はじめに:「まだ大丈夫」と思っているうちに
多くの方が「まだ判断力はしっかりしているから大丈夫」とおっしゃいます。
しかし、認知症や病気はある日突然、現れることがあります。
そして一度判断能力が失われてしまうと、遺言書や任意後見契約書を作ること自体ができなくなるのです。
村上弁護士:「“元気なうちに準備する”という行動が、ご家族にとっての最大の安心につながります。」
成年後見制度が“守る仕組み”だとすれば、
遺言と任意後見契約は“備える仕組み”です。
この2つを早めに整えることで、将来の不安を大きく減らすことができます。
任意後見制度とは?
任意後見制度とは、自分が元気なうちに、将来の財産管理・契約手続・身上保護を信頼できる人に任せる制度です。
公証役場の関与のもと、 公正証書で「任意後見契約」を結びます。
判断能力が低下したときに、あらかじめ指定しておいた任意後見人が代理人として活動を始めます。
任意後見契約の基本ポイント
| 項目 | 内容 |
| 契約時期 | 判断能力があるうち(元気なうち)に結ぶ |
| 形式 | 公正証書による契約(公証役場で作成) |
| 発動時期 | 判断能力が低下し、家庭裁判所が監督人を選任したとき |
| 任意後見人 | 本人が信頼できる人(親族・弁護士など)を自ら指定可能 |
任意後見制度を使うメリット
任意後見制度を利用することで、
「誰に」「どのように」財産管理を任せるかを自分の意思で決めておくことができます。
主なメリットは次のとおりです。
- 信頼できる人を自分で選べる(親族や弁護士など)
- 将来の財産管理を計画的に準備できる
- 本人の意思を尊重した生活支援が可能
- トラブルや争いを未然に防げる
特に、家族間の関係が複雑な場合や財産が多い場合は、
弁護士など専門職を任意後見人として指定しておくと、
公平性と安全性の両方を確保できます。
任意後見契約と遺言をセットで考える
任意後見契約が「生前の備え」であるのに対し、
**遺言書は“死後の備え”**です。
この2つを組み合わせておくと、人生の終盤を通じてスムーズな管理が可能になります。
両制度の役割の違い
| 制度 | 対応する時期 | 主な目的 |
| 任意後見契約 | 生前(判断能力が低下したとき) | 財産管理・生活支援 |
| 遺言書 | 死後 | 財産の承継・相続トラブルの防止 |
併用のメリット
- 認知症になっても、信頼できる人に財産を任せられる
- 亡くなった後も、遺言に基づいてスムーズに財産が承継される
- ご家族が「どうすればよいか」で悩まずに済む
村上弁護士:「“判断力を失ったとき”と“亡くなった後”の両方に備えることで、安心の二重構えになります。」
実際の相談例
事例:一人暮らしの女性のケース
70代の女性から「自分が倒れたとき、財産をどうすればいいのか」と相談を受けました。
弁護士と一緒に任意後見契約書と遺言書を作成し、
判断力が低下した場合には弁護士が財産管理を担当、
亡くなった後は遺言書の内容に従ってスムーズに分配される仕組みを整えました。
「これでようやく安心できました」とおっしゃっていたのが印象的でした。
弁護士に依頼するメリット
任意後見契約書や遺言書は、形式や内容を誤ると無効になるおそれがあります。
弁護士が関与することで、次のような安心が得られます。
- 有効な任意後見契約書・遺言書を作成できる
- 家族間の利害関係を調整しながら設計できる
- 将来の相続や介護費用まで見据えた長期的な支援が可能
また、弁護士が任意後見人に指定されている場合は、
家庭裁判所の監督のもとで、透明かつ公正に管理が行われます。
まとめ:「準備しておく人」が家族を守る
- 判断能力が落ちてからでは、任意後見契約書も遺言書も作れない
- 元気なうちに準備すれば、自分の意思を形にできる
- 弁護士に相談することで、制度を正しく・安全に活用できる
成年後見制度が「問題が起きた後に守る」仕組みだとすれば、
任意後見契約と遺言は「問題が起きる前に備える」仕組みです。
「まだ早い」と思ううちに、動き出すことが、
ご自身とご家族の未来を守る最も確実な方法です。
コラムシリーズを終えて
この全5回のコラムでは、成年後見制度の基本から、銀行対応、家族間のトラブル、相続との関係、
そして生前の備えまでを幅広く解説してきました。
もしご家族の金銭管理や将来の備えについて少しでも不安があれば、
どうぞお気軽にご相談ください。
制度を知ることが、最初の一歩です。
守口門真総合法律事務所では、初回相談を無料で行っています。
一人ひとりの状況に合わせ、最適な方法をご提案いたします。
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