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相続の手続きには“期限”がある|「その時」に慌てないための流れと、生前贈与でもめない備え - 守口門真総合法律事務所

2026年07月|相続

「まさか、こんなことになるとは思わなかった」「もっと早くに勉強しておけばよかった」——相続のご相談にお越しになる方から、私たちが最もよく耳にする言葉です。

大切なご家族を亡くした直後の、悲しみと慌ただしさの中で、相続の手続きは待ってはくれません。

「その時」が来ても慌てない・焦らないために、まずは全体の流れと“期限”、そして兄弟間でもめやすい「生前贈与」への備えを知っておきましょう。

相続の手続きには「3つの流れ」がある

身近な方が亡くなると、さまざまな手続きが同時並行で進みます。大きく分けると、「税金に関するもの(準確定申告・相続税など)」「役所への届出や名義変更などの手続き」「葬儀・法要に関するもの」の3つの流れがあります。

このなかで弁護士としてとくに気をつけていただきたいのが、期限が決まっている手続きです。

うっかり過ぎてしまうと取り返しがつかないものもあります。なお、遺言などで取り分を侵害された相続人が最低限の取り分を取り戻す遺留分侵害額請求にも期限があります。

押さえておきたい「3つの期限」

相続放棄は「3か月以内」——提出先は家庭裁判所

亡くなった方に多額の借金があった場合などには、相続放棄をすることで、借金を引き継がずに済みます。

たとえば、お子さんのいないご兄弟が亡くなり、その方が借金を抱えていた——というケースでは、ほかのご兄弟に相続がまわってきて、放棄しておかないと借金を背負ってしまうことがあります。

ここで間違えやすいのが、書類の提出先です。「債権者」でも「法務局」でもなく、正しくは家庭裁判所に申し立てます。

戸籍や除籍を添える少し手間のかかる手続きのため、弁護士にご依頼される方も多くいらっしゃいます。

期限は、亡くなってから——正確には「亡くなったことを知ったときから」——3か月以内です。

準確定申告は「4か月以内」

亡くなった方に不動産収入などがあった場合、その年の所得税は「準確定申告」として申告します。

通常の確定申告(翌年3月15日)とは別のルールで、期限は亡くなってから4か月以内です。

たとえば7月に亡くなった場合は、11月までに申告します。「毎年3月に申告していたから今年も3月で」と思い込まないよう、ご注意ください。

相続税の申告・納税は「10か月以内」

相続税の申告は、亡くなってから10か月以内。

ここで大切なのは、申告だけでなく「納税」まで10か月以内に済ませる必要があるということです。

相続人が複数いる場合は、「誰が何を相続するか」を決める遺産分割協議を経てからでないと、申告内容が固まりません。

四十九日、初盆……と過ごすうちに、10か月はあっという間です。もし10か月以内に遺産分割がまとまらないと、いったん法定相続分どおりに相続したものとして申告することになりますが、このとき配偶者控除などの特例が使えず、本来より多くの税額を納めることになってしまいます。

後日、分割がまとまってから還付を申請できますが、その手続きの負担は決して小さくありません。

できる限り10か月以内に遺産分割をまとめて申告することをおすすめします。

生前贈与は「なかったこと」にできる?——ある兄弟のケース

ここで、実際にご相談を受けた「もめてしまった」事例をご紹介します。

【事例】 父が亡くなり、遺産は3,000万円。相続人は長男と次男の2人。

父は生前、次男の借金返済のために1,500万円を援助していました。この1,500万円を、相続でどう扱えばよいのでしょうか。

立場によって、主張は正反対になります。長男は「弟は生前に1,500万円も先にもらっている。今回の相続はそれを踏まえて分けるべきだ」と考えます。

一方の次男は「生きているうちにもらったお金は“贈与”であって、“相続”とは別の話だ」と主張します。

計算してみましょう。次男の言い分が通れば、遺産3,000万円を1/2ずつで、長男・次男とも1,500万円です。

これに対して長男の言い分では、生前贈与の1,500万円をいったん遺産に「持ち戻して」計算します。

3,000万+1,500万=4,500万を1/2ずつで2,250万円。次男は既に受け取った1,500万円を差し引いて750万円となり、結果は長男2,250万円・次男750万円と大きく変わります。

では、民法はどちらを原則としているのでしょうか。答えは長男の主張——生前贈与を遺産に持ち戻して計算するのが原則です。

この生前贈与を「特別受益」といい、民法はこうして公平を図るのが妥当だと考えています(ただし、実務では特別受益と認められるための要件があり、常に持ち戻しが認められるわけではありません)。

とはいえ、こうした原則を当事者が知っているとは限りません。「そんな話は聞いていない」「あの贈与は借金の肩代わりで、そもそももらっていない」——争いは感情的にこじれ、ご兄弟が不仲になってしまうことも少なくありません。

どうしておけばよかったか——「遺言書」と「動画」

このトラブルを避けるには、父(被相続人)に、「生前贈与は遺産に持ち戻して計算してほしい」という内容の遺言書を書いておいてもらうのが有効です。

頑固で遺言を書いてくれない場合でも、せめて「次男には生前に1,500万円を援助したから、相続では長男に多めに渡したい」という趣旨を動画に残しておくだけでも効果があります。

いまはスマートフォンで手軽に動画を撮れます。ちょっとした一手間が、後々の大きな争いを防ぎます。

相続放棄は3か月、準確定申告は4か月、相続税は10か月——まずは「期限」を意識すること。

そして、生前贈与のように後でもめやすい事情があるなら、遺言書や動画で意思を残しておくこと。

これが「その時」に慌てないための第一歩です。

次回は、「葬儀費用は誰が負担するのか」「実家をどう分けるのか(代償分割)」という、身近なトラブル事例をご紹介します。

相続トラブル事例シリーズ(全3回)

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相続は、「その時」が来てから動き出すと、選べる手立てが限られてしまいます。ささいなことでも結構ですので、お早めにお問い合わせください。守口門真総合法律事務所では、初回のご相談を無料でお受けしています。

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