1,法律相談の内容(遺言書の作成)・出張相談の日時設定等
介護施設に入居中の兄が遺言書を作成したいと言っているため遺言書作成をお願いできないですか,という弟(相談者)からの御相談でした。
お兄様が弁護士事務所に来所できる身体状況では無かったため,弁護士が介護施設に,休日に出張して法律相談を実施することになりました。
当初予定では,筆記ができそうなら自筆証書遺言を作成し,筆記が難しければ公証人に出張してもらい公正証書遺言を作成する予定でした。
しかし,相談日の前日にお兄様の容態が急変し,遺言書を作成することができないまま,逝去してしまいした。高齢者には,まれにみられるケースだと思います。
法定相続人は,相談者以外に4名,つまり合計5名であり,法定相続割合は,相談者が3分の1,他の兄弟が3分の1,3名の甥姪(代襲相続者)が9分の1ずつでした。
2,寄与分の主張による有利な遺産分割協議の成立
もっとも,事情をよくお伺いすると,被相続人に対し,相談者が最も病院付き添いをしたり,入院に際しては身元引受をして入院手続をしたり,頻繁にお見舞いにいったり,介護施設への入所に際しても身元引受をして保証人になったり等,療養看護を尽くされていましたので,寄与分の主張をしました。
その主張が成功し,相談者が2分の1,他の兄弟が4分の1,3名の甥姪が12分の1ずつという相続割合で,遺産分割協議書を作成することができました。当然のことですが,他の相続人から印鑑証明書も提供していただき,遺産分割協議書の押印欄には実印を押していただき,ページが変わる箇所には割印を押していただきました。
遺産分割協議書は,法定相続人の人数分の通数を作成し,各法定相続人が1通ずつ保管することになりました。
遺産の内容は,複数の預貯金・株式等でした。
複数の預貯金や株式を上記割合で分割するのは煩雑で非現実的であるため,相談者が全ての遺産を承継し,他の相続人に対しては,上記割合に対応する代償金を支払う内容での遺産分割協議です。なお,株式を承継するためには,当該信託銀行に口座を作成し,マイナンバーを添付する必要がありますので,その点も御指導させていただきました。
3,結語
相談者も,法定相続割合より多くの遺産を取得することができ,ご満足いただきました。
本件は,被相続人の容態の変化があまりに急であり,危急時遺言を作成することもできなかったため,弁護士の立場からは,遺産分割協議をしなくて済むよう,遺言作成者がお元気なうちに,早めに遺言書を作成していただくよう助言させていただきました。
遺言書の作成を検討されている方は,お早めに,守口門真総合法律事務所にお問い合わせいただければと思います。
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