セクハラ被害に関する御依頼案件です。
ある会社の従業員の方が、社長に誘われて他の社員の同席なく飲食することになり、有形的接触を含むセクハラ行為をされた案件です。
その従業員の方は、ひどく精神的苦痛を被り、1か月間の休業及び加療が必要な「急性ストレス障害」との診断を受けました。翌日から会社に出勤することが困難になり、現状を打開するため、当事務所にご依頼いただきました。
初回の法律相談の中で、セクハラ行為の他に、入社以降現在までの残業代が大部分未払いとなっていることが判明しました。これは、みなし残業代が毎月支払われてはいたものの、実際の残業時間はみなし残業代の範囲を大幅に超過していたものです。さらに、休業中の給与をどうするか等、問題が山積みの状態でした。
まず、セクハラ慰謝料に関する過去の裁判例を洗い出し、本件における慰謝料増額事由を全て抽出しました。その上で、担当部長に当事務所に御来所いただき、法的問題点を指摘した上、事態の重大性を訴え、サポートを取り付けました。
そして、弁護士の発言内容を直接社長にお伝えいただき、かつ内省を促す意味で、社長宛の文書を送付いたしました。
この文書では、事実経過を細かく記載の上、
①刑事上強制わいせつ致傷罪(同第181条1項、176条)に該当し得ること、
②民事上も不法行為に該当すること、
③本件における慰謝料増額事由、
④社長の言い分が慰謝料減額事由にあたらないこと等を摘示しました。
その上で、慰謝料のみならず、未払いとなっていた残業代、休業中の賃金、会社都合による退職手続を請求しました。
会社都合による退職手続を求めたのは、その方は入社から1年を経過していなかったため、
①自己都合退職であると失業給付金の受給が困難であること、
②失業保険金をより早期に受け取れること、
③健康保険の任意継続制度が利用できること等の理由からです。
最後に、社長の行った行為の重大性を再度指摘し、今後同様の被害を招来することのないよう、内省を促しました。
本件では、この社長宛の文書が功を奏し、こちら側の主張を全て認めさせた形で、退職合意書の作成に至りました。
相談をお受けしてから、退職合意書の作成に至るまで、41日間のスピード解決でした。
同時並行で、その従業員の方が会社や寮に置いていた荷物を撤収し、健康保険任意継続制度のご案内や、厚生年金手帳、健康保険被保険者資格喪失証明書、退職証明書及び離職票の受け渡し、健康保険証の会社への返還等、退職手続の全てを当事務所がサポートいたしました。
早期のご相談は、早期の解決に繋がります。法律問題についてお悩みでしたら、まず弁護士にご相談ください。