裁判離婚に必要な事由
裁判離婚に必要な事由は下記の6つの離婚原因に分類されます。
不貞行為
離婚原因としての「不貞行為」の割合は家庭裁判所における離婚申立ての動機を見ると、第1位の「性格の不一致」に続き、第2位と非常に多いものとなっています。
民法により不貞行為とは、「配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて配偶者以外の異性と性的関係をもつこと」と定義されています。
したがって、ここで言う裁判上の離婚原因とは、肉体関係を持たないデートなどの行為は含まれません。
また、1回限りの「不貞行為」で離婚を認めた例はありません。
これは、「1回限りの浮気・不倫(不貞行為)は許される」というわけではなく、裁判で原因として認められる不貞行為とは、ある程度継続的に肉体関係を伴う男女関係を指すと考えられているからでしょう。
浮気・不倫が原因で離婚をしたい時は、証拠が必要となります。
不貞の事実があることを証明する必要があるからです。
証拠が不十分でも、離婚は認められることはありますが、慰謝料や財産分与の交渉を有利に進めるためにも証拠はあった方がよいでしょう。
また、夫と女性との肉体関係を示す証拠はないが、2人の交際状況から判断して離婚を認めたケースがあります。
不貞の証明ができなくても、夫婦としての信頼が維持できないよう行為があれば、「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるとして、離婚が認められることがあります。
なお、不貞行為があっても婚姻の継続を相当とする場合もあります。
・不貞によって婚姻関係が破綻したといえず、復元の可能性がある場合。
・離婚請求する側に、婚姻破綻の責任がある場合。
・離婚を認める事が夫婦双方の利益のために、または未成年の子の利益のために好ましくないとみられる場合。
など。
お子さんやご自身の将来のためにも、最良な判断をなさるお手伝いをさせていただきたいと思っています。
まずは一度お電話で、ご相談ください。
悪意の遺棄
協力・扶助ふじょ.・同居といった夫婦間の義務ギャンブルに興じて働かない・生活費渡さない・勝手に家を出てしまったなど.を、故意に果たさない行為の事です。
しかし1~2ヶ月程度では悪意の遺棄とは言えません。
悪意の遺棄には相当期間少なくとも数ヶ月または10ヶ月.継続していることが必要です。
3年以上の生死不明
3年以上に渡り配偶者からの連絡が途絶えて、生死も不明な場合です。
単なる行方不明でなく、死亡している危険性が高い失踪の場合に生死不明となります。
7年以上の場合には家庭裁判所に失踪宣告を申立てる事が出来ます。
確定すると配偶者は死亡したものとみなされ、離婚が成立します。
回復の見込みがない強度の精神病
配偶者が精神病になったという理由だけでは認められません。
医師の診断場合によっては専門医の鑑定やそれまでの介護や看護の状況、さらに離婚後の配偶者の治療や生活などを含んで裁判官が判断します。
以上の4つの離婚原因については、たとえこれに該当しても裁判官の裁量により、離婚が認められない場合があります。
家庭内暴力
身体的虐待
殴る・蹴る・突き飛ばす・押さえつける・熱湯や水をかける・部屋に閉じ込める・タバコの火を押し付ける・唾を吐きかけるなどの一方的な暴力行為です。
精神的虐待
日常的に罵る、無視する、行動を監視する、子供や身内を殺すなどと脅す、ペットを虐待して見せるなど、相手にストレスとなる行為を繰り返し行うことをいいます。
別れるなら死ぬという狂言自殺も含まれます。
性的虐待
相手の気持ちを無視した、性的な侵害行為のことです。
性交の強要や避妊をさせない、異常な嫉妬をするなど一方的に行為を行うことです。
経済的暴力
生活費を渡さない、買い物の決定権を与えない、仕事をやめさせる、家のお金を持ち出す、お酒やギャンブル、女性に生活費をつぎ込むなどがあります。
社会的隔離
実家や友人から隔離する、電話やメールの発信者や内容を執拗に知りたかる、外出を防止するなど、社会から隔離しようとする行為のことです。
なかには自分自身が家庭内暴力を受けていると気がつかないケースもあります。
もしかしたらと少しでも思ったら、まずはご相談ください。
その他の婚姻を継続しがたい重大な事由
すでに夫婦間が破綻しており、婚姻の本質に応じた共同生活の回復が見込めないと判断されるケースです。
例えば、下記のような状態が挙げられます。
・性格の不一致
・配偶者の親族とのトラブル
・多額の借金
・宗教活動にのめり込む
・ギャンブルや浪費癖
・性交渉の拒否
・犯罪による長期懲役
など。
※上記に当てはまる場合にも離婚が認められないケースもあるため専門家への相談が必要です。
多い離婚事由
離婚の原因となる最も多い事由は、夫婦間の「性格が合わない性格の不一致」による離婚です。
性格の不一致は夫側、妻側ともに最も多い申立て離婚の動機・原因となっています。
夫側・妻側からの申立てが多い離婚の動機・原因を3つずつ挙げると以下の通りです。
妻側からの離婚申立てとなった動機・原因の順位
- 1.性格が合わない性格の不一致.
- 2.夫が不倫や浮気をしている.
- 3.暴力を振るう
夫側からの離婚申立てとなった動機・原因の順位
- 1.性格が合わない性格の不一致.
- 2.妻が不倫や浮気をしている.
- 3.親族との折り合いが悪い
離婚が成立するか?
離婚を申立てて離婚が成立するか否かにつき、夫婦それぞれ、代表的な申立て動機・原因を判例に当てはめてみます。
1.性格の不一致
性格の不一致は、夫側・妻側からの申立てが最も多い離婚の申立て動機・原因です。
しかし性格が合わないということのみで、離婚が簡単に成立するとは限りません。
性格の不一致と合わせて様々なトラブルが積み重なり、婚姻が破綻している場合は離婚が認められるケースもあります。
過去の判例は参考程度と認識しておきましょう。
2.異性関係によるトラブル
相手方も離婚の意思を表明している場合には、離婚自体は問題なく認められます。
相手方が離婚を拒否した場合には、異性関係の存在を証明する必要が生じます。
不貞行為(浮気・不倫)に関する詳しい説明はコチラ
3.暴力を振るう
妻側からの申立てが2番目に多い離婚動機・原因です。
暴力や虐待により婚姻が破綻した場合には、離婚成立だけでなく慰謝料やその他損害賠償を請求することもできます。
家庭内暴力に関する詳しい説明はコチラ
4.金銭に関する動機
多額の借金の有無や、借金が原因による自己破産や個人再生が、離婚原因になるわけではありません。
ですが、下記のようなケースによって夫婦生活が破綻した場合には、離婚請求は大抵認められます。
- ・浪費やギャンブルのために、消費者金融から多額の借金をする
- ・生活費を使い込む
- ・自宅に消費者金融から督促の電話がかかってくるなど
※浪費には風俗通い、ギャンブルにはパチンコ・競馬などが挙げられます。
5.精神的虐待による婚姻関係破綻の場合
こちらも、2.暴力を振るうと同じく、離婚原因に該当します。
したがって、離婚のみならず不法行為に基づく慰謝料やその他の損害賠償の請求が可能です。
ただし、夫婦間の暴力、虐待等について意見が全く逆なケースも多いです。
したがって下記のような証拠を残すなどの対策が必要です。
- ・暴力によって怪我をしたら、医師に怪我の原因を正直に言って診断書を書いてもらう
- ・あざが出来れば写真を撮っておくなど