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遺産分割事件における調停に代わる審判

2021年03月|弁護士コラム, 相続

1 遺産分割事件について

 遺産分割事件において,当事者間の任意の交渉で合意が成立しない場合,遺産分割調停の申立てを行い,そこでも調停が成立しない場合には,原則的には,遺産分割審判に移行し,最終的に家庭裁判所が「審判」を下すことによって事件を終結させます(詳しくは,弊所HP「遺産分割」の欄(https://murakami-law.org/inheritance/heredity-003.html)をご覧ください)。

 もっとも,遺産分割事件においては,そもそも相続人が多数になることも多く,その相続人の中には,遺産の取得に興味を示さない方がいることも少なくなくありません。そして,そのような相続人は,遺産分割調停の申立てがなされ,裁判所より連絡があっても,全く応答せず,申立内容に対する賛否等を明らかにしないまま調停期日に欠席するということもあります。

 この場合,遺産分割調停はあくまで当事者全員による出席が必要であるため,一人でも上記のような相続人がいる場合には調停は不成立となり,審判手続へと移行することになります。

 しかし,相手方が申立内容について争っている事案と異なり,何ら反応を示さない等の不誠実な対応で,審理に相当程度の時間を要することとなる審判手続に移行することは,申立人や既に遺産分割内容に賛成している他の相続人にとって,多大な不利益となります。

 したがって,実務上では,「調停に代わる審判」という手続が採用されることがあります。

2 調停に代わる審判

(1)調停に代わる審判とは,遺産分割調停が成立しない場合でも,一定の要件が充たされる場合,調停終了と同時に裁判官によって法的な解決内容を決定することができる制度をいいます(家事事件手続法284条)。

 その特徴は,当事者からの申立てがなくとも,裁判所の判断で職権に基づき実施される手続であり,迅速かつ終局的な解決を行われるという点です。そのため,調停に参加していた当事者にとって,通常のように審判手続へと移行するよりも,時間的・心理的・経済的なメリットが大きい手続であると言えます。

(2)実際の条文は以下のとおりです。

(調停に代わる審判の対象及び要件)
第二百八十四条 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。ただし、第二百七十七条第一項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。

2 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。

3 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。

 上記第2項に記載されているように,調停に代わる審判手続は,今まで調停を担当していた調停委員の意見を踏まえて,調停が継続している裁判所が判断することになるため,調停の経緯も踏まえた判断がなされることとなります。

 先ほど御説明したとおり,調停に代わる審判手続は,裁判所の判断で実施するか否かを決めるものであり,当事者に同手続を行うよう申立てをする権利は認められていませんが,調停の中で調停委員に対して,同手続を実施するよう上申を行うことは可能です。

(3)調停に代わる審判手続の要件は裁判所が「相当と認めるとき」とされており,当事者の一方が合理的な理由もないのに合意を拒んでいる場合を指します。

 具体的には,冒頭の例のように,①一部の相続人が賛否を明らかにしないまま期日に欠席する場合,②ただ一人だけ遺産分割の方針に反対している相続人おり,その反対の理由も感情的なものに過ぎない場合,③わずかな意見の食い違い等によって遺産分割調停があと一歩のところで成立しない場合等が挙げられます。

 こうした場合には,多数の相続人が同意している内容で調停に代わる審判がなされ,合理的で迅速な解決が図られることとなります。

(4)調停に代わる審判手続は,このように迅速な解決に役立つ手続ではありますが,注意点もあります。

 まず,調停に代わる審判では,その内容について不満がある当事者には,異議の申立てを行う権利が認められており(家事事件手続法286条),異議の申立てがあった場合には,事件は通常の審判手続へと移行することとなります。

 また,調停に代わる審判手続は,その告知によって効力が生じますが,公示送達により告知することはできないとされているため(家事事件手続法285条2項),当事者が所在不明の場合には,この手続を利用することはできません。

3 最後に

 今回は,遺産分割事件における「調停に代わる審判」という手続について御説明させて頂きましたが,相続や遺産分割に関する法律問題は多岐にわたり,ご本人様の対応では難しい場面が多いことかと思います。
 何か,ご自身やご家族の相続に関することでご不安なことがございましたら,お早めに守口門真総合法律事務所までご相談ください。

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