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従業員を解雇する場合

日本の労働法制では、従業員を簡単に解雇できませんので、ご注意を!

従業員に能力がない、そのような場合、経営者はつい、「解雇して当然」と思ってしまいがちです。

しかし、今の日本の労働法制では、従業員をすぐに解雇するのは大変難しいのです。一般に、下記のような方法で、合意退職に持ち込むのが順当と言えます。

(1)指導・教育の実施

例え、能力がない場合でも、従業員を解雇するのは難しく、かつ裁判所は、会社に対して、従業員の能力がないことを示す証拠を提出することを求めます。能力のある、無いということを立証するのは大変難しいのです。また、証人になる人事担当者、総務担当者の精神的負担は相当なものです。

したがって、会社と従業員が合意して退職する合意退職がトラブルの防止としては有効です。合意退職に持ち込むには、まず、会社が能力のない従業員に対して、指導、教育をしてください
その際、指導、教育の証拠を書面として残してください。そして、指導、教育の結果、どのように能力のない従業員が変わったのか、これも書面として記録を残してください

(2)配転の実施

それでも、能力のない従業員の勤務成績が変わらない場合は、配転を実施してください。裁判所は、解雇に至るまで会社が考えられる手段を全てとったのかを重視します

(3)退職勧奨の実施

それでも、勤務成績が変わらない場合は、降格、降給を実施すべきです。そして、降格、降給を実施する前に退職勧奨をしてください。退職勧奨に応じるのであれば、退職金を上積みするということも有効です。家族構成に応じて金額を加算するべきです。

また、退職勧奨に合意した場合は、きちんと合意書を作成してください。合意書の文言については専門家に相談してください。文言に不備があれば、トラブルが再燃する可能性もあります。

退職勧奨の際、脅迫、詐欺により退職を強いられたと言われないように、必ず2名で面接に当たってください
業績不振によって、人員削減をする場合も含めて、今の日本の労働法制では、従業員をすぐに解雇するのは大変難しいと言えます。ラブルを避けるには、まずは弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

懲戒処分

懲戒処分とは,使用者が労働者に対して行う労働関係上の不利益措置のうち,企業秩序違反に対する制裁罰のことをいいます。

もっとも,懲戒処分と言っても具体的な処分には様々な種類がありますし,実際に懲戒処分を実施したとしてもその有効性を争われることもあります。
そこで,この記事では懲戒処分の種類とその有効性についてご説明いたします。

1.懲戒処分とは何か(懲戒処分の種類)

懲戒処分は,使用者が,従業員の企業秩序違反行為(具体的には,服務規律違反・業務命令違反・信頼関係の破壊・企業の信用毀損等)に対して加える制裁罰のことをいいます。

一般的には,懲戒処分として次のような処分が就業規則で規定されている使用者が多いと思われます。

①戒告・譴責(けん責)

戒告及び譴責は,いずれも労働者に反省を求め,労働者を将来に向けて戒める懲戒処分です。懲戒処分の中では最も軽い処分として位置づけられています。

戒告と譴責の違いについては,戒告では,口頭での反省が求められるにとどまり,譴責では,書面での反省が求められるのが一般的です。そのため,戒告の方が軽い処分と位置付けられています。

譴責において書面での反省を求める方法としては,始末書の提出を求め,自己の非違行為を確認・謝罪し,将来同様の行為を行わないことを誓約することを記載させることが一般的です。

②減給

減給とは,労働者が本来労務提供の対価として受け取るべき給料から,制裁罰として,一方的に一定額を差し引く処分をいいます。

減給については,労働基準法で以下のように限度額が定められているため,実施する際には注意が必要です。

〇労働基準法91条
 就業規則で,労働者に対して減給の制裁を定める場合においては,その減給は,一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え,総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

③出勤停止

出勤停止とは,労働契約を継続しつつ,非違行為に対する制裁として一定期間労働者の就労を禁止する処分のことをいいます。
出勤停止期間中は賃金が支給されず,勤続年数にも通算されないのが一般的であるため,減給などよりも重い処分とされています。

出勤停止の上限について法律上の規制はなく,実務的には,1週間から1か月が多いように思われますが,非違行為の内容によっては,数か月とされることもあります。

上記のとおり,出勤停止は労働者にとって賃金が支給されない等不利益が大きい処分であるため,懲戒処分として出勤停止を選択した点や出勤停止の期間の長さの点について争いになることが多いです。

④降格

降格とは,服務規律に違反した労働者に対する制裁として,役職,職位,職能資格等を引き下げる処分をいいます。

降格と呼ばれるものとして,「懲戒処分としての降格」以外に,「人事上の措置としての降格」があります。懲戒処分としての降格の場合,就業規則上の根拠が必要で,懲戒事由に該当しなければならない他,懲戒権濫用の有無について検討する必要があります(労働契約法15条)。

他方,「人事上の措置としての降格」については,就業規則上の特別な根拠は必ずしも必要ではないですが,人事権濫用の有無について検討する必要があります。

⑤諭旨解雇(ゆしかいこ)

諭旨解雇は,労働者に対し一定期間内に退職届の提出を勧告し,勧告に従い退職届が提出された場合は依願退職扱いとし,提出されない場合は懲戒解雇とする処分のことをいいます。労働者に一度退職届の提出を勧告するという点で,次の懲戒解雇を若干緩和した処分に当たります。

実務上よく見られるのは,使用者側から,「本当は懲戒解雇なのだが,ここで退職願を出せば受理します。出さないなら懲戒解雇とします」という形で勧告する方法です。

一見,使用者側から退職届や退職願の提出を労働者に強制しているようにも見えますが,現実に懲戒解雇事由が労働者に懲戒解雇事由が存在するのであれば,諭旨解雇という懲戒処分に該当します。

諭旨解雇も懲戒解雇事由の存在を前提とした懲戒処分であるため,労働者に懲戒解雇と同程度の懲戒解雇事由がなければ,権利濫用として無効となります。

⑥懲戒解雇

懲戒解雇とは,懲戒として行われる解雇のことをいい,懲戒の中で最も重い処分です。懲戒解雇は制裁罰として行われるため,普通解雇とは区別されています。

懲戒解雇は,制裁罰として使用者から一方的に労働者たる地位を奪う処分であるため,その有効性は,普通解雇に比べても,非常に厳しく判断される傾向にあります。

また,懲戒解雇の場合,退職金の全部または一部不支給を伴うことが多いと思います。ただし,退職金の全部または一部を不支給とするためには,就業規則や退職金規程等において,その旨を定めておく必要があります。また,退職金の全部または一部を不支給とすることができるのは,長年の労働の価値を抹消・減殺するほどの背信行為が存在する場合に限られると解されています(トヨタ車体事件・名古屋地裁平成15年9月30日判決,小田急電鉄事件・東京高裁平成15年12月11日判決等)。

2.懲戒処分の有効性が争われるポイント

懲戒処分は,前述のとおり企業秩序違反に対する制裁罰として「刑罰」に等しい処分であるため,その有効性は厳しく判断されます。

労働者は,懲戒事由もなく懲戒処分をされた場合や,懲戒事由が存在してもその内容に比べ重すぎる懲戒処分がされた場合は,使用者の懲戒権の濫用として,当該懲戒処分が「無効」であることを主張することができます(労働契約法15条)。

懲戒処分の有効性が争われるポイントについて以下ご説明いたします。

(1)懲戒処分の種類及び懲戒事由が就業規則に記載されているか

懲戒処分を行うためには,就業規則に懲戒処分の種類及び懲戒事由が記載されていることが必要です。

これは,懲戒処分が,いわば使用者の「刑罰」に等しい処分であることから,事前に従業員へ明示していることが必要であると考えられているためです。

就業規則や雇用契約書を確認し,そこに記載されていない処分がなされた場合は,懲戒処分の前提を欠くために,同処分は無効であると判断されます。たとえば,①戒告,②減給,⑥懲戒解雇の3類型しか規定がされていない場合に,出勤停止の懲戒処分をされた場合等です。

(2)労働者に,就業規則上の懲戒事由に該当する事実が存在するか

労働契約法上,懲戒処分が有効であるためには,その処分に「客観的に合理的な理由」があることが必要とされています(労働契約法第15条)。

そして,「客観的に合理的な理由」があることとは,労働者の行為が就業規則に定められている懲戒事由に該当することと解されています。

したがって,懲戒処分を行うためには,就業規則に書いてある事実が,労働者に本当にあるかどうか,しっかり確認することが必要です。

(3)労働者の懲戒事由に比べて懲戒処分が重すぎないか否か

労働契約法上,労働者に行われた懲戒処分が,その理由とされた「当該行為の性質・態様その他の事情に照らして社会通念上相当なものと認められない場合」は無効になります(労働契約法第15条)。

これを懲戒処分の相当性の原則といいます。いかなる処分を選択するかは使用者の裁量に属することになりますが,使用者がこの裁量判断を誤り,不当に重い処分を選択すれば,権利の濫用として無効となります。

相当性の考慮要素としては,懲戒事由とされた行為の態様,動機,業務に及ぼした影響,企業の置かれている状況,損害の程度,労働者の態度,情状,処分歴,行った背景,使用者側の原因等が挙げられます。

また,懲戒処分は,同種の非違行為に対しては,同等のものでなければならないとされています。つまり,懲戒処分については先例を尊重することが要請されますので,突出した処分は事情の各種変更等,懲戒処分を正当化する事情がない限り,処分の相当性が否定されることになります。

(4)本人に弁明の機会を与えているかどうか(適正手続の実現)

懲戒処分は,いわば使用者の「刑罰」に等しい処分であるため,本人に弁明の機会を与えることは最低限必要とされています。就業規則などで,懲戒処分の前に懲戒委員会を開催したり,労働組合との協議が要求されている場合には,その手続を実施することが必要です。

裁判例上,多くの場合,これらの弁明の機会が与えられない懲戒処分は,軽い処分についてささいな手続上のミスがあるに過ぎないとされるものでない限りは,懲戒権の濫用として無効とされています。

3.懲戒処分のトラブルの内容

上記のとおり,懲戒処分は簡単には行うことが出来ず,懲戒処分の無効による争いに発展することは多いです。

特に,出勤停止・諭旨解雇・懲戒解雇といった懲戒処分は,労働者の生活に非常に大きな不利益をもたらすため,争いになります。

また,処分の無効とともに,労働者が,処分がなされた後使用者が支払っていない賃金の請求をすることもあります。

4.まとめ

仮に懲戒処分に該当しそうな事実がある場合でも,本当に懲戒処分が有効かどうかについては,十分な検討が必要です。出勤停止・諭旨解雇(諭旨退職)・懲戒解雇といった重い処分を行う場合はもちろん,それ以外の軽い処分の場合でもしっかりと事前にその処分の有効性について検討する必要があります。

こうした懲戒処分の有効性や対応については,弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

残業代の未払い問題

未払い残業とはサービス残業のことです。残業代を払わずに残業させることです。未払いが発覚すると、労働基準監督署から「是正勧告」されることになります。是正勧告」に従って是正しなければ、書類送検となり、罰せられる可能性もあります。

この「賃金不払残業」の「是正勧告」によって、上場企業が数億円、数十億円支払ったケースもあります。このような場合、どのような対応をとるべきか、お伝えいたします。

(1)是正勧告とは?

「是正勧告」とは、いわば労働基準監督署による警告書です。会社経営者が従業員を雇用するとき、守らなくてはならないルールが「労働基準法」です。このルールに違反して、出されるのが、「是正勧告書」という名の警告書です。

この罰則をみると「6ヶ月以下の懲役」とか「30万円以下の罰金」などとあります
行政指導には強制力がないので「是正勧告」には従わなくてもよさそうに見えますが、「労働基準法」の中に懲役又は罰金というペナルティーが設けられており、「是正勧告」に従って是正しなければ、書類送検となり、罰せられる可能性もあります。

「是正勧告」に至る「労働基準監督署」の「調査」のきっかけは、従業員(元従業員を含む)からの申告が大きい割合を占めています。したがって、労基署の調査も会社の労働時間管理の実態を理解した上で行われます。

(2)労働基準監督署(労基署)への対応

残念ながら、労基署が調査に入り、労基署が様々な資料を入手した後では、使用者が労基署に対して対抗する手段はほとんどありません。しかし、労基署に提出した資料にはあらわれない、使用者としてどうしても主張したい事情もあるかと思います。

例えば、労基署は、パソコンのログオン、ログオフ時間を元に労働時間を計算することが多いのですが、当該労働者がパソコンでその時間まで仕事をしていたのかは本当のところはわかりません。途中で夕食を取るためパソコンの電源をつけたまま机を離れたかもわかりません。

また、タイムカードについても、職場の親睦会などがあり、タイムカードの時刻が終業時刻後相当遅くなって打刻されているような場合もあるかとおもいます。

以上のような事情があれば、労基署に主張することも可能かと思います。このような場合、まずは弁護士にご相談下さい。

労働審判を起こされたら

(1)労働審判手続とは

1)労働審判手続とは、労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について,労働者と使用者との間に生じた民事に関する紛争を対象として,裁判官1名と労使関係の専門家2名(通常は使用者としての知識経験を有する労働審判員1名,労働者としての知識経験を有する労働審判員1名が指定されます)で構成する委員会(労働審判委員会)が審理を行って紛争の解決を図る手続のことをいいます。

対象としては,労働者と使用者との間に生じた民事に関する紛争とされていますが,具体例としましては,労働契約の成立に関する紛争,内定取消しに関する紛争,配点・転勤・出向・転籍といった人事異動に関する紛争,降格・降給に関する紛争,同僚・上司らによるセクハラ・パワハラその他の違法行為に関する紛争,残業代を含む未払賃金に関する紛争,解雇や雇止めに関する紛争等があります。

2)労働審判手続の特色としましては,原則として3回以内の期日において審理が終結するという点が挙げられます。この3回以内の期日において,調停の成立(和解)による解決も検討され,調停の成立が見込まれない場合には審判が出されます。

このような労働審判の特色は,紛争の迅速な解決に資するものではありますが,30日程度しか使用者に反論の準備期間が与えられず、3期日以内に調停成立(和解)するか否かの判断を使用者に迫るもので、使用者にとっては厳しい制度といえます。

(2)労働審判の申立書が届いた場合

1) 第1回期日までの準備

労働審判手続では,労働審判員会が,第1回期日において当事者の主張を聴いて争点及び証拠を整理し,同期日において可能な証拠調べまで行うとされています(労働審判規則21条1項)。

そのため,申立を受けた使用者は,第1回期日の前に原則として主張を記載した答弁書と証拠を全て提出しなければなりません。

第1回期日については,申立てがされた日から40日以内に指定され,通常,指定された第1回期日の1週間前までに上記答弁書と証拠の提出が求められます。

このように,使用者としては,反論内容をまとめた答弁書及び証拠の提出までに30日程度しか余裕がないため,労働審判の申立書が届いたら直ちに弁護士に相談されることをお勧めいたします。

2)期日の流れ

実務上,労働審判委員会が,第1回期日における事実の調査や証拠調べの結果を踏まえて調停案を提示し,第2回期日までに各当事者がこれを検討し,特に大きな問題がない場合には,第2回期日において,第1回期日で提示された調停案や同案を微調整した案により調停が成立し,事件が終了となることが多いです。

また,労働審判委員会として,第1回期日では主張及び証拠の提出が不足していると考えた場合には,第2回期日までに補充することを指示する場合もあります。もっとも,労働審判手続では,その制度設計上,第2回期日までに主張及び証拠の提出が終了することが予定されているため,第3回期日までに更に補充の主張及び証拠の提出をすることはできず,注意が必要です。

3)調停がまとまらない場合

第2回期日が終了した時点で調停成立の見込みがなければ,実務上,当該期日で審理を終結し,審判がされることが多いです。

なお,労働審判に対し,当事者が2週間以内に異議を申し立てた場合には,労働審判はその効力を失い,労働審判に係る請求については,申立て時に遡って,地方裁判所に訴えの提起があったものとみなされます。

(3)まとめ

このように,労働審判手続は紛争の迅速な解決という点に特徴がある手続であるため,申立を受けた使用者としては,短期間の間に準備をしなければなりません。

したがいまして,労働審判を起こされたら、できるだけ早い段階で弁護士に相談されることをお勧めいたします。

労働訴訟をおこされたら

労働訴訟の典型的なものに、従業員地位確認請求事件があります

地位確認請求とは、従業員が雇い主より解雇された場合、解雇が無効で従業員の地位が存在することを確認し、給料の支払い等を求める訴えのことです。

(1)労働訴訟をおこされたら

原告と被告との間において主張(言い分)が相互になされ、それに伴い必要な書証の調べがなされ、その後証人尋問がなされます。それと並行するか、証人尋問の後辺りに和解の話合いが裁判所を介してなされるのが一般です

会社の対応としては、勝てる十分な見込みがあるなら判決を求めるのがよいと思われますが、それ以外の場合は、和解に応じるかあくまで判決を求めるかのいずれかになります。和解に応じるにしても、会社の信用が失墜しないような和解を工夫する必要があります

なお、判決で会社側が敗訴すると、控訴しても被控訴人(元従業員)は強気になり、1審より会社に有利な和解をするのは難しくなりがちですから、勝訴の確信がない限り判決を求めるか否かについて慎重な判断が求められます。
労働訴訟の対応については、弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

(2)労働訴訟の争点

労働訴訟において、解雇の方法によって下記のようなポイントが争点になりがちです。

1) 懲戒解雇の場合

懲戒処分が有効となるには、

<1>就業規則に懲戒処分の規定が存在すること
<2>懲戒事由に該当すること
<3>懲戒処分が社会通念上相当であること>

が必要です。
これらが主として争われます

2)普通解雇の場合

使用者は労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をするか、30日分以上の平均賃金の支払いをしなければなりません。これがなされているかが争点となる場合があります。

また、解雇は社会通念上相当でなければなりませんので、それが問題となります。

3)整理解雇の場合

整理解雇が有効となるには、

<1>人員削減の必要性
<2>整理解雇を選択することの必要性
<3>被解雇者選択の妥当性
<4>手続きの妥当性(従業員への十分な説明がなされたかなど)

が検討要素となります。
労働訴訟の対応については、弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

賃金仮払いの仮処分への対応

(1)賃金仮払いの仮処分とは

解雇された労働者が,解雇の無効を争う場合,訴訟ですと1年程度かかる場合があります。

実際に判決によって解雇が無効であるということが確定すれば,無効とされた期間について,遡って賃金が支払われることとなりますが,確定するまでの間は,解雇が無効であるかどうかが争われている以上,使用者から賃金が支払われることはありません。

そうなると,解雇が無効であるとの判決が確定するまでの間,労働者は賃金が得られず,生活に困ることとなります。

そこで,判決がでるまで,解雇した使用者に対して仮に賃金を支払うことを強制する手続を,賃金仮払いの仮処分と言います。

賃金仮払いの仮処分が認められた場合,使用者は,解雇した労働者に対して,毎月一定額の賃金を支払う必要が生じます。

(2)仮払いを免れるには

賃金の仮払いが認められるためには,労働者の固定収入の有無・貯金など資産の有無・同居家族の収入の有無・家計の収支の状況等に基づいて,「債権者(ここでは労働者を意味します)に生じる著しい損害…を避けるため…必要とするとき」(民事保全法23条2項)という要件を満たす必要があります。

そのため,労働者が資産を保有していた,近親者の収入で生活をしていた,正社員として雇用された,といった事情がある場合であれば,仮払いを免れる余地があります。

他方で,労働者が短期のアルバイトで生計を立てているということや雇用保険を受領しているというだけといった事情では,仮処分の必要性がないとまではいえないと考えられます。

したがって,使用者としては,労働者の主張に対して,労働者の現在の生活状況や収入状況について説明を求め,必要性がないということを反論すべきです。

また,労働者とその家族の生計を維持するに必要な限度の額に仮払金は限定される傾向があります。

そこで,使用者としては,現実の生活費を主張し,労働者の反論を待って更に再反論するなどして,裁判所に具体的な生活費の限度の仮払金に止めるよう求めるべきです。

(3)仮処分の手続きの概要

1)仮処分の申立がなされると,裁判所において審尋期日が指定され,裁判所による審理が行われます。

裁判所の審理については,一般的には審尋期日を2~4回,2~3週間程度の間隔で開催することが多いです。

審尋期日において,裁判所から和解を勧められる場合も多いので,本案訴訟をした場合のメリット及びデメリットを検討した上で,和解に応じるかどうかを判断すべきです。

2)仮払いが認められる期間について,申立以前の過去の賃金については,それまで生活ができているということから保全の必要性が否定され,認められないことが一般的です。

将来分については,無期限に認められるのではなく,仮処分の決定から1年程度,又は解雇無効訴訟の第1審判決言渡しまでと限定されることが多いです。

(4)仮の地位を定める仮処分

同じ仮処分として,「労働者の労働契約上の権利を有する地位」を定める仮処分の申立てが行われる場合もあります。

これは,解雇された労働者が,従業員たる地位そのものを保全するために行う仮処分です。

しかし,①「労働者の労働契約上の権利を有する地位」の中核は賃金請求権であり,賃金の支払が受けられないこと以外に解雇による債権者に生ずる著しい損害は想定できないこと,②賃金の支払が受けられないという損害については,上記賃金仮払いの仮処分により回避することが可能であることから,保全の必要性が否定され,仮処分が認められないことが一般的です。

(5)まとめ

このように,賃金仮払いの仮処分が労働者から申し立てられた場合には,審尋期日の対応が必要となり,その際には民事保全法が定める要件に沿った反論をしていく必要がございます。

そのため,仮処分への対応も,弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

競業避止義務について

従業員が競業避止義務について誓約書等を提出しているにもかかわらず、違反があった場合,裁判所でも「損害賠償」や「競業の差し止め」といった強いペナルティが認められています。

しかし,一方で、競業避止義務や競業禁止を定める誓約書や就業規則については、裁判例上,無効と判断されたケースも少なくありません。

そこで,この記事では、どのような内容の競業避止義務の条項を設けておけば、裁判上も有効になるのかという点を中心に、従業員の退職後の競業避止義務についてご説明します。

1.競業避止義務について

競業避止義務とは、在職中の従業員又は退職後の従業員が,会社と競合する事業活動を差控える義務をいいます。

競業義務をめぐる紛争では,従業員が特に退職後,競業他社の設立ないし準備行為・競業他社の準備行為・競業他社の取締役への就任・競合他社の経営・個人で競業・競合他社への転職等が主に問題となる行為として争われます。

2.競業避止義務の効果について

(1)従業員に競業避止義務違反があった場合、裁判所は、「企業が被った損害の賠償」または「退職者による競業行為の停止」を命じるケースが一般的です。あるいはその両方を命じるケースも存在します。

(2)他方、従業員には,退職後職業選択の自由(憲法22条1項)がありますので、いくら会社の利益保護の必要があっても、当然には従業員の退職後の競業を禁止することはできません。

そこで、多くの会社では,就業規則等において当該義務を明記したり,合意によって,退職後の一定期間に特定の職業につくことを禁止する競業避止義務に関する特約を結んでいたりすることが多いと思います。

これは裁判例の多くで,退職後の競業避止義務を原則として否定し,一定の要件が認められた場合に肯定するという見解をとり(三佳ハウステック事件―最判平成22年3月25日,ことぶき事件―東京高判平成20年11月11日等),退職後の競業避止義務を認めるためには,就業規則の規定や個別の合意(明示の競業禁止特約)を必要としているためです(大阪地判平成24年4月26日,東京地判平成19年5月31日等)。

3.競業避止義務の有効性について

実際の裁判例などをみると,

①守るべき利益の有無,
②その従業員の地位,
③競業避止義務の存続期間,
④禁止される行為の範囲,
⑤代償措置の有無

などを総合考慮して、個別具体的に、退職後の競業避止義務が有効か否かを判断しているといえます(フォセコ・ジャパン・リミティッド事件―奈良地判昭和45年10月23日)。以下,それぞれの要素につき,その内容を詳しくご説明いたします。

①守るべき利益の有無について

競業を禁ずることで守ろうとする利益(例えば,技術情報・顧客情報・ノウハウ等)は,当該情報の秘密管理性,有用性,非公知性等を総合考慮して,法的保護に値するかを実質的に判断することになります。

②従業員の地位について

競業避止義務を課せられる従業員は,機密性の高い情報に接する従業員に限定されるべきと考えられています(大阪高決平成18年10月5日,東京地判平成17年2月23日等)。そのため,全従業員を対象とする競業避止義務の規定は無効と評価されやすく,また高い地位の従業員に限定している規定でも,当該従業員が機密性の高い情報に接する従業員でなければ,無効と評価される可能性があります。

③競業避止義務の存続期間

実務上,競業避止義務の存続期間は1年~2年と規定されている場合が多く,この場合,規定は有効と判断される傾向にあります。また,6か月というように1年以内の期間が設定されている場合,他の要素はさほど考慮されずに規定が有効と評価される傾向があります(アイメックス事件―東京地判平成17年6月27日等,ただし規定が無効と評価されることが全くないわけではないためご注意ください)。

④禁止される行為の範囲

禁止される行為の範囲については,禁止をする業務内容・職種・地域等を特定し,禁止する行為の範囲を限定することで,規定が有効と評価され可能性が高まります。

⑤代償措置の有無

競業避止義務を課すことの代償措置として,従業員に相当額の金銭を支払うと競業避止義務の規定が有効と評価される可能性が高くなります。なお,賃金・賞与・退職金の名目であっても,労働の対価としての価値を超える金額が交付されているような場合には,代償措置としての金員交付が含まれていると評価した裁判例もあります(アフラック事件―東京地決平成22年9月30日)。

4.競業をされていたときの対応策

(1)差止め請求

現実に競業行為が行われている場合,損害賠償請求訴訟などを提起しても、通常の裁判手続では極めて長い時間がかかり、その間に会社の利益が害され続けてしまいます。

そこで,会社としては競業行為の差止め請求を行うことができます。もっとも,差止め請求は競業の主体に重大な不利益を課す措置であるため,裁判所は慎重に判断する傾向があります。

(2)損害賠償請求

会社は,競業者の競業行為によって会社の利益が害されたとして,損害賠償請求をおこなうことができます。この点,実務上特に問題となるのが損害額をどのように算定するかという点です。競業行為に基づき発生した損害につき一つ一つ具体的に算定することが出来る場合には問題はありませんが,具体的な算定が難しい場合には合理的な推計方法に従って計算することとなります。

また,損害が認められる期間については,会社が競業避止義務違反の影響から回復するに足りる期間はどの程度かが検討されることとなりますが,実務上は6か月以内と認定されることが多いようです。

5.まとめ

従業員の競業避止義務についてはその有効性や紛争となった場合に考慮すべき事情が多岐にわたり,しっかりと規定・合意の有効性や競業行為が行われている際の対応策について,しっかりと検討する必要があります。

そのため,こうした競業避止義務の有効性や従業員の競業行為への対応については,弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

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