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弁護士コラム

音信不通の兄弟がいる場合の相続手続は?不在者財産管理人が必要?

2021年02月8日|弁護士コラム, 相続

守口門真総合法律事務所の弁護士村上和也です。
音信不通の兄弟がいる場合の相続手続について、よく御相談を受けますので、本日はこの点の解説をさせていただきます。

音信不通の兄弟がいる場合はどのように相続手続を進める?

兄弟の居場所も連絡先も分からない…。このように音信不通の兄弟がいる状態で、親が亡くなってしまった場合、相続手続をどう進めたら良いのでしょうか。相続発生時の対応について考えてみましょう。

音信不通者がいる場合の相続

遺言のないまま親が亡くなり相続が発生した場合、相続人全員による遺産分割協議によって遺産を分割する必要があります。この分割協議には相続人全員の参加が必要であり、1人が欠けた状態で合意しても、法律的には無効になってしまいます。

つまり、相続時に兄弟の居場所や連絡先が不明な場合、遺産分割協議を成立させることができません。その結果、被相続人の預金口座の解約や不動産の移転登記を進めることができなくなります。貸金庫がある場合、その貸金庫を開扉して中身を確認することはできますが(事実実験公正証書)、中身を取り出すことはできません。

このような、相続人に音信不通者がいる場合の対応として「音信不通者を探し出す」「不在者財産管理人を選任する」「失踪宣告を申立てる」という方法があります。

音信不通者を探し出すこと

まずは本籍地の市区町村で戸籍附票を発行してもらい、相手の現住所を確認しましょう。親族であればこのような手順の確認はスムーズに可能なはずなので、登録された現住所に実際に足を運ぶことも可能です。遠方であれば、まずはお手紙を送ってみる方法もあります。

不在者財産管理人を選任すること

不在者財産管理人とは、行方不明者の代理人として、その者の財産を管理する権限を持つ人のことです。
本人不明の状態が続くことに利害関係を持つ相続人や債権者等の申立てにより、家庭裁判所が不在者財産管理人を選任し、財産が動かせない状態を解決することができます。
不在者財産管理人には、行方不明者と利害関係の無い人で、弁護士が選ばれるのが一般です。

今回のような場合には、不在者財産管理人は、音信不通者の兄弟の代理人として、裁判所の許可を得たうえで遺産分割協議に参加することになります。そして、遺産分割協議の結果として、不在者財産管理人が、音信不通者の代わりに音信不通者に帰属する遺産を管理・保管します。

具体的には「収支報告書や目録の作成」「裁判所へ定期的に報告する」といった業務が必要です。また、勝手に財産を使うことも禁じられています。

しかしながら、不在者財産管理人の利用にもいくつか面倒な問題もあります。まずは、不在者財産管理人の選任を申立てるには、本当に音信不通であることを立証する必要があります。単に疎遠になっているだけでは要件を充たしません。

また、「どこで何をしているのかわからない」というだけでは要件を充たしません。住民票に登録された住所に配達証明郵便を送り、それが受理されずに戻ってくるかどうか等を試すことで、立証する必要があるのです。

また、申立費用以外に、家庭裁判所に納める予納金として20万円から30万円程度が必要です(金額は各家庭裁判所によって異なります)。この予納金は、音信不通者に十分な財産があれば返還されますが、音信不通者の財産がわずかしかない場合には返還されないこともあります。

失踪宣告を申立てること

音信不通者の生死不明の状態が7年以上続いている場合、家庭裁判所に対し、「失踪宣告の申立て」をすることできます(民法第30条第1項)。

失踪宣告には上記「普通失踪」以外に「特別失踪」もあります。
特別失踪は、山岳遭難・海難事故・自然災害などで生死不明状態となった場合となります(民法第30条第2項)。
特別失踪による失踪宣告を申立てるには、事故や災害が去ってから生死不明の状態が1年経過していることが条件になります。

「音信不通が長く続いているので、早く失踪宣告を申立てたい」と思うかもしれませんが、生きている可能性がある場合は、申立てを避けたほうが良いでしょう。なぜなら、失踪宣告が確定すれば、音信不通者は、法律上、死亡したものとして扱われることになるからです。

なお、音信不通者が法律上死亡したものとして扱われる結果、音信不通者以外の相続人が、不在者財産管理人が管理していた音信不通者に帰属予定であった遺産を、取得(または分割取得)することになります。

ただし、申立てから失踪宣告までの期間は約1年程度かかりますので、相続税の申告期限(相続発生から10か月以内)を過ぎてしまうことも多いようです。申告期限を過ぎてしまうと延滞税が発生してしまうため、他の相続人が、音信不通者の相続税を代わりに納付ケースもありました。

このような場合、音信不通者は相続申告をしていないのに、相続税だけが納付されている状態となるため、税務当局の立場からは、音信不通者分の納付相続税を法律上受理した扱いをすることができない結果、その納付相続税が浮いてしまうようです。

そこで、後日、家庭裁判所から選任された不在者財産管理人に、相続税納付を追認してもらい、その納付相続税額を遺産分割時に精算してもらうことになると思われます。

最善の対策として

上記のうち、どのような選択をしたとしても、法定相続人の中に音信不通者がいる場合には、相続手続を終了させるために、通常に比べてはるかに手間と時間がかかります。
そのため、理想としては、事後的な対応でなく、事前の対応として両親に遺言を残してもらっておくことだと思います。
そこで、現在既に音信不通の兄弟がいる場合には、両親と御相談のうえ、相続人全員による遺産分割協議が不要となるよう、両親に遺言書を作成してもらいましょう。

当法律事務所においても、毎年10数件程度、遺言書作成・サポートの御依頼をいただいておりますので、お気軽に、お問い合わせください。

弁護士村上和也のプロフィール
所属:大阪弁護士会
重点取扱分野:遺言・相続(遺産分割・遺留分・遺言執行)・成年後見
講演歴:①「今日から始める相続対策」(終活セミナーでの講演)
    ②「相続・遺言・遺留分・金銭管理・成年後見」
(地域包括支援センター家族介護教室での講演)
③「金銭管理・成年後見・個人情報保護」(認知症サポーター養成講座での講演)

弁護士からの一言
・早い段階で御相談いただくほうが良い解決につながることが多いですから,ささいなことでも結構ですので,お早めにお問い合わせください。
・相続問題は,遺産分割調停・遺留分減殺請求訴訟等,様々な紛争を扱う,紛争処理のプロである弁護士に御相談ください。

遺言・相続・成年後見のことでお悩みの場合,まずは守口門真総合法律事務所までお問い合わせ相談ください。初回は無料で御相談可能です。

守口門真総合法律事務所(京阪守口市駅西改札口出てすぐ)
TEL:06-6997-7171
守口市・門真市の遺言・相続や成年後見(財産管理)に関する詳細はこちら(当事務所HP)

自筆証書遺言が無効である,と争われる場合

2021年01月28日|弁護士コラム, 相続

守口門真総合法律事務所の弁護士村上和也です。
本日は,自筆証書遺言が無効である,と争われる場合について,解説します。

このような事例を考えてみてください。
父が死亡し,法定相続人は母,長男(相談者),次男の3名である家族があるとします。
ここで,父から次男に全部相続させる内容の自筆証書遺言があり,次男が保管していた,というものです。
もっとも,生前の父と次男の関係性からすると,父が,次男に対して全遺産を相続させるという内容の遺言を書くわけがない,しかも,遺言書作成日の時点では父は認知能力が低下しており作成するような心身の状態では無かった,そのような事例を想定してみてください。

このような状況下でしたので,長男(相談者)が,弁護士に依頼して,その自筆証書遺言は無効であることを主張しました。無効の理由としては,①自筆証書遺言は偽造である,②偽造ではない(父が書いた)としても,遺言能力が無かった,という2点です。

ただ,万一,自筆証書遺言が有効であった場合に備えて,次男に対して,遺留分侵害額請求権も行使します。この権利行使は,あとで行使の事実を立証する必要があるので,内容証明郵便を使います。

長男(相談者)の相続分を具体的に分析しますと,まず,①遺留分侵害額は,法定相続分(4分の1)の2分の1ですから,8分の1です。次に,②自筆証書遺言が無効であることの理由が,遺言能力の不存在である場合は4分の1です。他方,③自筆証書遺言が無効であることの理由が,次男による偽造であれば,次男は欠格事由があるため相続権を失う結果,2分の1となります。

このように,ケースによって長男(相談者)の相続分は大きく異なってきます。

そこで,長男(相談者)からの依頼を受けた弁護士としては,まず,自筆証書遺言が次男により偽造されていないか調査するために,被相続人かつ遺言者である父の筆跡と次男の筆跡とを照合します。

具体的には,弁護士会が提携している筆跡鑑定業者に,簡易鑑定を依頼します。簡易鑑定ですから,費用は10万~20万円程度です。

その際は,自筆証書遺言と,父の筆跡サンプルと,次男の筆跡サンプルとを,筆跡鑑定業者に送付します。サンプルは多い程,鑑定の精度が高まり,また,コピーより原本を送るほうが,鑑定精度が高まります。

そして,事前調査の結果をみて,他方,偽造の可能性が高そうであれば,遺言書が適法に作成されていないことを理由とする遺言無効確認調停を申立てします。いきなり裁判することはできずに,先に調停を申立てる必要があります(調停前置主義といいます)。もっとも,調停において,偽造者が偽造を認める可能性は低いでしょうから,調停は不調に終わります(なお,不調で終わることがほとんどですから,裁判所に対して上申をすれば,調停申立てをすることなく,いきなり遺言無効確認訴訟を提起できることもあろうかと思います)。

そこで,弁護士としては,遺言無効確認訴訟を提起します。訴訟においては,裁判所から選任された鑑定人に,筆跡鑑定をしてもらいます。費用は50万円程度かかることが多いです。

そして,次男による偽造という鑑定結果が出れば,次男は欠格事由があるため相続権を失う結果,長男(相談者)は遺産の2分の1を取得できることになります。

他方,偽造の可能性が無さそうであれば,遺言能力が不存在であることを理由とする遺言無効確認の調停申立てをします。遺言能力が存在するかどうかは,カルテ・診断書・看護記録・介護保険認定に関する資料(認定調査票・主治医意見書・要介護認定結果・介護保険費通知書)等から判断します。

その判断結果として,遺言能力が不存在であれば,長男(相談者)の相続分は4分の1であることを前提に,遺産を分割することができます。

他方,遺言能力が存在していれば,自筆証書遺言が有効であることを前提に,遺留分侵害額請求権を行使し,遺産の8分の1相当額の遺産を取得します。
相続について気になることがありましたら,ぜひ気軽にご相談ください。

弁護士村上和也のプロフィール
所属:大阪弁護士会
重点取扱分野:遺言・相続(遺産分割・遺留分・遺言執行)・成年後見
講演歴:①「今日から始める相続対策」(終活セミナーでの講演)
    ②「相続・遺言・遺留分・金銭管理・成年後見」
     (地域包括支援センター家族介護教室での講演)
    ③「金銭管理・成年後見・個人情報保護」(認知症サポーター養成講座での講演)

弁護士からの一言
・早い段階で御相談いただくほうが良い解決につながることが多いですから,ささいなことでも結構ですので,お早めにお問い合わせください。
・相続問題は,遺産分割調停・遺留分減殺請求訴訟等,様々な紛争を扱う,紛争処理のプロである弁護士に御相談ください。

遺言・相続・成年後見のことでお悩みの場合,まずは守口門真総合法律事務所までお問い合わせ相談ください。初回は無料で御相談可能です。

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親の面倒をみる場合に気を付ける点は?介護した場合の相続はどうなる?

2021年01月13日|弁護士コラム, 相続

守口門真総合法律事務所の弁護士村上和也です。
「介護等で親の面倒をみる場合に、気を付けるべき点はどのようなことでしょうか」と、よく御相談を受けますので、本日はこの点の解説をさせていただきます。

親への扶養義務とは?

親の介護を子どもが行うことは、「扶養義務」にあたります。
民法では、「一定範囲の親族同士で、経済上や心身上の理由などにより自力で生活することができない親族がいる時には、その人の支援をしなければならない」と定められています。

扶養義務を負う親族の範囲については、原則「直系血族」「兄弟姉妹」となっているため、直系血族(子ども、孫など)が、親や祖父母の介護を行うことは、自然なことと捉えられます。
もちろん、夫婦間にも扶養義務があるので、配偶者が介護をするパターンも珍しくありません。

扶養義務の内容について

扶養義務には、「身上の面倒をみる」「経済的な支援をする」の2種類があります。
身の上の面倒をみる場合、同居する以外に、老人ホ ームを選ぶことも該当します。

扶養義務については、本人の希望にもよりますが、経済的な支援だけでも法的には問題がありません。
扶養義務を負う人(子どもや孫)が、「収入などに応じた生活ができる範囲で、親や祖父母を支援すればよい」と考えられているからです。

親族間で誰がどのような扶養義務を負うか、話し合いでまとまればよいですが、上手くいかない場合もあります。 その場合は、家庭裁判所に申し立てて決めることも可能です。

介護と相続について

現在日本国内では4人に1人が65歳以上の高齢者であり、2035年には3人に1人の割合に増加するほどの高齢化社会になっています。
人間誰しも老化は避けられず、いつまでも元気でいてほしい親も介護が必要になる日は突然やってきます。

有料老人ホームなどの介護施設に入居できればいいのですが、経済的事情や入居希望者多数で順番待ちになるなど、スムーズに行かないことも多いはずです。

そういった場合、兄弟の1人が親と同居して介護するという選択肢はよく選ばれます。

兄弟のひとりがメインで介護をした場合の相続は?

相続が発生した際、兄弟の1人が同居して親の介護をしていた場合は、トラブルになりがちです。
揉めない相続を実現するためには、他の兄弟と事前に話し合いをしておくことが重要です。

しかし、親を介護している段階で将来の相続の話をすることは、「財産目当ての介護なのでは?」と思われそうで、なかなか気の進むものではありません。

それでも、親の介護に伴い、事前に相続財産について話し合うことはとても大切なのです。
なぜなら、現実の介護は生易しいものではないからです。

身体が不自由になった親の食事や排泄の補助程度であれば可能、という方はいらっしゃるでしょう。
育ててくれた感謝の気持ちがあれば、容易とまでは言えないにしても、何とか対応していけるだろうと思います。

しかし、認知症を発症してしまうと、徘徊や異食症や暴力行為等に繋がることもあり、そうなるとそれまでの何倍にも苦労は増えます。

徘徊の場合は、警察に行って身柄を引き受ける苦労を余儀なくされます。
ご飯を食べさせても、それを忘れて1時間後にまたご飯を催促されるようなこともあります。

時には、自分で財布を置き忘れて見つけられないような時に「盗ったでしょう!?」と疑われることもあると聞きます。

そうすると、時には仕事を辞めて介護に専念しなければいけない状況にまでなります。
このような過酷な介護は、年数が決まっているわけではありません。
終わりなき介護に疲れ果てしてしまう方も増えていますし、なかには精神を患ってしまう方もいます。

またよくあるトラブルとして、介護される親がたまに顔を出してくれる他の兄弟にかまって欲しいと思うあまり、介護している者の悪口や不満を言ってしまうということがあります。

当然、親の不満を聞いた兄弟は、介護している兄弟に対して不信を抱くでしょう。
そして、現実に日々介護している兄弟は、やるせない思いになったり、腹立たしく感じたりしてしまい、関係が悪化してしまうのです。

親の介護で兄弟間トラブルを起こさないための具体策

兄弟関係を悪化させないために、一方が同居して介護をする際には具体的に次のようなことを事前に話し合っておくべきでしょう。

1、寄与分の認定や遺産分割協議のために準備をしておく

寄与分とは、被相続人の財産の維持または増加に貢献した場合に、その貢献の度合いに応じた金額を法定相続分に加えてもらうことのできる制度です。

子どもが親を介護することは法律上当然の義務であって、形式的には財産の維持・増加に貢献しているわけではありません。
そのため、相続の際に介護の功績は過小評価されることが多いのが現状です。
財産目当ての気持ちは全くないとしても、苦労して介護を続けた者が相続財産について他の兄弟と等分であることに不満を持つのは、人間感情として十分に理解できるものです。

そこで、親の財産を混合しないように明確に通帳を分けたうえで、兄弟の1人が介護することで浮いた費用(有料老人ホーム入居費用やペルパー費用)を計算したり、介護のためにかかった費用の家計簿をつけたり領収書を保管したり、できる範囲で記録を残しておくことをおすすめします。

たとえ法律的には寄与分が認められなくとも、このように客観的な証拠を残しておくことで、遺産分割協議の際に兄弟間の話し合いが感情論にならずに済むはずです。
そして、実質的に公平な遺産分割協議が実現する可能性が高くなります。

2、遺言書を書いてもらう

親が認知症になる前の段階で、遺言書を書いてもらうことも有益です。
遺言書という大それたものでなくとも、普段のやり取りのなかで日頃の介護を感謝する手紙やメモを残してもらってください。
書面に残しておくことで、介護をしていない他の兄弟も「親の言うこと」として納得しやすいはずです。

また、生前贈与を受けている場合は、遺言のなかに「生前贈与した財産は、相続財産に戻さないように」と加えてもらうと「持ち戻しの免除」となります。
その結果、生前贈与を受けた財産を遺産から除外して、あまりの遺産のみを分割対象にすることができます。

このように、遺言書・生前贈与及び持ち戻し免除により、実質的に公平な遺産分けが実現できるようにしたいものです。

弁護士村上和也のプロフィール
所属:大阪弁護士会
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③「金銭管理・成年後見・個人情報保護」(認知症サポーター養成講座での講演)

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「遺贈する」と「相続させる」をしっかり使い分けましょう

2020年12月28日|弁護士コラム, 相続

 守口門真総合法律事務所の弁護士村上和也です。
 「遺贈する」と「相続させる」との違いにつき,御相談を受けることがありますので,本日は,この点につき解説を致します。

 「遺贈する」と「相続させる」をしっかり使い分けましょう

 遺言書の作成時に「遺贈する」「相続させる」という言葉をよく使います。「同じような意味だから、どちらを使っても問題無い」と思いがちですが、実は効果が異なります。どのように使い分けるべきか、チェックしておきましょう。

財産を誰に譲るかによって使い分けが必要

 まず、財産を法定相続人に譲るならば、「遺贈する」「相続させる」どちらも可能です。しかし、法定相続人以外のケースは「遺贈する」が適切で、「相続させる」は間違いです。仮に間違えても、「遺贈する」と置き換えて捉えることとなり(遺言に関する有効解釈)大きな問題は起こらないでしょうが、正確な表現を用いるようにしたいですね。

「相続させる」という遺言の意味合い

 「全て」または「一部」の財産を特定の相続人に「相続させる」という内容の遺言は、基本的に遺産分割の方法を設定したことになります。

 分かりやすく言うと、相続が始まった瞬間にその遺産は遺産分割された扱いになり、所有権が移転するという事になります。それが不動産であれば、その相続人が一人で所有権移転登記を実行する事ができ、仮に遺言執行者が存在していたとしても、そのサポートはいりません。

 また、移転登記をしないうちにほかの共同相続人が不動産を第三者に譲っていても、その第三者は権利のない人から権利を受け取った事になるので、第三者を対象にして相続人は土地の返還(登記の抹消)を求める事が可能です。

 ただし「長女に財産の3分の1を相続させる」など、全てではなく割合を「相続させる」と記載したパターンでは、どの財産が長女に帰属しているのかが分からないので、相続分の指定という扱いになり、上記の効果はありません。そして、さらなる遺産分割手続が必須となります。

「遺贈する」という遺言の意味合い

 一方「遺贈する」と記したケースでは、(相続が始まった瞬間にその遺産は遺産分割された扱いになる上記の場合と異なり)遺言者の遺贈義務を相続人全員が引き継ぐ運びになります。例えば不動産のケースでは、相続人全員ないし遺言執行者からの申請が必要となり、それによって移転登記手続を行う必要があります。

 また、受遺者である相続人が登記を実行しなければ、第三者に所有者であると主張する事は不可能とされています(ただし、遺言執行者の執行を妨げるものは無効)。そしてやや特殊な事例ですが、農地の不動産を「遺贈する」としたケース(特定遺贈)に関しては、農業委員会または都道府県知事の許可が必要です。該当しそうな方はこれらの事もおさえておきましょう。

代襲相続が起きた際の扱い

 「遺贈する」と「相続させる」の違いで注意すべきなのは、遺言で遺産を得る予定の人が、遺言者よりも先に死去した際の代襲相続の扱いです。

 これが遺贈であれば、受贈者が先に死去した際は、遺贈の効力が生じない事が明らかですが、「相続させる」という内容の遺言では、遺言者に代襲相続させる意向があったとみるべき特別な事情がなければ代襲は行われない、という判例の立場です。

 差異はわずかと言えますが、いずれの言葉を使うにしても、遺言者よりも早く財産を渡すべき人間が亡くなった場合に代襲相続するかどうかを、分かるように記載しておくことが大切です。

なぜ「相続させる」という表現がよく使われてきたのか

 「相続させる」という表現がよく使われてきたのは、昔はその方が移転登記の登録免許税が安かったためです。しかし、今では相続人への移転登記にかかる税金は「遺贈する」でも「相続させる」でも「1000分の4」と同じです。

 しかし、法定相続人に遺産を渡すケースで、特に遺贈にこだわらないのであれば、遺言執行者やほかの共同相続人が関わる必要のない「相続させる」の方を使う事を推奨します。

 ちなみに、信託銀行などの金融機関に遺言書の作成を依頼した場合「遺贈する」という表現にこだわられることがあるようです。それは、遺言執行者として必ず相続の手続に関与することで、遺言執行者としての報酬を確保することが目的と考えられます。

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兄弟姉妹が親の生前に遺産相続の放棄を希望した場合の対応

2020年12月24日|弁護士コラム, 相続

守口門真総合法律事務所の弁護士村上和也です。
兄弟姉妹が「もし親が亡くなったら財産はいらない」と言っている場合の対応について、よくご相談を受けますので、本日はこの点の説明をさせていただきます。

兄弟姉妹の中には「親からの支援を十分受けてきたので、もし親が亡くなったら、財産はいらないよ」と言う方もいるかもしれません。
その場合、他の兄弟姉妹はどのように対応すべきなのでしょうか。
「実際に親が亡くなった場合に、言っていたことが変わるのでは?」と心配になる場合もあるでしょう。
そこで、その約束を確定させる方法はあるのか、考えてみましょう。

遺留分は放棄できる

被相続人の死後、推定相続人は遺留分の権利(遺留分減殺請求権)を放棄することができます。
これを「遺留分の放棄」といい、相続の開始前でも後でも可能です。
よって、このような場合には、遺留分を放棄してもらうことで、約束を確定することが可能です。

ただ、相続開始前に遺留分を放棄する場合には、他の相続人から遺留分を放棄するよう強制されている可能性もあるため、家庭裁判所の許可を得なければなりません(民法1043条)のでご注意ください。
少々、難しい手続ですので、弁護士に相談されることをおすすめします。

もっとも、家庭裁判所から許可を得られたとしても、あくまで相続人からの遺留分減殺請求権がなくなるだけであって、通常の相続権まで放棄することにはなりません。
確実にその相続人を被相続人の相続から除外させるためには、被相続人が遺言書を作成する際、親から支援を受けてきたその推定相続人に相続させない内容の遺言書を作成しておく必要があります。
このような遺言書を作成しておかないと、遺留分の放棄はできても、遺産分けしない、という本来の目的を達成できなくなります。

なお、遺留分を放棄するということは、その代襲者も遺留分を放棄したものとみなされます。
よって、ある兄弟姉妹が遺留分を放棄すれば、その子(遺言者からみれば孫 「代襲者」といいます)も相続することはできません。

相続放棄・相続分の放棄・相続分なきことの証明

「相続放棄」は、相続開始前に主張しても効力はありませんし、相続放棄を宣言する趣旨の書面を作成しても法的には認められません。
同じく「相続分の放棄」または「相続分の譲渡」も、相続開始後でなければ法的な効果はありません。
これらの制度は相続ありきで成り立つものだからです。
相続開始後、「相続分の放棄・債務」をしても債務は相続するので、債務の相続を免れたい場合は相続放棄をしましょう。

不動産を相続したときの登記において、「相続分がないことの証明書」というような書面が作成されることがありますが、あまりおすすめしません。
相続放棄の手続きも遺産分割手続きも不要で登記手続きができる便利な制度ですが、実態と異なるケースが非常に多く、相続でトラブルを招きかねないためです。

具体的な対応策

このように、相続開始前に推定相続人を相続から除外するのは制度上、難しいところがあります。
わざわざ家庭裁判所に申立てまでして、遺留分を放棄してくれるケースは多くないと思われるからです。

そこで対応策としては、遺産不要と主張している兄弟姉妹に、次のような書面を書いてもらうと良いでしょう。
例えば「私は学生時代に、海外への留学費用として○○円援助してもらったので、遺産相続にかかわる一切の権利を放棄します」などです。
その際、生前贈与の内容はより具体的である必要があります。

この手続きによって、遺産は不要と主張している兄弟姉妹が、確実に相続権が喪失するわけではありません。
しかし、相続が開始してからその兄弟姉妹の気が変わり、やはり「相続したい」と主張したとしても、相続前に作成した上記のような書面が証拠となり、生前贈与(内容次第では特別受益)があったことの証明になります。
遺産分割協議ではこの書面が決定的となり、満足のいく結果になることでしょう。

まとめ

親が生きている段階で、遺産相続の放棄を兄弟姉妹が申し出た場合でも、法的に相続放棄はできません。
生前に「親の財産はいらない」という意思をはっきり示したい場合は、「遺留分の放棄」が可能です。

ただし「遺留分の放棄」は「相続人からの遺留分減殺請求権がなくなる」というだけですので、通常の相続権まで放棄することにはなりません。
そのため、兄弟姉妹に遺産相続の権利を放棄する書面(具体的な生前贈与の内容)を書いてもらうことで、遺産分割協議時に有効な証明書となります。

確実に相続から除外させるためには、親の遺言書に相続させない旨を書いてもらう方法もありますので、ご検討ください。

弁護士村上和也のプロフィール
所属:大阪弁護士会
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    ②「相続・遺言・遺留分・金銭管理・成年後見」
     (地域包括支援センター家族介護教室での講演)
    ③「金銭管理・成年後見・個人情報保護」(認知症サポーター養成講座での講演)

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・相続問題は、遺産分割調停・遺留分減殺請求訴訟等、様々な紛争を扱う、紛争処理のプロである弁護士に御相談ください。

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