相続分野における自筆証書遺言の要件緩和等(法改正予定)

2018年08月|弁護士コラム

自筆証書遺言の要件緩和等を盛り込んだ改正民法が、平成30年3月13日に国会に提出され,同年7月6日に参議院本会議において可決され,7月13日に公布されました。

そのうち,この自筆証書遺言の要式緩和については,平成31年1月13日から施行されることになっていますので,しっかりと学んでおきたいところです。

以下,御紹介させていただきます。

 

1,自書に関する改正点

現行民法では,自筆証書遺言は,全文を自書(手書き)しなければなりません(968条1項)。

預金口座については,金融機関名・支店名・種類・口座番号等の情報があり,不動産(土地)については,所在・地番・地目・地積等の情報があり,不動産(建物)については,所在・家屋番号・種類・構造・床面積等の情報があります。

 

それらの全てを自書しなければならないという訳ではありませんが,遺産として特定できる程度の情報は自書しなればなりませんので,かなりの負担になることがあります。

そして,書き間違えたりした場合にはスムーズに遺産を承継できなかったり,また,書き間違えを訂正する際に法が要求する要式と異なった方法によってしまった場合,訂正の効力が認められないばかりか,場合によっては,自筆証書遺言が無効になりかねない危険性もあります。

 

そこで,このような不都合を解消するために,改正案では,自筆証書遺言のうち,財産目録については,自書することなく,①パソコンやワープロで作成したり,②通帳や不動産登記事項証明書を添付したり,③他人に代筆してもらったり,する方法ても良いことになりました。

これにより,記載内容の不備により遺言が無効になる危険性が大幅に減少し,また,自書することのわずらわしさが無くなりますので,後述の他の改正点(法務局保管で検認不要)とも相まって,従前より,自筆証書遺言を選択する遺言者の割合が増えることが予想されます。

2,保管場所・検認に関する改正点

現行民法下では,自筆証書遺言の保管場所について定めがありません。慎重な方は,貸金庫に入れたり,受遺者や弁護士に預けたりしますが,普通に自宅で保管される方も多く,紛失したり破棄されたりするおそれがあります。また,そもそも,遺言者の死後,発見されないリスクもあります。

また,自筆証書遺言においては,公正証書遺言と異なり,遺言者が死亡した場合には,家庭裁判所での検認手続を実施する必要があります。

これらの諸点より,自筆証書遺言を作成することに躊躇される方もいると思われます。

 

そこで,改正法では,自筆証書遺言を法務局で保管する制度が新設されることになりました。具体的には,遺言者は,保管所として指定された法務局に対し,作成した自筆証書遺言の保管を申請することができるという規定が設けられます。そして,申請許可が通った自筆証書遺言については,磁気ディスク等に保存されることとされました。

遺言者の死亡後は,相続人や自筆証書遺言に記載された者等(「関係相続人等」といいます)は,法務局に対して,「遺言者情報証明書」の交付請求ができ,また,自筆証書遺言の原本についても,閲覧請求をすることができます。

また,このように,法務局に保管された自筆証書遺言については,検認手続が不要になります。

この改正により,自筆証書遺言の保管場所を確保することができ,かつ,検認手続も不要になりますので,上述の財産目録をパソコンやワープロで作成しても良いことに改正されることと相まって,自筆証書遺言の利用率が高まることが予想されます。

 

 

これから遺言を作成しようとされている方,すでに作成された遺言の見直しを考えられている方など,いつでも,守口門真総合法律事務所に,お問い合わせいただければと思います。

 

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