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Vol.4 遺産分割に後見人が必要なケース【弁護士コラム】

2025年11月|弁護士コラム, 後見

遺産分割に後見人が必要なケース

はじめに:相続が“止まる”ケースがあります

相続手続きの現場では、「親が亡くなったのに、遺産分割が進まない」というご相談をよく受けます。
原因のひとつが、相続人の中に判断能力が低下した方がいるというケースです。

たとえば兄弟の一人が認知症を患っている場合、
その人は法的に「遺産分割の内容を理解して同意する」ことができません。
この状態で協議を進めても、協議書は無効となる可能性があります。

こうしたときに必要になるのが、成年後見人の選任です。

なぜ後見人が必要になるのか

 遺産分割協議は、法的には「法律行為」にあたりますので、法律行為能力が必要です。
ですから、遺産分割協議書が成立するには、全員が自分の意思で内容を理解し、合意する必要があります。
そのため、判断能力が不十分な相続人がいる場合には、
本人の代わりに意思決定を行う代理人──つまり成年後見人を立てなければなりません。

村上弁護士:「後見人がいないまま協議書を作ろうとしても、頓挫してしまうケースが多いのです。」

後見人が必要になる主なケース

状況具体例
相続人の一人が認知症判断能力がなく、協議に参加できない
相続人が高齢で理解が難しい内容を把握できず、同意の意思が確認できない
相続人が入院中・施設入所中手続きが進まず、期限を過ぎてしまうおそれ

いずれも「相続人間で話し合えば何とかなる」と思いがちですが、
法的には全員の有効な同意が求められるため、
判断能力に問題がある場合は後見人の関与が不可欠です。

実際の事例

事例①:兄が認知症で協議が進まない

父の遺産を3人の兄弟で分ける予定でしたが、長男が認知症で施設に入所中。
家族だけで話し合い、長男の名義で印鑑を押した協議書を作成したものの、
登記を担当する司法書士から「無効の可能性がある」と指摘されました。

→ 家庭裁判所に成年後見人を申立て、後見人が代理で協議に参加。
 結果、法的に有効な協議として完了しました。

事例②:高齢の配偶者が意思確認できない

母が亡くなり、父と子ども2人が相続人に。
しかし父が90歳を超えており、協議内容を理解できない状態。

→ 家庭裁判所で後見人が選任され、父の代理として遺産分割に参加。
 不動産の名義変更や預金の解約も問題なく行えました。

「後見人を立てずに進める」とどうなる?

判断能力が低下した相続人を含むまま協議を行うと、
その協議自体が無効とされる可能性があります。

  • 遺産分割のやり直し
  • 不動産の登記ができない
  • 兄弟間で訴訟に発展する
  • 家庭裁判所への申立てが必要になる

一見「手間を省いた」つもりでも、結果的に時間も費用もかかってしまうことが少なくありません。

弁護士が関与するメリット

成年後見人を選任する手続きは、申立書類の作成や家庭裁判所とのやり取りなど、専門知識が求められます。
弁護士が関与することで、次のような安心があります。

  • 協議内容が法的に有効かを確認できる
  • 家庭裁判所への申立て・報告まで一括で対応できる
  • 手続きを滞らせず、円滑に相続を完了できる

村上弁護士:「相続と後見を“別の問題”と考えるのではなく、一続きの流れとして整理することが重要な場合があります。」

任意後見契約で「将来の相続」に備える

まだ元気なうちに「将来、判断能力が落ちたら誰に後見人を任せるか」を決めておく方法もあります。
それが任意後見契約です。

公正証書で契約を結ぶことで、本人が希望する人(子ども・弁護士など)を後見人に指定できます。
相続発生後に混乱しないよう、あらかじめ備えておく方も増えています。

まとめ:相続と後見は“連動して考える”

  • 相続人の中に判断能力が不十分な方がいると、遺産分割協議は進められない
  • 成年後見人を立てることで、代理人が法的に有効な協議を行える
  • 弁護士が関与することで、迅速・安全・適法な手続きが可能になる
  • 元気なうちに任意後見契約を結んでおけば、将来の相続にも備えられる

相続と後見は切り離せない関係にあります。
「今はまだ大丈夫」と思っているうちから、備えておくことが家族の安心につながります。

次回予告

Vol.5「元気なうちにできる財産管理の準備」
任意後見制度と遺言を組み合わせて行う“予防の仕組みづくり”を解説します。

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