交通アクセス

〒 570-0056
大阪府守口市寺内町2丁目7番27号
ステーションゲート守口5階 ※ビルに駐車場はございませんので,
近隣有料駐車場をご利用ください

相談予約受付中です

06-6997-7171 [受付時間]平日9:00~18:00

メールでのご予約

※電話・メールのみでの法律相談は行っておりません。

守口門真総合法律事務所重点取扱い分野

  • 交通事故
  • 相続(守口・門真)
  • 後見(守口・門真)
  • 不動産
  • 企業法務
  • 離婚
  • 借金
  • 法人破産

銀行で親の口座から50万円まで引き出せる制度とは?【弁護士コラム】

2025年11月|弁護士コラム, 後見

はじめに:親の口座からお金を下ろせない?

「介護施設の費用を払いたいのに、親の通帳と印鑑を持って行っても銀行で断られた」
このようなご相談は非常に多くあります。

銀行では、たとえ実の子であっても、本人の委任や法的代理権がない場合、
お金を引き出すことができません。
認知症などで本人の判断能力が失われていると、委任能力の有無が問題となり、手続きが一層難しくなります。

しかし、そんな家族の負担を少しでも軽くするために、
最近、銀行では「50万円までの代理出金制度」という仕組みが設けられています。


銀行の「50万円までの代理出金制度」とは?

この制度は、認知症などで本人の判断能力が低下したとき、
家族が代わりに介護施設費用・医療費などを引き出せるようにした銀行の独自対応です。

全国銀行協会が2020年に策定したガイドラインをきっかけに、
多くの金融機関で運用が始まりました。
銀行によって運用は異なりますが、おおむね次のような条件で利用できます。


利用できる主な条件

  • 本人が認知症などで判断能力を失っている
  • 家族(配偶者・子など)が介護費・医療費のために出金する
  • 後見人や任意代理人がいない状態である

出金の上限

  • 1回につき50万円以内(銀行により月単位の上限設定あり)

用意する書類の例

  • 本人の通帳と届出印
  • 家族の本人確認書類
  • 医師の診断書または介護保険証
  • 支払い目的を示す請求書や領収書

どんなときに使えるのか

次のようなケースで利用されることが多いです。

状況出金目的
親が認知症で入院病院への医療費支払い
介護施設に入所入居費や生活費の支払い
自宅介護中介護用品・在宅サービスの費用
税金・光熱費の支払い公共料金の代理支払い

この制度は、あくまで応急的な手段です。
後見制度を申立てる前に、緊急で費用を用意したいときなどに役立ちます。


注意しておきたいポイント

便利な制度ではありますが、利用にはいくつかの注意点もあります。

① 本人以外のために使ってはいけない

引き出したお金は、必ず本人のために使う必要があります。
たとえ家族の支出であっても、本人名義の資金を使うと「使い込み」とみなされるおそれがあります。

② 記録を残すことが大切

どのような目的で、いくら引き出し、何に使ったか。
領収書やメモを残しておくことで、後々のトラブルを防げます。

村上弁護士:「“説明できる状態”を保っておくことが、家族間の信頼を守る第一歩です。」

③ 銀行によって運用が異なる

同じ制度でも、銀行ごとに提出書類や上限金額が異なります。
事前に支店で確認しておくと安心です。


成年後見制度との違い

「それなら後見制度はいらないのでは?」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、この制度と成年後見制度は目的と範囲がまったく異なります。

比較項目銀行の出金制度成年後見制度
対象範囲生活費・医療費などに限定財産全般の管理・契約
手続き銀行窓口で簡易手続き家庭裁判所の申立てが必要
代理できる行為出金のみ契約・不動産売却なども可能
効力の強さ銀行内でのみ有効法的に包括的な代理権
期間一時的継続的(後見終了まで)

つまり、代理出金制度は「短期的な保護」、
成年後見制度は「長期的な保護」を目的としています。


弁護士からのアドバイス

銀行の出金制度は、当面の支払いにはとても便利ですが、
継続的・ 恒常的な財産管理や契約行為まではカバーできません。

村上弁護士:「最初は銀行の代理出金制度を使い、
必要になった段階で成年後見制度に切り替える──
そんな“段階的な対応”が現実的です。」

焦って後見申立てをする前に、
まずはこの制度で一時対応をし、全体の状況を整理するのもひとつの方法です。


まとめ:慌てず、段階的に備える

  • 銀行による「50万円までの代理出金制度」は、当面の介護費・医療費等を支払うための応急処置。
  • ただし、本人以外の支出に使ったり、記録を残さなかったりすると、後でトラブルになることも。
  • 判断能力の低下が進んでいる場合は、早めに専門家へ相談し、成年後見制度への移行を検討しましょう。

<お問い合わせ・ご相談の窓口>

お電話もしくはフォームよりご連絡ください。
守口門真総合法律事務所
[受付時間]平日9:00~18:00 06-6997-7171
▶お問い合わせフォーム
※営業時間外は電話代行にてご伝言をお預かりいたします。