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遺言書は必要?弁護士にサポートしてもらうメリットは?

2021年10月|弁護士コラム, 新着情報, 相続

守口門真総合法律事務所の弁護士村上和也です。
遺言書は必要ですか?,弁護士にサポートしてもらうメリットは何ですか?,等につき,よく御相談を受けますので,本日はこの点の解説をさせていただきます。

「遺言書」という言葉や存在を知っていても、実際に遺言書を作成している方は少ないのではないでしょうか。「遺言書を作るのは大変そう」「子どもがいないから不要なのでは?」と思うかもしれません。
しかし、遺言書を作成しておくことで得られるメリットがあります。
遺言書の必要性や費用について理解した上で、作成を検討していただければ幸いです。


【目次】
遺言書はなぜ必要?
遺言書作成のタイミングについて
遺言書は自分で簡単に作ることができる?
遺言書を作成した後はどうしたらいい?
遺言書の作成を弁護士にサポートしてもらうメリットについて
まとめ



遺言書はなぜ必要?

 遺言書がないと、残された家族が遺産を巡って揉めてしまう可能性があります。
 親が健在の時には、親からの援助や支援(学費やその他費用など)について、兄弟姉妹間で不満を持っていても、表面化することは少ないと思います。
しかし、親が亡くなると、今までため込んでいた不満が爆発し、相続争いになることがあります。
 例えば「兄は留学費用を出してもらったけど、私は留学していない」「妹は新居購入の費用を出してもらったけど、私は何もしてもらっていない」など、過去のことが火種になったりします。
 血のつながっている兄弟姉妹でも争いになりやすいですから、血がつながっていない兄弟姉妹の場合はさらに争いが起こりやすい傾向にあります。父親が再婚していて、先妻・後妻それぞれに子どもがいる場合などは、相続トラブルに発展しやすいです。

兄弟姉妹の人数が多いとトラブルになりやすい?
 兄弟姉妹の人数が多い人が亡くなった場合も、相続が大変になります。
とくに、兄弟姉妹の中に子どもがいない人がおり,その人が亡くなった場合は、相続人に該当する人が多くなるので要注意です。
 なぜなら、子どもがいない人の場合は,兄弟姉妹も相続人になるためです。
兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、その子ども(亡くなった人の甥姪)が相続することになります。代襲相続人といいます。
 そのため、たくさんの兄弟姉妹がいる場合は相続人(甥姪)も多くなり、相続の手続きが大変になってしまうのです。
 相続は親族間で争いが起こりやすいので、遺言書があると、遺産分割をスムーズに進められ、無駄な争いを防ぐことができます。

遺言書作成のタイミングについて

 遺言書の作成は早い方がいいです。
 自分が何歳まで生きられるかは、誰にも分かりません。
 不慮の事故・病気などで突然亡くなってしまう可能性もありますので、「遺言書について相談しようかな…」と思った時がベストタイミングです。
 当事務所では60代~70代の方からのご相談が多いですが、50代や80代の方もいらっしゃいますし、50代でも決して早すぎることはありません。遺言書は気が変わったら作り直すことも可能ですので、ご安心ください。

遺言書作成時と相続時で資産状況が変わることについて
 みなさん心配されるのは「早く作成しすぎると、遺言書作成時と相続時で資産が変わってしまう(資産が減ってしまっている可能性がある)のでは?」という点です。確かに、老後に銀行口座のお金を生活資金などで使うと、口座の預金残高は減っていきます。
 しかし、遺言書では「預金の割合を指定する」という方法もあります。
 3人兄弟であれば、「長男:次男:三男=2:1:1」の割合で分けるという内容も可能なのです。また、金額ではなく「相続する口座を指定する」という方法もあります。この場合であれば、口座の金額が変動しても問題ありません。
 遺言書作成時と相続時の資産状況の変化については、そこまで心配する必要はありません。

遺言書は自分で簡単に作ることができる?

 遺言書には、自分で書く「自筆証書遺言」、公証人と作成する「公正証書遺言」があります。自筆で作成する場合は「自筆証書遺言」となり、遺言書のルールを守り、日付・捺印なども忘れずに作成することができれば問題ありません。以前は財産部分の作成が難しかったのですが、法改正によって、目録はパソコンのソフト「Word」での作成も認められるようになりました。

 また、通帳のコピーも認められるようになり、遺言書作成のハードルが下がっています。ただし、遺言書のルールが守れていないと無効になるので、個人で作成する場合はしっかり確認をしましょう。不安な場合は、弁護士のサポートを受けることも可能です。
 当日に遺言書を作成できるケースもあります。

公正証書遺言にはどんなメリットがある?
公正証書遺言は、偽造の心配がありません。そのため、遺言書を巡っての争いが起きないというメリットがあります。また、検認も不要となります。
 このようなメリットから、当事務所で遺言書を作成される方の7~8割の方が公正証書遺言を選んでいます。ただし、作成には印鑑証明や戸籍謄本などの書類を用意する必要があり、公証人とのスケジュール調整もあります。
 作成には、最低でも2,3週間、長い場合は1,2カ月程度かかるでしょう。
 弁護士がサポートをする場合、原案作成、公証人との内容すり合わせ、スケジュール調整を代行します。完成までにはそれなりに時間がかかりますので、早めにご相談ください。

遺言書を作成した後はどうしたらいい?

 自筆証書遺言の場合は、完成した遺言書を封筒に入れしっかり封をし、保管します。そして家族などに遺言書の存在を伝え、その時がきたら実行してもらいましょう。
 公正証書遺言の場合、原本は公証役場で保管してくれます。
 公証人から正本・謄本を受け取ることになります。家族にも公正証書遺言があることを伝え,正本・謄本のうちどちらか1つの保管を委ね、他1つを自分で保管しておきましょう。

確実に遺言書を残すには?
 遺言書の存在は、自分だけが知っていても意味がありません。
必ず実行可能な人、家族や信頼できる人に知らせて、適宜,託しておきましょう。
 自筆証書遺言の場合、原本しかありませんので、無くさないように気を付けてください。自筆証書遺言は公正証書遺言よりも手軽に作成できますが、偽造・変造される不安が残ります。遺言書は手を加えられると、無効になってしまいます。
 また、誰かに捨てられたり無くされたりしてしまったら、遺言書は無意味になってしまいます。確実に遺言書を残したい場合は、公証役場で原本を預かってもらえる「公正証書遺言」を選択しましょう。

遺言書の作成を弁護士にサポートしてもらうメリットについて

 弁護士がサポートをすることで、確実に有効な遺言書が作成できます。
 また、家族構成などを考慮し、争いがおきにくい遺言書にすることも可能です。手間のかかる資料収集のサポートなども行いますので、スピーディーに作成することができるのもメリットですね。

遺言書作成の費用はどれくらい?
 当事務所で遺言書を作成する場合、下記が費用の目安となります。
・自筆証書遺言:3~5万円程度
・公正証書遺言:20万円程度
※別途,公証人への手数料(数万円~10万円程度)がかかります。
 遺言書の内容の変更(遺言書の作り直し)は、初回費用の半額程度で対応しています。

まとめ

 遺言書は、残された家族・親族が相続争いを起こさないためにも必要です。
 作成に早すぎることはありませんので、気になったタイミングでご相談ください。ご自身で作成していただくことも可能ですが、遺言書にはルールもあります。確実に有効となる遺言書を作成するためにも、法律のプロである弁護士のサポートを受けられることをおすすめします。
 弁護士に依頼する場合、費用はかかりますが、もし遺言を作成しないまま亡くなって遺族が遺産争いをすることになれば,100万以上の弁護士費用が発生することが多々あります。
 争いが起きないように遺言書を作成しておくことで、残された家族のためにもなりますので,是非,早急に遺言書の作成を御検討いただければと思います。

弁護士村上和也のプロフィール
所属:大阪弁護士会
重点取扱分野:遺言・相続(遺産分割・遺留分・遺言執行)・成年後見
講演歴:①「今日から始める相続対策」(終活セミナーでの講演)
    ②「相続・遺言・遺留分・金銭管理・成年後見」
     (地域包括支援センター家族介護教室での講演)
    ③「金銭管理・成年後見・個人情報保護」(認知症サポーター養成講座での講演)
<弁護士からの一言>
・早い段階で御相談いただくほうが良い解決につながることが多いですから,ささいなことでも結構ですので,お早めにお問い合わせください。
・相続問題は,遺産分割調停・遺留分減殺請求訴訟等,様々な紛争を扱う,紛争処理のプロである弁護士に御相談ください。

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