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新着情報・トピックス

交通事故(物損事故)で取引上の評価損が問題となった解決事例

2019年01月17日|交通事故, 解決事例

1 事案の概要

 被害者が自動車を駐車場に駐車していたところ,被害者が不在の間に,加害車両が被害車両に衝突しており,被害車両が破損した物損事故案件です。

本件事故により,被害車両の左後方部からタイヤハウス,バンパーにかけて左後部車軸が曲がるという破損,車両前部・横部の損傷,タイヤ主軸の損傷が生じていました。

これにより,修理を行い原状回復したとしても,外板価値減点(リヤフェンダ,リヤエンドパネル等溶接止め外板の交換を要するもの又は交換跡のあるもの)による中古車価格の低下が生じており,車両価格低下分の補填を求めたいということで当事務所にご依頼をいただきました。

 

2 取引上の評価損

車両の修理をして原状回復され,欠陥が残存していない場合であっても,中古車市場における価格が現実に低下した場合,「取引上の評価損」が発生していると評価され,加害者の損害賠償義務の範囲内に含まれます。

一般的に,交通事故やその他の災害により,自動車の骨格等に欠陥を生じたもの,またはその修復歴のあるものは,「修復歴車」として商品価値の下落が見込まれ,中古車市場における価格低下原因として広く認知されているため,取引上の評価損が認められやすい事情と言えます。

しかし,本件の被害車両には外板価値減点が生じており,「修復歴車」には含まれないため,保険会社は外板価値減点による車両価格低下分の補填を認めませんでした。

そこで,当事務所は,カーチェックシート上,外板価値減点が生じていることを明らかにした上,評価損の評価基準に関しては,実務上,走行距離,初度登録からの期間,損傷の部位・程度,修理の程度等諸般の事情が総合考慮されるところ,本件におけるこれら諸般の事情を考慮すれば,中古車価格が現実に低下することが認められると主張しました。

 

3 保険会社の主張及び当方の反論

当初保険会社は,自動車の骨格に欠陥を生じていないため,外板価値減点は「修復歴」には含まれないこと,被害車両が高級車・外国車でないことを理由に,取引上の評価損を一切認めませんでした。

しかし,当事務所は,被害車両が高級車・外国車であることを考慮しても,中古車市場において現実に価値の低下が認められる以上,取引上の評価損が発生するものとして,以下の主張を行いました。

① 日本自動車査定協会の発行する中古自動車査定基準上,「リヤフェンダ,リヤエンドパネル等溶接止め外板の交換を要するもの又は交換跡のあるものは,商品価値の下落が見込まれる」との記載があり,外板価値減点であっても,現実に市場価格の低下が認められることは明らかであること。

② 裁判例上,「中古車市場において事故があったことのみを理由に一般的に減価されることは経験則上明らかである」とされており,裁判例ではそもそも事故歴があることのみをもって,市場価格が低下することを当然の前提としていること。

③ これまでの裁判例の傾向からすると,国産車では3年以上(走行距離で4万キロメートル程度)を経過すると,評価損が認められにくい傾向があるとされており,被害車両の走行距離,初度登録からの期間からすれば,国産車であっても裁判例上評価損が認められる範囲内にあるといえること。

 

4 総括

本件においては,当事務所による以上の主張が認められ,カーチェックシート上の外板価値減点分(中古車市場における車両価格低下分)全額を支払う内容で和解が成立致しました。

本件は,被害車両が国産大衆車であり,修復歴が存在しないという事情がありましたが,弁護士が法的分析を丁寧に行い主張することで,車両価格低下分全額の支払いを受けることが出来ました。

当事務所では,交通事故に遭われた場合,人身事故・物損事故を問わず,ご相談に乗らせていただいております。交通事故に遭われた方は,守口門真総合法律事務所にお早めにご相談ください。

 

 

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賃貸借契約に関しての民法改正

2018年12月26日|不動産, 弁護士コラム

平成32年4月1日より,改正民法の施行が予定されており,賃貸借契約に関しても影響が出てきます。不動産賃貸借契約など,皆様の居住や事業の基盤になる契約についても,契約書を見直す必要があります。不動産業者だけでなく,地主,家主の方も,民法改正への備えは十分でしょうか。
そこで,今回は,賃貸借契約に関しての民法改正の概要をご紹介します。

 

①賃貸借契約期間の伸長

賃貸借契約期間の上限が現在の20年から,50年に伸長されました(改正民法604条)。
この改正の背景には,駐車場やゴルフ場,太陽光発電事業用の土地賃貸借契約において,長期にわたる契約期間の定めするニーズがありました。これらのニーズに対応する契約が可能となりました。

 

②不動産賃貸借の対抗力,賃貸人の地位に移転に関する規定

1 判例法理を明文化する形で新設されました。
不動産の賃貸借は,これを登記したときは,その不動産について物件を取得した者その他の第三者に対抗することができる(改正民法605条)。
不動産の賃貸借が対抗することができる場合,その不動産が譲渡されたときは,その不動産の賃貸人たる地位は,その譲受人に移転する(改正民法605条の2第1項)。
賃貸不動産の譲渡により賃貸人たる地位が移転した場合における費用所管に係る債務及び敷金返還に係る債務については,譲受人やその承継人に承継される(改正民法605条の2第4項)。
以上の規律は,従前より判例法理により処理されてきました。
2 これに加えて,今回の民法改正で新たに,不動産の賃貸人の地位を旧所有者に留保することができるようになりました。
これまでは,実務上,賃貸不動産を信託する等の場面において賃貸人たる地位を旧所有者に留保するニーズがありましたが,賃貸不動産に入居している個別の賃借人の同意を得る必要があったり,賃貸管理委託などの契約では対応できなかったりしました。
改正民法において,不動産の賃貸人の地位を旧所有者に留保するための要件は,ⅰ不動産の譲渡人及び譲受人が,賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨の合意をすること,ⅱ不動産の譲渡人及び譲受人がその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をすること,となっております。
この場合,新所有者が賃貸人,旧所有者が賃借人,従前賃貸借の賃借人が転借人という転貸借の法律関係となります。この場合に,譲渡人と譲受人間の賃貸借が終了したときには,賃借人を保護するため,譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は,譲受人やその承継人に当然に移転することとされました(改正民法605条の2第2項後段)。
賃貸不動産を売買する場合などには,賃貸人の地位の留保を用いれば,個別の賃借人の同意をえることなく,従前の賃貸借契約の関係を残したまま,賃貸不動産を売買することができるようになります。

 

③不動産の賃借人による妨害排除等請求権の規定

不動産の賃借人による妨害排除等請求権の規定が新設されました。
これは,対抗要件を備えた不動産の賃借人が,第三者に対して,占有の妨害を停止する請求や占有の返還を求める請求を行うことができるという,判例法理を明文化したものです(改正民法605条の4)。

 

④賃借物の一部または全部が使用収益できなくなった場合の規定

賃貸物の一部の使用収益ができなくなった場合について,賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは,賃料は使用収益できなくなった部分の割合に応じて減額されるという規定が設けられました(改正民法611条1項)。現行民法では,賃料減額につき一部滅失の場合のみを規定していますが,一部滅失に限らず賃貸物の一部の使用収益をすることができなくなった場合一般を対象として賃料の減額を認めるとともに,賃借人からの請求を待たずに当然に賃料が減額されることとなりました。賃料は,賃借人が賃貸目的物を使用収益することができる状態におかれていることの対価として発生するものですので,一部の使用収益をすることができなくなった場合には,当然に賃料も使用収益することができない部分の割合に応じて発生しないという理解に基づくものです。
賃借物の一部が使用収益することができず,残存する部分のみでは賃借目的を達成不可能なときは,賃借人の解除権を認めました(改正民法611条2項)。
また,全部が使用収益できなくなった場合,賃貸借は終了するという規定が新設されました(改正民法616条の2)。
地震や台風などの災害や事故によって建物が一部損壊した場合には,これらの条項により賃料減額等が当然に認められることとなります。

 

⑤転貸借関係

適法な転貸借がなされた場合における賃貸人と転借人との法律関係について,現行法の内容を具体化し,判例法理を明文化する規定が設けられました(改正民法613条)。
前述の賃貸人たる地位の留保により,転貸借関係が増加することが想定されます。賃貸人と賃借人(転貸人),転借人との三者関係の法律関係となりますので,通常の賃貸借関係よりもトラブル発生の可能性は高まります。トラブル発生を回避するためには,契約書等を見直して,転貸借関係に備えることが必要です。

 

⑥賃貸借終了後の収去義務,原状回復義務

賃借人の収去義務,原状回復義務の内容を明確化する規定が設けられました(改正民法621条,622条が準用する599条)。
賃借人の収去義務については,ⅰ賃借人が賃借目的物を受け取った後にこれに附属させたものについては賃借人が収去義務を負う,ⅱ賃借目的物から分離することが出来ない物や分離するのに過分の費用を要する物については収去義務を負わない,とされました。
原状回復義務については,賃借目的物を受け取った後に生じた損傷については,その損傷を原状に回復する義務を負います。もっとも,賃借目的物に生じた通常損耗(通常の使用収益によって生じた賃借物の損耗)や賃借物の経年変化については,賃借人はこれを回復する義務を負わないとされています。また,賃借人の責めに帰することができない損傷についても,賃借人は原状回復義務を負わないとされます。
原状回復に関するトラブルは多いです。契約書に,原状回復範囲を明記するなどして,トラブルを回避することが重要となります。

 

⑦敷金

敷金に関する規定が新設されました(改正民法622条の2)。現行民法には,敷金に関する基本的な規定が設けられておりませんでした。
敷金の意義については,これまでの判例や一般的理解を基に,いかなる名目によるかを問わず,賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で,賃借人が賃貸人に交付する金銭をいうとされました。
敷金返還債務の発生時期につき,判例を明文化して,ⅰ賃貸借が終了し,かつ,賃貸物の返還を受けたとき,ⅱ賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき,とされました。
敷金の充当に関しては,敷金返還債務の発生のときに,受け取った敷金の額から賃貸借に基づく賃借人の賃貸人に対する金銭給付目的の債務の額を控除するものとされました。
敷金返還債務の発生前には,賃貸人は,賃借人が賃貸借に基づく金銭給付目的の債務を履行しないときは,敷金をその債務の弁済に充てることができるとされました。このとき,賃借人から賃貸人に対して,敷金をその債務の弁済に充てることを請求することはできません。
敷金に関しては,これまで明文がなく種々の解釈がなされてきました。今後は,賃貸人と賃借人それぞれが理解をすることでトラブル発生を防止することになりますので,契約書において明記することが有効となります。

以上の民法改正は,平成32年4月1日施行されますので,これまでに契約書を見直し,民法改正に備える必要があるかと思います。

 

今回は,賃貸借に関しての民法改正の概要をお伝えしました。具体的な契約書チェックのご相談は,守口門真総合法律事務所までお問い合わせ頂きますようお願い致します。

 

不動産のご相談やお問合せはぜひお任せください。
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遺産分割協議による解決事例

2018年11月22日|相続, 解決事例

1,法律相談の内容・出張相談の実施等

社会福祉士の方からのご紹介で,入院中の高齢者の方が,ご主人を亡くされたため,その遺産分割についての御相談でした。

相談者が弁護士事務所に来所できる身体状況では無かったため,弁護士が病院に出張して法律相談を実施することになりました。

法定相続人は,配偶者である相談者以外にご主人の兄弟が2名,つまり合計3名であり,法定相続割合は,相談者(配偶者)が4分の3,ご主人の兄弟2名が8分の1ずつでした。 

2,遺産分割協議の成立及び相談者の今後を見据えた処理

 遺産調査を進めると,遺産の内容は,相談者がご主人と暮らしていた家屋とその土地及び預貯金のみでした。

 また,事情を詳しくお聞きしたところ,相談者様は身体の状況もあり一人での生活は困難であるため,今後は府外の息子夫婦の下で生活し,不動産は売却する必要があること,ご主人のご兄弟も府外で生活しており,不動産を利用する予定がないことが分かりました。

 そこで,方針としましては,相談者が遺産を全て取得するという内容にし,不動産については相談者が大阪にいる間に売却手続を完了させるということとしました。

 ご主人の兄弟には,弁護士が作成した遺産目録をお送りし,遺産の内容を理解して頂いた上で,現在の相談者の状況及び今後の方針をお伝えし,上記方針にご納得いただくよう説明をしました。

 そうしたところ,他の相続人にもご納得いただき,相談者が遺産を全て相続するという内容で,遺産分割協議書を作成することができました。

遺産分割協議書の作成においては,相談者は介護施設に入所中で弁護士事務所に来所できる身体状況ではなかったため,弁護士が介護施設に出張し,改めて遺産分割協議の内容を説明した上で,署名・押印をして頂きました。また,他の相続人につきましても,印鑑証明書を提供していただき,遺産分割協議書の押印欄には実印を押していただき,遺産分割協議書は,法定相続人の人数分の通数を作成し,各法定相続人が1通ずつ保管することになりました。

 そして,遺産分割協議書の作成が完了した後,直ちに不動産売却手続を進めました。不動産売却手続では,まず,家屋内の物品の処分を行いました。もっとも,その際には,必要な物や思い出の品は処分しないよう注意し,府外の息子夫婦の下へ郵送しました。その後,不動産媒介業者に依頼をし,買主を見つけて不動産売却を無事終えることとなりました。 

3,結語

今回の遺産分割協議では,法定相続割合より多くの遺産を取得するとともに,不動産の売却も済ますことができ,相談者の今後に沿った解決ができたため,相談者もご満足いただきました。

本件は,相談者が弁護士事務所に来所できる状況ではございませんでしたが,弁護士が病院や介護施設に適宜出張し,意思確認・経過報告をすることで,対応しました。

相続や遺産分割でお困りの方は,お早めに,守口門真総合法律事務所にお問い合わせいただければと思います。

 

 

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遺産分割協議による解決事例

2018年11月13日|相続, 解決事例

1,法律相談の内容(遺言書の作成)・出張相談の日時設定等

介護施設に入居中の兄が遺言書を作成したいと言っているため遺言書作成をお願いできないですか,という弟(相談者)からの御相談でした。

お兄様が弁護士事務所に来所できる身体状況では無かったため,弁護士が介護施設に,休日に出張して法律相談を実施することになりました。

当初予定では,筆記ができそうなら自筆証書遺言を作成し,筆記が難しければ公証人に出張してもらい公正証書遺言を作成する予定でした。

 

しかし,相談日の前日にお兄様の容態が急変し,遺言書を作成することができないまま,逝去してしまいした。高齢者には,まれにみられるケースだと思います。

法定相続人は,相談者以外に4名,つまり合計5名であり,法定相続割合は,相談者が3分の1,他の兄弟が3分の1,3名の甥姪(代襲相続者)が9分の1ずつでした。

 

2,寄与分の主張による有利な遺産分割協議の成立

もっとも,事情をよくお伺いすると,被相続人に対し,相談者が最も病院付き添いをしたり,入院に際しては身元引受をして入院手続をしたり,頻繁にお見舞いにいったり,介護施設への入所に際しても身元引受をして保証人になったり等,療養看護を尽くされていましたので,寄与分の主張をしました。

その主張が成功し,相談者が2分の1,他の兄弟が4分の1,3名の甥姪が12分の1ずつという相続割合で,遺産分割協議書を作成することができました。当然のことですが,他の相続人から印鑑証明書も提供していただき,遺産分割協議書の押印欄には実印を押していただき,ページが変わる箇所には割印を押していただきました。

遺産分割協議書は,法定相続人の人数分の通数を作成し,各法定相続人が1通ずつ保管することになりました。

 

遺産の内容は,複数の預貯金・株式等でした。

複数の預貯金や株式を上記割合で分割するのは煩雑で非現実的であるため,相談者が全ての遺産を承継し,他の相続人に対しては,上記割合に対応する代償金を支払う内容での遺産分割協議です。なお,株式を承継するためには,当該信託銀行に口座を作成し,マイナンバーを添付する必要がありますので,その点も御指導させていただきました。

 

3,結語

相談者も,法定相続割合より多くの遺産を取得することができ,ご満足いただきました。

本件は,被相続人の容態の変化があまりに急であり,危急時遺言を作成することもできなかったため,弁護士の立場からは,遺産分割協議をしなくて済むよう,遺言作成者がお元気なうちに,早めに遺言書を作成していただくよう助言させていただきました。

遺言書の作成を検討されている方は,お早めに,守口門真総合法律事務所にお問い合わせいただければと思います。

 

 

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交通事故治療中から受任し,治療打ち切りの阻止(半年間の延長),後遺障害等級認定(14級9号),当方過失割合の1割減額を獲得した解決事例

2018年11月2日|解決事例

1 事案の概要

 被害者が自転車,加害者が自動車という人身事故で,被害者の方からのご依頼でした。依頼者は,依然後頚部痛・殿部痛が残っているにもかかわらず,保険会社から治療の打ち切りを告げられ,弊所にご相談いただきました。

 

2 治療打ち切りに関する対応

 弊所は,保険会社に治療打ち切り時期の延長を認めてもらうためには,治療継続の必要性につき主治医の先生の診断書が必要と判断し,依頼者に対し,①現在の症状,②治療方法,③治療効果が認められること,④必要な通院加療期間の見込み等について診断書にご記載いただくよう指示するとともに,治療継続の必要性につき記載された診断書の雛形をお渡しいたしました。

その結果,主治医の先生の協力を得て,治療継続の必要性を認める診断書を取得することが出来ましたので,当該診断書を基に保険会社と交渉を行い,治療打ち切りを阻止いたしました。その後も,依頼者の症状や治療方法等につき保険会社に丁寧に説明を行うことで,約半年間治療打ち切り時期を延長することができ,依頼者の殿部痛は大幅に回復するに至りました。

 

3 後遺障害等級認定に関する対応

 弊所はまず,主治医の先生に後遺障害診断書をご作成いただくにあたり,診断書の記載方法,実施してもらいたい検査方法等を詳細に記したお手紙を作成し,主治医の先生にお読みいただいたうえで後遺障害診断書をご作成いただきました。

次に,ご作成いただいた後遺障害診断書の内容,交通事故証明書,事故発生状況報告書,診断書,診療報酬明細書に基づき,根拠資料を付したうえ,後遺障害に関する弁護士の意見書を作成し,後遺障害等級認定を行う調査事務所に送付いたしました。

 結果,主治医の先生に丁寧にご作成いただいた後遺障害診断書,治療打ち切り時期の延長による長期間の通院期間,根拠資料を付したうえでの弁護士の意見書が功を奏し,後頚部痛・殿部痛につき他覚症状がやや乏しいにもかかわらず,いずれも「局部に神経症状を残すもの」に該当するとして,後遺障害149号に該当するとの判断がなされました。

 

4 過失割合に関する対応

(1)当初保険会社は,「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(別冊判例タイムズNO.38,東京地裁民事交通訴訟研究会編)を基に,当方依頼者の過失割合が3割と主張していました。実際,事故態様から定型的に判断すると,裁判上認められる過失割合は原則として当方3割となる事案でした。

しかし,弊所は本件交通事故の特殊事情に着目し,膨大な根拠資料を付したうえ,以下の主張を行いました。

ア 相手車両に「著しい過失」があったこと

(ア)脇見運転等の著しい前方不注視(道路交通法第70条)

①事故現場が見通しの良い直線道路であり,信号も存在しないこと

②本件事故当時,他に自動車が通行していなかったこと

③依頼者が後方を確認し横断したこと

④本件事故の事故態様

(イ)著しいハンドル・ブレーキ操作不適切(同法同条)

①本件事故当時,他に自動車が通行していなかったこと

②本件事故の事故態様

③事故現場にスリップ痕が認められないこと

(ウ)おおむね時速15km以上30km未満の速度違反

①事故現場が見通しの良い直線道路であり,信号も存在しないこと

②本件事故当時,他に自動車が通行していなかったこと

③依頼者が後方を確認し横断したこと

イ 依頼者が高齢者に準ずる者として,過失割合の修正が行われること

(2)結論

その結果,本件交通事故の特殊事情が認められ,当方の過失割合を1割減額する形で和解が成立致しました。

 

5 総括

本件は,治療打ち切り前の段階で弊所にご相談いただきましたので,①治療打ち切りに関する対応,②後遺障害等級認定に関する対応,③過失割合に関する対応と各段階で弁護士が事案分析及び交渉を行い,前向きな解決を行うことが出来ました。

また,早期段階でご相談いただいたため,依頼者の方が保険会社対応のストレスから解放された結果,自身のお怪我に関する通院治療に集中していただくことが出来ました。

交通事故案件は,早期のご相談がより良い解決に繋がることが数多くございます。交通事故に遭われた方は,守口門真総合法律事務所にお早めにご相談ください。