相続人の確定

相続人調査

親族が亡くなった後,表面化するのが遺産相続の問題です。
肉親であるが故に,過去の複雑な感情が入り混じり,争いが長期化することも少なくありません
相続争いを長期化しないためには,適切な手順を踏んで解決を図る必要があります。

相続争いを解決するためには,まず相続人が誰かを調査して確定させなければなりません。
相続人の範囲は,第1順位が亡くなった方(「被相続人」といいます。)の配偶者と子(子が被相続人より先に亡くなっている場合は,代襲相続により子の子),第2順位が父母(父母が既に亡くなっており,祖父母が存命の場合は祖父母),第3順位が兄弟姉妹(兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は甥姪)です。

故人(被相続人)から生前に身寄りがないと聞いていた場合でも,実際は,離れて暮らしている子どもがいたり,故人と疎遠または絶縁状態であった故人の兄弟に子どもがいたりしていて,相続人が存在するケースがあります。

まずは被相続人の出生から死亡までが記載された戸籍を取り寄せ,相続人に遺漏がないようチェックする必要があります。
特に,再婚等の場合,前妻や前夫との間の子が知られていない場合があるので,注意が必要です。

後記の遺産分割協議書等は相続人全員で作成しなければ無効になるため,まず相続人を確定することが必須であるといえます。

非嫡出子の相続分(最高裁決定と民法改正)

非嫡出子の相続分

平成25年9月4日に出された、非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする改正前民法900条第4号ただし書の規定を違憲とする最高裁判所の決定、及びそれに伴い同年12月5日に成立した民法の一部を改正する法律(同月11日交付・施行)について紹介したいと思います。

1.そもそも嫡出子・非嫡出子とは

まず、上記最高裁決定及び民法改正についてお話しする前に、嫡出子・非嫡出子という言葉について説明したいと思います(なお、非嫡出子については「婚外子」などと呼ばれることもあります。)。

 そもそも、民法上「嫡出子」について定義はなされていません。もっとも、民法772条ないし民法776条では「嫡出」という言葉を使用しており、これらの規定の定め方からして、嫡出子及び非嫡出子は以下のように整理されています。

・嫡出子 …法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子
・非嫡出子…法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子

この整理から分かるように、嫡出子・非嫡出子の違いは、「法律上の婚姻関係の有無」にあるといえます。

今回、紹介する最高裁決定及びそれに伴う民法の一部改正が話題となっていたのは、民法におけるこの嫡出子・非嫡出子の区別が相続において大きな影響を及ぼしていたためです。

2.改正前の民法の規定

改正前の民法900条4号ただし書では以下のように規定されていました。

第900条
同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
四子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

この規定によれば、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1ということになります。

このような規定に対しては、父母が婚姻関係になかったという子にとって自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されない、嫡出子と非嫡出子の相続分をこのように分ける合理的理由はない等、様々な批判があり、国民の平等権を規定した憲法14条に反すると言われていました。

しかし、最高裁判所は、平成7年7月5日決定、平成16年10月14日判決、平成21年9月30日決定のように、改正前の民法900条4号ただし書は合憲であるという判断を維持していました。

3.平成25年9月4日の最高裁決定

こうした流れの中、平成25年9月4日の最高裁決定では、改正前の民法900条4号ただし書は違憲であるという判断を下しました。
同決定は以下のとおり判示しています。

<最高裁判所大法廷平成25年9月4日決定>

本件規定の合理性に関連する以上のような種々の事柄の変遷等は、その中のいずれか一つを捉えて、本件規定による法定相続分の区別を不合理とすべき決定的な理由とし得るものではない。しかし、昭和22年民法改正時から現在に至るまでの間の社会の動向、我が国における家族形態の多様化やこれに伴う国民の意識の変化、諸外国の立法のすう勢及び我が国が批准した条約の内容とこれに基づき設置された委員会からの指摘、嫡出子と嫡出でない子の区別に関わる法制等の変化、更にはこれまでの当審判例における度重なる問題の指摘等を総合的に考察すれば、家族という共同体の中における個人の尊重がより明確に認識されてきたことは明らかであるといえる。そして、法律婚という制度自体は我が国に定着しているとしても、上記のような認識の変化に伴い、上記制度の下で父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきているものということができる。

以上を総合すれば、遅くともAの相続が開始した平成13年7月当時においては、立法府の裁量権を考慮しても、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたというべきである。

したがって、本件規定は、遅くとも平成13年7月当時において、憲法14条1 項に違反していたものというべきである。
※全文→http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/520/083520_hanrei.pdf(裁判所HPより)

このように、最高裁は、遅くとも平成13年7月当時において、改正前の民法900条4号ただし書が憲法14条1項の法の下の平等に違反していたものであると判示しています。
 
では、平成13年7月からこの判決が出るまでの間になされた遺産分割についてはどのように扱われるのでしょうか。
この点についても、平成25年9月4日の最高裁決定は言及しています。最高裁決定によれば、上記違憲判断は、平成13年7月から同決定までの間に開始された他の相続につき、改正前の民法900条4号ただし書を前提としてされた遺産分割の審判その他の裁判、遺産分割協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼさないとされています。

つまり、平成13年7月1日から平成25年9月4日までの間に開始した相続について、
①平成25年9月4日以後に遺産の分割をする場合には、嫡出子と非嫡出子の相続分は同等なものとして扱われる
②平成25年9月4日以前に遺産分割の協議や裁判が終了しているなど、「確定的なものとなった法律関係」に該当する場合は、その効力は覆らない

という整理となります。

4.民法改正の内容

平成25年12月5日、民法の一部を改正する法律が成立し、同月11日公布・施行されました。  改正の主な内容は、改正前民法900条4号ただし書にあった「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし」の部分が削除されたというものです。

<改正による削除部分> 第900条
同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。 四子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。
ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

この規定によれば、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1ということになります。

このような規定に対しては、父母が婚姻関係になかったという子にとって自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されない、嫡出子と非嫡出子の相続分をこのように分ける合理的理由はない等、様々な批判があり、国民の平等権を規定した憲法14条に反すると言われていました。

しかし、最高裁判所は、平成7年7月5日決定、平成16年10月14日判決、平成21年9月30日決定のように、改正前の民法900条4号ただし書は合憲であるという判断を維持していました。

5.改正民法の適用について

それでは、改正民法はどの範囲で適用されることになるのでしょうか。
民法の一部を改正する法律附則の第2項によれば、同法は、最高裁判所による決定がされた日の翌日である平成25年9月5日それ以後に開始した相続について適用するとなっています。相続は被相続人(亡くなった人のことを指します)の死亡により生ずるので、平成25年9月5日以後に被相続人が死亡したものについて適用されるということになります。

また、改正民法により影響を受けるのは、相続人(被相続人の権利・義務を承継する人を指します)の中に嫡出子と非嫡出子の双方がいる場合です。そのため、相続人となる子が嫡出子のみしかいない場合や非嫡出子のみしかいない場合については、改正民法の影響を受けず、この相続分はこれまでと変わりません。

詳しくは法務省のHP「民法の一部が改正されました」
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00143.htmlをご覧ください。

7.まとめ

こうした最高裁決定や法改正は、現実の遺産相続においても、相続人の相続分の変更をもたらすもので大変な影響を及ぼしております。
もし、今回取り上げた問題だけでなく、他にも相続や遺産分割についてお困りの方がいらっしゃいましたら、守口門真総合法律事務所へお気軽にご相談ください。

まずはお気軽に連絡ください

HAPPYな解決を 相談予約受付中!まずはお気軽にお電話ください 06-6997-7171 [受付時間]9:00~18:00 [定休日]土、日、祝日 お問い合わせフォーム メールでのご予約 ※電話・メールのみでの法律相談は行っておりません

ご相談・ご質問受付中!まずはお気軽にお電話ください 06-0997-7171 [受付時間]:9:00~18:00(土日祝は定休日)

アクセスはこちら

メールはこちら