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不動産

滞納家賃の回収と建物明渡の事例

2019年12月20日|不動産, 解決事例

守口市の不動産オーナー(建物賃貸人)から、建物賃借人に対する,滞納家賃の回収と建物明渡請求の御依頼をいただきました。
賃借人は,賃貸借契約当時は給与所得者でしたが,守口門真総合法律事務所に御相談いただいた際には,生活保護者でしたので,滞納家賃を回収することには困難が予想されました。

弁護士において,滞納家賃の回収を目指して内容証明郵便を発送しましたが、支払期限になっても支払いがありませんでした。 本件における滞納は,相当な長期間でしたので,賃借人も,家賃を支払わないことが常態化しているようでした(このような事態にならないよう,本来であれば,3~4か月の滞納があった時点で,弁護士に御相談いただきたい,というのが,弁護士の本音です)。
このまま,当該建物賃借人から家賃回収することは困難と判断されましたので,弁護士による受任後に発生する家賃については,守口市に連絡して代理納付の手続をして回収しつつ、他方において,滞納家賃に
ついて建物明渡請求訴訟を提起し、被告(建物賃借人)の出頭ないまま,勝訴判決を獲得することができました。

なるべく費用をかけずに建物明渡を実現するために、勝訴判決に基づいて、任意の建物明渡交渉をしましたが、賃借人は建物明渡を実行しませんでした。 勝訴判決まで至れば,賃借人も観念して,自ら引っ越し先を決めて,引っ越しまでの期限の猶予を求めてくる事案も多いのですが,この事例は,そうではありませんでした。
そこで建物明渡を実現するために,新たに,不動産オーナー(建物賃貸人)と守口門真総合法律事務所との間で,不動産強制執行の申立てを委任内容とする委任契約を締結し,不動産強制執行の申立てをしました。
その後,弁護士と執行官が日程調整をして当該建物に赴き,賃貸人に開錠させ,明渡しの催告の手続まで実施しました。開錠させたあとは,事実上室内を見学できるのですが,動産差押えに適するような動産は存在しませんでした(生活保護者ですから当然かもしれませんが)。

もっとも、さすがに,この段階に至って賃借人も諦めたようで,明渡しの断行の手続に移行する前に、賃借人が自ら退去し、これにより明渡を実現することができました。
本件は相当な長期間の家賃滞納案件でした。 滞納期間が長期化すればする程、賃借人の対応も緩慢になり,建物明渡の実現までに時間がかかってしまいます。
そこで,なるべく早い段階で、守口門真総合法律事務所に,法律相談に来ていただければと思います。

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建物賃貸借契約における賃借人が逝去した後,建物内に荷物が残置されていた事案

2019年12月20日|不動産, 解決事例

建物賃貸借契約における賃借人が逝去した後,建物内に,荷物が残置されていた事案につき,守口門真総合法律事務所にご相談いただき,弁護士でないと解決が難しいというオーナー賃貸人のご判断のもと,守口門真総合法律事務所の弁護士に御依頼いただいた事案です。

ご相談に来られる前は,オーナー賃貸人自身で,数か月の間,逝去した賃借人の法定相続人を探しておられましたが,弁護士ではない一般の方では,探索方法に限界があるため,頓挫しておられました。
これに対し,弁護士の場合は,逝去した賃借人の法定相続人が誰であるかを,職務上請求という方法によって,調査することができます。具体的には,逝去した賃借人の除籍を取得して,親族の戸籍を辿っていき,親族関係図を作成することができるのです。
こうして,賃借人の相続人にたどりつくことができました。

そこで,賃借人の相続人と連帯保証人に対して,弁護士名義で内容証明郵便を送って,残置動産の撤去,明渡義務の履行,未払家賃の支払を求めました。
賃借人の相続人・連帯保証人が,当初呈示した条件は,敷金を未払家賃の一部に充当するのみで,動産撤去もしないというものでした。
しかし,弁護士において,賃借人の相続人・連帯保証人が置かれた法的立場(動産撤去しないと永久に発生する賃料債務を永久に負担し続けること)をお伝えし,粘り強く交渉した結果,合意を得て,動産の撤去,明渡義務の履行,未払家賃の回収を実現することができました。

これにより,賃貸人は,未払い家賃を回収できただけでなく,すぐに新しい入居者を募集することができました。
本事例は,非常にうまく法的処理を進めることができましたが,案件によっては,未払家賃の回収が困難な場合もあります。のみならず,残置物の処分もオーナー賃貸人の費用負担で実施しなければならない辛いケースもります(このような場合は,「残置物の所有権放棄書」を作成してから,オーナー賃貸人が処分します。もちろん,それらの費用は,税務上,損金・必要経費として扱われます。)。

いずれにしましても,賃貸人が自力で賃借人の相続人や連帯保証人と交渉し,未払家賃回収・建物明渡を成功させることは困難を伴います。
弁護士の介入により,交渉のみで終了する場合であっても,法にのっとった適切な手段をとることができます。

同じような案件がありましたら,お手伝いさせていただきますので、守口門真総合法律事務所に,お気軽に御相談下さい。

 

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高齢者のための老後資金確保の方法「リバースモーゲージ」

2019年11月22日|不動産, 弁護士コラム

1 リバースモーゲージが注目されている背景

高齢化社会といわれて久しい現代,日本の人口の4人に1人が高齢者という状況です。高齢者が保有する金融資産や不動産は他の年代と比べて多いのですが,高齢者世帯の家計収支状況を見ると,実収入(公的年金等)では生活費等の実支出を賄えず,赤字が生じるとされています。近時,老後2000万円問題としても話題となっているところです。

 

老後資金のための貯えがあれば問題ないですが,資金不足のため,自宅の不動産を売却することを考えることもあるかもしれません。

しかし,自宅を売却せずに,年金に加えて使えるお金が増える方法があるとすれば,検討の余地があるのではないでしょうか。それが,自宅不動産の価値を活用し,利用可能な資金を確保することができるのが,いま注目されてきている「リバースモーゲージ」の制度です。

2 概要

リバースモーゲージとは,高齢者を対象とするローン商品で,「居住する自宅の土地建物を担保としたうえで,一括または定期金の形で金融機関から融資を受け,契約者の死亡時に自宅を売却して一括で返済する」制度となっています。

 

収入のない高齢者の方で,生活費などを確保しようとして自宅を売却すると,住むところを失います。リバースモーゲージでは,自宅不動産を売却することなく,担保にいれるのみで融資を得られますので,老後資金の安定を確保することができます。

借入元本の返済は,契約者の死亡時に一括して返済するため,住み慣れた自宅を手放すことなく,住み続けることができます。

取り扱い機関は、銀行などの金融機関や社会福祉協議会といった公的機関もあり,それぞれによって,利用条件が異なっています。

3 特徴

リバースモーゲージの特徴としては、一般的には以下の3つが挙げられます。

(1)所有している不動産を担保とした融資で,融資の返済は契約者死亡時

(2)毎月の支払いは,金利のみ

(3)契約の対象は,55歳~65歳以上の高齢者

 

一般的な住宅ローンと異なる点は,元金返済の方法です。

住宅ローンは、毎月の支払いは元金と金利を併せて返済する仕組みです。

これに対して,リバースモーゲージの場合,毎月の支払いは金利のみで良く,元金については,契約者の死亡時に一括返済となります。

4 メリットとデメリット

(1)メリットは,以下にあげるものが一般に言われています。

① 毎月支払う必要があるのは金利のみであるため,毎月の支出が少なくて済みます。

② 一番のメリットは,自宅を手放さないことです。

なお,契約者死亡時に一括返済の条件となっているところが多いですが,配偶者が継続して居住する必要がある場合には,契約を引き継ぐことが可能な契約内容となっているものもありますので,契約者の死亡後も安心です。

③ 資金の使途を限定していない金融機関もあり,使途について柔軟に老後資金が活用できる点もメリットといえます。

 

(2)では、デメリットは何でしょうか。

① 相続人は不動産(自宅)を相続できない。

② 長寿によるリスク

長生きすることは良いことではありますが,それだけ生活費等が増加することによって,必要な老後資金が融資限度額では足りなくなってしまうというリスクがあります。

③ 不動産価格の下落

融資額は,担保にいれる不動産価格に応じて設定されますが,将来不動産(土地)の価格が下落した場合,融資限度額の見直しがなされ,融資額が減額される可能性があります。

④ 金利上昇によるリスク

一般に変動金利を採用している金融機関が多いため,契約内容によっては将来的に金利が上昇してしまい,毎月の支払い金利額が当初計画より増額される可能性があります。

 

このようなデメリットがあるため,一般的には,金融機関から契約者に対して推定相続人の同意を求めることがなされております。

 

(3)リバースモーゲージの現状

現状では,推定相続人の同意を得られないことが,契約をするにあたってのハードルとなっているようです。

しかし,子のいない老夫婦や、子がいても独立して子は自ら持ち家を持っている家庭が増えています。そんな高齢者にとっては、自分の死後に家を残す必要がない場合もあります。一方、老後の面倒を見てくれる子世代もいなく、年金だけで暮らしていかなければいけない場合は、さまざまな不安を抱えて生活をしている高齢者も多いことと思います。

このような高齢者には,住み慣れた家を処分せず,住むところは確保しつつも、その家を抵当に入れてお金を借り、それを年金として月々の収入とすれば、生活も安定してくるという制度ですので,活用してみてもいいと思います。

5 リバースモーゲージを受けるための条件・審査

取扱機関によってさまざまな条件が付されていますが,抵当権を設定するための審査が必要となります。

また,推定相続人の同意を得る必要があるところが多いようです。死亡時の一括返済の際にトラブルになってしまうことを避けるためと思われます。

多くの場合は土地付き一戸建て不動産を対象としており,マンションは不可の場合が多いのですが、一部、評価額の高いマンションなどでは可能な場合もあります。

また、公的機関の場合は,福祉的な趣旨があり,所得制限や資金の使途が限定されています。反対に民間企業の場合はローンとしての意味合いが強いため、リスクに関する規定が厳しいのですが、反対に使途についての制限はなく、様々なライフスタイルを提案する形のものが多いのが特徴です。

6 守口門真総合法律事務所での活用例

守口門真総合法律事務所では,訴訟となっている案件で,依頼者が支払う和解金を調達するために,リバースモーゲージを活用することとしました。

その方は,高齢者単身世帯で,子がなく,推定相続人は兄弟姉妹のみの方でした。その推定相続人とは長い間疎遠であったため,同意を取り付けることが困難と思われましたので,担保に入れる自宅に関して,リバースモーゲージを実行するための遺言を作成することで,推定相続人の同意を不要とすることができました。

リバースモーゲージの適用の結果,依頼者は,住み慣れた自宅を手放すことなく,和解金を用意することができました。

守口門真総合法律事務所では,依頼者の利益を最大限確保するため,新しい制度や情報をとりいれて案件を解決するよう取り組んでいます。

なお,リバースモーゲージに似た制度としては,自宅を売却して,買主から借り受けて住み続けるというリースバックや,リバースモーゲージのデメリットとされる長寿リスク等を転嫁することができるフランスで行われているビアジェという売買契約があります。ただ,ビアジェは日本ではまだまだ浸透していないものです。

 

 


 

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保証会社に解除権を付与する条項の適法性

2019年08月19日|不動産, 弁護士コラム

賃貸借契約と,これに伴う保証契約とは,本来,別個の契約となります。しかし,ほとんどの場合,同時に締結されており,相互に密接な関係を有している契約といえます。

今回は,家賃債務保証会社による賃貸借契約の解除権を認める契約条項が違法ではないとされた裁判例(大阪地裁令和元年6月21日判決)をご紹介します。

この判断が維持されれば,家賃滞納等が発生した場合の対応につき,家賃債務保証会社だけでなく不動産オーナーを含めた賃貸業界への影響が大きいと考えられます。裁判自体は,当事者双方から控訴が検討されているため,今度の動きに注目です。

1 家賃債務保証会社の説明

家賃債務保証業者とは,一般に,賃貸借契約において,賃貸人と賃借人との契約締結の際に,家賃債務保証業者が予め用意した契約用紙を用いて,賃借人との間で家賃債務保証委託契約を締結し,また,賃貸人との間で家賃債務保証契約を締結して,賃借人から委託保証料を受領する。その後,家賃滞納などが発生した場合,賃貸人からの請求に応じて滞納家賃に係る保証債務を履行し,その前後に,賃借人に対して保証に基づく求償権を行使しその支払いを受けるという業務を行っている会社です。

賃貸人としては,所有建物を賃貸するにあたって,賃借人の賃料不払いによる未収リスクを抱えているところ,家賃債務保証業者と家賃債務保証契約を締結したときは,当該業者から迅速,確実に滞納家賃を回収することができ,その賃料の未収リスクを大幅に低減することができます。

賃借人としては,家賃債務保証業者に保証委託をすることで,賃借人自身の資力を補う信用供与を受けることができ,よって住居となる建物を賃借することが容易となります。

このように家賃債務保証契約には,賃貸借契約の当事者双方にメリットがあります。

2 問題とされた契約条項の概要

第13条(保証受託者等の賃貸借契約解除権)

保証会社は,賃借人が支払いを怠った賃料等の合計額が賃料3カ月以上に達したときは,無催告にて賃貸借契約を解除することができる。

 

この契約は,もととなる賃貸借契約の存在を前提として,保証会社と賃貸人との間で締結される連帯保証契約,保証会社と賃借人との間で締結される保証委託契約等の複合契約と解され,上記賃貸借契約解除権などの賃貸借契約の債務の履行に関する条項は,賃貸借契約に基づいて賃貸借契約当事者が負う権利義務自体に変容をもたらすものであって,賃貸借契約の特約と解釈されます。

本件では,この特約が,無催告での解除を認めている点と,賃貸借契約の当事者以外の保証会社に解除権限を認めている点とで,消費者契約法に違反して無効ではないかが争われました。

3 今回の裁判例の判断のポイント

まず,賃貸借契約解除権の発生について,賃借人が賃料等の支払いを賃料3か月分以上怠り,これがため賃貸借契約を解除するにあたり催告をしなくてもあながち不合理とは認められないような事情が存する場合に限り,保証会社が無催告で解除権を行使することができる旨を定めた規定であると限定解釈しました。

そして,賃貸借契約解除権の定めは,賃貸人と保証会社との利害関係に関わって,賃料不払いが継続したときに賃貸借契約を継続させるか否かの判断及び決定権限を,賃貸人だけでなく保証会社にも付与するものとみることができ,保証債務の未収リスクを負担する保証会社に,自ら負担するリスクをコントロールすることができる権限を与えることは不合理なことではないと指摘しました。他方,賃借人としても,解除権が発生するのは上記限定解釈された場合であるため,もともと賃貸人から解除を求められたならば賃貸借契約は解除され終了させられるという不利益を受任せざるを得ない地位にあります。

そのため,賃貸借契約解除権の定めは,消費者契約法に違反しないとしました。

4 コメント

弊所でも,賃貸人が行方不明となり,保証人が賃貸人から滞納賃料の請求を求められ,また賃貸借契約の解除や建物の明渡しを求められた案件がありました。

今回の裁判例で認められたように,保証人が賃貸借契約の解除をする権限をもっていれば,滞納賃料が蓄積するまえに早期の対処をすることで,保証人にとっても最低限の負担とすることができます。

今後は,個人保証人は,極度額の定めが置かれることとなりますし,賃借人の不払いが長期間放置された場合には,保証人からの保証契約の解除が認められたり,保証債務の請求が権威の濫用として否定されたりすることもあります(横浜地裁平成31年1月30日判決。判タ1460号191頁)。

賃貸借契約における保証契約を見直す必要が生じてきているといえます。

 

 

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保証契約に関しての民法改正

2019年02月15日|不動産, 弁護士コラム

1 保証契約とは

「保証契約」とは,保証人が,債権者との間で,借金の返済や代金の支払などの債務を負う「主債務者」がその債務の支払をしない場合に,主債務者に代わって支払をする義務を負うことを約束する契約をいいます。

主債務者から「保証人になってほしい」と依頼されることが多いかと思いますが,保証契約の主体は,保証人と債権者とになります。

 

なお,「連帯保証契約」とは,保証契約の一種ですが,主債務者に財産があるかどうかにかかわらず,主債務者に対する支払の催告や財産調査をすることなく,債権者が保証人に対して支払を求め,保証人の財産の差押えをすることができるものです。以下では,単に「保証」としていますが,すべて「連帯保証」を含みます。

2 保証契約のリスク

保証人は,主債務者の代わりに主債務者の負った債務を支払うよう債権者から求められることになります。保証人が任意に支払わない場合には,保証人は,自宅の不動産が差押え・競売されて立退きを求められたり,給与や預貯金の差押えを受けたりするなど,裁判所の関与の下で支払を強制されることにもなります。

このように,保証は大きな財産的リスクを伴うものですが,主債務者から「迷惑をかけないから」,「名前だけ貸してほしい」などと言われて,安易に保証人となった結果,後々,大変な状況に陥ってしまうというケースも見られます。

保証人になる際には,このようなリスクがあることを十分に認識しておくことが重要です。

3 極度額(上限額)の定めのない個人の根保証契約について

「根保証契約」とは,一定の範囲に属する不特定の債務について保証する契約をいいます。

例えば,保証人となる時点では,現実にどれだけの債務が発生するのかがはっきりしないなど,どれだけの金額の債務を保証するのかが分からないケースをいいます。

例えば,以下のようなケースが根保証契約に該当する可能性があります。

①子どもが1人暮らしのためにアパートを賃借する際に,その賃料などを賃貸人との間で親が保証人となるケース

②会社の社長が,会社の取引先との間で,自分の会社が取引先に対して負担する全ての債務につき保証人となるケース

③親を介護施設に入居させる際に,その入居費用や施設内での事故による賠償金などを介護施設との間で子どもが保証人となるケース

4 根保証契約のリスク

根保証契約を締結して保証人となる際には,主債務の金額が分からないため,将来,保証人が想定外の債務を負うことになりかねません。

そこで,次のようなルールが設けられています。

 

①極度額(上限額)の定めのない個人の根保証契約は無効

個人(会社などの法人は含まれません)が保証人になる根保証契約については,保証人が支払の責任を負う金額の上限となる「極度額」を定めなければ,保証契約は無効となります。この極度額は書面等により当事者間の合意で定める必要があります。

極度額は,「○○円」などと明瞭に定めなければなりません。上記の賃貸借契約のケースで,保証の極度額を「賃料〇〇か月分」と定めていても,無効になる可能性があります。

保証人は極度額の範囲で支払の責任を負うことになるので,保証をする際には,極度額に注意を払いましょう。

また,極度額を定めないで根保証契約を締結してしまうと,その契約は無効となり,保証人に対して支払を求めることができないことになるので,債権者にとっても注意が必要です。

 

②特別の事情による保証の終了

個人が保証人になる根保証契約については,保証人が破産したときや,主債務者又は保証人が亡くなったときなどは,その後に発生する主債務は保証の対象外となります。

5 根保証契約に関する民法の改正

保証人が個人である根保証についての極度額に関する規律が,適用範囲を拡大しました(改正民法465条の2)。

改正前民法では,根保証については,貸金等を対象とするもの(債務の範囲に金銭の貸渡しまたは手形の割引を受けることによって負担する債務が含まれるもの)についてのみ,極度額を定めなければ効力を生じないとされていました。

これが,今回の改正により,貸金等を対象とするものという限定がなくなりました。

そのため,改正民法が施行される2020年4月1日以降に締結される根保証契約で,個人が保証人となるものについては,極度額の定めを置いておかなければ,効力を生じません。

 

※なお,主債務に貸金等債務(金銭の貸渡しや手形の割引を受けることによって負担する債務)が含まれる根保証契約については,既に,2005年4月1日から,今回のルールよりも更に厳しいルールが設けられています。このルールは,今回の民法改正の後も変わりません。

6 公証人による保証意思確認手続の新設について

法人や個人事業主が事業用の融資を受ける場合に,その事業に関与していない親戚や友人などの第三者が安易に保証人になってしまい,多額の債務を負うという事態が依然として生じています。

そこで,個人が事業用の融資の保証人になろうとする場合には,公証人による保証意思の確認を経なければならないこととされています。この意思確認の手続を経ずに保証契約を締結しても,その契約は無効となります。

なお,この意思確認の手続は,主債務者の事業と関係の深い次のような方々については,不要とされています。

①主債務者が法人である場合

その法人の理事,取締役,執行役や,議決権の過半数を有する株主等

②主債務者が個人である場合

主債務者と共同して事業を行っている共同事業者や,主債務者の事業に現に従事している主債務者の配偶者

 

公証人は,全国に約500名おり,公証役場は約300箇所あります。保証意思確認の手続について,嘱託先とすべき公証役場に制限はありません。

7 公証人による保証意思確認の手続の流れ

①公証役場に行く

これから保証人になろうとする方は,保証契約をする前に,原則として公証役場に出向いて,保証意思確認の手続(保証意思宣明公正証書の作成の嘱託)を行うことになります。

保証意思宣明公正証書は,保証契約締結の日前1か月以内に作成されている必要があります。

この手続は,代理人に依頼することができません。本人自身が公証人から意思確認を受けることになります。

 

②保証意思の確認

公証人から,保証人になろうとする方が保証意思を有しているのかを確認されます。

保証をしようとしている主債務の具体的な内容を認識しているか,保証をすることで自らが代わりに支払などをしなければならなくなるという大きなリスクを負担するものであることを理解しているか,主債務者の財産・収支の状況等について主債務者からどのような情報の提供を受けたかなどについて確認を受けます。このほか,保証人になろうと思った動機・経緯などについても質問されることがあります。

その後,所要の手続を経て,保証意思が確認された場合には,公正証書(保証意思宣明公正証書)が作成されます。

 

保証意思確認の手続の手数料は,1通1万1, 000円を予定されています。その他の費用については,嘱託先となる公証役場にお問い合わせください。

8 情報提供義務の新設

このほか,保証人のために,次のような情報が提供されるようになります。

①保証人になることを主債務者が依頼する際の情報提供義務

事業のために負担する債務について保証人になることを他人に依頼する場合には,主債務者は,保証人になるかどうかの判断に資する情報として,以下の情報を提供しなければなりません。

ⅰ 主債務者の財産や収支の状況

ⅱ 主債務以外の債務の金額や履行状況等に関する情報

このルールは,事業用融資に限らず,売買代金やテナント料など融資以外の債務の保証をする場合にも適用されます。

 

②主債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供義務

債務者が分割金の支払を遅滞するなどしたときに一括払いの義務を負うことを「期限の利益の喪失」といいます。主債務者が期限の利益を喪失すると,遅延損害金の額が大きくふくらみ,早期にその支払をしておかないと,保証人としても多額の支払を求められることになりかねません。

そのため,保証人が個人である場合には,債権者は,主債務者が期限の利益を喪失したことを債権者が知った時から2か月以内にその旨を保証人に通知しなければならないとされています。

 

③主債務の履行状況に関する情報提供義務

主債務者の委託を受けて保証人になった場合には,保証人は,債権者に対して,主債務についての支払の状況に関する情報の提供を求めることができます。

※この情報提供は,法人である保証人も求めることができます。

9 さいごに

保証契約に関しては,事業資金の借入れだけでなく,アパートや施設の入居にも関わる身近なものであり,民法改正で重要な改正がなされていますので,ご相談は守口門真総合法律事務所まで。

 

 

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