交通アクセス

〒 570-0056
大阪府守口市寺内町2丁目7番27号
ステーションゲート守口5階 ※ビルに駐車場はございませんので,
近隣有料駐車場をご利用ください

相談予約受付中です

06-6997-7171 [受付時間]平日9:00~18:00

メールでのご予約

※電話・メールのみでの法律相談は行っておりません。

守口門真総合法律事務所重点取扱い分野

  • 交通事故
  • 相続(守口・門真)
  • 後見(守口・門真)
  • 不動産
  • 企業法務
  • 離婚
  • 借金
  • 法人破産

不動産

所有者不明土地問題②民法・不登法改正

2021年08月27日|不動産, 弁護士コラム

 今回は、2021年4月に成立した民法・不動産登記法等の改正法について、解説します(参考:法務省HPより「民法等の一部を改正する法律」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」の概要)。

1.改正の背景

 改正の背景には、所有者不明土地問題があります(過去の弁護士コラム「所有者不明土地問題」)。
 近時、相続登記がされないこと等により、①不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地、又は、②所有者が判明しても、その所在が不明で連絡が付かない土地、いわゆる『所有者不明土地』が多数発生しています(総面積は九州本土よりも大きいといわれます。)。

2.法改正の概要

 今回の改正は、①所有者不明土地の発生予防と②所有者不明土地の利用の円滑化の両面から、民法や不動産登記法などを見直すものです。

(1)民法の改正
①共有制度の見直し
 不明共有者がいる場合には,利用に関する共有者間の意思決定や持分の集約が困難となっていました。

 そこで,共有物の利用の円滑化を図る仕組みとして,裁判所の関与の下で,不明共有者等に対して公告等をした上で,残りの共有者の同意で,共有物の変更行為や管理行為を可能にする制度が創設されました。

 また,裁判所の関与の下で,不明共有者の持分の価格に相当する金銭の供託によって,不明共有者の共有持分を取得して不動産の共有関係を解消する仕組みが創設されました。

②相続制度の見直し
 相続開始から10年を経過したときは,個別案件ごとに異なる具体的相続分による分割(寄与分や特別受益)の利益を消滅させ,画一的な法定相続分で簡明に遺産分割を行う仕組みが創設されました。長期間放置された後の遺産分割では具体的相続分に関する証拠等が散逸し,共有状態の解消が困難であったからです。

 法定相続分と異なる遺産分割を行うためには,相続開始から10年以内に行わなければならないこととなります。なお,施行日前の相続発生については,相続開始の時から10年を経過する時または改正法の施行の時から5年を経過する時のいずれか遅い時までの期間制限となります。

③財産管理制度の見直し
 所有者不明土地・建物の管理に特化した新たな財産管理制度が創設されました。裁判所が選任した管理人は、裁判所の許可を得れば、所有者不明土地・建物を売却することができます。これにより、所有者不明土地・建物の管理が効率化・合理化することになります。

 また、所有者不明土地・建物のみならず、管理不全土地・建物(例:ゴミ屋敷、廃墟)について、所有者が適切に管理せずこれを放置していることで他人の権利を侵害するおそれがある場合に、裁判所が管理人を選任することができる制度も創設されました。

④相隣関係規定の見直し
 電気、ガスなどのライフラインを自己の土地に引き込むための設備を他人の土地に設置する権利を明確化し、隣地所有者不明状態にも対応できる仕組みが整備されました。

(2)不動産登記法の改正
 不動産登記法の改正では、所有者不明土地をこれ以上発生させないために、相続登記・住所変更登記の申請義務化と手続の簡素化・合理化が導入されました。

 問題の背景として、不動産の登記名義人と実際の所有者とが異なることがよくありました。そうすると、①登記名義人の相続人が分からないため、所有者の探索に時間と費用が掛かり用地買収等が妨げられることや、②登記名義人が死亡しているかどうかだけでも分かれば、事業用地を円滑に選定することができるとの指摘があることなどから、相続や住所変更などの情報を登記に反映すること、すなわち、登記を最新の状態にアップデートが問題解決のために重要になります。

そこで、今回の不動産登記法の改正では、以下が導入されました。
  ①相続登記・住所変更登記の申請義務化
  ②相続登記・住所変更登記の手続の簡素化・合理化

①相続登記・住所変更登記の申請義務化
 不動産を取得した相続人に、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付けました。正当な理由のない申請漏れには10万円以下の過料が科されます。どういった場合に正当な理由なしと判断されるかは、法務省が近い将来通達を出す予定です。

 また、改正法では、不動産を所有する人について住所や氏名の変更があった場合、住所等の変更日から2年以内にその変更登記の申請をすることを義務付けることになりました。この場合も、正当な理由のない申請漏れには5万円以下の過料が科されることになります。

②相続登記・住所変更登記の手続の簡素化・合理化
ア 相続人申告登記(仮称)の新設
 改正法では、相続登記の義務化と併せて、相続人が登記名義人の法定相続人である旨を申し出ることで、相続登記の申請義務を果たしたことにするという規定が設けられました。この相続人申告登記は、相続人一人ひとりが単独で申告することができ、添付書面も簡略化されているため、相続登記の申請義務を簡易に履行することが可能になります。

イ 死亡情報等の公示
 登記官が他の公的機関(住基ネットなど)から死亡等の情報を取得し、職権で登記に表示する仕組みが設けられました。これにより、登記で登記名義人の死亡の有無の確認が可能になります。

3 まとめ

 所有者不明土地問題を背景にされた法改正ですが、一般の相続にも影響する形での法改正となっています。これまでは期間制限のなかった遺産分割など相続関係について、期間制限が設けられたことをはじめ新たな制度も設けられておりますので、長期間相続を放置していた方はご相談ください。

以上

不動産・賃貸のご相談やお問合せはぜひお任せください。(当事務所HP)
守口門真総合法律事務所(京阪守口市駅西改札口すぐ)
TEL:06-6997-7171
平日9:00~18:00 ※時間外は電話代行にてご伝言をお預かりいたします。

民法改正 ~売買・贈与に関する規定の見直し~

2021年07月22日|不動産, 借金問題, 弁護士コラム, 相続

1 売買・贈与に関する規定の見直し

 平成29年5月26日,民法の一部を改正する法律が成立し(同年6月2日公布),一部の規定を除き,令和2年(2020年)4月1日から施行されています。

 民法改正によって,売買・贈与に関する規定も一部変更となりましたので,以下,変更された主な規定をご説明致します。

 なお,瑕疵担保責任の規定については,従前,「民法改正~瑕疵担保責任から契約不適合責任へ~」の中で解説しておりますので,今回の説明からは省略させて頂きます。 

2 危険負担の債権者主義が廃止

 危険負担とは,債務者に責任のない事由によって,目的物が滅失・損傷し,債務者の目的物給付義務が消滅した場合に,債権者も反対債務である代金支払義務を免れるか,すなわち,債権者と債務者のいずれが危険を負担するのかという問題です。

 改正前民法534条は,特定物の危険負担について債権者主義を定めており,このような場合に「債権者が危険を負担する」,すなわち債権者は反対債務である代金支払義務を免れない,との結論が取られていました。
 もっとも,債権者からすれば,未だ目的物の引き渡しを受けていないにもかかわらず,代金支払義務を負担することになるため,結論の妥当性に疑問の声も挙がっていました。

 改正民法では,危険負担における債権者主義(債権者が危険を負担する)が廃止され,当事者双方の責めに帰することができない事由によって,目的物が滅失・損傷した場合,債権者は反対給付(代金支払義務)の履行を拒めることが明記されました。

 一方で,債権者の責めに帰すべき事由によって,目的物が滅失・損傷した場合,債権者に反対給付の履行拒絶権がない点は従来どおりです。
 そして,改正民法では,目的物の引き渡しによって危険が移転することが明示され,目的物の引き渡し後に目的物の滅失・損傷が生じた場合には,債権者は,これを理由とする追完,代金減額,損害賠償請求,契約解除ができないことが明らかにされました。

 また,債務者による履行の提供が行われたにもかかわらず,債権者が履行の受領を拒絶した場合,改正前民法においても,その後に発生した危険は債権者が負うとされていましたが,改正民法では,契約内容に適合する履行の提供さえあれば,売主側から買主側へ危険が移転することが明文化されています。

3 売買の手付解除

 改正前民法においては,買主が売主に手付を交付したときは,売主は手付の倍額を「償還」すれば,契約解除が可能と規定されていました。しかし,改正民法においては,売主は手付の倍額を「現実に提供」すれば契約解除が可能とされています。

 元々判例上,売主は手付の倍額を「現実に提供」すれば手付解除が可能とされており,「償還」までは不要とされておりましたので,今回の改正は,かかる判例法理が明文化された形であり,事実上大きな変更はありません。

 また,改正前民法では,「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」は手付解除が可能と定められていました。しかし,「当事者の一方」との文言では,手付解除を行う者のみが履行に着手した場合でも,手付解除が認められなくなるとの誤解を受ける恐れがありますので,改正民法では,「その相手方」が契約の履行に着手した後は手付解除ができない,との表記に改められました。

4 贈与

 贈与者の担保責任について,改正前民法は,贈与者は,贈与の目的物又は権利の瑕疵又は不存在について責任を負わないとしながらも,「贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったとき」は,担保責任を負う旨規定していました。
 しかし,改正民法では,贈与者は,「贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引渡し、又は移転することを約したものと推定する。」との推定規定が置かれましたので,贈与の当事者間でこれと異なる合意等があることを立証しない限り,贈与者は担保責任を負わないこととなります。

5 小括

 このように,民法改正によって,売買・贈与に関する規定もいくつか変更されており,変更後の規定は,改正民法施行後に新たに締結された売買・贈与契約に適用されます。

売買・贈与等の法律問題でお悩みの方は,守口門真総合法律事務所まで,いつでもお気軽にご相談ください。

守口門真総合法律事務所(京阪守口市駅西出口すぐ)
TEL:06-6997-7171
平日9:00~18:00 ※時間外は電話代行にてご伝言をお預かりいたします。

保証会社に明け渡しがあったとみなす等の権限を付与する条項の適法性

2021年03月25日|不動産, 弁護士コラム

 以前,「保証会社に解除権を付与する条項の適法性」というコラムで取り上げた裁判の,控訴審判決がなされました(大阪高裁令和3年3月5日)。

 高等裁判所では,「保証会社に解除権を付与する条項の適法性」に関する判断は維持され,これに加え,原審が違法とした「保証会社に明け渡しがあったとみなす等の権限を付与する条項」についても,適法であると判断しました。

 最高裁判所への上告が予定されているようですが,今回の判断が維持されれば,入居者が行方不明となった場合などの明渡し業務に関して,不動産賃貸業界への影響は大きいためご紹介いたします。

1 問題となった条項

第18条(賃借人の建物明渡協力義務)
2項 保証会社は,下記のいずれかの事由が存するときは,賃借人が明示的に異議を述べない限り,これをもって本件建物の明渡しがあったものとみなすことができる。
2号 賃借人が賃料等の支払いを2カ月以上怠り,保証会社が合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡が取れない状況の下,電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から本件建物を相当期間利用していないものと認められ,かつ本件建物を再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するとき

以上のほか,本件建物の明渡しがあったものとみなされた場合には,本件建物内に残置された動産の搬出・保管に異議を述べないこと,搬出の日から1か月内に引き取らないものについて所有権を放棄し,処分に異議を述べないこと,保管料として月額1万円(税別)及び搬出・処分に要する費用の支払い義務を認める条項が問題とされました。

2 上記条項の解釈について

高等裁判所は,上記の第18条2項2号の条項を,4つの要件に整理し,「①賃料等の支払いを2カ月以上怠り,②保証会社が合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡が取れない状況の下,③電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から賃借物件を相当期間利用していないものと認められ,かつ,④賃借物件と再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するとき」としました。

 この4要件のうち①から③を満たす場合には,賃借人としては,既に賃借物件を住居として使用しておらず,かつ,その意思を失っている蓋然性が極めて高いということができます。そして,④の要件にあたるのは,賃借人が賃借物件についての占有の意思を放棄している場合といえます。①から③の要件だけでなく,④の要件を備えることによって,賃借人が賃借物件についての占有する意思を最終的かつ確定的に放棄したものを認められ,賃借人の占有権は消滅したものと考えられます。

 このようなことから,4要件を満たすことにより,賃借人が賃借物件の使用を終了してその賃借物件に対する占有権が消滅しているものと認められる場合において,賃借人が明示的に異議を述べない限り,保証会社に対し,賃借物件の明渡しがあったものとみなすなどの権限を付与するものと解釈されました。

3 上記条項の適法性

 消費者契約法10条は,権利の制限をする条項であって,消費者の利益を一方的に害するものは,無効とするとされています。

 高等裁判所は,上記条項につき,権利の制限をする条項であることを認定しましたが,消費者の利益を一方的に害するものには該当しないとして,有効と判断しました。賃借人が受ける不利益が賃借物件内の動産類を搬出・保管ないし処分されうるという点に限られ,むしろ現実の明渡しをする債務を免れ,将来の賃料等の更なる支払義務を免れるという利益を受ける状況にあること,また,賃借人が明示的に異議を述べさえすれば明渡しなどの権限行使を阻止することができることなどから,賃借人の利益を一方的に害するものということはできないことが理由です。

4 最後に

 今回の高等裁判所の判決について,一部報道では,「「追い出し条項」は適法」などとされていますが,以上のとおり,4要件を満たした場合に限定され,占有権が消滅したといえる場合にのみ有効な条項であります。かつて問題となったような,賃料滞納等を理由として賃借人の占有を一方的に排除する,いわゆる「追い出し条項」とは全く異なるとされています。

 そして,今回の事件は適格消費者団体からの差止請求訴訟という特色から,その審理対象は条項の定めのみであって,運用の場面において賃借人に対する違法な自力救済に該当する危険性を否定することができないとも指摘しています。

 今回の判決によれば,条項を定めておけば,賃借人が行方不明となった場合で賃借人の占有権が消滅したといえるときには,賃貸借契約の解除だけでなく,物件内の残置動産の搬出・保管ないし処分などの権限を付与することができることとなり,民事訴訟の提起,判決取得,強制執行の法的手続を経ることなく,明渡しを実現することができるようになります。

 過去には,賃貸借契約自体に,後見開始等を理由とする契約解除条項や明渡等代理条項などを付した特約について裁判で争われたことがあります(大阪高判平成25年10月17日消費者法ニュース98号283頁)。この事件では,後見開始等を理由とする契約解除条項が無効とされましたが,明渡等代理条項は,裁判係属中に条項が改訂されてしまいましたので,その有効性について判断されておりませんでした。

 消費者契約法の適用場面であって,賃貸人,保証会社と賃借人との利益衡量が必要な条項でありますので,賃貸借契約に条項の追加を検討されている方は,弁護士にご相談ください。

関連コラム:https://murakami-law.org/1127/
「保証会社に解除権を付与する条項の適法性」もぜひご覧ください。

<弁護士プロフィール>

弁護士 喜多啓公(きたひろゆき)
所属:大阪弁護士会
不動産関係では,宅建協会顧問の法律事務所にて勤務し,多数の賃料回収案件,建物明渡案件,土地明渡案件,賃料増減額請求,不動産契約トラブル案件の取り扱い経験があります。
賃貸不動産経営管理士の資格も保有しています。

講演歴
①不動産会社従業員への講義(不動産に関連する民法改正)
②不動産オーナーへの賃貸経営セミナー(テーマ「2020年民法改正が不動産賃貸借経営に及ぼす影響とは!?」)
③門真市の地域生涯学習のための市民大学での講義(テーマ「身近な暮らしの法律」)

不動産に関するトラブルでお悩みの場合,まずは守口門真総合法律事務所までお問い合わせ相談ください。初回は無料で御相談可能です。
守口門真総合法律事務所(京阪守口市駅西改札口出てすぐ)
TEL:06-6997-7171
不動産・賃貸のご相談やお問合せはぜひお任せください。(当事務所HP)

守口市・門真市・寝屋川市・枚方市・四條畷市・大東市・摂津市・茨木市など様々な地域のお客様にご利用いただいております。
気軽にご相談ください!

民法改正 ~保証に関する規定の見直し~

2020年12月23日|不動産, 弁護士コラム

1 保証に関する規定の見直し

 平成29年5月26日,民法の一部を改正する法律が成立し(同年6月2日公布),一部の規定を除き,令和2年(2020年)4月1日から施行されています。

 皆様の生活に影響する部分として,民法改正により,保証契約に関する規定が大幅に見直されましたので,以下,主な変更点をご説明致します。

2 個人根保証一般における極度額の設定

 改正前民法においては,保証契約を書面ですることや,金銭の貸付け等によって負担する債務が含まれる根保証契約(不特定多数の債務を将来にわたって保証人が保証する契約)については極度額を定めなければ無効であることが定められていました。

 これに対し,改正民法においては,個人による根保証契約一般について,金銭の貸付け等によって負担する債務が含まれているか否かを問わず,全て極度額を定めなければ無効であることを定められております。
 これにより,賃貸借契約における個人の根保証契約や,身元保証契約における個人の根保証契約であっても,極度額の設定が必要になりました。

3 公正証書作成による保証意思の確認(事業のための貸金等)

・事業のために負担する貸金等を主たる債務とする保証契約
・主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約
については,保証契約締結前1か月以内に,公正証書によって保証債務を履行する意思を表示しなければ,保証契約の効力が発生しないことになりました。
 これは,事業のために負担する貸金等の場合に限られますので,住宅ローンなどの事業性のない債務や,貸金等の債務でない場合には,公正証書の作成は不要です。

 なお,保証人(個人)が,主たる債務者である法人の理事・取締役・執行役や,総株主の議決権の過半数を保有する支配株主,主たる債務者と共同して事業を行う者(共同事業者)又は主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者(配偶者)などである場合には,公正証書の作成は不要です。

4 保証人への情報提供義務

(1)保証契約の締結時点において
 保証人(個人)が主たる債務者から委託を受けて,
・事業のために負担する貸金等を主たる債務とする保証契約
・主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約
を締結する場合は,保証契約締結時点において,主たる債務者から保証人に対し,①主たる債務者の財産及び収支状況,②主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況,③主たる債務の担保として他に提供し,又は提供しようとするものがあるときは,その旨及び内容に関する情報を提供する必要があります。

 保証人が,主たる債務者である法人の取締役や,総株主の議決権の過半数を保有する株主,主たる債務者と共同して事業を行う者又は主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者などである場合にも,情報提供義務は認められます。

 主たる債務者が上記の情報を提供せず,又は,事実と異なる情報を提供した場合,保証人は,その事項について誤認して保証契約を締結した場合で,かつ,情報提供義務に違反したことを債権者が知り又は知ることができたときは,保証契約を取り消すことができます。

(2)委託された保証人が請求した場合
 保証人(個人・法人)が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合,保証人からの請求があれば,債権者は,保証人に対し,遅滞なく,主たる債務の元本,利息,損害賠償,その他主たる債務に関するすべての債務についての不履行の有無,残額,履行期限徒過の有無を通知しなければなりません。

(3)期限の利益を喪失した場合
 主たる債務者が期限の利益を喪失した場合,債権者は保証人に対し,期限の利益の喪失を知った時から2か月以内に保証人(個人)に通知する必要があります。

 この通知がなかった場合,債権者は保証人に対し,期限の利益喪失から通知を行うまでの期間に生じた遅延損害金を請求できません。

4 連帯保証人に生じた事由の効力

 改正前民法においては,連帯保証人について生じた事由の主たる債務者に対する効力については,連帯債務の規定を準用しており,連帯保証人に生じた事由の多くが主たる債務者についても効力を及ぼすものとされていました。

 これに対し,改正民法では,履行の請求,免除,時効の完成については,主たる債務者に対して効力を生じないことになりました。

 これにより,債権者としては,主たる債務者に対する債権と,連帯保証人に対する債権を個々に管理しなければならず,時効期間の経過等に一層注意する必要が生じます。

5 小括

 このように,皆様の生活にも影響を及ぼし得る保証に関する規定は,民法改正によって大幅に見直されています。日常生活に関する法律問題でお悩みの方は,守口門真総合法律事務所まで,いつでもお気軽にご相談ください。

不動産に関するトラブルのご相談やお問合せはぜひお任せください!
守口門真総合法律事務所(京阪守口市駅西出口すぐ)
TEL:06-6997-7171
守口市・門真市での不動産に関する情報はこちら(当事務所HP)

借地上の建物の名義変更について

2020年11月30日|不動産, 弁護士コラム, 相続

1 はじめに

 土地を借りて,その上に自宅等の建物を持っている場合,地主との関係で様々な法律問題が発生します。ここでは,特に借地上の建物の名義変更をする場合について,御説明したいと思います。

2 借地上の建物を贈与・売却等する場合

(1)民法上の規定
 そもそも他人の土地上に建物を所有する場合,その土地の利用権(これを「借地権」といいます)が必要となります。そして,借地上の建物を第三者に贈与したり売却等したりする場合,それに伴い借地権の譲渡も生じることになります。
 この点について,民法は「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」(612条1項)と定めており,借地上の建物を他人に譲渡する場合には,借地権設定者,ここでいう地主の承諾が必要となります。
 そして,仮に地主の承諾が無いまま借地上の建物を譲渡した場合は,土地の賃貸借契約自体を解除されてしまう恐れがあります(同条2項)。
 そこで,借地上の建物を譲渡する際に,地主に承諾を得ようとしたが,全く地主が応じてくれなかったり,いわゆる承諾料(名義書換料)の関係で話がまとまらなかったりする場合があります。
 借地権の譲渡には地主の許可が必要という原則を貫くとすると,このような場合に,建物所有者が自由に譲渡することができないという不都合が生じます。

(2)借地借家法の規定
 そこで借地借家法は、借地権者が借地上の建物を第三者に譲渡しようとする場合に、第三者(譲受人)が賃借権を取得しても地主に不利となるおそれがないにもかかわらず、地主が賃借権譲渡を承諾しないときには、裁判所は、借地権者の申立てにより、地主の承諾に代わる許可を与えることができると定めました(借地借家法19条1項前段)。
 つまり,裁判所が、地主に代わって許可をすれば、建物所有者は借地権を譲渡できることとしたわけです。
 裁判所が許可を与える際には,賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡又は転貸を必要とする事情その他一切の事情を考慮して許可の可否が決定されます(同条2項)。

(3)土地の賃借権譲渡の許可申立について
 上記のとおり,裁判所から許可を得るためには,借地権者が申立てを行う必要があります。この申立は「土地の賃借権譲渡の許可申立て」と呼ばれます(裁判所HP https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minji-section22/minji-section22-mokuji-1/index.html もご参照ください)。
 ここで,「土地の賃借権譲渡の許可申立て」はいわゆる借地非訟事件と呼ばれ,一般的な「訴訟」事件とは異なり,「非訟」事件に分類されます。非訟事件は,裁判所が後見的に介入して処理することを特徴とする事件類型をいい,裁判所は当事者の主張に拘束されず,判断をすることが出来ます。そのため,柔軟な解決がなされることが期待されます。
 なお,この申立ては,建物の譲渡前にしなければならないとされています。「建物の譲渡前」とは,建物の所有権移転登記および建物の引渡しのいずれもがなされる前であると解されています。

(4)地主の介入権
 「土地の賃借権譲渡の許可申立て」において,第三者が賃借権を取得すると地主に不利益となるような場合,勿論裁判所は許可をしません。
 もっとも,裁判所が許可するような場合であっても、地主としては、第三者が賃借人となるよりは、自らが建物と借地権を買い取って、土地の賃貸借関係を消滅させた方がよいと考えることもあります。
 そこで,借地借家法は、このような地主の希望に配慮し、地主自らが建物と賃借権の譲渡を受ける旨申し立てた場合には、相当の対価を定めて、地主に対して建物と賃借権を譲渡することを命じることができることにしています(借地借家法19条3項)。こうした地主が自らに建物と賃借権を譲渡するよう裁判所に申立てをすることができる権利を介入権といっています。
 条文上は,あくまで「これを命ずることができる。」と規定してありますが,裁判例では,地主から譲渡の申立てがあったときには、原則として裁判所は譲渡を命ずる裁判をしなければならないと判断したものもあります(東京高裁昭和52年6月9日決定)。

3 借地上建物を相続する場合

 例えば,相続で亡くなった父親の借地上の建物の名義変更をする場合,贈与・売却等する場合と同様に,地主の承諾は必要でしょうか。
 結論としては不要です。というのも,相続とは、被相続人の権利が相続人に対して当然に承継されるものであり、借地権の相続においても、相続という性質上、借地権という権利が当然に相続人に受け継がれるためです。
 したがって,地主の承諾は不要ですし,承諾が必要ない以上,いわゆる承諾料など地主から請求されても支払う必要はありません。

4 最後に

 今回は,借地上の建物の名義変更について御説明させて頂きましたが,不動産に関する法律問題は多岐にわたり,ご本人様の対応では難しい場面が多いことかと思います。
 何か,不動産に関することでご不安なことがございましたら,お早めに守口門真総合法律事務所までご相談ください。

不動産に関するトラブルのご相談やお問合せはぜひお任せください!
守口門真総合法律事務所(京阪守口市駅西出口すぐ)
TEL:06-6997-7171
守口市・門真市での不動産に関する情報はこちら(当事務所HP)