亡くなったらまずすべきこと
親族が亡くなった後,表面化するのが遺産相続の問題です。
肉親であるが故に,過去の複雑な感情が入り混じり,争いが長期化することも少なくありません。
以下では,争いを長期化しないためにどうすればいいのか,順を追って説明します。
相続人の確定
まずは,相続人が誰かを確定する必要があります。
相続人の範囲は,第1順位が亡くなった方(「被相続人」といいます。)の配偶者と子(子が被相続人より先に亡くなっている場合は,代襲相続により子の子),第2順位が父母(父母が既に亡くなっており,祖父母が存命の場合は祖父母),第3順位が兄弟姉妹(兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は甥姪)です。
故人(被相続人)から生前に身寄りがないと聞いていた場合でも,実際は,離れて暮らしている子どもがいたり,故人と疎遠または絶縁状態であった故人の兄弟に子どもがいたりしていて,相続人が存在するケースがあります。
まずは被相続人の出生から死亡までが記載された戸籍を取り寄せ,相続人に遺漏がないようチェックする必要があります。
特に,再婚等の場合,前妻や前夫との間の子が知られていない場合があるので,注意が必要です。
後記の遺産分割協議書等は相続人全員で作成しなければ無効になるため,まず相続人を確定することが必須であるといえます。
遺産の確定
相続人の確定と同時に行わなければいけないのが,遺産の確定です。
不動産,預貯金,有価証券,現金,貴金属等が遺産の代表的なものです。
相続人間で争いが見込まれ,相続人の一部が勝手に預貯金等を引き出してしまうおそれがある場合は,予め金融機関に被相続人が死亡したことを届け出て,口座を凍結して勝手に引き出せないようにする必要があります。
また,現金や貴金属についても,勝手に処分されないよう,確保する必要があります。
遺言書の確認
相続人と遺産が確定されたら,今度は被相続人が自身の遺産について有効な遺言書を作成しているかどうかを確認する必要があります。
遺言書は,主に自筆証書遺言と公正証書遺言に分けられます。
被相続人が有効な遺言書を作成していれば,遺言通りに相続手続を進めればよく,特に問題はありません。
しかし,被相続人がそもそも遺言書を作成していない,あるいはせっかく遺言書を作成していても,形式等に不備があって有効ではない場合,相続人全員で遺産の分割方法について話し合う(協議)する必要があります。