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不動産

保証会社に明け渡しがあったとみなす等の権限を付与する条項の適法性

2021年03月25日|不動産, 弁護士コラム

 以前,「保証会社に解除権を付与する条項の適法性」というコラムで取り上げた裁判の,控訴審判決がなされました(大阪高裁令和3年3月5日)。

 高等裁判所では,「保証会社に解除権を付与する条項の適法性」に関する判断は維持され,これに加え,原審が違法とした「保証会社に明け渡しがあったとみなす等の権限を付与する条項」についても,適法であると判断しました。

 最高裁判所への上告が予定されているようですが,今回の判断が維持されれば,入居者が行方不明となった場合などの明渡し業務に関して,不動産賃貸業界への影響は大きいためご紹介いたします。

1 問題となった条項

第18条(賃借人の建物明渡協力義務)
2項 保証会社は,下記のいずれかの事由が存するときは,賃借人が明示的に異議を述べない限り,これをもって本件建物の明渡しがあったものとみなすことができる。
2号 賃借人が賃料等の支払いを2カ月以上怠り,保証会社が合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡が取れない状況の下,電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から本件建物を相当期間利用していないものと認められ,かつ本件建物を再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するとき

以上のほか,本件建物の明渡しがあったものとみなされた場合には,本件建物内に残置された動産の搬出・保管に異議を述べないこと,搬出の日から1か月内に引き取らないものについて所有権を放棄し,処分に異議を述べないこと,保管料として月額1万円(税別)及び搬出・処分に要する費用の支払い義務を認める条項が問題とされました。

2 上記条項の解釈について

高等裁判所は,上記の第18条2項2号の条項を,4つの要件に整理し,「①賃料等の支払いを2カ月以上怠り,②保証会社が合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡が取れない状況の下,③電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から賃借物件を相当期間利用していないものと認められ,かつ,④賃借物件と再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するとき」としました。

 この4要件のうち①から③を満たす場合には,賃借人としては,既に賃借物件を住居として使用しておらず,かつ,その意思を失っている蓋然性が極めて高いということができます。そして,④の要件にあたるのは,賃借人が賃借物件についての占有の意思を放棄している場合といえます。①から③の要件だけでなく,④の要件を備えることによって,賃借人が賃借物件についての占有する意思を最終的かつ確定的に放棄したものを認められ,賃借人の占有権は消滅したものと考えられます。

 このようなことから,4要件を満たすことにより,賃借人が賃借物件の使用を終了してその賃借物件に対する占有権が消滅しているものと認められる場合において,賃借人が明示的に異議を述べない限り,保証会社に対し,賃借物件の明渡しがあったものとみなすなどの権限を付与するものと解釈されました。

3 上記条項の適法性

 消費者契約法10条は,権利の制限をする条項であって,消費者の利益を一方的に害するものは,無効とするとされています。

 高等裁判所は,上記条項につき,権利の制限をする条項であることを認定しましたが,消費者の利益を一方的に害するものには該当しないとして,有効と判断しました。賃借人が受ける不利益が賃借物件内の動産類を搬出・保管ないし処分されうるという点に限られ,むしろ現実の明渡しをする債務を免れ,将来の賃料等の更なる支払義務を免れるという利益を受ける状況にあること,また,賃借人が明示的に異議を述べさえすれば明渡しなどの権限行使を阻止することができることなどから,賃借人の利益を一方的に害するものということはできないことが理由です。

4 最後に

 今回の高等裁判所の判決について,一部報道では,「「追い出し条項」は適法」などとされていますが,以上のとおり,4要件を満たした場合に限定され,占有権が消滅したといえる場合にのみ有効な条項であります。かつて問題となったような,賃料滞納等を理由として賃借人の占有を一方的に排除する,いわゆる「追い出し条項」とは全く異なるとされています。

 そして,今回の事件は適格消費者団体からの差止請求訴訟という特色から,その審理対象は条項の定めのみであって,運用の場面において賃借人に対する違法な自力救済に該当する危険性を否定することができないとも指摘しています。

 今回の判決によれば,条項を定めておけば,賃借人が行方不明となった場合で賃借人の占有権が消滅したといえるときには,賃貸借契約の解除だけでなく,物件内の残置動産の搬出・保管ないし処分などの権限を付与することができることとなり,民事訴訟の提起,判決取得,強制執行の法的手続を経ることなく,明渡しを実現することができるようになります。

 過去には,賃貸借契約自体に,後見開始等を理由とする契約解除条項や明渡等代理条項などを付した特約について裁判で争われたことがあります(大阪高判平成25年10月17日消費者法ニュース98号283頁)。この事件では,後見開始等を理由とする契約解除条項が無効とされましたが,明渡等代理条項は,裁判係属中に条項が改訂されてしまいましたので,その有効性について判断されておりませんでした。

 消費者契約法の適用場面であって,賃貸人,保証会社と賃借人との利益衡量が必要な条項でありますので,賃貸借契約に条項の追加を検討されている方は,弁護士にご相談ください。

関連コラム:https://murakami-law.org/1127/
「保証会社に解除権を付与する条項の適法性」もぜひご覧ください。

<弁護士プロフィール>

弁護士 喜多啓公(きたひろゆき)
所属:大阪弁護士会
不動産関係では,宅建協会顧問の法律事務所にて勤務し,多数の賃料回収案件,建物明渡案件,土地明渡案件,賃料増減額請求,不動産契約トラブル案件の取り扱い経験があります。
賃貸不動産経営管理士の資格も保有しています。

講演歴
①不動産会社従業員への講義(不動産に関連する民法改正)
②不動産オーナーへの賃貸経営セミナー(テーマ「2020年民法改正が不動産賃貸借経営に及ぼす影響とは!?」)
③門真市の地域生涯学習のための市民大学での講義(テーマ「身近な暮らしの法律」)

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民法改正 ~保証に関する規定の見直し~

2020年12月23日|不動産, 弁護士コラム

1 保証に関する規定の見直し

 平成29年5月26日,民法の一部を改正する法律が成立し(同年6月2日公布),一部の規定を除き,令和2年(2020年)4月1日から施行されています。

 皆様の生活に影響する部分として,民法改正により,保証契約に関する規定が大幅に見直されましたので,以下,主な変更点をご説明致します。

2 個人根保証一般における極度額の設定

 改正前民法においては,保証契約を書面ですることや,金銭の貸付け等によって負担する債務が含まれる根保証契約(不特定多数の債務を将来にわたって保証人が保証する契約)については極度額を定めなければ無効であることが定められていました。

 これに対し,改正民法においては,個人による根保証契約一般について,金銭の貸付け等によって負担する債務が含まれているか否かを問わず,全て極度額を定めなければ無効であることを定められております。
 これにより,賃貸借契約における個人の根保証契約や,身元保証契約における個人の根保証契約であっても,極度額の設定が必要になりました。

3 公正証書作成による保証意思の確認(事業のための貸金等)

・事業のために負担する貸金等を主たる債務とする保証契約
・主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約
については,保証契約締結前1か月以内に,公正証書によって保証債務を履行する意思を表示しなければ,保証契約の効力が発生しないことになりました。
 これは,事業のために負担する貸金等の場合に限られますので,住宅ローンなどの事業性のない債務や,貸金等の債務でない場合には,公正証書の作成は不要です。

 なお,保証人(個人)が,主たる債務者である法人の理事・取締役・執行役や,総株主の議決権の過半数を保有する支配株主,主たる債務者と共同して事業を行う者(共同事業者)又は主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者(配偶者)などである場合には,公正証書の作成は不要です。

4 保証人への情報提供義務

(1)保証契約の締結時点において
 保証人(個人)が主たる債務者から委託を受けて,
・事業のために負担する貸金等を主たる債務とする保証契約
・主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約
を締結する場合は,保証契約締結時点において,主たる債務者から保証人に対し,①主たる債務者の財産及び収支状況,②主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況,③主たる債務の担保として他に提供し,又は提供しようとするものがあるときは,その旨及び内容に関する情報を提供する必要があります。

 保証人が,主たる債務者である法人の取締役や,総株主の議決権の過半数を保有する株主,主たる債務者と共同して事業を行う者又は主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者などである場合にも,情報提供義務は認められます。

 主たる債務者が上記の情報を提供せず,又は,事実と異なる情報を提供した場合,保証人は,その事項について誤認して保証契約を締結した場合で,かつ,情報提供義務に違反したことを債権者が知り又は知ることができたときは,保証契約を取り消すことができます。

(2)委託された保証人が請求した場合
 保証人(個人・法人)が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合,保証人からの請求があれば,債権者は,保証人に対し,遅滞なく,主たる債務の元本,利息,損害賠償,その他主たる債務に関するすべての債務についての不履行の有無,残額,履行期限徒過の有無を通知しなければなりません。

(3)期限の利益を喪失した場合
 主たる債務者が期限の利益を喪失した場合,債権者は保証人に対し,期限の利益の喪失を知った時から2か月以内に保証人(個人)に通知する必要があります。

 この通知がなかった場合,債権者は保証人に対し,期限の利益喪失から通知を行うまでの期間に生じた遅延損害金を請求できません。

4 連帯保証人に生じた事由の効力

 改正前民法においては,連帯保証人について生じた事由の主たる債務者に対する効力については,連帯債務の規定を準用しており,連帯保証人に生じた事由の多くが主たる債務者についても効力を及ぼすものとされていました。

 これに対し,改正民法では,履行の請求,免除,時効の完成については,主たる債務者に対して効力を生じないことになりました。

 これにより,債権者としては,主たる債務者に対する債権と,連帯保証人に対する債権を個々に管理しなければならず,時効期間の経過等に一層注意する必要が生じます。

5 小括

 このように,皆様の生活にも影響を及ぼし得る保証に関する規定は,民法改正によって大幅に見直されています。日常生活に関する法律問題でお悩みの方は,守口門真総合法律事務所まで,いつでもお気軽にご相談ください。

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借地上の建物の名義変更について

2020年11月30日|不動産, 弁護士コラム, 相続

1 はじめに

 土地を借りて,その上に自宅等の建物を持っている場合,地主との関係で様々な法律問題が発生します。ここでは,特に借地上の建物の名義変更をする場合について,御説明したいと思います。

2 借地上の建物を贈与・売却等する場合

(1)民法上の規定
 そもそも他人の土地上に建物を所有する場合,その土地の利用権(これを「借地権」といいます)が必要となります。そして,借地上の建物を第三者に贈与したり売却等したりする場合,それに伴い借地権の譲渡も生じることになります。
 この点について,民法は「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」(612条1項)と定めており,借地上の建物を他人に譲渡する場合には,借地権設定者,ここでいう地主の承諾が必要となります。
 そして,仮に地主の承諾が無いまま借地上の建物を譲渡した場合は,土地の賃貸借契約自体を解除されてしまう恐れがあります(同条2項)。
 そこで,借地上の建物を譲渡する際に,地主に承諾を得ようとしたが,全く地主が応じてくれなかったり,いわゆる承諾料(名義書換料)の関係で話がまとまらなかったりする場合があります。
 借地権の譲渡には地主の許可が必要という原則を貫くとすると,このような場合に,建物所有者が自由に譲渡することができないという不都合が生じます。

(2)借地借家法の規定
 そこで借地借家法は、借地権者が借地上の建物を第三者に譲渡しようとする場合に、第三者(譲受人)が賃借権を取得しても地主に不利となるおそれがないにもかかわらず、地主が賃借権譲渡を承諾しないときには、裁判所は、借地権者の申立てにより、地主の承諾に代わる許可を与えることができると定めました(借地借家法19条1項前段)。
 つまり,裁判所が、地主に代わって許可をすれば、建物所有者は借地権を譲渡できることとしたわけです。
 裁判所が許可を与える際には,賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡又は転貸を必要とする事情その他一切の事情を考慮して許可の可否が決定されます(同条2項)。

(3)土地の賃借権譲渡の許可申立について
 上記のとおり,裁判所から許可を得るためには,借地権者が申立てを行う必要があります。この申立は「土地の賃借権譲渡の許可申立て」と呼ばれます(裁判所HP https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minji-section22/minji-section22-mokuji-1/index.html もご参照ください)。
 ここで,「土地の賃借権譲渡の許可申立て」はいわゆる借地非訟事件と呼ばれ,一般的な「訴訟」事件とは異なり,「非訟」事件に分類されます。非訟事件は,裁判所が後見的に介入して処理することを特徴とする事件類型をいい,裁判所は当事者の主張に拘束されず,判断をすることが出来ます。そのため,柔軟な解決がなされることが期待されます。
 なお,この申立ては,建物の譲渡前にしなければならないとされています。「建物の譲渡前」とは,建物の所有権移転登記および建物の引渡しのいずれもがなされる前であると解されています。

(4)地主の介入権
 「土地の賃借権譲渡の許可申立て」において,第三者が賃借権を取得すると地主に不利益となるような場合,勿論裁判所は許可をしません。
 もっとも,裁判所が許可するような場合であっても、地主としては、第三者が賃借人となるよりは、自らが建物と借地権を買い取って、土地の賃貸借関係を消滅させた方がよいと考えることもあります。
 そこで,借地借家法は、このような地主の希望に配慮し、地主自らが建物と賃借権の譲渡を受ける旨申し立てた場合には、相当の対価を定めて、地主に対して建物と賃借権を譲渡することを命じることができることにしています(借地借家法19条3項)。こうした地主が自らに建物と賃借権を譲渡するよう裁判所に申立てをすることができる権利を介入権といっています。
 条文上は,あくまで「これを命ずることができる。」と規定してありますが,裁判例では,地主から譲渡の申立てがあったときには、原則として裁判所は譲渡を命ずる裁判をしなければならないと判断したものもあります(東京高裁昭和52年6月9日決定)。

3 借地上建物を相続する場合

 例えば,相続で亡くなった父親の借地上の建物の名義変更をする場合,贈与・売却等する場合と同様に,地主の承諾は必要でしょうか。
 結論としては不要です。というのも,相続とは、被相続人の権利が相続人に対して当然に承継されるものであり、借地権の相続においても、相続という性質上、借地権という権利が当然に相続人に受け継がれるためです。
 したがって,地主の承諾は不要ですし,承諾が必要ない以上,いわゆる承諾料など地主から請求されても支払う必要はありません。

4 最後に

 今回は,借地上の建物の名義変更について御説明させて頂きましたが,不動産に関する法律問題は多岐にわたり,ご本人様の対応では難しい場面が多いことかと思います。
 何か,不動産に関することでご不安なことがございましたら,お早めに守口門真総合法律事務所までご相談ください。

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水害リスク情報の重要事項説明への追加

2020年09月14日|不動産, 弁護士コラム

1 水害リスク情報の重要事項説明への追加

 昨今,平成30年7月豪雨や令和元年台風19号など,人の生命や身体,財産だけでなく各種産業にも甚大な被害をもたらす大規模な水害が頻発しています。

 これらを受けて,国土交通省は,宅地建物取引業法施行規則を改正し,不動産取引時にて,水害リスクにかかる情報について重要事項説明の対象に追加することとしました。水害リスクは,不動産取引における契約締結の意思決定を行う上で重要な要素となっていることが指摘されています。

 本年8月28日に施行されていますので,今後,重要事項説明をする際には,水害リスクにかかる情報についても説明することが必要となります。

2 改正条文からみる説明の仕方

(1)説明すべき事項として追加された施行規則の条文は,概要,以下のとおりです。
 「水防法施行規則第11条第1号の規定により当該宅地又は建物が所在する市町村の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されているときは,当該図面における当該宅地又は建物の所在地」

(2)水防法により市町村から提供される図面とは,いわゆる水害ハザードマップです。各市町村が印刷物を配布したりホームページ等に掲載したりしていますので,入手することができます。
 入手可能な最新の水害ハザードマップを用いることが求められますので,取引の度に確認する必要があります。もっとも,ホームページ等に掲載されている水害ハザードマップを最新のものとして差し支えありません。また,水害ハザードマップの作成時点が分かる場合には,作成時点を明記することが望ましいとされています。

(3)取引の対象となる宅地建物が所在する市町村が水害ハザードマップを作成していない場合や,印刷物の配布やホームページ等への掲載をしていない場合には,その旨を当該市町村に照会したことをもって調査義務を果たしたことと解釈されます。

(4)河川ごとに水害ハザードマップが作成されていることもあり,取引の対象となる宅地建物の所在地が複数のハザードマップに含まれている場合には,それぞれについて説明する必要があります。

(5)重要事項説明としては,水害ハザードマップにおける取引の対象となる宅地建物の所在地を説明する必要があり,水害ハザードマップに記載されている内容の説明まで義務付けるものではありません。もっとも,水害ハザードマップ上に記載された避難所について,併せてその位置を示すことが望ましいとされています。位置を示した避難所が最適の避難所であると相手方が誤認することのないよう,周辺の複数の避難所の位置を示すことが望ましいと考えられます。

(6)水害ハザードマップに記載された浸水想定区域に該当しないことをもって,水害リスクがないと相手方が誤認することのないように配慮することが求められています。また,水害ハザードマップに記載されている内容については今後変更される場合があることを補足することが望ましいとされています。
水害ハザードマップに記載されている内容につき,詳細な説明を求められた場合には,市町村の窓口に問い合わせて頂くように案内することとなります。

3 防災・減災の社会

 国土交通省は,令和2年7月「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト~いのちとくらしをまもる防災減災」をとりまとめました。その中で,日本は,河川が急こう配であること,都市部には海抜ゼロメートル地帯が広範囲に存在すること,多くの活断層やプレート境界が分布していることなど脆弱な国土条件であるうえ,近年の気候変動による水災害の頻発・激甚化を指摘しています。

 また,都市の水災害対策として,都市開発の際に雨水貯留施設の整備や周辺住民等の避難施設等の整備をすることで,建築物の容積率を緩和する制度を活用する通知が発せられています。

 今後はより一層,水災害リスクについて社会全体で対策をとってゆくことが求められているといえます。法律や制度の変更に伴う疑問点などあれば,弁護士に相談ください。

<参考>
国土交通省HP
宅地建物取引業法施行規則の改正について
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_fr3_000074.html
民間事業者による水災害対策の取組を促進します
~都市における水災害対策を進めるための容積率緩和の考え方について通知を発出~
https://www.mlit.go.jp/report/press/toshi07_hh_000161.html

生産緑地の「2022年問題」

2020年07月20日|不動産, 弁護士コラム

1 生産緑地

(1)生産緑地とは
生産緑地とは,いわゆる「都市農地」です。都市の近郊にあって農地や緑地として存在する一定規模の土地を指します。

生産緑地法により,1992年に指定されて,現在に至るまで,農地や緑地として地盤保持や保水のために管理されていた土地です。そのため,建築等の行為に制限が課せられておりました。一方で,固定資産税や相続税などの税制面での優遇を受けられてきました。

(2)2022年に生産緑地の何が問題
生産緑地法の指定から30年を経過すると,生産緑地の所有者は,市町村長に対して生産緑地を時価で買い取るよう申し出をすることができます。そして,その申し出から3か月以内に生産緑地の所有権の移転がなされなければ,生産緑地内の行為制限が解除され,建築等の行為をすることができるようになります。これにより,都市近郊の一定規模の土地が,マンションや戸建ての宅地用に取引されるようになることが予想されます。

ほとんどの生産緑地は,1992年に指定されましたので,指定後30年を迎える2022年になると,行為制限の解除ができるようになります。その結果,宅地用地が市場に大量に出回り,土地の価格が大きく下落するのではないかという問題が,「2022年問題」とされています。

2 大阪府の生産緑地

大阪府にも,「都市農地」である生産緑地が存在します。
1万件を超える地区数が存在し,面積にして2210ヘクタールになります。面積のうち南部大阪が約半数をしめ,次いで東部大阪,北部大阪の順に割合を占めています。大阪市内にも存在しています。

3 生産緑地の所有者にとっての問題

(1)土地の売却という選択肢が増える
生産緑地の行為制限が解除されれば,宅地化して売却する選択肢をとることが容易になります。なお,売却するにあたり,相続税の納税猶予の制度を利用している場合には,猶予されていた税額を納付する必要が生じます。

(2)生産緑地の指定継続も可能
一方で,生産緑地の指定を継続することも可能です。その場合には農業を継続する必要があります。

ここで,農業従事者の減少と高齢化という現実があります。2015年農林業センサスでは,平成17年から平成27年の10年間で,農業従事者は約4割減少しています。また,農業従事者の平均年齢も3.2ポイント高齢になっています。そして農業後継者の有無のアンケートでは,7割の回答で同居農業後継者がいないとしています。

(3)問題は,事業承継の計画
このように,生産緑地の所有者にとっての問題は,生産緑地の売却という選択肢が増えた一方で,営農の事業承継が困難な現状から「生産緑地を売却せざるを得ない」ことにあるともいえます。

いずれの選択肢をとるとしても,事前に計画を立てておくべきです。営農についての事業承継の可否を検討する必要がありますし,所有者が高齢で認知症などの場合には,処分にあたって成年後見制度を利用する必要があります。

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