売掛金・賃料債権の処理

会社の売掛先からの入金や、会社がマンション等の賃貸物件を所有している場合の賃借人からの賃料は、破産の申立準備を進める過程でも、引き続き受領して差し支えありません。

むしろ、後に破産管財人に引き継ぐことを想定し、適切なタイミングできちんと回収すべきものといえます。

しかし、従来からの会社の口座に入金を受けると、銀行自体からの借入れと相殺されるおそれがありますので、場合によっては速やかに代理人の預り口座を新設し、売掛先や賃借人には代理人口座に入金してもらうなどの対応も必要になります。それにより、のちに管財人に引き継ぐにあたって入金明細も同時に明らかにすることができます。

買掛金の処理

未払いの買掛金については、金融機関からの借入れと同様、代理人からすべての買掛先に受任通知を送ると共に債権調査への協力を依頼します。そして、債務としての買掛金額(買掛先から見た場合の「売掛金額」)を調査した上で、破産手続に含めることになります。

破産手続においては、債権の種類や発生時期に関わらず、すべての債権者を平等に扱うべきという原則(「債権者平等の原則」といいます)がありますので、特定の買掛先のみに支払うというのは、原則として認められません。

不要な契約の解約

会社の場合、長年営業を続ける中で多種多様な契約関係に身を置くことになります。 しかし、破産手続きを進めるにあたっては、それら契約の多くは今後不要なものであり、また、契約を直ちに解消しない場合、会社の債務をさらに増大させる結果にもつながります。そのため、申立準備段階においても順次解約・解消を進めることが望ましいといえます。

一般的に、破産手続を通して申立人(もしくは代理人)において解約がなされる契約は、以下のようなものです。
①賃借物件の解約・明渡し
②リース物件の解約・引渡し
③会社名義の携帯電話の解約 など

従業員への対応

会社が自己破産する場合、従業員は全員解雇が前提となります。 会社の破産では会社自体が消滅しますのでやむを得ない措置になります。

しかし、これまで会社のために働いてくれた従業員に対して、ただ一方的に解雇を告げるのみでは、誠実さに欠ける対応と言わざるをえません。 会社の破産における従業員への対応については、賃金保障に関する種々の制度との関係が重要となりますので、以下にご説明します。

(1) 解雇予告手当

従業員を解雇する場合、「解雇の30日前までに解雇の通知(解雇予告)」をしなければなりません(労働基準法20条)。

30日前までに予告できなかった場合、30日に足りない日数分の賃金(給料)を支払う必要があります。これを「解雇予告手当」といいます。 したがって、従業員も会社の破綻状況をよく知っているような場合は、使用者から従業員に事情を説明して事前に解雇予告をしておくことが望ましいといえます。 なお、解雇予告手当は、原則としてパート・アルバイトの従業員に対しても支払う必要があります。

(2) 未払賃金の処理

従業員の賃金(退職金も含む)が未払いのまま会社が破産した場合、破産財団(破産会社が破産手続開始決定時において有する総財産)の形成の有無によってその後の対応が分かれます。

<破産財団が十分に形成される場合>
破産手続開始決定前3か月間の未払給料、および退職前3か月間の給料相当額の退職金は、「財団債権」として破産財団から優先的に弁済されます(破産法149条)。 それ以外の未払給料(開始決定の3か月前より前の給料など)や、退職金のうち給料3か月分を超える部分は、「優先的破産債権」となり、他の財団債権(税金など)に劣後することになります(優先的破産債権であるため、一般破産債権には優先します)。

<破産財団がほとんど形成されない場合>
破産財団からは未払給料を受け取れない場合、一定の条件を満たせば、従業員は未払給料の80%を労働者健康福祉機構から立替払いを受けることができます。

未払賃金立替払制度
(1) 条件
①会社が労災者災害補償保険の適用事業で1年以上事業活動を行っていたこと
※労働者を一人でも使用する事業はほぼすべて該当します。
②会社の破産申立日の6か月前の日から2年の間にその会社を退職したこと
③未払賃金(給料と退職金)が2万円以上であること

(2) 対象となる未払賃金
(a) 退職日の6か月前の日から立替払請求の日の前日までの間に支払期日が到来している「賃金」および「退職金」です。
※額面額が基準となります。
※賞与、解雇予告手当、年末調整の税金の還付金,役員報酬などは立替払制度の対象となりません。
(b) 未払い分の80%の立替払いを受けることができます。
ただし、立替払の対象となる未払賃金には退職時の年齢による限度額があり、その限度額を超えるときは、限度額の80%が立替払の対象となります。

退職日の年齢

未払賃金総額の限度額

立替払上限額

45歳以上

370万円

296万円

30歳以上45歳未満

220万円

176万円

30歳未満

110万円

88万円

 

(3) 手続の方法
まず、立替払請求者(従業員)は、裁判所・破産管財人に対して、立替払請求に関する証明の申請を行います。 破産管財人から証明書が交付されたら、「立替払請求書」および「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書」と題される書面を、労働者健康福祉機構に提出します。

請求からおよそ1ヶ月後に指定の口座へ振り込まれます。 なお、この立替払請求は破産手続開始決定日から2年以内に行う必要がありますので注意が必要です。

まず、立替払請求者(従業員)は、裁判所・破産管財人に対して、立替払請求に関する証明の申請を行います。

破産管財人から証明書が交付されたら、「立替払請求書」および「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書」と題される書面を、労働者健康福祉機構に提出します。 請求からおよそ1ヶ月後に指定の口座へ振り込まれます。 なお、この立替払請求は破産手続開始決定日から2年以内に行う必要がありますので注意が必要です。

(3) 失業保険

失業保険との関係では、従業員にとって、自己都合退職ではなく、会社の自己破産に伴う会社都合での退職を選択する方がありがたいものです。

会社都合による退職の場合、従業員は、離職票などを持参してハローワークで所定の手続きをとれば、待機期間7日間+約1カ月後に第1回目の給付金を受け取ることができます。また、給付期間も会社都合による退職の方が長く設定されています。 会社の使用者としては、従業員への配慮として「離職票」と「雇用保険被保険者証」をきちんと交付することが肝要です。

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