1.事案の概要
相談者は,弊所へ相談に来られる9か月前にお父様が亡くなられましたが,お父様が生前に公正証書遺言を作成していたという事案でした。法定相続人は,相談者以外にお母様と弟の2名,つまり合計3名で,法定相続割合は,相談者が4分の1,お母様が2分の1,弟が4分の1となりますが,公正証書遺言により,自宅不動産を母に,それ以外の不動産や預貯金といった遺産については全て弟に相続させるという内容で,相談者は一切遺産を受け取ることができないという状況でした。
もっとも,このような場合でも,法定相続人に対する最低限度の保障として,遺産の中から遺留分に相当する財産を取得する権利(「遺留分減殺請求権」といいます)が認められています。本件において相談者に認められる遺留分割合は遺産の8分の1でした。
相談者も,相談に来られる前にご自身で遺留分減殺請求をしていましたが,母及び弟より何ら返答が得られなかったため,当事務所にご相談に来られました。
2.遺留分減殺請求の交渉,調停及び訴訟
(1)遺留分減殺請求の交渉
遺留分減殺請求権については,相続が始まる時、または減殺すべき贈与または遺贈があることを知った時から、1年以内に請求しなければなりません。そこで,既に相談者がご自身で遺留分減殺請求をしていましたが,改めて弁護士からも遺留分減殺請求をするとともに,和解の提案をいたしました。
しかし,相手方らにも弁護士が就任し,和解に応じることは出来ない旨の回答があったため,直ぐに調停申立を行いました(遺留分減殺請求案件は、まず調停での解決を図るのが原則となっています)。
(2)調停における交渉
本件において,公正証書遺言により弟が相続した不動産については,賃貸不動産として使用されており,当然家賃が発生していましたが,家賃については,被相続人が直接現金で受け取っており,回収した家賃についても,当方で取得した被相続人の預金通帳の取引履歴には何ら残っていない状態でした。
もっとも,被相続人は,亡くなる約4年程前から施設に入所しており,家賃を回収することは現実的に困難な状況であったため,同不動産を相続した弟が,既に生前から家賃を回収していたと考え,回収家賃分についても遺産に含まれ,遺留分減殺請求の対象となることを主張しました。
これに対し,相手方らは,回収した家賃については被相続人の施設費用等に充てたため,残っていないとの反論をしたため,当方からその使途及び金額について当根拠資料の提出を求めましたが,これに応じませんでした。
そこで,当方から,調停段階における早期解決を図るために,相手方の遺留分侵害額約1000万円を支払うことでの金銭的解決を目指しましたが,相手方からはその半額程度の支払しかできない旨の回答があったため,調停は不調とし,訴訟提起をしました。
(3)訴訟による解決
訴訟段階でも調停時と同様に回収家賃分の使途について根拠資料の提出を求めました。この時,調停段階の主張に加え,被相続人の預金通帳の取引履歴を精査し,被相続人の出費項目及び金額を表にまとめて提出することで,相手方の主張に基づいたとしても,回収家賃分が被相続人の支出によって全て費消されることはないことを説得的に主張しました。これによって,裁判所からも相手方らに根拠資料の提出するよう指示があり,相手方らより根拠資料の提出がなされ,回収家賃の使途等が明らかにされました。
その上で,裁判所から和解による解決が提案され,相手方らより相談者に対して,代償金として850万円を支払うという内容で和解が成立しました。当初調停段階で,相手方が提示していた金額を大きく上回る内容で解決をすることが出来ました。
3.結語
本件では,相談者も,当初の相手方の提示額より大きく相談者に有利な金額で解決をすることができたため,ご満足いただきました。
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