払義務)の履行を拒めることが明記されました。

 一方で,債権者の責めに帰すべき事由によって,目的物が滅失・損傷した場合,債権者に反対給付の履行拒絶権がない点は従来どおりです。
 そして,改正民法では,目的物の引き渡しによって危険が移転することが明示され,目的物の引き渡し後に目的物の滅失・損傷が生じた場合には,債権者は,これを理由とする追完,代金減額,損害賠償請求,契約解除ができないことが明らかにされました。

 また,債務者による履行の提供が行われたにもかかわらず,債権者が履行の受領を拒絶した場合,改正前民法においても,その後に発生した危険は債権者が負うとされていましたが,改正民法では,契約内容に適合する履行の提供さえあれば,売主側から買主側へ危険が移転することが明文化されています。

3 売買の手付解除

 改正前民法においては,買主が売主に手付を交付したときは,売主は手付の倍額を「償還」すれば,契約解除が可能と規定されていました。しかし,改正民法においては,売主は手付の倍額を「現実に提供」すれば契約解除が可能とされています。

 元々判例上,売主は手付の倍額を「現実に提供」すれば手付解除が可能とされており,「償還」までは不要とされておりましたので,今回の改正は,かかる判例法理が明文化された形であり,事実上大きな変更はありません。

 また,改正前民法では,「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」は手付解除が可能と定められていました。しかし,「当事者の一方」との文言では,手付解除を行う者のみが履行に着手した場合でも,手付解除が認められなくなるとの誤解を受ける恐れがありますので,改正民法では,「その相手方」が契約の履行に着手した後は手付解除ができない,との表記に改められました。

4 贈与

 贈与者の担保責任について,改正前民法は,贈与者は,贈与の目的物又は権利の瑕疵又は不存在について責任を負わないとしながらも,「贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったとき」は,担保責任を負う旨規定していました。
 しかし,改正民法では,贈与者は,「贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引渡し、又は移転することを約したものと推定する。」との推定規定が置かれましたので,贈与の当事者間でこれと異なる合意等があることを立証しない限り,贈与者は担保責任を負わないこととなります。

5 小括

 このように,民法改正によって,売買・贈与に関する規定もいくつか変更されており,変更後の規定は,改正民法施行後に新たに締結された売買・贈与契約に適用されます。

売買・贈与等の法律問題でお悩みの方は,守口門真総合法律事務所まで,いつでもお気軽にご相談ください。

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民法改正 ~金銭の貸し借りに関する規定の見直し~

2021年05月27日|借金問題, 弁護士コラム

1 金銭の貸し借りに関する規定の見直し

  平成29年5月26日,民法の一部を改正する法律が成立し(同年6月2日公布),一部の規定を除き,令和2年(2020年)4月1日から施行されています。
 民法改正によって,金銭の貸し借り(消費貸借契約)に関する規定が新設されましたので,以下,新設された主な規定をご説明致します。

2 書面による諾成的消費貸借契約

 金銭の貸し借りは,要物契約と言われ,契約成立が認められるためには,金銭が実際に交付されたことを要する,とされています。
 すなわち,金銭を実際に交付することなく,貸主が,「お金を貸してあげる。」と約束したとしても,金銭交付を実際に受けるまでは,借主にお金を借りる権利は発生しないことになります。貸主が,「お金を貸してあげる。」と約束し,借主が実際にお金を借り受けて初めて,金銭消費貸借契約は成立するのです。
 しかし,実際には,判例上,諾成的消費貸借契約(金銭の交付がなくとも,契約が成立することを言います。)の成立も認められており,金銭の交付がなくとも契約成立が認められ,貸主に金銭の給付義務が認められるケースも存在しました。
 そこで,改正法では,書面(電磁的記録による記録も含む)で行う金銭の貸し借りに限って,金銭の移動がなくても,消費貸借契約が成立するものとしています。
 一方で,書面で行われない消費貸借契約については,依然として要物契約となりますので,金銭の移動があって初めて,消費貸借契約が成立することになります。

3 諾成的消費貸借契約における一方的解除と損害賠償

 前述のとおり,書面(電磁的記録による記録も含む)で行われる金銭の貸し借りについては,金銭の移動がなくとも,消費貸借契約が成立します。
 すなわち,借主からすれば,実際に金銭を借り入れていないにもかかわらず,契約が成立していることになります。しかし,借主が,「お金を借りる必要がなくなった」場合にまで,実際に借入れをして返済をしなければならないというのは,あまりにも不都合です。
 そこで,改正法では,この場合,借主は,金銭その他目的物の交付を受けるまでの間,一方的に契約を解除できるものとされました。
 但し,同時に改正法では,貸主は,借主が契約の解除をしたことによって損害を受けたときは,借主に対して,賠償請求が可能であると明記されました。
 一方的に解除できるとは言え,既に契約の拘束力が発生していることに変わりはありませんので,書面によって金銭の借り入れを行う場合,たとえその場でお金を借り受けない場合でも,借り入れを行うか,慎重に判断する必要があります。
 もっとも,貸主が賠償請求をするにあたっては,損害の発生やその因果関係を立証する必要がありますので,実際上,賠償請求することは容易ではありません。

4 利息に関する規定の新設

 改正法では,これまで特段規定されていなかった利息に関する規定が新設されました。
 もっとも,利息に関する法律上の運用が変更されたわけではなく,「利息に関する合意がなければ利息は発生しません」,「利息に関する合意があるときは,貸主が金銭その他の目的物を受け取った日以後の利息を請求することができます」といった,言わばこれまでも当然だったことを改めて規定したにすぎません。

5 返済期限前の返済と損害賠償

 改正前民法においても,返済期限前の返済は可能でしたが,改正法では,返済期限の定めの有無を問わず,借主はいつでも返済できることが明記されました。 
 もっとも,改正法では同時に,借主の返済期限前の返済によって,貸主が損害を受けた時は,貸主は借主に対し損害賠償請求が可能であると明記されました。 
 とは言え,実際に損害賠償請求を行うことは,そう容易ではありません。

6 小括

 このように,金銭の借り入れに関する規定も,大きな変更こそありませんが,民法改正によって規定が新設されています。金銭の借り入れや借金問題でお悩みの方は,守口門真総合法律事務所まで,いつでもお気軽にご相談ください。

債務整理,自己破産,借金トラブルのご相談やお問合せはぜひお任せください!
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