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相続

相続財産に当たるものは?相続方法や相続放棄のポイントも含めて解説

2022年02月25日|弁護士コラム, 新着情報, 相続

【目次】

  • ・どんなものが相続財産になる?
  • ・相続税の課税対象になるものは?
  • ・相続税の計算は自分でもできる?
  • ・相続税が高すぎてマイナスになるということはある?
  • ・借金などのマイナスの財産も相続しなくてはいけない理由
  • ・相続にはどのような方法がある?
  • ・相続放棄をしたことを他の相続人にも伝えるべき?
  • ・相続放棄をする場合いつまでに決断が必要? タイムリミットは?
  • ・まとめ

「相続」と聞くと、難しそうな印象を持つ方も多いのではないでしょうか。
しかし、親や配偶者などが亡くなった時に、相続は避けては通れない問題です。
今回は、どのようなものが相続財産となるのか、相続にはどのような方法があるのか、相続放棄をする場合のポイントなど、弁護士としての経験を踏まえながら、基本的なポイントをまとめました。
ぜひ参考にしてください。

どんなものが相続財産になる?

民法第896条本文に「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と規定されているとおり、「権利」のみならず「義務」も相続します。
前者は、不動産・預金・現金・有価証券等。
後者は、借入金・住宅ローン・損害賠償義務等です。
保証人としての地位も相続するため、保証債務も含みます。
但し、従業員としての労務提供義務・映画を撮影する債務・カメラマンが撮影する債務等は、その人自身が履行しないと意味が無い債務ということで、相続されることはありません。この点につき民法は、「被相続人の一身に専属した財産」は相続されない、と規定しています。

相続税の課税対象になるものは?

プラスの財産(積極財産)からマイナスの財産(消極的財産)を差し引いて、遺産総額を決めます。
葬儀費用も遺産総額から差し引くことが可能です。
そのうえで、遺産総額から基礎控除額を差し引いたものが、課税対象になります。
なお、基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」です。

相続税の計算は自分でもできる?

遺産に不動産がない場合は、自分で相続税の計算ができる可能性もあります。
他方、不動産がある場合は特例の適用により税額が下がりますが、特例は難解です。
自分で計算をすることは難しいので、税理士に依頼されるほうが良いと思います。
また、基礎控除後もなお課税対象となる資産があるような場合も、税理士に依頼されるほうが良いでしょう。
計算方法は、遺産総額から基礎控除額を差し引いて、いったん法定相続分を相続したと仮定して相続税率を適用し「相続税の総額」を算出。
そのうえで、各相続人に配分し、税額控除等を加味して、各相続人の納付税額を算出することになります。

相続税が高すぎてマイナスになるということはある?

遺産よりも相続税が上回ることはありませんので、マイナスになることはありません。
しかしながら、例えば「遺産不動産が1憶円の価値があるが、遺産預金は300万円しかない」というようなケースでは、マイナスではないけれども、納税する預金が足りないという事態は生じえます。
そのような場合は、遺産不動産を売却して売却金を納税するか、不動産そのものを納める(物納する)ことになります。
物納に関しては要件が複雑ですので、税理士の関与が不可欠です。

借金などのマイナスの財産も相続しなくてはいけない理由

プラスの財産を相続する場合は、マイナスの財産も含めて「一切の権利義務」(民法第896条)を相続することになります。
よって「資産は相続するが、負債は相続しない」と言うことはできません。
また「この資産は相続するが、この資産は相続しない」と言うようなこともできません。

相続にはそどのような方法がある?

相続には「単純承認」「限定承認」「相続放棄」という3つの方法があります。
それぞれの特徴や方法について、解説しましょう。

単純承認

単純承認は、被相続人の資産(積極財産)・債務(消極財産)の全てを相続すること。
積極財産が消極財産を上回る場合に最適な方法です。
以下の3つの場合は、意思表示しなくても、単純承認したものとみなされる(法定単純承認)ので、注意が必要です。
①相続財産の処分、②熟慮期間内に相続放棄等をしない、③相続放棄等をした後に、相続財産を隠匿・消費したりした場合です。

限定承認

限定承認は、相続人が相続によって得た財産の限度で、被相続人の債務の負担を受け継ぐ方法。
「被相続人の債務がどの程度あるか不明であり、債務が相続財産を超過する可能性もある」という場合に最適です。
熟慮期間内に、家庭裁判所に、財産目録を提出して申立てをすることで可能な方法ですが、相続人全員で申立てをする必要がある点には要注意です。

相続放棄

相続放棄は、一切の遺産を相続しない方法。
資産(積極財産)よりも債務(消極財産)のほうが多い場合に最適です。
方法としては、家庭裁判所に対して申立てをすること(財産目録の添付は不要)。
注意点としては、「熟慮期間内の申立てが必要であること」「相続財産の一部のみの放棄はできないこと」が挙げられます。

相続放棄をしたことを他の相続人にも伝えるべき?

第1次相続人が相続放棄をすると、相続の権利は第2次相続人へと移行します。
さらに第2次相続人が相続放棄をすると、第3次相続人へと相続権は移っていきます。
そのため「債務が多いので誰も相続をしない」という場合、第1次相続人が相続放棄した後に、第2次相続人が相続放棄し、その次に第3次相続人が相続放棄をする流れとなります。
例えば、夫が死亡した場合、第1次相続人である妻及び子が相続放棄し、続いて第2次相続人である夫の親が生存している場合はその親が相続放棄をする。
そして、次に第3次相続人である夫の兄弟姉妹が相続放棄をします。

相続放棄を次順位の相続人に伝えるかどうかですが、事案によっては、第1次相続人が相続放棄したことを、第2次相続人に伝えないケースもあります。
伝えないことで、熟慮期間がスタートしませんので、理論上、第2次相続人はいつまででも相続放棄ができることになります。
伝えるか伝えないかはケースバイケースですが、当職の経験則上「将来、次順位の相続人に迷惑をかけたくない、きちんとしておきたい」というケースでは、伝えます。
また、債権回収に勤勉な債権者がいる場合は、第2次相続人に請求していくこともありますので、あらかじめ伝えて、第2次相続人に相続放棄を促すケースもあります。

相続放棄をする場合いつまでに決断が必要? タイムリミットは?

タイムリミットは、「熟慮期間」と言い、相続の発生を知ってから3か月以内です。
もっとも、債権債務が複雑であり、同期間内で相続放棄すべきかどうかを判断できない場合は、期間伸長の申立てが可能で、その場合は3か月間延長してもらえます。
この申立ては、比較的、簡単に認められます。
その3か月内に、信用情報機関に調査をかけたり、郵便物をチェックしたりして、債務の有無を調査して、相続放棄すべきかどうかの判断材料とします。

まとめ

今回は、相続財産となるもの、相続の種類と方法、相続放棄について解説しました。
相続に関して、弁護士に依頼すべきかどうか悩まれる方も多いと思いますが、限定承認は難解な手続ですので、弁護士に依頼されることをお勧めします。
また、相続放棄については、御自身でもできなくはないですが、除籍や戸籍を収集したり、申立書を作成したり、印紙額を調べて購入したり等、かなりの手間が発生します。
また、誤って法定単純承認をしてしまったりすると取り返しがつきません。そのため、相続放棄をする場合も弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。

弁護士村上和也のプロフィール

所属:大阪弁護士会
重点取扱分野:遺言・相続(遺産分割・遺留分・遺言執行)・事業承継・成年後見
講演歴:①「相続・遺言・遺留分・金銭管理・成年後見」(地域包括支援センター家族介護教室での講演)
    ②「今日から始める相続対策」(終活セミナーでの講演)
    ③「金銭管理・成年後見・個人情報保護」(認知症サポーター養成講座での講演)
    ④「成年後見と財産管理における弁護士のかかわり方,法定後見,任意 後見,見守り契約,死後事務委任契約等」
    (介護福祉支援員に対する講演)
    ⑤「意思決定支援」(三市合同社会福祉士連絡会での講演)

弁護士からのメッセージ
・早い段階で御相談いただくほうが良い解決につながることが多いですから,ささいなことでも結構ですので,お早めにお問い合わせください。
・相続問題は,遺産分割調停・遺留分減殺請求訴訟等,様々な紛争を扱う,紛争処理のプロである弁護士に御相談ください。
・税理士・司法書士とも連携し,ワンストップサービスを御提供していますので,相続税申告・準確定申告・相続登記についても,御心配は無用です。
・遺言作成や遺産分割協議を数多く手掛けてきており,危急時遺言の作成実績もある数少ない法律事務所です。

遺言・相続・成年後見のことでお悩みの場合,まずは守口門真総合法律事務所までお問い合わせ相談ください。初回は無料で御相談可能です。
守口門真総合法律事務所(京阪守口市駅西出口すぐ)
TEL:06-6997-7171
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相続について知っておきたい基礎知識 法定相続人と相続割合

2021年11月29日|弁護士コラム, 新着情報, 相続

守口門真総合法律事務所の弁護士村上和也です。
相続が必要になったときに、誰にどのような割合で遺産が相続されるのか、気になられる方は多いのではないでしょうか。
そこで本日は、相続のルールについて解説をさせていただきます。

法定相続人とは?

被相続人(亡くなった方)と一定の親族関係にあった方を、法定相続人といいます。法定相続人に該当するのは、配偶者・子(またはその代襲者・再代襲者=孫やひ孫)・直系尊属・兄弟姉妹等が該当します。「直系尊属」という単語は最近使うことが少なくなったかもしれませんが、両親や祖父母のことをいいます。

法定相続人優先順位

法定相続人の優先順位は ①子(またはその代襲者・再代襲者=孫やひ孫)・②直系尊属(※)・③兄弟姉妹です。
配偶者は常に相続人になります。

(※) ②直系尊属については、親等の近い人から相続人になります。具体的には、父親と祖父がともにいる場合は、父親です。

●法定相続人となるはずの子どもが他界している場合
子どもがすでに他界している場合、孫が代襲相続人として、相続人になります。
孫も他界していて、ひ孫がいる場合、ひ孫が再代襲相続人として相続人になります。

●もともと子どもがいない場合
第2順位として直系尊属である親が相続人になります。親が死亡しており、祖父母は健在の場合は、祖父母が相続人になります。

●被相続人(亡くなった人)が未婚の場合
第2順位として直系尊属である親が相続人になります。
親が死亡しており祖父母は健在の場合は、祖父母が相続人になります。兄弟がおらず、両親、祖父母、曾祖父母も他界している(法定相続人がいない)人で、遺産がある場合は、最終的に国庫に帰属する(国のものになる)ことになります。

遺産の割合について

遺言があればそれに従います。
遺言がない場合は民法900条の規定に従って、割合が決まります。
①子及び配偶者=各1/2
②配偶者及び直系尊属=2/3と1/3
③配偶者及び兄弟姉妹=3/4と1/4
④子、直系尊属、兄弟姉妹が数人いるときは、頭割り。
※但し、半血の兄弟姉妹(異父兄弟・異母兄弟)は、全血(被相続人とその配偶者の子ども)の1/2。

②と③のケースでは「配偶者が全部相続する」と誤解されている方がたまにいますが、このように、直系尊属や兄弟姉妹も相続人となります。
③のケースにおいては、例えば、配偶者妻と被相続人の姉(嫁と小姑)のような場合、被相続人の生前から不仲な事例もあり、争族となることもあります。

内縁の妻との間の子どもの相続分
いわゆる婚外子は、非嫡出子として、昔は嫡出子の1/2でした。
嫡出子の相続割合を多くすることの理由(立法趣旨)の1つとして「法律婚の尊重」が挙げられます。
しかし、平成25年の最高裁判決は「個人の尊重という観点から、法律婚という制度の下で父母が婚姻関係にないという子にとって自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由として子に不利益を及ぼすことが許されないこと」より、憲法14条に反すると判示しました。
その後、民法改正により、非嫡出子と嫡出子の区別は無くなりました(相続分は同じ)。

未成年者が相続人になった場合は?
未成年者は行為能力がないため、遺産分割協議を有効に成立させることができません。ここで、一般的には、未成年者については親が法定代理人として代理します。
もっとも、遺産分割協議の場面においては、一方の取り分が増えると他方の取り分が必然的に減る(「遺産」というパイは決まっているため)という利益相反状況にあります。そのため、親は代理人になれません。
「利益が相反するかどうか」については、実質的ではなく形式的に判断されるからです。
そこで、家庭裁判所に、特別代理人の選任を申立て、その特別代理人が未成年者を代理して、遺産分割協議に参加することになります。
「特別代理人の選任申立ての進め方が分からない」「手続きが煩わしい」といった場合は、弁護士のサポートを受けることで、スムーズに進められます。

まとめ

遺言書がない場合は法定相続人間で遺産分割協議をしますが,遺産分割協議を実施する際には,民法に定められた相続割合を参考にしながら,遺産分割協議を進めていくことになります。
「相続の割合を指定したい」「法定相続人以外の人に、遺産を遺贈したい」といった希望がある場合、遺言書を作成することで叶えることができます。
昨今、相続人同士での争いが起きないように、生前に遺言書の作成を検討される方も増えています。
「遺言書の作成を考えたい」という場合は、相続の経験・知識が豊富な弁護士にご相談ください。

弁護士村上和也のプロフィール
所属:大阪弁護士会
重点取扱分野:遺言・相続(遺産分割・遺留分・遺言執行)・成年後見
講演歴:①「今日から始める相続対策」(終活セミナーでの講演)
    ②「相続・遺言・遺留分・金銭管理・成年後見」
     (地域包括支援センター家族介護教室での講演)
    ③「金銭管理・成年後見・個人情報保護」(認知症サポーター養成講座での講演)

弁護士からの一言
・早い段階で御相談いただくほうが良い解決につながることが多いですから、ささいなことでも結構ですので、お早めにお問い合わせください。
・相続問題は、遺産分割調停・遺留分減殺請求訴訟等、様々な紛争を扱う、紛争処理のプロである弁護士に御相談ください。

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守口門真総合法律事務所(京阪守口市駅西出口すぐ)
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遺言書は必要?弁護士にサポートしてもらうメリットは?

2021年10月11日|弁護士コラム, 新着情報, 相続

守口門真総合法律事務所の弁護士村上和也です。
遺言書は必要ですか?,弁護士にサポートしてもらうメリットは何ですか?,等につき,よく御相談を受けますので,本日はこの点の解説をさせていただきます。

「遺言書」という言葉や存在を知っていても、実際に遺言書を作成している方は少ないのではないでしょうか。「遺言書を作るのは大変そう」「子どもがいないから不要なのでは?」と思うかもしれません。
しかし、遺言書を作成しておくことで得られるメリットがあります。
遺言書の必要性や費用について理解した上で、作成を検討していただければ幸いです。


【目次】
遺言書はなぜ必要?
遺言書作成のタイミングについて
遺言書は自分で簡単に作ることができる?
遺言書を作成した後はどうしたらいい?
遺言書の作成を弁護士にサポートしてもらうメリットについて
まとめ



遺言書はなぜ必要?

 遺言書がないと、残された家族が遺産を巡って揉めてしまう可能性があります。
 親が健在の時には、親からの援助や支援(学費やその他費用など)について、兄弟姉妹間で不満を持っていても、表面化することは少ないと思います。
しかし、親が亡くなると、今までため込んでいた不満が爆発し、相続争いになることがあります。
 例えば「兄は留学費用を出してもらったけど、私は留学していない」「妹は新居購入の費用を出してもらったけど、私は何もしてもらっていない」など、過去のことが火種になったりします。
 血のつながっている兄弟姉妹でも争いになりやすいですから、血がつながっていない兄弟姉妹の場合はさらに争いが起こりやすい傾向にあります。父親が再婚していて、先妻・後妻それぞれに子どもがいる場合などは、相続トラブルに発展しやすいです。

兄弟姉妹の人数が多いとトラブルになりやすい?
 兄弟姉妹の人数が多い人が亡くなった場合も、相続が大変になります。
とくに、兄弟姉妹の中に子どもがいない人がおり,その人が亡くなった場合は、相続人に該当する人が多くなるので要注意です。
 なぜなら、子どもがいない人の場合は,兄弟姉妹も相続人になるためです。
兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、その子ども(亡くなった人の甥姪)が相続することになります。代襲相続人といいます。
 そのため、たくさんの兄弟姉妹がいる場合は相続人(甥姪)も多くなり、相続の手続きが大変になってしまうのです。
 相続は親族間で争いが起こりやすいので、遺言書があると、遺産分割をスムーズに進められ、無駄な争いを防ぐことができます。

遺言書作成のタイミングについて

 遺言書の作成は早い方がいいです。
 自分が何歳まで生きられるかは、誰にも分かりません。
 不慮の事故・病気などで突然亡くなってしまう可能性もありますので、「遺言書について相談しようかな…」と思った時がベストタイミングです。
 当事務所では60代~70代の方からのご相談が多いですが、50代や80代の方もいらっしゃいますし、50代でも決して早すぎることはありません。遺言書は気が変わったら作り直すことも可能ですので、ご安心ください。

遺言書作成時と相続時で資産状況が変わることについて
 みなさん心配されるのは「早く作成しすぎると、遺言書作成時と相続時で資産が変わってしまう(資産が減ってしまっている可能性がある)のでは?」という点です。確かに、老後に銀行口座のお金を生活資金などで使うと、口座の預金残高は減っていきます。
 しかし、遺言書では「預金の割合を指定する」という方法もあります。
 3人兄弟であれば、「長男:次男:三男=2:1:1」の割合で分けるという内容も可能なのです。また、金額ではなく「相続する口座を指定する」という方法もあります。この場合であれば、口座の金額が変動しても問題ありません。
 遺言書作成時と相続時の資産状況の変化については、そこまで心配する必要はありません。

遺言書は自分で簡単に作ることができる?

 遺言書には、自分で書く「自筆証書遺言」、公証人と作成する「公正証書遺言」があります。自筆で作成する場合は「自筆証書遺言」となり、遺言書のルールを守り、日付・捺印なども忘れずに作成することができれば問題ありません。以前は財産部分の作成が難しかったのですが、法改正によって、目録はパソコンのソフト「Word」での作成も認められるようになりました。

 また、通帳のコピーも認められるようになり、遺言書作成のハードルが下がっています。ただし、遺言書のルールが守れていないと無効になるので、個人で作成する場合はしっかり確認をしましょう。不安な場合は、弁護士のサポートを受けることも可能です。
 当日に遺言書を作成できるケースもあります。

公正証書遺言にはどんなメリットがある?
公正証書遺言は、偽造の心配がありません。そのため、遺言書を巡っての争いが起きないというメリットがあります。また、検認も不要となります。
 このようなメリットから、当事務所で遺言書を作成される方の7~8割の方が公正証書遺言を選んでいます。ただし、作成には印鑑証明や戸籍謄本などの書類を用意する必要があり、公証人とのスケジュール調整もあります。
 作成には、最低でも2,3週間、長い場合は1,2カ月程度かかるでしょう。
 弁護士がサポートをする場合、原案作成、公証人との内容すり合わせ、スケジュール調整を代行します。完成までにはそれなりに時間がかかりますので、早めにご相談ください。

遺言書を作成した後はどうしたらいい?

 自筆証書遺言の場合は、完成した遺言書を封筒に入れしっかり封をし、保管します。そして家族などに遺言書の存在を伝え、その時がきたら実行してもらいましょう。
 公正証書遺言の場合、原本は公証役場で保管してくれます。
 公証人から正本・謄本を受け取ることになります。家族にも公正証書遺言があることを伝え,正本・謄本のうちどちらか1つの保管を委ね、他1つを自分で保管しておきましょう。

確実に遺言書を残すには?
 遺言書の存在は、自分だけが知っていても意味がありません。
必ず実行可能な人、家族や信頼できる人に知らせて、適宜,託しておきましょう。
 自筆証書遺言の場合、原本しかありませんので、無くさないように気を付けてください。自筆証書遺言は公正証書遺言よりも手軽に作成できますが、偽造・変造される不安が残ります。遺言書は手を加えられると、無効になってしまいます。
 また、誰かに捨てられたり無くされたりしてしまったら、遺言書は無意味になってしまいます。確実に遺言書を残したい場合は、公証役場で原本を預かってもらえる「公正証書遺言」を選択しましょう。

遺言書の作成を弁護士にサポートしてもらうメリットについて

 弁護士がサポートをすることで、確実に有効な遺言書が作成できます。
 また、家族構成などを考慮し、争いがおきにくい遺言書にすることも可能です。手間のかかる資料収集のサポートなども行いますので、スピーディーに作成することができるのもメリットですね。

遺言書作成の費用はどれくらい?
 当事務所で遺言書を作成する場合、下記が費用の目安となります。
・自筆証書遺言:3~5万円程度
・公正証書遺言:20万円程度
※別途,公証人への手数料(数万円~10万円程度)がかかります。
 遺言書の内容の変更(遺言書の作り直し)は、初回費用の半額程度で対応しています。

まとめ

 遺言書は、残された家族・親族が相続争いを起こさないためにも必要です。
 作成に早すぎることはありませんので、気になったタイミングでご相談ください。ご自身で作成していただくことも可能ですが、遺言書にはルールもあります。確実に有効となる遺言書を作成するためにも、法律のプロである弁護士のサポートを受けられることをおすすめします。
 弁護士に依頼する場合、費用はかかりますが、もし遺言を作成しないまま亡くなって遺族が遺産争いをすることになれば,100万以上の弁護士費用が発生することが多々あります。
 争いが起きないように遺言書を作成しておくことで、残された家族のためにもなりますので,是非,早急に遺言書の作成を御検討いただければと思います。

弁護士村上和也のプロフィール
所属:大阪弁護士会
重点取扱分野:遺言・相続(遺産分割・遺留分・遺言執行)・成年後見
講演歴:①「今日から始める相続対策」(終活セミナーでの講演)
    ②「相続・遺言・遺留分・金銭管理・成年後見」
     (地域包括支援センター家族介護教室での講演)
    ③「金銭管理・成年後見・個人情報保護」(認知症サポーター養成講座での講演)
<弁護士からの一言>
・早い段階で御相談いただくほうが良い解決につながることが多いですから,ささいなことでも結構ですので,お早めにお問い合わせください。
・相続問題は,遺産分割調停・遺留分減殺請求訴訟等,様々な紛争を扱う,紛争処理のプロである弁護士に御相談ください。

遺言・相続・成年後見のことでお悩みの場合,まずは守口門真総合法律事務所までお問い合わせ相談ください。初回は無料で御相談可能です。
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民法改正 ~売買・贈与に関する規定の見直し~

2021年07月22日|不動産, 借金問題, 弁護士コラム, 相続

1 売買・贈与に関する規定の見直し

 平成29年5月26日,民法の一部を改正する法律が成立し(同年6月2日公布),一部の規定を除き,令和2年(2020年)4月1日から施行されています。

 民法改正によって,売買・贈与に関する規定も一部変更となりましたので,以下,変更された主な規定をご説明致します。

 なお,瑕疵担保責任の規定については,従前,「民法改正~瑕疵担保責任から契約不適合責任へ~」の中で解説しておりますので,今回の説明からは省略させて頂きます。 

2 危険負担の債権者主義が廃止

 危険負担とは,債務者に責任のない事由によって,目的物が滅失・損傷し,債務者の目的物給付義務が消滅した場合に,債権者も反対債務である代金支払義務を免れるか,すなわち,債権者と債務者のいずれが危険を負担するのかという問題です。

 改正前民法534条は,特定物の危険負担について債権者主義を定めており,このような場合に「債権者が危険を負担する」,すなわち債権者は反対債務である代金支払義務を免れない,との結論が取られていました。
 もっとも,債権者からすれば,未だ目的物の引き渡しを受けていないにもかかわらず,代金支払義務を負担することになるため,結論の妥当性に疑問の声も挙がっていました。

 改正民法では,危険負担における債権者主義(債権者が危険を負担する)が廃止され,当事者双方の責めに帰することができない事由によって,目的物が滅失・損傷した場合,債権者は反対給付(代金支払義務)の履行を拒めることが明記されました。

 一方で,債権者の責めに帰すべき事由によって,目的物が滅失・損傷した場合,債権者に反対給付の履行拒絶権がない点は従来どおりです。
 そして,改正民法では,目的物の引き渡しによって危険が移転することが明示され,目的物の引き渡し後に目的物の滅失・損傷が生じた場合には,債権者は,これを理由とする追完,代金減額,損害賠償請求,契約解除ができないことが明らかにされました。

 また,債務者による履行の提供が行われたにもかかわらず,債権者が履行の受領を拒絶した場合,改正前民法においても,その後に発生した危険は債権者が負うとされていましたが,改正民法では,契約内容に適合する履行の提供さえあれば,売主側から買主側へ危険が移転することが明文化されています。

3 売買の手付解除

 改正前民法においては,買主が売主に手付を交付したときは,売主は手付の倍額を「償還」すれば,契約解除が可能と規定されていました。しかし,改正民法においては,売主は手付の倍額を「現実に提供」すれば契約解除が可能とされています。

 元々判例上,売主は手付の倍額を「現実に提供」すれば手付解除が可能とされており,「償還」までは不要とされておりましたので,今回の改正は,かかる判例法理が明文化された形であり,事実上大きな変更はありません。

 また,改正前民法では,「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」は手付解除が可能と定められていました。しかし,「当事者の一方」との文言では,手付解除を行う者のみが履行に着手した場合でも,手付解除が認められなくなるとの誤解を受ける恐れがありますので,改正民法では,「その相手方」が契約の履行に着手した後は手付解除ができない,との表記に改められました。

4 贈与

 贈与者の担保責任について,改正前民法は,贈与者は,贈与の目的物又は権利の瑕疵又は不存在について責任を負わないとしながらも,「贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったとき」は,担保責任を負う旨規定していました。
 しかし,改正民法では,贈与者は,「贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引渡し、又は移転することを約したものと推定する。」との推定規定が置かれましたので,贈与の当事者間でこれと異なる合意等があることを立証しない限り,贈与者は担保責任を負わないこととなります。

5 小括

 このように,民法改正によって,売買・贈与に関する規定もいくつか変更されており,変更後の規定は,改正民法施行後に新たに締結された売買・贈与契約に適用されます。

売買・贈与等の法律問題でお悩みの方は,守口門真総合法律事務所まで,いつでもお気軽にご相談ください。

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遺産分割事件における調停に代わる審判

2021年03月23日|弁護士コラム, 相続

1 遺産分割事件について

 遺産分割事件において,当事者間の任意の交渉で合意が成立しない場合,遺産分割調停の申立てを行い,そこでも調停が成立しない場合には,原則的には,遺産分割審判に移行し,最終的に家庭裁判所が「審判」を下すことによって事件を終結させます(詳しくは,弊所HP「遺産分割」の欄(https://murakami-law.org/inheritance/heredity-003.html)をご覧ください)。

 もっとも,遺産分割事件においては,そもそも相続人が多数になることも多く,その相続人の中には,遺産の取得に興味を示さない方がいることも少なくなくありません。そして,そのような相続人は,遺産分割調停の申立てがなされ,裁判所より連絡があっても,全く応答せず,申立内容に対する賛否等を明らかにしないまま調停期日に欠席するということもあります。

 この場合,遺産分割調停はあくまで当事者全員による出席が必要であるため,一人でも上記のような相続人がいる場合には調停は不成立となり,審判手続へと移行することになります。

 しかし,相手方が申立内容について争っている事案と異なり,何ら反応を示さない等の不誠実な対応で,審理に相当程度の時間を要することとなる審判手続に移行することは,申立人や既に遺産分割内容に賛成している他の相続人にとって,多大な不利益となります。

 したがって,実務上では,「調停に代わる審判」という手続が採用されることがあります。

2 調停に代わる審判

(1)調停に代わる審判とは,遺産分割調停が成立しない場合でも,一定の要件が充たされる場合,調停終了と同時に裁判官によって法的な解決内容を決定することができる制度をいいます(家事事件手続法284条)。

 その特徴は,当事者からの申立てがなくとも,裁判所の判断で職権に基づき実施される手続であり,迅速かつ終局的な解決を行われるという点です。そのため,調停に参加していた当事者にとって,通常のように審判手続へと移行するよりも,時間的・心理的・経済的なメリットが大きい手続であると言えます。

(2)実際の条文は以下のとおりです。

(調停に代わる審判の対象及び要件)
第二百八十四条 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。ただし、第二百七十七条第一項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。

2 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。

3 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。

 上記第2項に記載されているように,調停に代わる審判手続は,今まで調停を担当していた調停委員の意見を踏まえて,調停が継続している裁判所が判断することになるため,調停の経緯も踏まえた判断がなされることとなります。

 先ほど御説明したとおり,調停に代わる審判手続は,裁判所の判断で実施するか否かを決めるものであり,当事者に同手続を行うよう申立てをする権利は認められていませんが,調停の中で調停委員に対して,同手続を実施するよう上申を行うことは可能です。

(3)調停に代わる審判手続の要件は裁判所が「相当と認めるとき」とされており,当事者の一方が合理的な理由もないのに合意を拒んでいる場合を指します。

 具体的には,冒頭の例のように,①一部の相続人が賛否を明らかにしないまま期日に欠席する場合,②ただ一人だけ遺産分割の方針に反対している相続人おり,その反対の理由も感情的なものに過ぎない場合,③わずかな意見の食い違い等によって遺産分割調停があと一歩のところで成立しない場合等が挙げられます。

 こうした場合には,多数の相続人が同意している内容で調停に代わる審判がなされ,合理的で迅速な解決が図られることとなります。

(4)調停に代わる審判手続は,このように迅速な解決に役立つ手続ではありますが,注意点もあります。

 まず,調停に代わる審判では,その内容について不満がある当事者には,異議の申立てを行う権利が認められており(家事事件手続法286条),異議の申立てがあった場合には,事件は通常の審判手続へと移行することとなります。

 また,調停に代わる審判手続は,その告知によって効力が生じますが,公示送達により告知することはできないとされているため(家事事件手続法285条2項),当事者が所在不明の場合には,この手続を利用することはできません。

3 最後に

 今回は,遺産分割事件における「調停に代わる審判」という手続について御説明させて頂きましたが,相続や遺産分割に関する法律問題は多岐にわたり,ご本人様の対応では難しい場面が多いことかと思います。
 何か,ご自身やご家族の相続に関することでご不安なことがございましたら,お早めに守口門真総合法律事務所までご相談ください。

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