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葬儀費用は誰が払う?実家はどう分ける?|相続でもめやすい2つの事例と対策 - 守口門真総合法律事務所

2026年07月|相続

前回は、相続手続きの流れと3つの期限、そして生前贈与をめぐるトラブルをご紹介しました。

今回は、多くのご家庭で実際に起こりやすい2つの事例——「葬儀費用は誰が負担するのか」「実家(不動産)をどう分けるのか」——を取り上げます。

「うちは大丈夫だろうか」と感じた方は、ぜひ最後までご覧ください。

葬儀費用を立て替えたら、遺産から返してもらえる?

【事例】 母が先に、その後に父が亡くなりました。相続人は長男と次男。喪主を務めた長男は、派手好きだった父のために盛大な葬儀を行い、墓石も含めて500万円を立て替えました。

この500万円を、父の遺産(預金)から先に受け取ることはできるでしょうか。

「亡くなった父のための葬儀なのだから、遺産から出して当然」——そう思われるかもしれません。ところが、裁判所の考え方は違います。

原則は「喪主(主宰者)の負担」

葬儀費用は、原則として喪主(葬儀を主宰した人)が負担するというのが、多くの裁判例の立場です(東京地裁令和3年9月28日など)。

理由は主に2つあります。ひとつは、葬儀費用は亡くなった方“自身の借金(債務)”ではないこと。

もうひとつは、葬儀が社会的・儀礼的な行為であって、法律上の相続債務とは性質が異なることです。

実際的な理由もあります。たとえば遺産の預金が1,000万円しかないのに、喪主が900万円もの立派な葬儀を行えば、ほかの相続人の取り分がほとんど残りません。

「立て替えた分は全額遺産から」と認めていてはキリがない——だから原則は喪主負担、というわけです。

とはいえ、これでは喪主だけが重い負担を背負うことになり、不公平に感じられる場面も少なくありません。そこで大切になるのが、事前の備えです。

例外——「合意」か「被相続人の意思」があれば

次の場合には、葬儀費用を遺産から支払うことができます。ひとつは、相続人の間で合意がある場合

「葬儀に500万円くらいかかりそう」「さすがに使いすぎ、300万円くらいにしよう」と、事前に相続人どうしで話し合っておくケースです。

もうひとつは、被相続人の意思に基づく場合。「〇〇に相続させる。ただし500万円で葬儀を行うこと」といった“負担付き”の遺言や、死後事務委任契約などで、あらかじめ本人が決めておく方法です。

最近は、「自分が亡くなったら、この宗派で、この費用で葬儀を」とあらかじめ託しておく方も増えています。

葬儀費用でもめないよう、規模や費用を家族で共有し、必要なら書面で根拠を残しておきましょう。

実家は長男、預金は次男——それで公平?(代償分割)

【事例】 父の遺産は、自宅(土地・建物)3,000万円と預金1,000万円。

相続人は長男と次男で、長男は今その自宅に住んでいます。では、「自宅は長男、預金は次男」で分ければよいのでしょうか。

一見きれいに分かれたように見えますが、計算してみましょう。遺産の合計は4,000万円、2人で分ければ1人2,000万円ずつが取り分です。

ところが、自宅(3,000万円)に住み続けたい長男がそれを取得すると、次男は預金1,000万円をもらっても、あと1,000万円足りません。

解決策は「代償金」

自宅は物理的に半分に割れません。そこで、多めに財産を取得する長男が、その差額を現金で次男に支払って調整します。

この現金を「代償金」といいます。長男は「自宅3,000万円-代償金1,000万円=2,000万円」、次男は「預金1,000万円+代償金1,000万円=2,000万円」。

こうして長男が次男に代償金1,000万円を支払えば、2,000万円ずつの公平な相続になります。これが「代償分割」です。

落とし穴① 代償金を払えないと、自宅を手放すことに

問題は、長男に代償金1,000万円を用意できない場合です。次男が「兄さんは両親の面倒をみてくれたから、自分は1,000万円でいい」と譲ってくれればよいのですが、話がこじれれば、最悪の場合、住んでいる自宅を売却して現金を作らざるを得なくなります

落とし穴② そもそも自宅は「いくら」なのか

実は、代償金の額を左右する不動産の評価額そのものが、大きな争点になります。

同じ自宅でも、評価方法によって金額が変わるのです。たとえば固定資産評価額では3,000万円でも、路線価(相続税の計算に使う評価)ではその1.3倍ほどで約4,000万円、実勢価格(実際に売れる価格)では4,000万〜4,500万円程度になることもあります。

代償金を払う側は「安く」、受け取る側は「高く」評価したいため、ここで激しく争いが生じます。

どうしておけばよかったか

このケースも、「自宅は長男に、預金は次男に」と父が遺言を書いておけば、そもそももめることはありませんでした。

遺産分割の方法や代償金の要否、不動産の評価方法まで遺言で示しておけば、紛争予防にとても有効です。

葬儀費用は原則「喪主の負担」、不動産は「代償金」で調整——いずれも、遺言や事前の合意があれば防げるトラブルです。

次回はいよいよ最終回。「親のお金を生前に引き出していたら」「子どものいないご夫婦で相続人が多数になったら」という事例と、シリーズ全体のまとめをお届けします。

相続トラブル事例シリーズ(全3回)

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相続財産に不動産が含まれる方、葬儀や介護の費用を立て替えている方は、早めの準備が肝心です。ささいなことでも結構ですので、お早めにお問い合わせください。守口門真総合法律事務所では、初回のご相談を無料でお受けしています。

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