消費税増税が2019年(令和元年)10月1日から施行されます。
今回の消費税増税の特徴としては,軽減税率の導入が挙げられます。
1 消費税率の引上げ
消費税率及び地方消費税率について,次のとおりとなります。
適用開始日 |
現行 |
令和元年10月1日 |
|
税率区分 |
標準税率 |
軽減税率 |
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消費税率 |
6.3% |
7.8%
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6.24% |
地方消費税率 |
1.7% |
2.2%
|
1.76% |
合計 |
8.0% |
10.0% |
8.0% |
もっとも,税率引上げに伴う経過措置が設けられています。
改正後の税率は,適用開始日以後に行われる資産の譲渡等について適用され,適用開始日前に行われた資産の譲渡等については,改正前の税率が適用されることとなります。
ただし,適用開始日以後に行われる資産の譲渡等のうち一定のものについては,改正前の税率を適用することとするなどの経過措置が講じられています。
2 軽減税率の概要
(1)軽減税率
軽減税率(8%)は,「人の飲食料品の譲渡」「定期購読新聞」に対して適用されます。
(2)「人の飲食料品の譲渡」
飲食料品とは,食品表示法に規定する食品をいいます。
食品表示法に規定する食品とは,全ての飲食物をいい,医薬品・医薬部外品・再生医療等製品を除き,食品衛生法に規定する添加物を含むものとされます。
飲食物とは,人の飲用または食用に供されるものをいいます。
したがって,「飲食料品」とは,人の飲用または食用に供される,
をいい,
・医薬品,医薬部外品,再生医療等製品,酒税法に規定する酒類を除きます。
なお,軽減税率が適用される取引か否かの判定は,事業者が課税資産の譲渡等を行う時,すなわち,飲食料品を提供する時点(取引を行う時点)で行うこととなります。
(3)「定期購読新聞」
一定の題号を用い,政治,経済,社会,文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行されるもので,定期購読契約に基づくものです。
3 軽減税率の実例
(1)軽減税率適用(消費税8%)の例
食品表示法に規定する人間のための飲食料品で,持ち帰り・テイクアウト・宅配のもの
・持ち帰りする弁当
・飲料(酒税法に規定する酒類以外),野菜,精米,魚,肉ほか
・氷(飲食用),岩塩(飲食用),ペットボトルの飲料水(水道水を除く)
・飲食料品用の添加物(食品衛生法に規定する食品添加物,重曹など)
・健康食品(特定保健用食品を含む),清涼飲料水たるエナジードリンク類(医薬部外品等でないもの)
(2)軽減税率の適用対象とならない取引
① 「食事の提供」
「食事の提供」とは,飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいます。
社員食堂やセルフサービスの飲食店であっても,その店舗のテーブル,いす,カウンター等の飲食設備を利用させて,飲食料品を飲食させていますので,軽減税率の適用対象とはなりません。
② テイクアウトか店内飲食か
いわゆる「テイクアウト」など「飲食料品を,持ち帰りのための容器に入れ,又は包装を施して行う譲渡」は,「食事の提供」には該当しないとされています。そのため,ファストフード店やコンビニエンスストアでの飲食料品の持ち帰りは,飲食料品の譲渡として,軽減税率の適用対象となります。
ファストフード店でのイートインやコンビニエンスストアのイートインスペースが設けられている場合では,「食事の提供」に該当し,軽減税率の適用対象とはなりません。そこで,持ち帰りなのか,店内飲食なのかにより,税率が異なることになりますが,このような場合には,顧客に対して持ち帰りなのか店内飲食なのかの意思確認を行うなどの方法で,判定することとなります。
③ いわゆるケータリング,出張料理
軽減税率の適用対象となる「飲食料品の譲渡」には,「相手方が指定した場所において行う加熱,調理又は給仕等の役務を伴う飲食料品の提供」(いわゆるケータリング,出張料理)は含まれないこととされています。
しかしながら,老人ホームや学校での給食など一定の基準を満たす飲食料品の提供については軽減税率の適用対象とされています。
また,出前や会議室への配達は,単に飲食料品を届けるだけであるため,「飲食させる役務」がなく,飲食料品の譲渡に該当し,軽減税率の適用対象となります。
単に配達するだけでなく,給仕等の役務の提供が行われる場合には,ケータリングや出張料理に該当します。
飲食させる役務には,「盛り付け」を含むとされていますが,コーヒーをカップに注ぐような容器への「取り分け」行為は含まれません。
4 判断のポイント
軽減税率の適用対象かどうかの判別は,①対象品目,②外食かどうか,③飲食サービスがあるかどうか,のポイントを考慮して判断することとなります。
以上
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