はじめに:「うちは仲が良いから大丈夫」が危ない理由
守口門真総合法律事務所の弁護士村上和也です。
相続の相談で最も多いのが「まさか自分の家で揉めるとは思わなかった」というお言葉です 。
法律の世界では、一見公平に見えても、当事者からすると「不公平」に感じるルールがいくつかあります 。また、相続人の数が増えるほど、誰か一人が「判を押さない」だけで、すべての手続きがストップしてしまうリスクも抱えています 。
今回は、私が実際に担当した事案をベースに、揉め事に発展しやすい「3つのパターン」をわかりやすく解説します 。
1. 相続人が「大勢」になり、連絡が取れなくなるケース
お子さんがいないご夫婦の相続などでよく見られるパターンです 。 例えば、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になる場合、その兄弟が既に亡くなっていると、その子供(甥・姪)が代わって相続人になります(代襲相続) 。
- 実際の事例:相続人を調べたところ、20人以上の相続人が存在するケースがありました 。相続人が多い分、1人あたりの相続割合が少ないケースもあり、最も少ない相続割合は144分の1というケースもありました。
- 起きた問題:ほとんどの親戚は「遺産はいらない」と協力してくれましたが、たった一人、返信がない親戚がいただけで、預金の解約ができなくなりました 。
- さらに深刻な事態:その連絡がつかない方が高齢で判断能力が低下している場合、その人のために「成年後見人」を立てなければ話し合いが進まないという、非常に高いハードルが待ち受けています 。
ポイント: 残された奥様が、亡くなられた夫の自宅や預金を相続したくても、会ったこともない親戚全員の印鑑証明が必要になることもあるのです。
(なお、このケースでは、遺言書さえあれば奥様が全部相続できて、かつ、兄弟姉妹には遺留分がないため、完全な解決が実現できていましたので、遺言書の作成が推奨されます)
2. 「あいつだけ、生前にお金をもらっていた」という不満(特別受益)
兄弟間で最も揉めるのが、生前贈与をめぐる問題です 。
- よくある火種:「弟は家を買う時に1,000万円出してもらった」「借金の肩代わりをしてもらった」といった過去の事情です 。
- 法律の考え方(特別受益):民法では、こうした生前贈与を「遺産の先渡し」と考え、残った遺産にその分を足して計算する「持ち戻し」というルールがあります 。
例えば、遺産が3,000万円で、弟が1,500万円の贈与を受けていた場合、合計4,500万円を兄弟2人で分ける計算になります 。この場合、兄は2,250万円、弟は既に受け取った1,500万円を引いて750万円、というのが法律上の「公平」な結論です 。
ポイント: 「本人は『忘れた』『もらっていない』と言い張ることも多く、証拠の有無で泥沼化しやすいのがこの問題の特徴です 」
3. 「家はあるが、分ける現金がない」ケース(代償分割)
「長男が親と同居して家を守っているが、預貯金はほとんどない」という状況も危険です 。
- 状況:自宅が3,000万円、預金が1,000万円の計4,000万円の遺産がある場合、兄弟2人なら2,000万円ずつが法定相続分です 。
- 起きた問題:長男が家(3,000万円)を相続すると、次男から「預金だけだと1,000万円足りないから、長男のポケットマネーから払ってくれ」という請求(代償金請求)がなされることがあります 。
- 現実的な困難:長男に1,000万円もの貯金がなければ、最悪の場合、住んでいる家を売って現金を作るしかなくなります 。
ポイント: 「不動産の評価額を『路線価』でみるか『実売価格』でみるかでも、代償金の額が大きく変わるため、この点でも揉めることがあります 」
弁護士からのメッセージ
これらのトラブルに共通しているのは、「亡くなった方の意思が形になっていない」ために、残された側が、それぞれの立場から、自ら正当だと思う主張をせざるを得なくなっている点です 。
「特別受益」があるなら、なぜそれをあげたのか 。家を継がせたいなら、他の兄弟にはどう配慮するのか 。 これらを元気なうちに「遺言書」として一筆残しておくだけで、残された家族はどれほど救われるかわかりません 。
次回の記事では、こうしたトラブルを未然に防ぐための強力な武器、「遺言書」の種類と使い分けについてお伝えします。
弁護士 村上和也のプロフィール
所属:大阪弁護士会
重点取扱分野:遺言(自筆証書遺言・公正証書遺言・危急時遺言)・相続(遺産分割協議
・遺産分割調停)・成年後見・死後事務委任契約
講演歴:
1 守口市地域包括支援センター家族介護教室での講義(相続・遺言・遺留分・金銭管理
・成年後見)
2 守口文化センターでの講義(「はじめての遺言と相続」)
3 守口市内の会社様での講義(「経営者として知っておきたい相続の知識」)
4 終活セミナーでの講義(テーマ「今日から始める相続対策」)
5 かどま大学(門真大学)における講義(「相続全般・遺産分割協議」「遺言書の作成
・遺言書の種類」「生前対策・成年後見制度」
弁護士からのメッセージ
・早い段階で御相談いただくほうが良い解決につながることが多いです。
・特に相続の分野は、元気なうちに早めに対策しておくことが大事です。
・遺言書は、一度作成しても、あとからいつでも作成し直せます。
・ささいなことでも結構ですので,お一人で悩まれるよりも、お早めにお問い合わせくだ
さい。
遺言・相続・遺産分割協議でお悩みの場合,まずは守口門真総合法律事務所までお問い合
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