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借金問題

民法改正 ~金銭の貸し借りに関する規定の見直し~

2021年05月27日|借金問題, 弁護士コラム

1 金銭の貸し借りに関する規定の見直し

  平成29年5月26日,民法の一部を改正する法律が成立し(同年6月2日公布),一部の規定を除き,令和2年(2020年)4月1日から施行されています。
 民法改正によって,金銭の貸し借り(消費貸借契約)に関する規定が新設されましたので,以下,新設された主な規定をご説明致します。

2 書面による諾成的消費貸借契約

 金銭の貸し借りは,要物契約と言われ,契約成立が認められるためには,金銭が実際に交付されたことを要する,とされています。
 すなわち,金銭を実際に交付することなく,貸主が,「お金を貸してあげる。」と約束したとしても,金銭交付を実際に受けるまでは,借主にお金を借りる権利は発生しないことになります。貸主が,「お金を貸してあげる。」と約束し,借主が実際にお金を借り受けて初めて,金銭消費貸借契約は成立するのです。
 しかし,実際には,判例上,諾成的消費貸借契約(金銭の交付がなくとも,契約が成立することを言います。)の成立も認められており,金銭の交付がなくとも契約成立が認められ,貸主に金銭の給付義務が認められるケースも存在しました。
 そこで,改正法では,書面(電磁的記録による記録も含む)で行う金銭の貸し借りに限って,金銭の移動がなくても,消費貸借契約が成立するものとしています。
 一方で,書面で行われない消費貸借契約については,依然として要物契約となりますので,金銭の移動があって初めて,消費貸借契約が成立することになります。

3 諾成的消費貸借契約における一方的解除と損害賠償

 前述のとおり,書面(電磁的記録による記録も含む)で行われる金銭の貸し借りについては,金銭の移動がなくとも,消費貸借契約が成立します。
 すなわち,借主からすれば,実際に金銭を借り入れていないにもかかわらず,契約が成立していることになります。しかし,借主が,「お金を借りる必要がなくなった」場合にまで,実際に借入れをして返済をしなければならないというのは,あまりにも不都合です。
 そこで,改正法では,この場合,借主は,金銭その他目的物の交付を受けるまでの間,一方的に契約を解除できるものとされました。
 但し,同時に改正法では,貸主は,借主が契約の解除をしたことによって損害を受けたときは,借主に対して,賠償請求が可能であると明記されました。
 一方的に解除できるとは言え,既に契約の拘束力が発生していることに変わりはありませんので,書面によって金銭の借り入れを行う場合,たとえその場でお金を借り受けない場合でも,借り入れを行うか,慎重に判断する必要があります。
 もっとも,貸主が賠償請求をするにあたっては,損害の発生やその因果関係を立証する必要がありますので,実際上,賠償請求することは容易ではありません。

4 利息に関する規定の新設

 改正法では,これまで特段規定されていなかった利息に関する規定が新設されました。
 もっとも,利息に関する法律上の運用が変更されたわけではなく,「利息に関する合意がなければ利息は発生しません」,「利息に関する合意があるときは,貸主が金銭その他の目的物を受け取った日以後の利息を請求することができます」といった,言わばこれまでも当然だったことを改めて規定したにすぎません。

5 返済期限前の返済と損害賠償

 改正前民法においても,返済期限前の返済は可能でしたが,改正法では,返済期限の定めの有無を問わず,借主はいつでも返済できることが明記されました。 
 もっとも,改正法では同時に,借主の返済期限前の返済によって,貸主が損害を受けた時は,貸主は借主に対し損害賠償請求が可能であると明記されました。 
 とは言え,実際に損害賠償請求を行うことは,そう容易ではありません。

6 小括

 このように,金銭の借り入れに関する規定も,大きな変更こそありませんが,民法改正によって規定が新設されています。金銭の借り入れや借金問題でお悩みの方は,守口門真総合法律事務所まで,いつでもお気軽にご相談ください。

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民法改正 ~消滅時効に関する規定の見直し~

2021年04月6日|借金問題, 弁護士コラム

1 消滅時効に関する規定の見直し

 平成29年5月26日,民法の一部を改正する法律が成立し(同年6月2日公布),一部の規定を除き,令和2年(2020年)4月1日から施行されています。
 皆様の生活に影響する部分として,民法改正により,消滅時効に関する規定が大幅に見直されましたので,以下,主な変更点をご説明致します。

2 改正前民法の規定と問題点

 改正前民法では,原則的な債権の消滅時効期間を10年として,例外的に,短期消滅時効による職業別の時効期間(1年~3年)や,商事消滅時効(5年)を設けていました。

 そのため,原則的な債権の消滅時効期間が10年とはいえ,実際に10年間の消滅時効期間が適用されるのは,金銭消費貸借(貸付け)債権や債務不履行に基づく損害賠償請求権のうち,商事消滅時効の適用されないものや,不当利得返還請求のような法定債権の場合の限られ,適用場面が限定されていました。

 こういった改正前民法の問題点として,債権毎に時効期間が異なることに果たして合理性があるのか,債権毎に時効期間が異なれば,当然時効期間の個別判断が必要となり,債権管理が困難になることなどが挙げられていました。

3 改正民法の原則・適用関係

(1)改正民法の原則
 改正民法では,職業別の短期消滅時効・商事消滅時効の制度が撤廃され,債権の消滅時効期間が原則統一化されました。

 そして,「権利を行使することができる時」(客観的起算点)から10年という期間が維持された上で,「権利を行使することができることを知った時」(主観的起算点)から5年という時効期間が新たに設けられました。

 一般的な契約による債権は,その発生時において,債権者が債権の発生原因と債務者を認識しますので,債権の発生時が,「権利を行使することができることを知った時」(主観的起算点)となり,そこから5年間の時効期間が開始されます。

 一方で,不当利得返還請求権や安全配慮義務に基づく損害賠償請求権等については,債権者が権利行使可能と知った時期によって,主観的起算点が認定されます。

(2)改正民法の適用関係
 改正民法による時効期間の定めは,改正民法の「施行日後」に生じた債権に適用されます。「施行日前」に債権が生じた場合は,依然として,改正前民法の時効期間が適用されます。

 但し,「施行日前」に債権が生じた場合とは,「施行日以後に債権が生じた場合であって,その原因である法律行為が施行日前にされたときを含む」とされています。

 すなわち,施行日前に締結された契約に基づき,施工日後に債権が発生した場合,「施行日前」に債権が生じた場合に該当し,改正前民法が適用されることになります。

 たとえば,①施行日前に保証契約を締結し,施行日後に代位弁済による求償権を取得した場合,②施工日前に請負契約を締結し,施行日後に工事が完成して請負代金請求権が発生した場合などは,改正前民法が適用されます。

4 不法行為に基づく損害賠償請求権

 例外として,不法行為に基づく損害賠償の請求権は,①被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき,②不法行為の時から20年間行使しないときは,時効によって消滅します。

①,②の期間については,改正前民法と変更はありません。
 但し,②の20年という期間について,これまでの判例法理は,除斥期間であると解してきました。除斥期間にあたる場合,消滅時効とは異なり,一般に中断や停止がなく,当事者による援用(時効利益享受の意思表示)がなくとも,裁判所がその適用を判断することができます。改正民法によって,②の20年という期間も時効期間であることが定められ,判例法理による運用が変更されるに至りました。

5 生命・身体の侵害による損害賠償請求権・適用関係

(1)改正民法の規定
 民法改正により新設された規定として,人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権については,主観的起算点から5年,客観的起算点から20年のいずれかによって時効消滅するものとされ,時効期間の長期化が図られます。

 この規定は,債務不履行に基づく損害賠償請求の場合でも,不法行為に基づく損害賠償請求の場合でも共通して適用されます。

 債務不履行による損害賠償請求の場合,主観的起算点からの時効期間は,債務不履行における原則期間の5年と同じですが,客観的起算点からの時効期間は20年となり,債務不履行における原則期間の10年から長期化が図られています。

 不法行為に基づく損害賠償請求の場合,主観的起算点からの時効期間が3年から5年となり,長期化が図られています。

(2)改正民法の適用関係
 ア 不法行為に基づく場合
  不法行為に基づく損害賠償請求権の適用関係としては,「損害及び加害者を知ったときから3年間」の消滅時効が,改正民法の施行の際に完成していなければ,改正民法が適用されます。

 イ 債務不履行に基づく損害賠償請求の場合
  債務不履行に基づく損害賠償請求権の適用関係としては,施行日以後に生じた契約関係に起因して発生した生命・身体に関連する損害賠償請求権であれば,改正民法が適用されます。

6 改正民法における消滅時効期間のまとめ

(1)改正民法の原則
 客観的起算点から10年,主観的起算点から5年。

(2)不法行為による損害賠償請求権
 ①被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年,②不法行為の時から20年間(但し,いずれも消滅時効期間)。

(3)生命・身体の侵害による損害賠償請求権
 客観的起算点から20年,主観的起算点から5年。
 ※債務不履行・不法行為に基づく損害賠償請求のいずれでも適用。

7 小括

 このように,皆様の生活にも影響を及ぼし得る時効期間に関する規定は,民法改正によって見直されています。法律問題でお悩みの方は,守口門真総合法律事務所まで,いつでもお気軽にご相談ください。


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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連情報

2020年04月28日|企業法務, 借金問題, 弁護士コラム

新型コロナウイルスの感染者数は,増加の一途を辿り,現段階で感染拡大が終息する見通しがない状況にあります。このような状況において,中小企業の皆様が直面する法律問題に対応する必要が生じております。
もっとも,新型コロナウイルスに関する情報があふれており,適切な情報にたどり着けない方もあるかもしれません。
そこで,今回は,中小企業等の事業者の方に役立つ主な情報をまとめてお伝えしたいと思います。なお,以下は作成時点の情報であって,時々刻々と更新されるものでありますので,ご了承ください。

1 資金繰りに不安を感じている事業者の方(貸付・保証)

・新型コロナウイルス感染症特別貸付
日本政策金融公庫や商工中金より貸し付けを受けることができます。
融資対象は,最近1カ月の売上高が前年等の同期と比較して5%以上減少した方です。
当初3年間は,利子補給で金利負担が実質的に無利子となる制度です。
既に受けた債務の返済等の心配に対しては,最長5年の据置期間があります。

・セーフティネット保証
民間金融機関から融資を受ける際に,信用保証協会から保証を受けることができます。最大2.8億円の保証をうけることができます。

資金繰りに関するお問い合わせは,
中小企業 金融・給付金相談窓口TEL0570-783183
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/shien-flyer.pdf(PDFファイル)
経済産業省リーフレット表 経済産業省リーフレット裏

2 持続化給付金

感染拡大により特に大きな影響を受けている事業者に対し,事業の継続を支え,再起の糧とするための,給付金の支給です。
支給対象は,新型コロナウイルス感染症の影響により,売上が前年同月比で50%以上減少している方です。
給付額は,法人が200万円,個人事業者が100万円で,昨年1年間の売り上げからの減少分を上限としています。
令和2年度補正予算案が成立した翌日から申請を受け付けるようです。

相談は中小企業 金融・給付金相談窓口TEL0570-783183
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin.pdf(PDFファイル)
持続加給付金1 持続加給付金2

持続加給付金3 持続加給付金4

3 雇用調整助成金(雇用の維持,休業手当)

雇用調整助成金は,経済上の理由により,事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が,雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度です。
平時においてもある制度ですが,新型コロナウイルス感染症につき,特例措置が実施されております。
特例措置として,緊急対応期間中の4月1日から6月30日までの間,対象事業主は,全業種とされ,生産指標要件が緩和されて1カ月5%以上低下となっております。
そのほか,雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成金の対象に含めたり,助成率も拡大しています。
(令和2年4月25日更新情報)休業手当を労働基準法上の基準(60%)を超える金額支払った場合には,当該超える部分につき100%助成されたり,都道府県からの休業要請を受けて休業している場合には,休業手当全体を100%助成されたりします。

 

問い合わせは,お近くの公共職業安定所(ハローワーク)へ。
https://www.mhlw.go.jp/content/000620879.pdf(PDFファイル)
特例拡充1 特例拡充2

特例拡充3 特例拡充4

4 債務の返済に関して

・新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール
新型コロナウイルス感染症の影響を受け,既往債務の支払いに悩む中小企業のために,各都道府県の中小企業再生支援協議会が,返済猶予の要請を行い,リスケジュール計画を創設して,負担軽減を図っています。

・金融庁の金融機関に対する要請
金融庁は,金融機関に対し,既往債務について,事業者の状況を丁寧にフォローアップするとともに,元本金利を含めた返済猶予などの条件変更について,迅速かつ柔軟に対応すること等を要請しています。

・国土交通庁の不動産関連団体に対する要請
国土交通省は,不動産関連団体に対し,新型コロナウイルス感染症の影響により,賃料の支払いが困難なテナントに対しては,賃料の支払いの猶予に応じるなど,柔軟な措置の実施を検討するよう要請しています。

以上のように,債務の返済については,関係各所におかれて,柔軟な対応が期待されております。

5 破産

以上のように種々の政策によって事業活動を支える手立てがなされているところではありますが,万策尽きて事業活動を停止することもあるかもしれません。そうすると最終的には破産という手段で清算することとなります。
報道によれば,新型コロナウイルス感染症に関連する倒産が,日本国内でも増加しており,今後も増えていくことが予想されます。
もっとも,本来,倒産しなくてもいい事業者が情報不足を原因に事業継続をあきらめてしまうこともあるかもしれません。これは,築いた企業価値を喪失させることとなりますので,社会全体の損失となります。
守口門真総合法律事務所では,社会や政策の情勢をリアルタイムに調査し,適切な情報をもとに適切な助言をしております。
新型コロナウイルス感染症による影響を受けている事業者の方は,ご相談ください。

 

 

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自己破産のご相談の解決事例

2020年02月25日|借金問題, 解決事例

1.事案の概要

相談者は,門真市の方で,債務整理で相談を受けました。相談者は貸金業者1社より約120万円の借入れがありました。

2.方針の検討

相談者の借入金額は約120万円と,比較的少額で,相談者の意向としては返済をしていきたいということでしたが,相談当時,生活保護を受給中であり,任意整理によって分割返済をしていくことは困難な状況にありました。なぜなら,生活保護費を債務の返済に充てることはできないためです。

したがって,弁護士から相談者に対して,自己破産について,そのメリット・デメリットをご説明した上で,本件においては自己破産が債務整理の方法として適当である旨をお伝えしました。その結果,相談者にはご理解頂き,自己破産で受任をしました。

3.破産申立ての準備での問題点

その後,破産申立ての準備を進めましたが,問題点として,今回相談者の借入れが大きくなった原因として,3年程前から競馬を継続的にしていたという点がありました。競馬やパチンコ等のギャンブルによる著しい浪費が債務が大きくなった原因としてある場合,破産法上の免責不許可事由に該当し,免責手続において借金が免責されない可能性があります(詳しく弊所HPの「自己破産」のページ内にある「免責不許可事由について」をご覧ください)。

そこで,破産申立てに際し裁判所に提出する報告書において,1回の競馬に費やしていた金額が比較的少額であること,競馬を行っていたのは当時勤務していた職場の同僚に誘われた時がほとんどで,自ら競馬で遊ぶことは少なかったこと,相談者が弊所に相談に来て以降は,一切競馬をしていないことを資料を付けて説明し,裁判所に対し,破産法上免責不許可事由に該当する事由はあるものの,本件において相談者が免責を許可されるべきであることを説明しました。 

4.反省文及び生活再建策の提出

破産申立てをした後,裁判所より反省文及び生活再建策の作成・提出を求められました。

本件のように免責不許可事由が認められる場合には,裁判所は相当な処置を講ずるものとされており,多くの場合,破産者に対し反省文及び生活再建策の作成・提出が命じられます(詳しく弊所HPの「自己破産」のページ内にある「反省文・生活再建策について」をご覧ください)。

そこで,弁護士指導の下,反省文においては,今回借入れが大きくなった原因の一つである競馬等といったギャンブルを今後一切行わないこと,生活再建策では,申立準備破産申立ての際に作成した家計収支表を今後も作成し続ける,物品を購入する際にその場で購入せず一旦持ち帰って検討する等といった具体的な再建策を内容とした書面を作成して頂き,裁判所へ提出しました。

5.破産手続及び免責手続

今回,相談者の申立てを行った破産手続は同時廃止手続というものであったため,破産管財人は選任されず,破産手続の開始と同時に破産事件が廃止され,その後直ぐに免責手続へと進みました。

そして,上記のとおり具体的な今後の生活方法等をまとめた反省文及び生活再建策を提出することで,無事,裁判所より免責決定が出され,相談者は借金の免責を受けることが出来ました。

6.終わりに

相談者のように,競馬といったギャンブルにより借金が大きくなってしまった場合でも,ギャンブルを一切止め,今後の生活再建策等を説明することで,裁判所から免責決定を受けることができる可能性はあります。

借金問題でお困りの方は,守口門真総合法律事務所へ御相談ください。

 

 

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自己破産手続中に故人名義の不動産が発覚した場合

2020年02月17日|借金問題, 弁護士コラム

1 亡父親名義の不動産の発覚

自己破産手続のご依頼を頂いた件で,破産手続にあたり依頼者の財産関係を調査している最中,依頼者の居住する不動産が,依頼者の亡父親名義のままになっており,相続による名義変更が行われていないことが判明した事案です。

故人名義の不動産がある場合,当該不動産は遺産分割未了の財産としてみなされ,故人の法定相続人全員が共有しているものとされますので,法定相続人はその法定相続分の割合に応じ,当該不動産の一部共有持分を有している扱いになります。

そうしますと,当該不動産の共有持分が破産者の財産と見なされることになりますので,原則として,破産者の有する共有持分を第三者に売却し,売却代金を債権者に配当することで,自己破産手続の終了を目指すことになります。

もっとも,一部共有部分のみの売買については,①売買の取扱い自体少ないこと,②買主が中々つかず,売却までに時間が掛かること,③買主と他の共有者との間で不動産の共有状態が生じ,権利関係を錯綜させる等のデメリットがありますので,当事務所では,上記デメリットを防ぐため,以下のとおり対応しました。

2 亡父親名義の不動産が遺産分割協議済みであることの上申

(1)裁判所への上申

まず,当事務所では,亡父親名義の不動産が遺産分割協議済みであると考え得る余地がないか模索し,以下の理由を付して,遺産分割協議済みであるとの上申を行いました。

ア 遺産不動産の相続権は依頼者らが取得したものの,法定相続人らには不動産登記等に関する知識が欠けており,名義変更を行う必要を認識していなかったこと

イ 市役所より「納税義務者を相続人間で決めてほしい」との指導を受け,依頼者らは母親を納税義務者とすることを決定し,市役所に対し連絡したところ,遺産不動産についての納税義務者は母親と変更され,それ以降現在に至るまで,遺産不動産の固定資産税は母親が支払い続けていること

ウ 依頼者らは,遺産不動産の納税義務者が母親に変更されたことで,遺産不動産の名義変更手続は終了したものと考えており,登記簿上の名義変更手続きを行うことのないまま,現在に至っているという事情があること

エ 依頼者は,上記経緯から遺産不動産が母親の所有であると何の疑いもなく認識しており,自己破産手続の申立てにあたって居住する不動産の登記簿を取得したところ,当該不動産の名義が未だに亡父親名義のままになっていることを初めて知ったこと

オ 以上より,遺産不動産の遺産分割協議は納税義務者を変更した段階で既に終了しており,登記簿上の名義変更がなされていなかっただけの状況であるため,依頼者が現在居住する遺産不動産は依頼者の財産に含まれないこと

(2)裁判所の判断

もっとも,裁判所は,遺産不動産の名義変更手続が行われていない事実を重視し,当該不動産の遺産分割協議は行われていないものとし,依頼者の有する遺産不動産の共有持分について,依頼者自身の財産であるとの判断を行いました。

3 裁判所との間の協議

そこで,当事務所では,上記裁判所の判断を前提に対応を検討することとしました。

(1)故人名義の不動産が発覚した場合の通常の処理

通常,故人名義の不動産がある場合,破産者の有する共有持分のみを売却し,その売却代金を債権者に配当することで,自己破産手続の終了を目指すことになります。

(2)共有持分相当額の組み入れ

しかし,前述のとおり,一部共有部分のみの売買については,①通常不動産の売買は不動産全体を売却することが前提になるため,全体でなく一部共有持分のみの売買は取扱い自体少ないこと,②一部共有持分のみの売買では売却までに時間が掛かることが予想され,売買を終えるまで自己破産手続を終結させることができないこと,③一部共有部分のみの売買が生じた場合,買主と依頼者以外の法定相続人との間で不動産の共有状態が生じ,権利関係を錯綜させること等のデメリットがあります。

そこで,当事務所では,依頼者の母親に援助をしてもらい,依頼者の有する共有持分に相当する金銭を組み入れることで,依頼者の有する共有持分を売却することなく,自己破産手続を終結させる方針を立て,裁判所の納得を得ました。

(3)共有持分相当額の金銭的評価

次に問題となったのは,依頼者の有する共有持分相当額の金銭的評価でした。

一般的には,遺産不動産全体の査定額を取得し,不動産全体の査定額に依頼者の共有持分に相当する割合を乗じ,共有持分に相当額の金銭的評価を行います。たとえば,不動産全体の査定額が1000万円,破産者の有する共有持分が4分の1であれば,1000万円に共有持分4分の1を乗じ,250万円が共有持分相当額となります。

もっとも,通常,一部共有持分のみを売却する場合,買主は,当該不動産の利用・処分等,所有者の権限に大きな制限を受けることになりますので,その点を考慮して一部共有部分のみの売却金額は低額になりやすいものと言えます。

にもかかわらず,不動産全体の査定額に依頼者の共有持分に相当する割合を乗じ,共有持分相当額を算出する方法は社会通念から見て適当ではありません。

そこで,当事務所では,①不動産の一部共有持分のみを売りに出した場合,買い手がつかず結局売却価格を下げなければならない可能性が高いこと,②一部共有持分のみの売却の場合,上記事情から売却代金が低額になることを主張し,共有持分相当額の金銭的評価を低下させ,低下させた評価額に相当する金銭を依頼者の母親に援助してもらうことで,自己破産手続を終結させる運びになりました。

4 総括

本件では,亡父親名義の不動産が発覚した事案であるにもかかわらず,①遺産不動産の売却という方法をとらず,かつ②共有持分相当額の金銭的評価を低下させた上,自己破産手続を早期に終結させることができました。

自己破産手続においては,破産者の財産及び負債を弁護士が調査することになりますので,このような例外的事由が発生することもままあります。

当事務所では,自己破産手続等の債務整理案件を数多く取り扱っておりますので,依頼者の状況に応じて,適切に対応することが可能です。

借金のことでお悩みの場合,守口門真総合法律事務所までお気軽にご相談ください。

 

 

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